Octo Story 第2話「ナマコ車掌と始まりの試練」
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 私とアタリメ司令は、電車の中でゆっくりと会話をしていた。

「ポリュープや、ワシゃちょっと疲れたゾイ。しばし一服……」

 何を吸うつもりなんだ、爺さん。

 それにしても、今日はいきなり色々な事があったな……私だって疲れてしまった。

 ……おや? 向こうから、帽子を被った青い生き物が出てきたぞ。

「本日もメトロをご利用ありがとうございまス。

 ワタクシ、車掌を勤めさせていただきまス、ナマコ車掌と申しまス」

「なっ! このナマコ、喋りよる!」

 こんなに青くて小さいナマコが、喋った……!

 この事実に、かなり長生きしているアタリメ司令も驚いたという事は、

 この世界でナマコが言葉を話すのは「当たり前ではない」のか……。

「おや? ご利用は初めてでしたカ……?」

 ナマコ車掌はゆっくりとこちらに近付いてくる。

 歩くのは遅かったが、およそ1分後にナマコ車掌は私達のところに現れた。

 

「それでは、説明させていただきまス。ここはネル社の運営する地下の巨大実験シセツ……

 その実験場同士を繋ぐ、深海メトロでございまス」

 つまり、この地下鉄は実験施設だというのか。

 でも、どうして私がそこにいるんだろう。

 そう思っていると、ナマコ車掌が私の方を向いてこう言った。

「おヤ? ポリュープサン、アナタ、NAMACO端末をお持ちですネ?

 ……と言うコトは、約束の地に行かれるのですネ?」

 私は頷いた。

「そうじゃ! ワシらは、はよ外に出たいだけじゃ!」

「承知しましタ」

 ……このナマコ車掌は、少し不気味だが、話は分かるそうだ。

 ナマコ車掌はゆっくり、私とアタリメ司令に話す。

「約束の地は、地下住民禁制のユートピア……。

 そこへ行くには、各駅のチャレンジを乗り越え、どこかにある4つのアレを集めてくださイ。

 アレが4つ集まった時、約束の地への扉が開かれまス」

 つまり、試練をクリアしていけば、地上への道が開かれるという事か。

 話を聞いていた私は、「アレ」とは何だ、とナマコ車掌に聞いた。

「申し訳ありませン、今は話す事はできませン」

 ナマコ車掌は「アレ」については話さなかった。

 そうか……残念だった、と私は落胆する。

「ちぅ事は、そのチャレンジをクリアすれば、地上へ出られるんじゃな?」

「恐らク……。では、最初のチャレンジにご案内しまス。NAMACO端末を起動してくださイ」

 私はナマコ車掌の指示で、NAMACO端末を起動した。

 すると、文字と地図が書かれた画面が私の前に現れた。

 地図は黄色いアルファベットのTの形をしている。

 四角と赤い丸は……駅だろうか。

 

 そうだ 約束の地 行こう

 深海メトロ中央駅

 

「おおッ! なんじゃこれは?! 最近のメカは凄いのゥ……」

「路線図が浮かび上がりましタ……。行きたい駅をお選びくださイ」

 どうやら、この画面は路線図のようだ。

 ここから行きたい駅を選ぶ事ができるらしい。

 といっても、私達が選べる駅は、ここしかないのだが……。

 

 私は赤い丸の駅をタッチした。

 

 アブない女子の聖地 ルーガ森駅

 →森を抜けて ゴールせよ!

 チャレンジ料 100

 ブキ スプラシューター

 

 森を抜けて……か。

 ブキは、ちゃんと支給されるみたいで安心した。

 

「それでは、初めてのチャレンジへ出発いたしまス」

 私、アタリメ司令、ナマコ車掌を乗せた電車は、ルーガ森駅へ走った。

 

「着いた……」

 私達を乗せた電車は、特にトラブルなく、ルーガ森駅に到着した。

「駅に着いたら、まずドレッサーの上でブキが支給されまス。

 チャレンジにはNAMACOポイントが必要でス。最初なので、1000チャージしておきましタ」

 おー、ナマコ車掌は親切だな。

 ナマコ車掌曰く、チャレンジ料とはこの駅をチャレンジするのに必要なNAMACOポイント、

 クリア報酬とはこの駅をクリアしたら貰えるNAMACOポイントの事を指すらしい。

 まぁ、それはそのまんま、当たり前だな。

 

 そして、支給されたブキは、スプラシューターとスプラッシュボム。

 シューターの中で最も基本的な性能を持つ、扱いやすいブキだ。

 私はドレッサーからそれを装備した。

「ポリュープ様、申し遅れましたが、ここは駅のホームでありまス。

 駅についての情報が知りたい時は、ワタクシナマコ車掌まで気軽にご質問くださイ」

 分かった、と私は頷く。

 そして、私が前に進むと、ナマコ車掌はこう言った。

「ポリュープ様、これは改札でありまス。

 ここを通るとNAMACOポイントからチャレンジ料が差し引かれ、スタートしまス。

 NAMACOポイントが足りない場合は、チャレンジができないので出直してきてくださイ」

 つまり、NAMACOポイントが0の時には、もう二度と挑戦できなくなるかもしれない。

 慎重に進まなければ……と私はこの時思った。

 しかし、ここで逃げてはいけない。

 私は改札にカードを通し、NAMACOポイントを100消費して試練に挑んだ。

 

 〜森を抜けて ゴールせよ!〜

 

「改札を抜けたら森とは……一体、どうなっとるんじゃ?」

 私はインクを塗りながら、森の奥へと進んでいく。

 最初の試練というだけあって、特に複雑な仕掛けはなく、楽に進めた。

「……タイショウ ヲ ハッケン」

 先に進むと、頭が青く、身体が緑になっていて、瞳が赤く光っている蛸を見つけた。

 あれは私の同族、オクタリアン達のエリート兵、タコゾネスのようだ。

 私は一度、彼女に話しかけてみたが、次の瞬間、緑のインクが飛んできた。

「シマツセヨ」

 危ない、危ない。

 私はそのインクを紙一重でかわしたが、どうやら分かり合えないみたいだ。

「ヌッ?! きゃつめ、仲間を攻撃するつもりか!

 どうやら、話が通じるフンイキではなさそうじゃぞ!」

 ……やるしか、ないのか。

 私はスプラシューターを構え、そのタコゾネスと一騎打ちをした。

 

「はぁぁぁぁぁっ!」

 スプラシューターを連射してタコゾネスを撃破すると、鍵が開いて次の扉が開いた。

 私とアタリメ司令は扉の先へ進み、1つ目のチェックポイントに触れる。

「タイショウヲ カクニン……シマツセヨ」

 くっ、またあの緑と青のタコゾネスが現れたか。

 今度はローラーとパラシェルターを持った奴が1体ずつ現れたようだ。

「ポリュープ、新手じゃ! 今度は2体とな!

 むぅ……やられる前にやれィ! 戦場の鉄則じゃ!」

 分かった、アタリメ司令。

 私はスプラシューターとスプラッシュボムを使い分けながらタコゾネス達を相手にした。

 

 タコゾネスと戦っているうちに、私もアタリメ司令も気付いた。

 このタコゾネス達、どうやら魂が抜けているようだ……。

 一体、彼女達に何があったのだろうか。

 

 こうして私はタコゾネスを全滅させ、次の扉を開けて2つ目のチェックポイントに触れる。

 どうやら、ここが最終チェックポイントのようだ。

「タイショウヲ カクニン……シマツセヨ」

 今度は、スパッタリーを持った魂無きタコゾネスが現れる。

 しかも、ジェットパックを使って空を飛んでいる……油断ならない敵だ。

「慌てるな、ポリュープ! 木に隠れて様子を見ィ!」

 私は木に隠れながら、空を飛んでいるタコゾネスの隙を見計らう。

 ……そこだ。私はタコゾネスが地上に降りたところにスプラッシュボムを投げる。

 ボムが爆発した後、私はインクに潜り、

 タコゾネスの背後に回り込んでスプラシューターでとどめを刺した。

 

「ふぅ……何とか切り抜けたのゥ」

 アタリメ司令が一安心する。

 装備は強かったが、敵の頭はそれほど良くなかったようだ。

 すると、向こうにある大きな門が開いた。

 もしかしたら、ここから出られるのだろうか。

 奥には、金色の柱のようなものがある。

 私がスプラシューターで撃ち続けると、色が青く染まり、どんどんインクがついていく。

 そして、インクを塗り切ると鉛筆のような形になり、

 それが地面に突き刺さるとゴールになった。

 私の勝ちが決まった瞬間である。

 

 タコがタコを襲う不思議な光景、私は信じられなかった。

 でも、これは夢ではなかった。

 地上に出るのも、もう、夢ではないだろうと私は思った。

説明
ここで、キーキャラクターが登場します。
そして、最初のステージ攻略となります。
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