スマブラ Stern des Lichts 第21話 〜 森のバナナにご用心 |
ジャングルの王者、ドンキーコングをキーラから解放した一行。
だが、ドンキーは不機嫌そうな表情をしていた。
「腹、減った……」
ドンキーは空腹で腹を押さえていた。
腹の虫も、彼の中でぐきゅるるると鳴っていた。
「バナナ、食わせろ……。バナナ、バナナ……」
「……バナナ、ねぇ……。森の中になら、あるんじゃないかしら?」
「おお! じゃあ、行かせてくれ!」
「いいわよ。シャドウ、お願いね」
「……そんな目的で、この力を使うのか?」
シャドウは、バナナを食べたいというだけでカオスコントロールを使うのか、と訝しい表情になる。
「だってオレ、腹減ったんだもん! バナナを食いたいんだよぉ!」
「ドンキーコング……お前の気持ちは分かる。だが、お前に説明をしていなかったが、カオスコントロールは流石の僕でもそう易々と使える力ではない。
空間を転移するのはかなりのエネルギーを使うから、一度使った場合、エネルギーの補給が必要になるぞ」
「……そっか。我儘言ってごめんよ。オレ、自分で森に行ってバナナを食ってくる」
(よかった)
シャドウに説得されたドンキーは、自分の足で森に行くと決めた。
流石のドンキーも、物分かりが良かったようでマリオは安心した。
「んじゃ、森までの道、案内してくれよ」
「はーい」
一行はベルを先頭に、森へ行くための道を歩いていった。
途中で何度か道に迷ったものの、無事に一行は再び森に辿り着く事ができた。
「わ、このちっちゃい生き物は何?」
森の入り口に入ると、頭に葉っぱが生えた赤い身体の生き物がいた。
ランスはそれを、じっと見つめている。
「これは、赤ピクミンね。オリマーやアルフが使うピクミンの一匹で、火に強いわ」
「じゃあ、この子達の相手はボクがするね!」
「私もよ!」
赤ピクミンには、ベル、シーク、りょう、ドクター、ランス、リュンヌが挑んだ。
「すばしっこいですね、この赤ピクミン」
「いや、小さいだけなのよね、こいつ」
赤ピクミンは身体の小ささから、リュンヌとベルの攻撃が当たらない。
りょうもスコップで攻撃するが、赤ピクミンには当たらない。
「……そこだね!」
ドクターはカプセルを赤ピクミン目掛けて投げる。
それが上手く命中すると、赤ピクミンは一撃で倒れた。
「か弱いわね」
「うん、弱かったね……」
必殺技一発で倒れた赤ピクミンを見て、ドクターとベルは少しだが哀れんだ。
「わわっ! 近付くなぁ!」
ランスが自分に張り付いた赤ピクミンを振り払うと、その赤ピクミンも地面に落ちて倒れた。
「……あれ、また死んじゃったみたい」
「本当にピクミンってか弱い生き物なのね」
「それを上手く使いこなせるオリマーって、ホントに凄いよね。早く探さなきゃ」
そのオリマーと出会うのはもう少し先の話である。
その間に、ベルは三匹目の赤ピクミンを鎌で斬りつけ、ランスが槍で周囲を薙ぎ払って残った赤ピクミンを倒した。
「赤ピクミンは楽に倒せたようだな」
「腹が減って力が出ない……」
「我慢しろ、今バナナを探してる最中だから」
お腹を押さえているドンキーをマリオは宥める。
この様子だと、ドンキーがバナナを見たら暴走するだろうな……とマリオは察した。
「……」
「どうした、ベル」
ベルは額に指を当てて、精神を集中していた。
この森の中にいるスピリッツを探すためだ。
「こっちに、スピリッツを見つけた! フォックス、ヨッシー、ソレイユ、リュンヌ、ファルコン、一緒に来て!」
「な、なんですか〜?」
「あんた達はしばらくそこで待ってて、今、スピリッツを解放してくるから」
「いってらっしゃ〜い」
カービィに見送られ、ベル達はスピリッツがある場所に飛んでいった。
「あらよっと! ほいっと!」
ベルが見つけたスピリッツは、黄色い帽子と服を着用した人型の生き物だった。
生き物は林檎を玉乗りの玉代わりに乗っており、爆弾を片手に持っている。
「こいつはポピーブラザーズJr.ね。爆弾を投げて攻撃してくるわ」
「爆弾は意外に攻撃範囲が広いからな、気を付けて避けなければならん」
「とりあえず解放しますか!」
そう言ってベルは、大鎌を構えてポピーブラザーズJr.の解放に臨んだ。
ヨッシー、フォックス、ファルコン、ソレイユ、リュンヌも、彼女に続いて戦闘態勢を取った。
「ばたんきゅ〜」
「よし、捕獲完了!」
数分後、無事にポピーブラザーズJr.のスピリッツはスピリッツボールの中に入った。
「それにしてもベル、どうして急にスピリッツを解放したがったんだ?」
「んー、だって私、死神だし。キーラをぎゃふんと言わせたいもの」
「……」
ベルはそう言って、ぺろっと舌を出した。
軽い口調で、しかも笑顔のベルだったが、ファルコンには分かっていた。
彼女の目が全く笑っていなかった事を……。
「……よし、とりあえずスピリッツを解放しようぜ」
「……ああ」
ベル一行は、チュチュ、カリプソ、テリー、デクリンク、エリーのスピリッツを解放し、森に戻ってきた。
しかし、彼女達が戻ってきた時、ドンキーの顔は青ざめていた。
「ちょ、どうしたんだドンキー!」
「ハ……ラ、ヘッ……タ……バ、ナナ、クワ、セ、ロ……」
最早、ドンキーの空腹は限界に達していた。
マリオは、流石にこれには危機感を感じ、急いで彼をバナナがある場所に連れていこうとした。
「おい、バナナがある場所はどこなんだ。このままじゃ、ドンキーが大変な事になっちまう」
「バナナ……バナナ……あ!」
フォックスは、バナナの匂いを嗅いで、バナナがある方を向いた。
「ドンキー! バナナは俺が向いた方にあ……」
フォックスがドンキーに報告をした瞬間、ドンキーはその方向に一目散に向かっていった。
「ドンキーって、本当にバナナに目がないのね」
「……ああ。追いかけるぞ」
マリオ達は、ドンキーを追いかけていった。
「うおおおおおお! バナナだあああああああ!!」
ドンキーの目の前には、バナナが広がっていた。
見渡す限り、全てがバナナ、バナナ、バナナ。
それは、空腹のドンキーにとっては、まさに天国であった。
「ガツガツ! むしゃむしゃ! ガツガツ! ガツガツ! むしゃむしゃ! ガツガツ!」
ドンキーは夢中で、空腹の分だけ望むままにバナナを食べ続けていた。
彼の頭上に、罠が迫っているとも知らずに。
「ったく、ドンキーの奴、どこに行っちまった?」
「俺が匂いを辿ってるから、その通りについていけ」
ピカチュウは苛々しながらドンキーを探していた。
フォックスの嗅覚を頼りに、ドンキーが飛んでいった場所に進んでいく。
「気をつけろ 甘いバナナと 暗い敵」
シャドウは、敵に遭遇してもいつでも攻撃できるように、拳銃を抜いていた。
「うわ、シャド兄、こっわ〜い」
「僕からは離れるなよ。特に、子供はな」
「う、うん」
子供とは、カービィ、りょう、ランスの事を指すだろう。
三人はシャドウに言われた通り、彼の後ろにぴったりついていった。
「いたわ!」
そして数分後、一行はついにドンキーを発見する。
しかし、彼は光の鎖で縛られていて、それを黄色い球体が爛々と光る赤い瞳で見ていた。
彼の傍には、小人、少女、ゴリラのスピリッツが浮遊している。
「助けてくれー!」
「シャベルンジャナイヨ……キミハコレカラ、ボクニタベラレルンダカラネ。コンナミエミエノワナニヒッカカルナンテ、キミハジツニバカダネェ」
「うぅ……せっかくバナナを食えたのに、こんなのってないぜ……」
「……シャドウ、気付かれないように撃って」
「ああ……。そこだ!」
シャドウは拳銃を構え、ドンキーを縛っている鎖目掛けて撃った。
銃弾が光の鎖に命中すると、光の鎖は砕け散り、ドンキーは自由になった。
同時に、マリオ、カービィ、ピカチュウ、シャドウ、アイシャを先頭に一行が黄色い球体の前に飛び出す。
「パックマン……お前もキーラに操られてるのか」
「ヘェ、ソレガドウシタノ? キーラサマハボクノゴシュジンサマダヨ?」
黄色い球体――パックマンはケタケタ笑っている。
スピリッツはどんよりとした暗い目をマリオ達に向けている。
彼らもまた、キーラに操られた被害者なのだろう。
「人を罠で誘うなんて……許せませんわ!」
アイシャは操られたパックマンに対し怒りを露わにしている。
彼女は懐から包丁を取り出し、彼に向けていた。
「罪を憎んで人を憎まず。お前を縛る鎖は、僕が解き放ってやる」
「あれは罠だったのか! 許さねー!」
「待ってて、パクパク! 僕が助けてあげるから!」
「……ふ、『黄色い伝説』はどんな強さなのか?」
「パックマン、お前をキーラから解放してやる!」
マリオ、ドンキー、カービィ、ピカチュウ、シャドウ、アイシャは、操られたパックマンとスピリッツに戦いを挑んだ。
〜ベルのスピリッツ名鑑〜
赤ピクミン
出身世界:とある星
性別:不明
オリマーが惑星で出会った「ピクミン」の一種。
その見た目通り、火に強い。力もそこそこある。
ポピーブラザーズJr.
出身世界:ミルキーロード
性別:♂♀両方存在する
ミルキーロードに存在する人型の種族で、服を着て帽子を被る習慣がある。
身軽な動きが特徴で、「ボム」のARTSを持つ。
Jr.期からSr.期に成長すると、ジャンプ力が発達する。
カリプソ
出身世界:DKアイランド
性別:♀
クレムリン軍団の一員である女性クレムリン。
アフロヘアーが特徴的で、クールな性格。
クラブハウス「ワールドカイマン」のオーナー。
チュチュ
出身世界:ミルキーロード
性別:女性
カービィの仲間の一人で、リボンを付けたピンクの軟体生物。
天井に張り付きながら移動する事ができる。
テリー
出身世界:ハイラル
性別:男性
長い鼻とそばかすが特徴的な、片言喋りの商人。
世界各地で、色々なものを売っているとか。
デクリンク
出身世界:タルミナ
性別:男性
デクナッツの仮面をつけたリンク。
元々はスタルキッドの呪いでこうなったらしい。
身体が小さく身軽だが、火が弱点。
エリー
出身世界:DKアイランド
性別:不明
ディクシー達の冒険をサポートしてくれる象。
鼻から水を吸って、水を吐く事ができる。
説明 | ||
今回は森の探索回です。 ドンキーコングをそれっぽく描写してみました。 |
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