真・恋姫†無双〜黒の御使いと鬼子の少女〜 99
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 所変わって、星は現場に着いていたのだが……

 

「これは、一体……!?」

 

 星が目にしたのは玩ばれている華雄だった。

 

「ぐぅぅううう!!!」

「あはははっ! どうしたの? 僕つまらないなぁっ!」

 

 華雄は斧で攻撃を凌ぐのが精一杯だが、白装束は明らかに“遊んでいる”。

 

「上かな? 下かな? 左かも? 右じゃないかな? さぁさぁさぁ!」

 

 異様な言動で惑わしながら、五月雨が如く突かれる細剣。それはどれも致命たる一撃ではなく、いたぶるための一撃。

 

「はぁああああああああああああっ!」

 

 一瞬の隙をついて華雄が斧を振るうが、それすら相手からしたら遊びだ。

 

「うわぁあああ! 怖いっ! 反撃されるの怖いっ!」

「くあぁあああああああ!!!」

 

 華雄もそれを感じていないわけがない。その表情には明らかな怒り、それと同時に悔しさがにじみ出ていた。

 

「………………」

 

 その姿を見て、星は己が槍を強く握りしめる。

 

「そこの」

「はっ! って趙雲将軍っ!?」

「今から私の部屋に行き、寝台の天蓋を調べて来てくれ」

「へ?」

「そこに、細長い包みがあるはずだ。急げっ!」

「は、はっ!」

 

 指示を受けた兵士が駆けて行ったのを確認して、星は闘いに介入する。

 

「ここでの狼藉、そこまでにしてもらおうかっ!」

「なっ! 趙雲っ!」

「下がれ華雄。ここからは私が、」

 

 “受け持つ”と言おうとした星の肩を華雄が掴む。

 

「悪いが、これは私の戦いだ。今は下がっていろ」

「……華雄、お前では太刀打ちできん」

「だからどうした? それで退いては武人の名折れよっ!」

 

 猪、という単語が出てどう引き留めるかを思案したとき、すれ違いざまに華雄が星の目を見た。

 

「っ!」

 

 その眼は“冷静”だった。そしてその眼のまま華雄は再び白装束に斬りかかっていった。

 

「はぁああああああああああああっ!」

「ああ、君の相手は楽しいなぁっ! 本気でやってしまうよっ!」

 

 再び始まった戦いを見て、星は自身の考えを改めた。

 

(……華雄、すまない。私はお前を見くびった)

 

 彼女は今、時間稼ぎの為に全力で戦っている。それこそ、自身の誇りを削ってまで。

 

(……その誇り、これ以上汚すわけにはいかぬ)

 

 鈴々が来るまでまだ時間がかかる。たぶん、先程兵に頼んだものが来る方が早いだろう。

 

(まさか、ここで再び振るうことになるとは思わなかったが)

 

 真に自分が振るわねばならぬと思った戦いの時だけ振るうと決めていたのだが、思った以上にその時が早かった。

 

(ん?)

 

 と、先程の兵が包みを持って戻ってきた。

 

「趙雲様、これでお間違いないでしょうか?」

 

 包みを受け取って、一部をほどいて中身を確認する。

 

「間違いない。助かった」

 

 その包みを持って星は再び華雄たちに近づく。

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「ん?」

 

 白装束は剣を振るう腕を止めないで星を見る。

 

「あれっ! 加わっちゃうの!? うわぁ、これは困るなぁっ!」

「くっ! 趙雲っ!」

 

 さっきの言葉を聞いてなかったのか、と怒鳴りそうになるが、それよりも早く星が口を開く。

 

「すまんな、華雄。だが、これ以上お前の誇りを汚されるのは私も我慢ならん」

 

 そう言って、彼女は包みの中身を取り出した。

 

「……ちっ」

 

 中身を見て舌打ちをしたのは白装束。

 

 それは、剣だった。鍔に当たる部分と、柄尻に宝石がはめ込まれており、鞘には見事な装飾が施されている。

 

「私自身、これを抜くことはもっと後になると思っていたのだがな。貴様の所業、目に余る」

 

 星の眼はいつもよりも深く紅くなったように見えた。

 

「華雄の誇りを汚した罪、貴様の命で償ってもらうぞ、白装束っ!」

 

 そして、左の逆手で鞘から引き抜いた。刀身は青白い光を一瞬放つと、すぐにその姿を周囲に見せた。直刀と呼ばれる真っすぐな刀身。刀身の下部には“青紅”の二文字が刻まれていた。

 

「やはり、青紅剣か……」

「銘を知ってるとはな。だが、知ったところで意味はあるまい」

 

 左手に剣、右手に槍を構えた星はいつも以上の闘気を身に纏わせる。

 

「貴様の命運はここで尽きるのだからな」

 

 あまりの闘気に周りの兵は怯み、華雄ですら戦慄を覚えるほどだ。

 

(この女、ここまでの覇気を……! 恋と、いや、恋すら超えるぞ!?)

 

 あの三國無双と謳われる恋と同等以上の覇気だ。戦慄を覚えるなというのが無理な話だ。

 

「……なるほどねぇ。条件付きの破殻(はがい)か」

 

 意味深な一言を吐いて、白装束は剣を構える。

 

「僕の名前は天邪鬼の悟鬼(ごき)。覚えてほしいかなっ!」

「お断りするっ!」

 

 初手は星の槍の突きだ。対し、白装束は剣先をつまんで刀身を曲げて穂先を弾いた。

 

「っ!?」

 

 だが、その衝撃は愛紗の一撃と同等だった。

 

「シャアっ!」

 

 そして、流れるように攻撃へと転じる。

 

「くっ!」

 

 突きを凌ごうと、逆手から順手に持ち替えた剣で弾こうとするが、迷いが生じる。

 

(剣先がぶれてっ!?)

 

 剣先が縦横無尽に動いてどれが本当の剣先かの見分けがつかない。

 

(……ならばっ!)

 

 あえて踏み込んで、剣を掬い上げるようにして切り上げる。狙うは剣先の根元、鍔の部分。

 

「ちっ!」

 

 ぎりぎり先に弾かれると判断した白装束は手を引きつつ、さらに踏み込んで星の剣を掻い潜るように手首を返して同じように掬い上げるように切りつける。

 

 その動きに呼応して、左手を大きく回して反動へ変えて槍を突き出す。だが、今度は白装束の方が到達は早い。

 

 それにほくそ笑む白装束だが、星がそれを分かっていないはずがない。

 

「っ!?!?」

 

 敵の方の到達が早いのはあくまで“星がしっかりと握った突き”の場合だ。しっかりと握らないで、勢いよく突けばそれは手を台として射出される弩と化す。

 

「ぐっ!」

 

 悟鬼は強引に上体を逸らして槍を避けようとするが、間に合わずに右胸から左肩までを大きく抉る。

 

「ちぃっ!」

 

 だが、ただで肉をやるほど白装束も甘くはない。槍を掴んで、右腕で叩き落とす。しっかりと握られていなかった槍は星の手を離れて白装束の左手に握られる。

 

「ふぅー……!」

 

 呼吸で気を整え、槍を折ろうと手に力を籠めようとするが、その材質を感じ取ってあきらめる。

 

(これを折っている暇があったらとっくに切り捨てられてるな)

 

 即座に判断して、槍先を背後に回してから担ぐように構え、剣は先ほどと同じように突きの構えで星に向ける。

 

 それで星は槍を投げるつもりだと判断し、構え終わる瞬間に突っ込む。構えが完成する前はそれを体が優先してしまう。その刹那の隙に飛び込む。

 

「はぁあああああああ!」

 

 だが、白装束はすでに準備を終えていたのだ。槍を上に上げた時点で。

 

「っ!」

 

 突っ込んできた星に上から槍を突き刺すように振り下ろす。寸での所で悟鬼の左手側に回り、剣を突き出す。対し、悟鬼は手首を動かし、槍の突き刺さる方向を若干左側に向けて地面へと突き立てる。その瞬間、

 

「がっ!?」

 

 地面の土や石は砲弾に姿を変えた。勢いよく星の体にめり込み、彼女の体は宙に浮かび、地面を転がされた。

 

「くっ!」

 

 素早く立ち上がるが、全身にくまなく痛みがにじみ出てくる。

 

「たくっ、殻を破ったやつは本当に手強くて楽しくなるねぇ……」

 

 忌々しそうな表情で告げる悟鬼。対し、星も呼吸を整えつつ相手を“観る”。

 

(さっきから言動と表情があべこべだ。あれは、多分惑わすための術の一つだろうな)

 

 そして、剣の動きから動きを推測する。

 

(突きが主体だが、振るえば剛の剣。剣がしなることで相手を惑わせる剣かと思えば、直線が織り込まれる)

 

 腕の高さだけはさっきの戦いで感じていたが、対峙して感じることもある。完全な剛である華雄には相性が悪い。この相手に一番相性がいいのは自分か……

 

(玄輝殿か)

 

 玄輝は柔の剣。隙を作りだして切り込むだろう。だが、彼はここにいない。

 

(ならば、私がやるしかあるまいよ)

 

 覚悟を決め、状況を確認する。

 

(全身に打撲。が、戦闘には支障なし。槍は地面に深く突き刺さっている。抜くのはあきらめたほうが良いだろうな)

 

 となれば、剣一本で戦い合うという事になる。

 

(やれるといえばやれる。しかし“間合いを制したら”だが)

 

 ならば、間合いを制すればよいだけのこと、そう思っていた。

 

「きゃあああああああああああああああああああ!!!」

 

 大地が震える音と桃香の悲鳴さえ聞こえてこなければ。

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〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「うっ、うう……」

 

 地面を転がされた桃香はよろけつつも立ち上がる。

 

「ふんっ。劉備玄徳は闘いに赴いたことは少ないと聞いてはいたが、ここまで弱いとはなぁ」

 

 彼女を吹き飛ばしたのは二人目の白装束だった。しかし、その姿は全く違う。肌の色は黒く、体躯は大きく筋骨隆々。腕も足もまるで丸太が如く太い。

 

「まぁ、仕事が楽になるから構わんが」

 

 そう呟くと、白装束は雪華の部屋を目指す。

 

「い、かせないっ!」

 

 その前に再び桃香が立ちはだかる。

 

「……はぁ、主から殺すなと命を受けてはいるが、そう何度も来られると勢いが余ってしまうのだが、なぁ?」

 

 と言っている割に表情は下卑た笑みを浮かべている。要は、この白装束はそれを“望んでいるのだ”。

 

「だが、邪魔するなら仕方ないよなぁ!」

 

 あれは事故だったと、報告できる理由として。

 

「ひっ!」

 

 白装束はの叫びに一瞬怯む桃香だが、逃げない。足はさっきから震えているし、歯もがちがちぶつかり合っている。でも、逃げない。逃げるわけにはいかない。

 

「……………っ!」

 

 精一杯の勇気で剣を構える。だが、目の前の白装束からすれば願ったり叶ったりだ。

 

「戦うんだな? 俺と戦うんだなっ!? いいだろうっ! ならばやってやるっ!」

 

 姿勢を低くしながら左手を桃香へ向け、右腕を引いて拳を構える。

 

「はぁあああああああ!」

 

 そして叫ぶ。すると、あり得ないことが起きた。

 

「なっ、なにっ!?」

 

 引いた右腕が2倍、3倍、いや、4倍に大きくなった。まるで特大の破城槌(はじょうつい)のようだ。

 

「さっきは加減してやったが、今度のはどうかなっ!?」

「っ!」

 

 言葉が終わると同時に白装束は拳の間合いに入り、狙いを桃香の顔に定める。

 

「きひっ!」

 

 白装束は想像していた。桃香のきれいな顔がゆがみながら胴体から引きちぎれ飛んでいく様を。そして、想像を現実にするために腕を振るう。

 

「桃香さまぁああああああああああ!!!」

 

 だが、間一髪のところでその体を押し倒した者が一人。

 

「あ、愛紗ちゃんっ!」

「ご無事ですかっ!?」

 

 桃香を背にして、青龍偃月刀を構える。

 

「桃香様はお逃げくださいっ! ここは私がっ!」

「待って! そいつの狙いは雪華ちゃんなのっ!」

「何ですって?」

 

 ならばと、愛紗は視線をそらさずに桃香に指示をする。

 

「では、中にいる朱里と一緒にお逃げくださいっ!」

「で、でも」

「早くっ!」

 

 強く言われ、桃香は頷いて部屋へ駆ける。だが、それを白装束がただ黙って見ているわけもない。桃香へ向かって飛び掛かろうとするが、再び愛紗は立ちはだかる。

 

「ちっ! 邪魔くさいなお前」

「お前の邪魔になるなら結構なことだ」

 

 しかし、愛紗は理解していた。この白装束との実力差を。

 

(さっきのあの一撃、偃月刀で防いだとして耐えきれるかどうか……)

 

 あえて見ないようにしていたが、空振りに終わった一撃。その後ろには大きな穴が開いていた。要は拳圧だけで壁に穴を開けたのだ。

 

(武の極致に至ったものは拳を当てずとも倒せるとは聞いたことがあるが、この目で見ることになるとは……)

 

 厳密には違うが、起きているものはほとんど同じだ。そして、相手の一撃が命を簡単に奪えるものだという事も。

 

(だが……!)

 

 ここで“退く”という選択肢はない。

 

「こいっ! 劉備玄徳が一の家臣、関雲長が相手をしてやるっ!」

「ほぉ、勇ましいな、と褒めておいてやるが」

「?」

「次があるなら、万全にしておくことだ」

「っ!」

 

 反応が一瞬遅れて、ぎりぎり回避したものの、左下顎に深い切り傷が刻まれる。

 

「ふむ、さすがとは言っておくが、終わりだ」

 

 下顎に傷を刻んだ腕がそのまま横薙ぎに振るわれ、愛紗の体が棒切れのように吹き飛び、地面を何度も転がる。派手に土煙を上げながら柱にぶつかって勢いは止まるが、彼女は立ち上がらない。

 

「一時すら楽しめないか。まぁ、致し方無いか」

 

 白装束はさもつまらなさそうに呟くと、雪華のいる部屋に向かうが、桃香が斬りかかる。だが、平手で剣を弾き、その返しの平手打ちで桃香もあえなく沈んだ。

 

 白装束は扉を強引に引いて破壊すると、その中で縮こまっている二人の少女に目を向ける。

 

「ひっ!」

 

 朱里が震えながらも雪華を庇う様に短剣を向けるが、白装束は完全に無視して雪華を担ぎ上げる。

 

「やだぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

「ちっ! うるさい」

「か、かっ……」

 

 喉を適度に締め付け、そのまま意識を奪う。

 

「せ、せつ、」

「ん? 小兵がいたのか」

 

 だが、朱里の戦意は完全に失われている。

 

「……ふんっ」

 

 呆れたように鼻で笑い、白装束は部屋を出た。

 

「ぬっ!?」

 

 だが、その顔目掛け鋭い一撃が加えられる。

 

「ぬんっ!」

 

 寸での所で避けた白装束は左足で壁を粉砕しながら回し蹴りを放つ。攻撃を加えた相手はそれを後ろに跳ぶことで回避する。

 

「お前は……」

「…………………」

 

 そこには全身から怒りの気を立ち昇らせる恋がいた。

 

「……呂奉先か」

 

 彼女も愛紗と同じように寝不足で万全と言えない体調だが、怒りがそれを凌駕していた。

 

「しろ、しょうぞく……!」

 

 故に、“三國無双”と謳われた力を存分に振るえる。

 

「ぬぅ!?」

 

 その一撃一撃はまさに死を呼ぶもの。並の兵士であれば2、3人は切り伏せられていることだろう。だが、白装束はそれを躱していく。

 

「く、くははははっ! さすがは呂奉先っ! 流石は後の歴史にまで謳われるものよっ!」

 

 笑いながら大きく後ろに跳び、左手で雪華を盾にするように見せつける。

 

「っ!」

「さて、お主とは少々遊べそうだ。我が名は泥鬼(でいき)。冥途の土産に持っていくがよい」

「っ!」

 

 だが、それを聞かず、恋は素早く左から回り込もうとする。

 

「ふんっ! その程度、っ!?」

 

 しかし、刃は反対から襲ってきた。雪華を盾にしているのを逆手にとって、隠れ蓑にしたのだ。

 

「甘いわっ!」

 

 対し、白装束は雪華を刃の方へ向ける。だが、予想外の事が起きる。

 

(刃の勢いが衰えんっ!?)

 

 慌ててその場で飛び上がって刃をやり過ごすが、その後に迫ってくる拳は受けざるを得なかった。咄嗟に右肩を上げ、拳を受ける。骨が砕ける音がして体が左へと軽く飛ばされる。

 

「くっ!」

 

 左足で着地と同時に踏ん張って、勢いを止める。が、その瞬間に左腕が切り落とされ、雪華を奪い返される。

 

「…………よかった」

 

 生きていることを確認して、隠れていたねねを呼び出す。

 

「ねね」

「ここにっ!」

「離れて、雪華と、いっしょに」

「お任せあれですぞっ!」

 

 恋から雪華を預かり、その場を逃げ出そうとしたが、それを別の無個性な白装束が阻む。

 

「な、ななぁ!?」

 

 急ブレーキをかけ、恋の元に戻る。

 

「れ、れれれ、恋殿っ! か、囲まれていますぞぉ!」

「…………」

 

 囲んでいる白装束を一瞥して判断する。

 

(……ここで、戦わないとダメ)

 

 何せ、ここには愛紗、桃香、朱里と重要な人物が三人もいる。ここで、置いていけば、ここは崩壊する。

 

(頭を、叩く)

 

 ならば、目の前にいる指揮官のような白装束を倒すだけだと、構える。と、そこへ二つの影が飛び込んできた。

 

「星」

「恋かっ!」

 

 別の場所で白装束と戦っていた星が誘導される形で合流させられてしまったのだ。

 

「おいおい泥鬼。仕事もう始まってるじゃん。早くね?」

「黙れ悟鬼。貴様こそ木偶相手に何をしている」

「いやぁ、こいつがさ破殻してないんだよ。楽しくて仕方ないよ」

「ふん、なるほど。なら、さっさと終わらせるぞ。主もお待ちだ」

「え〜、やだ」

 

 そう言いつつも、協力するそぶりを見せる二人の白装束。

 

「星、いける?」

「問題ない」

 

 なんでいつもの槍ではなく剣で戦っているのか気になったが、それ以上に現状打破の方が重要だ、恋はそう判断して方天画戟を構える。

 

「こいつら、ここで仕留める」

「ああ、行くぞっ!」

 

 こうして、白装束二人と恋、星の戦いが始まる。

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 即席のコンビとはいえ、恋と星の二人は相性が良い様で、まるで舞踏のように攻撃を繰り出す。相手の背を使い、脇をすり抜け、時に腕の勢いを使い連撃を繰り出す。

 

 しかし、届かない。なぜなら、白装束も同じように阿吽の呼吸で攻撃を凌ぎ、反撃をしてくるからだ。

 

 まさしく一進一退。だが、白装束としてはめんどくさい。何せ、本来であればただ蹴散らされるだけの存在がここまで粘っているのだ。

 

「ちっ! おいっ泥鬼! そいつらに命令を出すなっ!」

「……そうだな。貴様らっ! 鬼子を連れだせっ!」

「っ!」

「貴様らっ!」

 

 無個性の白装束がねねと雪華の方へ近づいていく。

 

「わわっ! こっちに来るなですっ!」

 

 短剣を抜いて振り回すが、あっさりと奪い取られる。

 

「あ、ああ……」

「ねねっ!」

 

 一瞬の連携の乱れ、それを見逃す二人の白装束ではない。

 

「しゃらぁ!」

「っ!」

「恋っ!」

 

 悟鬼の一撃を星が何とか弾き返すが、それを立て直すのに手いっぱいでねねを助けられない。

 

「れ、恋、どの……」

 

 すなわち、詰みだ。

 

「…………ん」

 

 だが、そこで雪華が目を覚ました。

 

「…………………」

 

 ゆっくりと周りを見渡して、目を見開いた。

 

「…………や、」

 

 倒れている愛紗と桃香。見当たらない朱里。戦っている恋と星。そして、見渡す限りの白装束。それは、彼女の精神を乱れさせるには十分すぎた。

 

「やぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 皆が思わず一瞬手を止めてしまうほどの絶叫。しかし、そこで終わらなかった。

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 叫びと同時に雪華の体から黒い影が飛び出し、ねねと一緒に雪華を包んでいく。

 

「わ、わっ! なんなのですかこれはぁあああああああああ…………」

 

 ねねの驚きの声を残して、二人は大きな黒い球になってしまった。

 

「ね、ねねっ! 雪華ぁああああああああああ!!!」

 

 その星の叫びは、彼女たちには届かなかった。

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はいどうもおはこんばんにゃにゃにゃちわ。作者の風猫です。

 

いやぁ、ついに次回。100を迎えるわけですが、ピンチです。このピンチがどうなるか、待て次回っ!

 

さて、適当に次回予告を済ませたところで最近の話をば。

 

最近なのですが、密林ぷらいむで「はめふら」を見たのですが……

 

感想としては「え、何この優しい世界……」でしたね。いやぁ、何か心が浄化されました。

 

しかも、2期が現在放送中ってことで久々にリアルタイムで追うかなと思いました。

 

でも、ふと思うんですよね。主人公結婚したらどうなるのだろうかあのグループ、と。

 

まぁ、それはそれであの主人公は何とか乗り切る気がしますがね。

 

それでは、今回はここいらで。何かしら誤字脱字がございましたら、コメントの方にお願いいたします。

 

ではでは!

 

 

説明
オリジナルキャラクターが蜀√に関わる話です。

大筋の話は本編とほぼ同じですが、そういったのがお嫌いな方はブラウザのバックボタンをお願いします。
































ちゃんとオリジナルの話もありますよ?(´・ω・)
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