三題噺でSSその1 |
「犯人はお前だっ!」
探偵の右手人差し指がモアイ顔の男に向けられる。
物語の舞台は、サスペンスドラマに在り来たりな旅館。
この旅館で、女優が縄状のもので首を絞めらるという残忍な殺人事件が起こった。
その名も【阿蘇山湯けむり事情、美人女優の裏の顔に潜む闇・そして光とはっ! しかしながら、温泉番組並のポロリなんてさせねぇぜ?】殺人事件という過去に類を見ない長さの事件である。
商店街の福引で偶然、旅館の宿泊券を引き当て、これもまた偶然、殺人事件に巻き込まれた探偵はモアイ顔の男を指差し、ご満悦な表情を浮かべる。
「探偵さんよぉ? 俺が彼女を殺せるわけ無いじゃないか? 凶器もまだ出てないんだぜ? 凶器は一体なんだよ?」
モアイ顔の男は探偵に指を指されて一瞬、顔色を変えたが、またモアイのごとく無表情に切り替える。
探偵は、モアイ顔の男に二枚の写真を見せる。それは殺された女優の首周辺と精魂尽きる前に書かれたと思われるダイイングメッセージの写真だった。
「この写真で映っている、ダイイングメッセージと思われる文字。”1+1=11”と普通見れば計算ミスのように思われますが、実はこれは”1+1=田”と書きたかったのですよ。よってこの中で”田”の付く人物は、田男苗(ただんなえ)さん、貴方しかいないんですよ。
あと、貴方だという証拠が、この絞殺部分の痣にもありました。」
探偵は首周辺の拡大写真を三枚目として、モアイ顔の田男に見せる。
「この痣に鱗のような模様が付いています。これはロープでは付かない。私はこの模様はなんなのかを調べました。そして、これがシッポナガリュウのソフビ人形の尻尾部分の模様と酷似していることがわかりましてね。田男さん、貴方、恐竜の人形を蒐集するのが趣味でしたよね? よって、貴方しか犯人はありえないということになる」
ズバリと言い述べる探偵に田男はペタリと座り込む。
「流石だよ、探偵さん。そうだよ、俺がやったんだ。あの女……恐竜の素晴らしさが分からないとかぬかしやがって、その時ふっと殺意がわいたんだ。俺の手で恐竜の恐ろしさを体に教えてやろうと思ってな? まさか、あんなに軽く絞めただけで死ぬなんて思わなかったんだ」
わなわなと震える田男を警察が二人ががりで連れて行く。
事件は無事解決した。
探偵は無事解決したのを見届けると、タオルと桶とアヒルさんを持って浴場へと歩き出す。
「当てずっぽで言ったら当たっちゃったなぁ……まぁいっか……」
人は彼を山勘探偵と呼ぶ。
終わり
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mixiにて掲載中のSS習作。 三題噺でSSを作っております。 その1のお題は ・計算ミス ・殺意 ・恐竜 |
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