恋姫英雄譚 鎮魂の修羅42
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炎蓮「おらああああああああああああ!!!!!」

 

葵「ずらあああああああああああああ!!!!!」

 

南海覇王と戦皇刀姫が連続でぶつかり合い、激しい暴風が吹き荒れる

 

祭「くっ、なんたる剣圧じゃ、近付けもせんとは!」

 

粋怜「大殿と馬騰が剣を交えるのを見るのは初めてじゃないけど、こんな事今までなかったわよ!」

 

雪蓮「なんだか、物凄い思念を感じない?」

 

冥琳「ああ、何というか、邪な動機が見え隠れするような・・・・・」

 

うすうす感じている者もいるようだ、この闘いが一人の男の奪い合いも兼ねていることを

 

炎蓮「くぅ〜〜〜〜、なんだこりゃ、前より功夫が上がってねぇか?」

 

葵「そういうお前は、前より腕が落ちてねぇか?」

 

炎蓮「ぬかせ、俺もな・・・・・前よりすこぶる調子がいいんだよ!!!」

 

葵「ぬおっ!!!!」

 

戦皇刀姫で南海覇王を防ぐも、数メートル吹っ飛ばされる

 

葵「ほおう、今のは今までお前とやりあった中で一番重たかったな、あの御遣いの治療を受けただけある♪」

 

炎蓮「お、とうとう露呈しやがったな、やっぱてめぇも一刀の世話になった身のようだな♪」

 

葵「その通りだ、詳しいことは言えんが、俺もあの御遣いの治療を受けた身だ♪」

 

炎蓮「大方、同盟締結の旅で涼州に立ち寄った一刀に治してもらったってとこか♪」

 

葵「当たらずとも遠からずと言ったところか」

 

炎蓮「あ、そりゃどういうこった?」

 

葵「言ったろう、詳しいことは言えんと」

 

炎蓮「・・・・・どうやらこの連合、思った以上に複雑なようだな」

 

葵「そらあっ!!!」

 

炎蓮「ぬうっ!!!」

 

今度は炎蓮が葵の攻撃を防ぐも、こちらも数メートル吹っ飛ばされる

 

葵「俺を相手に隙を見せてもいいのか?」

 

炎蓮「へっ、相当俺に真実に辿り着かせたくない様だな・・・・・ならてめぇの口を割らせるまでよ!!!!」

 

葵「やってみろ、こらああああああああああ!!!!」

 

蓮華「・・・・・これが、お母様と馬騰の闘い」

 

小蓮「シャオも強くはなりたいけど、こんな領域にまで入りたくないよ・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞「おりゃあああ!!!」

 

雅「だあああああ!!!」

 

巴「しっ、はぁっ!!!」

 

攻める、受け流す、攻める、受け流す

 

傍から見れば同じことの繰り返しに見えるが、当の本人達からしてみれば決してそうではない

 

同じことをしているかのように見えて、この攻防は精神面での消耗が激しかった

 

霞「くぅ〜〜〜、言うだけあるやないかい・・・・・」

 

雅「まさか我ら二人相手に、ここまで粘られるとはな・・・・・」

 

巴「私も、そろそろ手が痺れてきましたね・・・・・」

 

二人係であるのにいつまで経っても仕留められない焦り、二人を相手にしているだけあっていつ自分に攻撃が届くかもしれない焦り

 

力技で攻める霞と雅に対して、巴は八艘飛びや体を回転させるなどして、躱し受け流す

 

霞と雅は剛よく柔を断とうとする、巴は柔よく剛を制そうとする

 

この攻防は、剛と柔のせめぎ合いであった

 

雅「しかし、お主は守りの一手ではないか」

 

霞「せやな、少しは攻めて来たらどうや?」

 

巴「あなた方程の使い手を相手にして、そのような余裕などありませんよ」

 

霞「ちゅうことは、一対一ならどうとでもなるゆうことか?」

 

巴「さて、どうでしょう」

 

雅「・・・・・やはり掴み所がない」

 

霞「未だ底は見えんか・・・・・」

 

巴「はぁっっ!!!」

 

霞「うおっっとぉ!!!??」

 

雅「ぬおっ!!!??」

 

一瞬の隙を突き、巴は霞と雅に隼の様に突進し、二人の間をすり抜けながら一撃を見舞う

 

何とかその一撃を防ぐも、かなりの鋭い攻撃に手が痺れる

 

巴「油断は命取りですよ」

 

霞「〜〜〜〜〜っ・・・・・みたいやな」

 

雅「まるで一刀の様な動きだ・・・・・まさか貴様」

 

巴「ええ、私も氣には少々覚えがありまして」

 

見ると、彼女の履く靴には氣による淡い輝きが残っていた

 

霞「まさかあんたも一刀と同じ氣の使い手やなんてな」

 

巴「そうではありますが、一刀と同列に見ないでください、私には一刀のような器用さはありませんので」

 

雅「ということは、お主の氣は速さに重きを置いたものか」

 

巴「ええ、私に出来るのは精々一刀の縮地の真似事程度です」

 

霞「そうは言うけど、今のは一刀並みに速かったで」

 

巴「私にも武人の矜持はあります、これすらも一刀に劣っていたのではやってられません」

 

雅「掴み所がないとはいえ、お主も武人であったか・・・・・ならば!!」

 

霞「せやな、ここからは遠慮せえへんで!!」

 

巴「私も、自分の持てる全てをもってお相手しましょう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

傾「どうした防戦一方ではないか、曹孟徳の懐刀が聞いて呆れるぞ!!!」

 

春蘭「くっ、速い・・・・・」

 

間断なく襲い来る鞭を春蘭は躱すだけで精一杯であった

 

鞭の長さが短くなったこともそうであるが、鞭の結界の持続時間がとんでもなく長いのが厄介である

 

かつては、瑞姫の手を借りなければ出来なかった鞭の結界が自発的に出来るようになったこと、鞭の精度が倍加したことが大きい

 

ならば無理やり傾の懐に飛び込めばいいと思うが、それも何度も試みようとしては失敗していた

 

それは何故かというと、いざ懐に飛び込もうとすると鞭が必ず足に襲い来るからである

 

一発足に食らうだけでも足の俊敏性が損なわれ、狙い撃ちにされてしまうのだ

 

先ほどその一発を足に受けてしまっているため、俊敏性は既に損なわれてしまっている

 

かといって鞭を切り落とそうとすれば、また足を傷つけられてしまうため、回避に専念するしかなかった

 

傾「まさか余の体力切れを狙っているか!!?残念であったな、あと一刻は振るっていられるぞ!!」

 

秋蘭「な、一刻だと!!?」

 

彩香「あの運動量を一刻なんて、なんて体力ですか!!?」

 

華琳「そこまでやるか・・・・・なるほど、何進遂高、欲しいわね」

 

大将軍の力量を改め、何とか我が陣営に組み込めないか模索し始める

 

しかしこれは難しい、なにせ腐っても大将軍ならいざ知らず、腐っていない大将軍である

 

これだけの底力を見せつけられては、勧誘したところで乗ってくるとは思えない

 

なんとかして相手を納得させるだけの力を見せつけられないものかと考えていると

 

春蘭「ちいぃっ!!」

 

鞭の結界を嫌うように、春蘭が間合いを離した

 

傾「ふふん、もう怖気づいたか?・・・・・夏侯惇の名も地に落ちたものよな」

 

春蘭「・・・・・仕方ない、北郷に取っておきたかったが、止む無しか」

 

傾「あ?何を言って・・・・・っ!!?」

 

次の瞬間、春蘭の七星餓狼に闘気が集まっていき、紅く輝き始める

 

春蘭「どりゃあああああああ!!!」

 

七星餓狼を袈裟切りに振り下ろすと、闘気が傾に向かって飛来する

 

傾「な、速!!!??」

 

その余りの速度に反応しきれなかった

 

傾「・・・・・う、あ・・・・・ぁぁ・・・・・」

 

その闘気の斬撃は、傾の隣の地面を抉り抜いた

 

いきなり予想外の攻撃が来たため、傾はその場に棒立ちしていた

 

春蘭「ちっ、まだ照準が定まらないか・・・・・」

 

傾「くっ、この様な隠し玉を持っていたとはな・・・・・これは引くしかないか」

 

春蘭「待て、逃げるか!!?」

 

傾「勝てない戦と負け戦の違いくらい心得ておるわ、武人の力量は貴様の方が上、だから引くのだ」

 

彩香「秋蘭、何進を逃がしてはいけません!!」

 

秋蘭「はっ、ここで仕留めます!!」

 

曹の旗が誇る二人の弓使いが立ち去る大将軍の背中に狙いを定める

 

華琳「待ちなさい、彩香、秋蘭!!」

 

彩香「華琳!!?」

 

秋蘭「しかし、今仕留めねば・・・・・」

 

華琳「何進にこちらの力を見せつけることが出来た、それで良しとするわ・・・・・それにしても春蘭、さっきのは何だったの?」

 

春蘭「はい、北郷や凪を見て思い付きでやってみました」

 

秋蘭「あんなことが出来るなど、聞いていないぞ、姉者」

 

春蘭「つい最近出来るようになったばかりでな、次に北郷とやりあう時にまで取っておきたかったが、予想以上に出来るものだから使わざるを得なかった」

 

彩香「そうですか・・・・・しかし、本当にこれでよろしかったのですか、華琳」

 

華琳「構わないわ、あの何進もいずれ口説き落として見せるわ・・・・・それに・・・・・」

 

そのまま後ろを振り返る

 

沙和「凪ちゃん、凪ちゃん、しっかりしてなの〜!」

 

真桜「沙和、動かしたらあかんて!」

 

凪「うう・・・・・ううぅぅ・・・・・」

 

そこには血だらけで地面に寝そべっている凪の姿があった

 

華琳「凪、聞こえるかしら?」

 

凪「華琳様・・・・・も、申し訳ありま・・・・・」

 

華琳「謝らなくていいわ、この傷は貴方がこの二人を庇ったものだもの、誇っていいわ」

 

沙和「華琳様、凪ちゃんを一刀さんに治してもらうなの〜!」

 

真桜「せや、一刀はんの所に連れて行ってもいいですやろ!?」

 

華琳「・・・・・らしいけど、凪はどうしたいの?」

 

凪「いいえ・・・・・華琳様のお顔を汚すわけにはいきません・・・・・このままでよろしいです・・・・・」

 

沙和「でも凪ちゃん、このままじゃ死んじゃうの〜!」

 

凪「大丈夫・・・・・これくらいなら、放っておいても、治る・・・・・」

 

真桜「こんの強情っぱりが!!」

 

沙和「こんなの大丈夫なわけないの〜!!」

 

鞭打ちの刑というものがあるくらいに、鞭によるダメージというのは、想像以上に深いものである

 

基本、女性と51歳以上の男性には科すことは出来ず、回数は一般の男性は24回以内、少年の場合は10回以内とされている

 

1回打たれるだけでも失神する受刑者もいるため、回数を別けて執行されるのだ

 

今回凪が受けた回数は完全にその上限を超えている、痛みの余りショック死しても不思議ではない

 

華琳「本当に大丈夫なのね?」

 

凪「はい・・・・・暫く動けそうにありませんが・・・・・問題ありません・・・・・」

 

華琳「そう・・・・・なら二人共、凪が治るまで付いていなさい」

 

真桜「ったく凪、こんなん一刀はんなら一発で治してくれるんやで!」

 

沙和「死んじゃったら元も子もないの〜!」

 

桂花「沙和、真桜、凪がどれだけ華琳様の事を思っているか、考えなさい」

 

秋蘭「ああ、凪の思いを無駄にするな」

 

彩香「そこまで言うのであれば、一刻も早く二人で凪の傷を治してあげなさい」

 

沙和「・・・・・はいなの」

 

真桜「ウチ、医療は専門外なんやけどな・・・・・分かったで、やったるわ」

 

凪「すまん・・・・・沙和、真桜・・・・・」

 

その後、曹操軍は大将軍の部隊と睨みを利かせながらゆっくりと後退していったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鶸「やああああああ、せりゃあああああ!!!」

 

星「大分研ぎ澄まされてきたが、まだまだ甘い!!」

 

菖蒲「攻撃に重さが足りませんよ、蒼さん!!」

 

蒼「もう、これでも精一杯やってるつもりなんだけどな・・・・・」

 

この4人の闘いは、完全に稽古の範疇となっていた

 

しかし

 

翠「だらっしゃ!!!」

 

蒲公英「やああああああ!!!」

 

一刀「くっ、ちぃっ!!!」

 

こちらでは違った

 

翠と蒲公英は、お互いに背中合わせとなり其々の槍を交互に繰り出しながら一刀を攻め立てる

 

縮地で横に回り込むも

 

蒲公英「そこっ!!!」

 

一刀「くぅっ!!!」

 

薙ぎ払いで懐に潜り込めない

 

目が四つあるのと同じで死角がないため、こちらの動きを常に捉えられてしまう

 

長い槍を扱っているから動きにくいのではと思うが、この二人の息はピッタリである

 

背中から感じるお互いの動きが連動して決して槍同士がぶつからず、まるで槍の壁に阻まれているかのような感覚を覚える

 

一刀「(使うしかないか、回天丹田!)」

 

一日に一回使うことを麗羽と確約しているので、使うこと自体に躊躇いはない

 

しかし問題は、如何に相手を傷付けないかである

 

なにせ自分が上げられる氣の上限を突破してしまうのだから、加減が利かなくなるのだ

 

最悪相手を殺してしまうため、これまで回天丹田に頼らぬよう鍛錬だけは欠かさなかったのだ

 

一刀「(こうなったらこの二人に一切触れずに回避に専念するか)」

 

戦っている振りをしていれば誤魔化しは効くであろう

 

なにせ三分間しか使えないのだ、今はその短さに感謝しておくとする

 

二人から間合いを取り、氣のメーターを振り切らせる

 

一刀「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

白蓮「・・・・・一刀、とうとう使うか」

 

舞い散る白銀の羽に白蓮は憂鬱そうな溜息を零した

 

蒲公英「・・・・・凄い」

 

翠「こいつが、鶸と蒼が言っていた・・・・・」

 

一刀「ふぅ・・・・・これを使うと加減が利かなくなるから、注意しろよ」

 

翠「みたいだな・・・・・こりゃ気を抜いたらあっという間にやられちまうな」

 

蒲公英「どうしよう、正直勝てる気がしないんですけど・・・・・」

 

その圧倒的な氣の高まりに翠は銀閃を握り締め、蒲公英は白旗降伏寸前である

 

その時

 

ドドドドドドドドド!!!!!

 

一刀「うおっ!!!???」

 

無数の槍が降り注ぎ一刀の動きを封じてきた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音々音「あの御遣いを狙い撃ちにするのです、恋殿!!」

 

恋「ふっ!!!」

 

孫堅軍から一刀に狙いを変更し槍の様な矢を放ちまくる

 

どうやら、一刀が回天丹田を使ったらすぐさま標的を一刀一人に絞る手筈だった様だ

 

しかし、それをしてしまうと孫堅軍が遊撃隊となってしまうため

 

音々音「今です、銅鑼を鳴らすのです!!」

 

撤退の銅鑼を鳴らす他なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葵「おっと、時間が来たようだ」

 

炎蓮「おいおい、久しぶりに血湧き肉踊ってんだ、もうちょい付き合えや♪」

 

葵「嬉しい申し出だが、また今度だ、お前だけを相手にしてられないんでね」

 

炎蓮「一刀にだけあの矢が集中してやがるな・・・・・どうやらこの状況を見越してやがったか」

 

葵「ああ、あいつのことは色々と聞いているんでね」

 

炎蓮「やっぱ手の内は晒すもんじゃねぇな」

 

葵「同感だ・・・・・んじゃ、久方ぶりに楽しかったぜ♪」

 

炎蓮「おう、また殺り合おうぜ♪」

 

まるで強敵(とも)を送り出すかのように、炎蓮は葵の背中を黙って見送るのだった

 

祭「堅殿、大事ないか!!?」

 

炎蓮「慌てんじゃねぇ、多少打ち身をした程度だ」

 

粋怜「追わなくていいの?」

 

炎蓮「ああ、あいつとの決着はいずれ付ける、今はその時じゃねぇ」

 

雪蓮「決着を付ける気あるわけ?」

 

炎蓮「たりめぇだろうが、俺だって中途半端が一番気持ち悪ぃぜ、いつか必ず白黒はっきりつけてやるぜ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞「おっと、お呼びみたいやな」

 

雅「一刀が本気になったか」

 

巴「そのようですね・・・・・行っていただいて構いません」

 

霞「なんや、見逃してくれるちゅうんか?」

 

巴「ええ、こちらも追撃が出来るほどの余裕があるわけではありませんから」

 

雅「とうとうお主の底を見ることは無かったな」

 

霞「せやな、あんたの底、いつか見てみたいわ」

 

巴「私も、こんなにも疲れたのは久方ぶりでした・・・・・では、後ほど♪」

 

霞「ああ、次はさしでやりたいわ♪」

 

雅「決着を付けるまで死ぬでないぞ♪」

 

こちらでは、新たな強敵(とも)ができたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風鈴「楼杏さん、撤退の合図です!!」

 

楼杏「分かったわ・・・・・総員虎牢関に戻れ!!」

 

鈴々「待てなのだ、逃がさないのだ!!」

 

愛紗「逃がすと思ったか!!」

 

雛里「あわわ、愛紗さん、鈴々さん、深追いはいけません、これ以上兵を損耗させるわけにはいきません」

 

後ろを見てみると、敵味方問わず死屍累々の惨状であった

 

まだまだ戦いは続くというのに、風鈴一人にこれ以上の消耗戦は出来ない

 

愛紗「分かった、流石にこれ以上は無理だな・・・・・」

 

鈴々「ううぅ〜〜、悔しいのだ、あと少しでお姉ちゃんの先生を捕まえられたのに・・・・・」

 

愛紗と鈴々の強さは、この広い大陸でも十本の指に入る

 

その二人が揃って突貫を仕掛けても風鈴には届かなかった

 

なにせ風鈴と楼杏の兵士ときたら、その身を省みず肉の壁となって立ち塞がって来たのだ

 

おかげで斬っても斬っても前に進めず、いたずらに兵力を消耗するだけの結果となってしまった

 

朱里「申し訳ありません桃香様、盧植さんを取り逃がしてしまいました・・・・・」

 

桃香「ううん、私がお願いしたんだもの、私の責任だよ・・・・・それにしても、どうして向こうの人達はあんなにも必死なんだろう・・・・・」

 

愛紗「ええ、とても暴君に仕える者達とは思えない働きぶりです・・・・・」

 

鈴々「うん、兵士の一人一人に譲れない意地を見たのだ・・・・・」

 

雛里「・・・・・とにかく、隊の再編をしなければなりません」

 

桃香「そうだ、向こうの兵士の人も連れて行かなきゃ!」

 

朱里「桃香様、それは不可能かと存じます、今回の戦闘で我が軍は半壊したも同然です・・・・・」

 

雛里「はい、味方の手当だけで精一杯です・・・・・」

 

この大混戦で、劉備軍の兵力は半分にまで激減してしまった、これでは敵の兵まで面倒を見る余裕などない

 

桃香「それじゃあ、一刀さんに・・・・・」

 

一刀の方を見てみるとまだ戦闘継続中で、こちらで治療に専念してもらえそうになかった

 

愛紗「とにかく、味方を優先しなければなりません」

 

鈴々「そうなのだ、敵の事は後から考えるのだ」

 

桃香「・・・・・うん、分かったよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ぐっ!!うおおっ!!?・・・・・・なんだこれは、どうやって撃ってきているんだ!!?」

 

間断なく連続で飛来する槍の様な矢に、一刀は躱すだけで精一杯であった

 

かなりの威力と速度があり、氣の壁を張っても貫かれてしまう

 

精々受け流すことしか出来なかった

 

菖蒲「一刀様!!?」

 

星「これは標的を一刀殿にだけ絞っている様だな!!?」

 

白蓮「一刀、一旦下がれ!!盾の中に入るんだ!!」

 

一刀「くっ!・・・・・分かった!!」

 

そして、飛来する矢を嫌い一刀は北郷隊の中に身を隠した

 

翠「・・・・・どうやら、ここまでのようだな」

 

蒲公英「ごめんなさい、御遣いさん・・・・・鶸ちゃん、蒼ちゃん、退くよ!!」

 

鶸「分かりました!!」

 

蒼「了解、蒲公英様!!・・・・・一刀さん、皆、本当にごめんね、いつかちゃんとお礼をするから!!」

 

そして、馬四姉妹は虎牢関へ撤退していった

 

一刀「・・・・・助かった、白蓮」

 

白蓮「いや、いくら一刀でもあんな援護射撃があっちゃあまともに戦えないさ」

 

星「まるで一刀殿の動きを読むかのように正確に飛来してきましたな・・・・・いい仕事をするものだ」

 

菖蒲「一刀様が回天丹田を使った途端に撃ってきましたね・・・・・完全に狙い澄ましてます」

 

白蓮「麗羽に言っとかないとな、一刀が回天丹田を使うのはかえって危険だって・・・・・」

 

一刀「・・・・・それより、負傷者の治療をしないと」

 

菖蒲「一刀様、大丈夫ですか!?」

 

星「回天丹田を使った直後ですぞ、消耗しているでしょうに!?」

 

一刀「大丈夫だ・・・・・確かに消耗はしているけど、五斗米道を使う分には支障はない・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一番の被害を受けた劉備軍に急ぐが、やはり回天丹田を使った直後なだけあって消耗は激しかった

 

全快であれば三千人を癒せるが、残りの氣では二千とちょっとしか治療を施せず、敵味方問わず大勢の兵士がこの場で息絶えてしまったのだった

説明
気鬱の修羅 参
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コメント
近接戦闘だからこそ付け入る隙もあるだろうに、射撃戦で恋を投入されたら接近出来ませんね……そろそろ、勘の良い人は勘付き始めているようで。(Jack Tlam)
更新ありがとうございます(‐人‐)(恋姫大好き)
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