紙の月27話
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 3人の少年が無機質な廊下を進んでいくと、一際大きな扉が現れた。この扉の奥が太陽都市の中枢……環境維持AI『ヴァリス』がいる。

「止まるんだ」

 デーキスが扉に近づくと、聞き覚えのある声が響いた。前に会った時のヴァリスと同じ声だ。

「この部屋には私の許可がなければ入れない」

「やあ、ヴァリス。僕はその、話をしに来たんだ」

「ならば、そこから話してくれ。私には十分聞こえている」

 慎重に言葉を考える。ヴァリスは他の誰よりもこの太陽都市の事を考えている。だからこそ、彼には嘘偽りなくこちらの思いを伝えなければならない。

「君も知っているだろうけど、今太陽都市はとても大変な状況だ。アンチたちがいろんな場所で暴れていて、たくさんの人が傷ついている」

「ああ」

「それに、超能力者のリーダーであるフライシュハッカーは太陽都市そのものを破壊しようとも考えている。僕たちだけでは力不足で、それを止めることができない。だから、君の力を貸してほしいんだ」

「それは、命令か?」

「ううん、これはただの頼み事だよ。もし、君が力を貸してくれなくても、僕たちは自分たちで出来ることをするだけ」

 ウォルターとアラナルドは固唾を飲んで見守っている。

「前に会ったとき話したが、私には太陽都市の居住区域に対して干渉する権限はない。これは他でもない太陽都市の市民たちが決めたことだ」

 ウォルターが我慢しきれず口を出そうとするが、アラナルドに制されてなんとか堪えた。

「分かった……それなら僕たちだけで行くよ」

 話は終わった。それでも、悲しんでいる時間はない。フライシュハッカーを止めることだけでもしなければならないから。

「それが命令であれば私にはできないと答えるしかない……だが、君は私の自由意思を尊重してくれた」

 去ろうとしていたデーキスたちにヴァリスが答える。

「私は君たちの友として、その頼み事を手伝おう」

「それって……」

「人的被害を収めるため、生産エリアの警備ロボットを居住エリアに送り、市民の保護、救助に務めよう」

「ありがとうヴァリス!」

「礼はいらない。本来はこれこそが、前市長が私に求めていたことだったのだろう。人と機械の融和……君たちを手伝い、フェリオ・カーボン氏の理想を私も叶えるために」

 デーキスたちは歓喜の声を上げる。ヴァリスが力を貸してくれるなら太陽都市の安全は心配ない。これでフライシュハッカーを止めることに専念できる。

「フライシュハッカーはこの建物の上層にある執政室にいる。彼にこの都市を破壊させないでくれ」

説明
ようやくヴァリスと再会できたデーキスたち。彼の力を借りるために対話を試みる
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超能力 少年 小説 オリジナル SF 

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