※グロ表現注意 エルドグラン戦記 第5話 魔女の城
説明
シュヴァルツェン連合王国。その首都にある古城…
廃棄され、現在は誰も住んでいないその城は。

別名「魔女の住まう城」…


「ぎゃああああああ!!!」

薄暗い古城内に、城壁を貫くかのように…悲鳴が響き渡った。

…そこには、壁に鎖で繋がれ、身動きを封じられている男の姿がある。
そして男の″左足″は、切断されていた。

「…″王権派″の可愛い坊や…

あなたの左足を切ったのは、ただの挨拶代わりよ…」

鎖に繋がれている男に、声をかける老婆の姿がある。
車椅子に乗ったその老齢の女性も…
男と同様に「左足」が無かった。

「…ふふ……

王権派の放った砲弾によって、私は左足を失くしたわ…

だから貴方達にも、同じ思いをしてもらわなくちゃ、ね…」

鉈を手にしながら。紅い瞳をぎらつかせ、怪しく嗤うその女は…
シュヴァルツェン連合王国の内務大臣、インガ・ガングーラだ。

「ぐ…うぅ……
貴様……インガ・ガングーラ…か…

ギーシュ国王支持者の集まり…
″王権派″のメンバーを捕まえては、片足を切り落とす…″魔女″め……」

男は痛みに悶えながらも…ガングーラを睨みつける。

ガングーラ「あらぁ、″魔女″だなんて心外だわぁ…
元はといえば、あなた達″王権派″が悪いのよ。
ギーシュ国王の解放を、求めたりなんかするから…」

「こ、国王陛下は…この国の象徴そのものだ…
お前たち″議会″の人間が…国王を幽閉し…その自由を抑圧するなど…
許されることではない……

ましてや……
国王の王位継承者が謎の事故死を遂げているのも…
お前の仕業だろう、ガングーラ……」

ガングーラ「国王の嫡子を殺したのは事実だけれど…
確かにあれは、シルバーブラッドの意思というより。私が独断でしたこと…

だって″王家″なんてものは、もはやこの国では不要。
その血は根絶やしにするべきよ…

かつてこの国では王室が絶対的権力を握っていた。故に王室の権威は、議会の絶対支配を揺るがす。
…貴方達のような過激な″王権派″という勢力を、生み出すくらいですものね……」

ガングーラは言いながら、おもむろに…
とある袋を取り出す。
…その袋の中に、入っていたもの…

「な、何だそれは……」

ガングーラ「これはねぇ…″塩″よ。

シュヴァルツェン東貿易社ってご存知かしら?
海運王″バーンスタイン″が率いる、我が国随一の貿易社…
その貿易社が専売件を持つ、東洋の″アケノイア″という国からもたらされた、上質の塩よ…」

「そ、それで何をするつもりだ…」

ガングーラ「…拷問はまだまだ始まったばかり。
この塩はね…″傷口″によーく効くのよ…

…あなたは贅沢者ねぇ。
こんな上質な塩を、その身に受けることが出来るのよ…

…さあ坊や。″王権派″のリーダーが、どこに潜んでいるのか…
その場所を教えて頂戴な」

「誰が喋るものか…!」

強情に、口をつぐもうとする王権派の男。

ガングーラ「…あらぁ、いいのよ。
″塩″を傷口に塗りたくるのって、結構楽しいからね…
あなたが死んでも、また別のあなたの仲間に…
同じことを、するだけだからねぇ…」

「魔女の城」では、今日も男の悲鳴が響き渡る。

趣味と実益を兼ねる…とはよく言うが。


仕事を楽しむことこそが、長生きの秘訣である。
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