真・恋姫†無双 時空を超えた刺客 破滅の未来と絡繰人間 |
決死の覚悟を持った未来の真桜の作戦により、龍天の完全防御を切り崩した
そこへ再び一刀が舞い降りたが、誰もが想像していなかった緊急事態が発生
それは、かつての強敵
魔人・響窃(きょせつ)が復活した!!?
八節 〜災厄!!!復讐の魔人・響窃〜
一刀(響窃)「ようやくかよっ!!!あんだけ殺し合ったってのによっ!!!」
口調が響窃の物であるが、一刀の声が辺りに響き渡る
強烈な『邪闇気』が周辺を支配する
左慈「チッ!!!最悪の展開だぞっ!!!」
即座に戦闘態勢に移る管理者
響窃といえば、大陸や管理者達を窮地に追いやった戦闘種族・魔人の一人
管理者達へ復讐するために無作為に暴れまわったことから『復讐の魔人』と呼ばれていた
華琳「何故、生きているの……?」
雪蓮「確かに、あんたは一刀が倒したはず………」
全員が目の前の現実を受け入れられず、困惑しながら得物を構える
一刀(響窃)「そんな怖い顔で見るなよ?お互い仲良くしようぜ?」
響窃は不気味な笑みを浮かべ、右手を差し出しニヤニヤと笑う
龍天「なんだ?コイツは北郷一刀なのか………?」
龍天は一刀の変化に首を傾げる
愛紗「何を戯れ言を………!!!響窃っ!!!ご主人様から出ていけっ!!!」
愛紗は覇気を纏った怒声で、響窃を威圧する
一刀(響窃)「あぁ〜?」
響窃は愛紗の覇気にもものともせず、適当な返答をする
全員が響窃を睨み付け、殺気を放つ
前門の虎に中る絡繰人間の王・龍天
後門の狼に中る復讐の魔人・響窃
左慈の言う通り最悪の展開
一刀(響窃)「……………」
響窃は頭を掻きながら頭を下げる
一刀(響窃)「…………はあぁ〜…」
そして、盛大なため息をつく
一刀(響窃)「ったくよ〜、言ってねぇのかよ………」
響窃はボソッと独り言を言う
愛紗「なに?」
一刀(響窃)「今、時間やるから説明しろ」
響窃がそう言うと、一刀の瞳から禍禍しさが消え始め、完全に一刀の瞳の色に戻った
すると
一刀「悪い悪い、説明する暇がなかったからさ」
元の一刀に戻った
愛紗「ご、ご主人様っ!!?」
雪蓮「一刀に戻ったっ!!?」
華琳「何がどうなってるの………?」
全員が混乱し始めた
突如、現れた響窃かと思えば、直ぐ様、一刀に戻る
最早、訳が分からない
一刀「ごめん、皆………説明しないとね」
一刀が右を向くと、赤紫色の霧が現れ、みるみるうちに響窃の姿へと変貌する
しかも、前に戦った頃の響窃ではなく、明らかに若い
一刀「紹介するよ………って言っても皆知ってるけど」
そして、一刀から爆弾発言が放たれる
一刀「俺の従者、響窃だ」
愛紗「…………は?」
桃香「えぇーーーっ!!?」
蓮華「じゅ、従者っ!!?」
従者とは、簡潔に言えば付き人のこと
主に対してお世話をするような人物を指すのだが
左慈「おい北郷っ!!!気は確かかっ!!?そいつはあの魔人だぞっ!!?」
華琳「一時、私達を滅ぼそうとまでした者なのよっ!!?
それを、しかも従者ですってっ!!?」
全員が声を荒げる
一刀「まぁ、当たり前の反応だよなぁ………」
一刀は頬を掻いて苦笑いをする
于吉「それは当たり前ですよ、北郷さん
申し訳ありませんが、相手が相手なので信用する方が難しいかと………」
流石の于吉も難色を示す
それはそうだ
殺し合いまでした敵を仲間、あろうことか王である一刀の従者にするとまで言い出したのだから
反感を買って当然である
左慈「コイツは戦闘種族の魔人っ!!!いつ、寝首を掻かれるか分からねぇんだぞっ!!?」
響窃「まぁ、疑われても仕方ねぇよなぁ……ククク」
響窃は腕を組ながら、含み笑いをして茶を濁す
愛紗「何が可笑しいっ!!?貴様っ!!!他人事だと思っているのかっ!!!」
愛紗は響窃の態度が気に入らなく、怒声を浴びせる
響窃「そう怒鳴るなよ、耳がキンキンして仕方ねぇ………」
響窃は右耳に小指を入れて五月蠅いアピールをする
一刀「まぁまぁ皆………まずは話を聞いて貰えないかい?」
戦闘の真っ只中でるにも関わらず、一刀は皆を制して話始めた
一刀「まず、響窃がどうなったか………改めて話そうと思うんだけど…」
一刀がそこまで言うと凪が返答する
凪「確か、隊長の手で倒した後、魂は宝玉化して『天木』の根元に埋葬されたのでしたよね?」
一刀「そう、そこまでは皆が周知の事実だよね?」
全員が頷く
一刀「で、だ……………」
………………
……………………………
…………………………………………
絡繰人間が襲来する数日前
一刀が寝室で寝ていると、脳裏に響窃の声が響き渡った
響窃「おい、北郷………」
一刀「う……ん……………むにゃ」
響窃「おい、聞こえてんのか?」
一刀「うん……?誰だ?」
一刀の意識は朧気に返答する
響窃「よぉ、お目覚め………いや、夢覚めか?」
一刀「………んん?響窃………?」
一刀は寝ているが、意識の中で響窃と会話していた
一刀「響窃っ!!?何で………」
響窃の声をはっきりと聞くと、一刀は驚く
響窃「俺も驚いてんだ
魔人はくたばったら転生するらしいんだが、どうも魂はまだこの世界に存在しているらしい……」
一刀「それで、何でまた俺の夢に?」
響窃「これはあくまで仮説の域だが、恐らくてめぇの身体に俺の『存在能力』を流し込み過ぎたんじゃねぇかと思う」
一刀「どういう事だ?」
一刀は腕を組んで首を傾げる
響窃「『存在能力』は云わば、俺の存在を証明する力………
今現在、『存在能力』により半魔人状態になっている北郷一刀は半分は魔人である響窃の存在でもある可能性がある」
一刀「つまり………俺が生きている限り、響窃は完全に消滅することはない………ってことか?」
響窃「恐らくな………
だから、お前に判断を委ねてぇ」
響窃は一刀を正面が見据えて真剣に話す
響窃「選択肢は2つ
1つは俺の存在を否定すること……手段としては宝玉を粉砕して火葬するとかだな
『存在能力』は残り続けるが、響窃という魔人は完全に葬られることになる」
一刀「……………2つ目は?」
響窃「2つ目は俺の存在を認め、てめぇの身体1つに2人分の人格を共存させること」
一刀「二重人格になるのか?それとも、また乗っ取られるのか?」
一刀は恐る恐る聞く
響窃「いや、どちらでもない
基本的な人格や存在は当たり前だが北郷一刀だ
俺は………俺がこの現世に居続ける為に、お前の身体を依り代にするってことだ
悪く言えば寄生かね?但し、命や生活には何の影響もない」
一刀「………………」
一刀は腕を組んで、考え込む
まだ、理解しきれていないようだ
一刀「………つまり、俺が死ねば響窃も死ぬってことか?」
響窃「そう言うこった………まぁ、従者って言っても過言じゃねぇ
っても、戦闘以外何もできやしねぇがな、ケケケっ!!!」
響窃は歯を見せながらケタケタと嗤う
一刀「う〜ん………」
一刀は悩み、考え出す
響窃「まぁ、直ぐに答えを出す必要はねぇ………ゆっくり考えな
それに、今の俺にてめぇを乗っ取る程の力はねぇ……逆はあるがな」
一刀「逆?」
響窃「魔人の力を全て引き出せる
さっきも言った通り、今のてめぇは半魔人………
だが、魔人・響窃の力が完全に宿り復活すれば、魔人本来の力を100%引き出せる……悪い話じゃねぇはずだ」
一刀「むぅ〜〜…………」
一刀は尚更、考え込む
響窃「ま、焦らず考えな……いい答えを期待してるぜ?
その時になったら、心の中で俺を呼べ………他の連中に知られたら面倒だからな」
一刀「皆にも相談したい………」
一刀は弱々しく声を漏らすが、響窃は首を横に振る
響窃「んなもん、全員却下するに決まってんだろうが
殺し合いまでしてた関係だぞ?」
一刀「そうだけどさ………」
一刀も食い下がるが、響窃はNOの一点ばり
響窃「駄目だ、自分の身体の事だ
自分で答えを持て、いいな?」
一刀「………わかったよ」
一刀は渋々、頷く
響窃「そんじゃ、頼むぜ?『‘天の御遣い’』…………」
その直後、一刀の意識と響窃の存在は消え、再び深い眠りについた
その後、一刀は1人で考えていた
魔人・響窃の復活
デメリットはなく、メリットしかない美味しい話
だが、やはり管理者や大陸の猛者達との人間関係に目がいってしまう
一刀「どうしたものかな………」
話の内容上、誰にも相談しにくい、若しくは出来ないもののため、答えを出すのは一刀自身
一刀「悩ましいなぁ…………
けど、直ぐには答えを出さなくていいって言ってたから、もう少し考えさせてもらおうかな」
……………
……………………………
………………………………………
ところが、その直後に絡繰人間の襲撃が開始され、それどころではなくなってしまった
完全に一刀の頭から消えかけた時、未来への奇襲作戦が実行されることになった
その時に、ふと一刀は響窃を思い出す
そして、各々が『時空転送装置』の部品を集め出し始めたタイミングで、一刀は単身で城へ帰還
一刀「響窃っ!!!いるかっ!!?」
一刀は『天木』の根元で響窃を声に出して呼ぶ
すると、霧状のモヤが現れ、響窃の姿へと変貌する
響窃「いるけどよ、声に出して呼ぶなよ………ややこしくなるだろ」
眠そうな、それでいて迷惑そうに目を細めて響窃は言う
一刀「そんな細かいことはいいからっ!!!」
焦る一刀に響窃は落ち着いて聞く
響窃「…………覚悟は出来たか?」
一刀「あぁ……認めるよ………響窃、お前の存在を肯定する
だから、俺に力を貸してくれ」
一刀の返答に響窃は歪んだ笑みを浮かべる
響窃「ケケケっ!!!その返事を期待していたぜぇっ!!!」
カアァァァァァァッ!!!
瞬間、響窃の身体から高濃度且つ大量の『邪闇気』が溢れ出る
響窃「晴れて俺は今からてめぇの従者だ
宜しく頼むぜ?北郷一刀………」
響窃は嗤ったまま、右手を差し出す
一刀「………あぁ、此方こそ頼む」
一刀も右手を差し出し、互いに握手をする
霧状の響窃の肉体は既に実態を持っていた
響窃「さて、時間もねぇようだからとっとと戻った方がいいぜ?」
一刀「それはそうだが、お前はどうすんだ?」
一刀の素朴な疑問に響窃は
響窃「なぁに、お前の身体ん中で一眠りさせてもらうよ
他の連中には適当に説明しとけよ?話がややこしくなるからな」
一刀「眠るって………随分呑気だなぁ………
まぁ、説明はしておくよ」
一刀は頭を掻きながら返事をする
響窃「そんじゃ、出番になったら呼んでくれや………一刀」
一刀「はいよ………」
すると、響窃は再び霧状になり、一刀を覆うと消えてなくなった
その場にいるのは一刀のみとなった
一刀「……本当に俺の体内にいるのかなぁ?」
一刀はボソッと呟くと
響窃『いるって言ってるだろ?』
脳内に響窃の声が響き渡る
一刀「おぉお?何か変な感じ………」
思わず一刀は変な声をあげる
響窃『あ、それと』
一刀「何だ?」
響窃『俺を呼ぶ時は、少しの間でいいから【邪闇気】を放出してくれ
少々、身体に負担がかかるがな』
一刀「『邪闇気』を?何でまた?」
一刀は移動しながら聞き返す
響窃『霧状で戦う訳にはいかねぇだろ?
具現化するには少しの切欠がいるんだ』
一刀「まぁ、了解」
一刀は頷くと、足早に成都を後にした
………………
………………………
…………………………………
響窃「とまぁ、そんなこんなで復活したんだが………結局説明してなかったってことだな」
一刀「言う機会がなくて…………」
一刀はバツが悪そうに答える
冥琳「そんな裏事情があったのか…………」
冥琳は目を見開いて驚く
華琳「だとしてもよ?説明してもらわないと困るわよ、一刀
そんな重要事項を今の今まで黙ってるなんて」
華琳は厳しく咎める
雪蓮「そう言えば、確かに未来に来る前に、なんか言い渋っていたもんね」
雪蓮は思い出したかのように言う
一刀「あれが、響窃の事だったんだよね………」
左慈「ったく………お前という奴は………」
左慈は右手で顔を隠し、怒りを通り越して呆れてしまう
于吉「事が起きてしまったのであれば、致し方ないですね」
蓮華「…………はぁ、全くもぅ……」
全員は溜息をつく
一刀「あはは…………ゴメンナサイ」
一刀は苦笑い後に頭を下げるしかなかった
一刀「だとしても、俺の奥の手………切り札は復活した『復讐の魔人』だ
この戦況をひっくり返す程の可能性は十分にある」
一刀は表情を変え、龍天を見る
龍天「………嘆かわしい奴らめ
1人増えたところで、何も変わらん」
蚊帳の外となっていた龍天は少々、苛つきながら答える
響窃「おーおー?随分な言い草じゃねーかよ」
響窃は一刀の隣に立ち、龍天を威圧する
雪蓮「………分かったわ、響窃でも何でも龍天を倒せれば」
華琳「全てが終わってから考えましょう」
愛紗「そうですね」
愛紗は『青龍偃月刀』を握りしめ、響窃を見る
愛紗「だがな響窃っ!!!貴様が少しでも妙な動きをしたら即刻斬るっ!!!」
響窃「勝手にどうぞ、俺はもう………」
響窃は少し間をあけて
響窃「一刀の下についたんでなぁっ!!!」
カアァァァァァァッ!!!
強烈な『邪闇気』を放出する
それは、龍天以外のその場にいる者を絶句させてしまう程の凶暴な『邪闇気』
卑弥呼「っ………これは」
貂蝉「全盛期の響窃ちゃん以上ねん」
左慈「確かに………あの背格好や年齢………間違いなく全盛期の頃の奴だ」
于吉「これならば、ひょっとしたら………」
管理者達も思わず、たじろいでしまう
響窃「よっし、準備万端だ」
響窃は龍天を見据える
龍天「魔人と人間が、絡繰人間の王を超える事など出来やしない」
一刀「さぁて………それはどうかな?」
ギュオォォォォッ!!!
一刀も響窃の隣で気を溜め込む
響窃「ほんじゃあ、見せてやるか………!!!」
響窃は再び霧状になり、天高く舞い上がると
響窃「覚悟決めなっ!!!一刀っ!!!」
一刀「おうよっ!!!」
勢いよく一刀を覆った
すると、一刀から眩しい閃光が放たれる
龍天「む?」
蓮華「ま、眩しいっ!!!」
紫苑「っ!!?」
左慈「何だぁっ!!?」
全員が眩い光に目を覆い隠す
…………
……………………
十数秒後、一刀からの光が治まる
霞「一体、何が起こった……んや…………?」
光が止み、目を開け一刀を見た霞は絶句する
霞だけではなく、全員が混乱する
流琉「に、兄様?」
思春「………何だ?あの姿は?」
そこに居たのは、主に紫色をした和服、もとい甚兵衛のような服装をした一刀が立っていた
だが、瞳の色が左右異なっている
俗にいうオッドアイというやつだ
右目は本来の一刀の茶色に近い色だが、左目は響窃の色である血のような紅色
一刀&響窃「「よっしゃあっ!!!」」
カアァァァァァァッ!!!
一刀の声に響窃の声が被って聞こえるが、その場には一刀しかいない
一刀の身体から大量且つ純粋な『邪闇気』が放出される
響窃の『邪闇気』と明らかに違うのが、禍々しさが一切なく、寧ろ温かさを感じられる程
貂蝉「ど、どうなってるのん?」
卑弥呼「まさか、合体したのかっ!!?」
卑弥呼が目を見開き、声を荒げる
一刀&響窃「「厳密に言うと、北郷一刀の身体を依代に響窃が覆い被さったような状態だ
更に言えば、俺は北郷一刀でも響窃でもない……また別の存在だ」」
2人の声が辺りを支配する
龍天「………ならば、貴様は一体何者だ?」
龍天は睨みつけながら、絞り出すように問いかける
一刀&響窃「「ってもなぁ………」」
困ったように頭を掻きながら一刀と響窃の融合体は苦笑い俯く
一刀&響窃「「俺っていう存在は、たった今、誕生したばっかだからなぁ………何者かって言われるとな」」
少々、悩んだ末に発した言葉が
一刀&響窃「「『‘天の御遣い’』・北郷一刀と、『復讐の魔人』・響窃の融合体………」」
新たな戦士の誕生となった
一刀&響窃「「安直な名前だが、俺の名前は『一窃(かせつ)』!!!『真の聖なる魔人』だ!!!」」
……終……
説明 | ||
未来の真桜の活躍により、龍天の前に一刀が再び立ちはだかる 窮地を脱するため、一刀は秘策を決行する その結果は予想を上回るものだった………!!! |
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