DESTINY OR FATE-運命の輪 第十三話第十四話 |
(お兄ちゃんが危ない!!)
一人偵察に出ていたヒスイに、ハインの追手が迫っていることを察知したヒエンは、双子の兄妹が住処にしていた洞窟を抜け出し、彼のもとへ駆け出した。
「お兄ちゃん!!」
幾重にも連なり今にも覆いかぶさってきそうな深い森の木々の藪やツタをおいのけてきた、そんなヒエンの目に次の瞬間、ハインの大勢の刺客達に取り囲まれ命を狙われる、兄の姿が飛び込んできた。強堅な武器を持ち殺気に溢れる男たちに、四方から囲まれたヒスイ。しかし彼のその卓越した身体能力をもってすれば、なんとかこの修羅場から脱出することも決して不可能ではない。だがこの時彼の脳裏には、ある"駆け引き"を持ちかけると仮定する考えがよぎったのだった。
自分の命と引き換えにハインにヒエンを引き渡せば、少なくとも彼女の行く末は安泰ではないか........?その考えは刺客の一人が、彼の身体を貫こうと勢いよく放たれた長槍を回避するシナリオを、完全に失わせたのであった。
(ヒエン.........どうかいつまでも幸せで......。)
「お兄ちゃん!!」
ヒエンは兄を穿たんと差し迫る長槍の前に出て、ヒスイの盾になろうとした。
長槍の鋭い切っ先が、彼女の華奢な身体を貫くその刹那の寸前にヒスイは彼女を抱き寄せ、切っ先をかわすのと同時に、刺客達の合間を目にも止まらぬ速さで逃げ去っていった。
第十四話
やっとのことで追手を振り切り、安全なところまで逃げ延びた双子の兄妹。
「お兄ちゃん何で、どうして死を選ぶの!?」
いつも兄を見てきたヒエンには、兄の不可解な行動の意味が分かっていたのだ。とうとうここにきて、彼女の心に押さえつけてきたものが、決壊したダムの水の如く溢れだしたのだった。
「ねえ、どうして? 私は、私はお兄ちゃんと一緒にいられるなら、お兄ちゃんを愛し続けることができるなら、どんな生き方だってどんな生活だってかまわない、なのにお兄ちゃんは......どうして私の心からいつも逃げるの? どうして私と生きること選んでくれないの? どうして、どうして......私から離れていこうとするの..........!?」
自分の願いと向き合ってくれず、ただ死に逃げようとする兄を、彼を深く愛するほどに彼女は許せなかった。一方彼は、愛するほど大切に思うほどに、この妹に真意を打ち明けられず、求めるほどにその気持ちと相反し、彼女をこの先も守り抜いていく自信の無さが情けないほどに、彼自身をひどく苛んでいるのだった。大事にしすぎて何もできないでいる、不幸なことにその優しさが彼女にとって、あまりにも残酷な状況をもたらしていた。
(君たちはずっと共にはいられない............。)
かつて死神が予見した未来、運命がこんなにも辛いものであるなんて............。
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ブログにてDESTINY OR FATE-運命の輪 最終話をアップしました。 フルムーンと申します。 オリジナルの小説(漫画小説)をブログにて公開してます。 小説と、挿し絵 (漫画)を投稿いたします。今後はラブストーリーや様々なジャンルを創作していきますので、ぜひ、見にきてくださいね(*^^*) ブログでは一番早く新作をアップします。↓↓ https://fullmoon-allfree-novelandcomics.com/ 現在公開中の漫画小説ーDESTINY OR FATE-運命の輪 こちらの関連画像を投稿していきます。 漫画小説ーDESTINY OR FATE-運命の輪 あらすじ↓↓↓ 双子の兄妹ヒエンとヒスイは生まれながらにして、人並外れた特殊な能力を有していたため、故郷の人々から忌み嫌われ命の危険にさらされていた。 ある日妹のヒエンを守るため、故郷の人々から放たれた憎しみの矢がヒスイの胸に突き刺さり生死の境をさまようことになる。 そんなとき死神が現れて、兄を必死に助けたいと願うヒエンに、死神が彼女につきつけた条件とは? 双子の兄であるがゆえにどんなに愛しても、愛するほどに拒まれて、求めるほどに遠くなっていく。それでもヒエンは双子の兄ヒスイを、何が何でも愛することも、抱きしめ続けることも決してあきらめない。 数奇な双子の切ないラブストーリー。運命の輪の終着駅は何処に!? |
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運命 ,ファンタジー ラブストーリー,死神,小説,恋愛,男の子,オリジナル,双子 | ||
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