そのアブソーバーの声と共に13枚全てのカードがブレイドの体のいたるところに張り付いて融合し、ブレイドはキングフォームへと変化した。

そして重醒剣キングラウザーが現れた。

「なんだありゃ！？」

「姿が変わっちゃったよ！」

ブレイドを知っていた馬超たちでさえ、ブレイドのキングフォームへの変身には驚きを隠せないでいた。

（このフォームでの長時間戦闘は……無理だな）

一刀はキングフォームの力に体を慣らすため、アブソーバーを手に入れてから2、3回ほどキングフォームに変身した事がある。

しかしキングフォームの恐ろしいところは酷使しすぎると自身が怪人、アンデットへとなり人間でなくなってしまうのだ。

一刀は一気に勝負を決めるように、5枚のカードを取り出す。それらをキングラウザーに挿入した。

「スペード１０、ジャック、クイーン、キング、エース」「ロイヤルストレートフラッシュ」

キングラウザーの音声が終えると共に一刀の前には挿入したカード5枚が壁のように現れる。

「何をする気だ？」

甘寧が一刀の行動と突然現れたカードの壁で不審がる。

「お前達！」

一刀が向かってくる兵達に叫ぶ。

「死にたくなかったら、俺の直線状から離れろ！」

一刀の凄みのある言葉に兵達は一刀の言うとおりに一刀の直線状から離れた。

「ウェエエエエエエエエエエイ！！！！！」

キングラウザーから放たれた光線は5枚のカードの壁を貫き、そのまままっすぐに地走りのように進んだ。

その光線そのものの衝撃がすさまじく直線状にはいないが、光線の周辺にいた兵達やそこから離れていたはずの兵達が空を舞うように飛ばされていった。

「あんなもん喰らったら……」

「まずい！」

馬超や甘寧、補佐としていた馬岱と周泰が急いで光線から離れようとする。

四人は何とか光線の直撃は避けたが、それでも兵達のように吹き飛ばされてしまう。

光線は蜀・呉軍が使おうとしていた爆薬にぶつかりそこで終わったが、それと同時に爆薬が大爆発した。

一刀の直線状には敵がいない。ただ一つ、道が出来た。

爆発の音を聞きつけたのか、春蘭達がようやく到着した。

「北郷、今の音は何だ！？」

「ただ火薬が爆発しただけだよ…。俺は問題ない」

「そうか……全軍突撃！」

春蘭の言葉と共に魏軍は突撃し、その場にいた敵兵達や馬超達は撤退して行った。

「ふう……」

一刀は終わったと思い、変身を解く。

「まだ…これで入り口か…」

この先の戦いはこれ以上のものになるだろうと思い…、ちょっとしたため息をつく。

そしてその一刀の活躍で切り開かれた場所で陣をはり、夜改めて会議をする。

「あと一箇所？」

「はい。ここから成都までの地形で検討したところ、大きな軍を配置できそうなのは、あと一箇所…」

稟が次に敵が配置してそうな場所を皆に説明する。

「綿竹の南方にある平原しか無いでしょう」

「そこで決戦になるという事か？」

「いいえ。蜀は前回の呉との同盟でもほとんど戦力を動かしてないわ。兵数には余裕があるでしょう」

「それに、あの諸葛亮や周瑜がそこまで楽観に過ぎるとは思えません。

ですから、もう一度の会戦と、その間の小刻みな攻撃でこちらの戦力を削った後、成都での最終決戦に持ち込むつもりではないかと…」

「劉備の下には諸葛亮と五虎将に加え、呉の孫策や周瑜も加わっています。ですから、将を小分けにしても十分な数の部隊が作れることになります」

「厳しいな……」

「大丈夫なんか？　それ」

「半董卓連合の時は、こっちも大戦力やったけど」

「やらなきゃいけないだろ」

「今、弱気になったりした者、前に出なさい。私が手ずから頸を刎ねるわ」

「華琳様！？」

突然の華琳の言葉に皆驚く。

「城を出るときに言ったわよね。この戦いの厳しさは連続になると…。苦戦する状況を認めるのは、将として必要なこと。

けれど、諦めのため息を吐くことは許さない。ましてや、兵のまで将がそれをすれば…どうなるか分からない皆ではないでしょう？」

「失礼しまーす！　流琉特製、猪の丸焼きができましたよー♪」

とそこへ春蘭達が捕まえた猪を調理した流琉とそれを一緒に持ってきた季衣がやってきた。

「あれ？　皆さん、どうかしましたか？」

「あなたたち、見ないと思ったら……料理？」

「はい！　腹が減っては戦は出来ぬ！　前に春蘭様から教わりました！」

「ふふ……あはははははっ！」

華琳は季衣と流琉のため笑い出した。

「華琳様！？」

「ごめんなさい。ふふっ…今の報告で余裕をなくしていたのは、どうやら私のほうね」

「何かあったのですか？」

「いや、何もない。……ですよね、華琳様」

「ええ。では、せっかくの流琉の料理よ。皆でいただきましょう」

「はい！」

皆で料理を食べる事になったが、華琳が一刀がいないことに気付く。

「あれ？　兄ちゃん、軍議に出てたんじゃなかったんですか？」

「そう……」

「だったらボク、探してきますね」

「こら、季衣！　ちょっと待ちなさい！」

季衣を止める流琉。

「少し行ってくるわ。私達の分はちゃんと残しておいてちょうだいね」

そして華琳は一刀を探しに行き、一刀は陣の近くの川のほとりにいた。

その時の一刀はものすごく辛そうであった。

「カッコ悪いところ、見られちゃったな…」

「そうじゃなくて、どうしたのよ！」

「キングフォームになったからな…。さすがに体力使っちまったぜ」

「動ける？　動けるなら、早く戻りなさい。流琉の料理、あなたの分まで食べられてしまうわよ」

そして華琳は先に行き、一刀もふらふらだが後を追った。

（言えない。これがキングフォームの影響じゃなくて大局に逆らってるための影響だって事は…）

一刀はあくまで嘘を突き通すつもりであった。

翌日になり、再び戦闘が繰り広げられる。

春蘭が思わず深追いしそうになったりとしていたが、何とか魏軍は優勢に戦っていた。

そして数日にわたり、次に敵が布陣しているところに着いた。

敵は何と華琳の予想通りに配置していたので、一刀は驚いたが皆その事に驚かなかったので、一刀はちょっとしか疎外感に見舞われた。

「一刀。戦には二つの戦があってね…」

「勝つ戦と、負ける戦か？」

「違うわよ。策を弄して良い戦と、弄してはならない戦よ」

「なるほど、そっちか……」

一刀はカブトゼクターを手に持つ。

「あなた、話を聞いていた？」

「安心しろ、相当やばい事がない限りクロックアップもハイパークロックアップもしないよ。変身！」

「Henshin」

一刀はカブトに変身、変身と同時にキャストオフし、ライダーフォームになる。

「行こうか……」

そして魏と呉の決戦がまた始まる。軍勢は魏の方が圧倒的であり、戦いも魏が優位になっていた。

呉は不利になり、撤退を開始する。

一刀は目の前に現れたハイパーゼクターを取り、ハイパーキャストオフをする。

「ハイパーキャストオフ」

「Hyper Cast Off」

その言葉とともにカブトはハイパーフォームへと変化した。

「Change Hyper Beetle」

そして一刀の前にあるものがどこからか飛んできた。

パーフェクトゼクターと呼ばれる最終武器である。

それと同時にどこからかザビー、ドレイク、サソードゼクターもやって来て、パーフェクトゼクターに張り付く。

「カブト、ザビー、ドレイク、サソードパワー」「All Zector Combine」

それと同時に一刀はパーフェクトゼクターを重い銃のように構える。

「Maximum Hyper Cyclon」

パーフェクトゼクターから放たれた強力なエネルギーは敵兵のほとんどを飲み込み、敵兵達はどこかへ吹き飛ばされた。

「ふう……」

一刀はもう自分は良いと判断し、変身を解いた。

「俺は疲れた…」

その様子を華琳が遠くから見ていた事に一刀は気付いていなかった。

その後、呉軍は蜀からの救援で撤退する事ができ、夜になり、一刀は華琳に呼び出された。

そこはまた川のほとりであった。

「まだここにも敵が……」

一刀が華琳の方を振り向くと華琳は自分の武器である鎌を一刀に突きつけた。

「何のつもりだ？」

もし本当に危機なら、カブトゼクターが来て、その鎌を落としている。

一刀はこれが脅しか何かだと分かっていた。

「言いなさい、一刀！」

「何を？」

「あなたの不調の事よ！　何を隠しているの！」

「隠す？　俺は別に隠してなんか…」

「嘘は言わない事ね。あなたが今日変身を解いたときに前以上に疲れを見せていたのは見ていたのだから……」

（見られていたのか）

「この前はまだキングフォームの影響だと思ってたけど、本当は違うのね。

ハイパーフォームはそこまで体の影響は無いと言ったのはあなたよ！　一刀！」

一刀は観念したかのように話すが、真実を話す気はなかった。

「悪いが、言えない。確かにキングフォームの影響だって嘘をついた事は謝るが、それ以上は言えない。わかってくれ……」

「………そう」

華琳は鎌を下ろす。

「あなた、次に大きな戦いの時は、アギトの力を使うつもり？」

「ああ、バーニングからシャイニングにな……」

「……無茶だけはしないでね」

「当たり前だろ。俺は華琳の側にいる。……ずっとな……」