真・恋姫無双紅竜王伝F〜公孫淵暗躍〜
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北伐軍総司令・織田舞人は玉座に腰掛け、足を組んで半眼で気まずげにひれ伏す三人とそんな雰囲気もどこ吹く風と胸を張ってこちらを見据える計4人の女に詰問する。

「本初・顔良・文醜・・・なんでお前らがここにいるんだ?あと楓は土下座をやめなさい。だいたいの事は理解してるから」

「・・・はっ」

申し訳なさそうにひれ伏していた楓が、立ちあがって椅子に戻り、舞人は顔良に状況の説明をするよう命じた。

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官渡から離脱した袁紹一行は河北を中心に旅を続けていたという。しかし?付近に至ったところで路銀がつき、途方に暮れていた(顔良だけ。後の2人は楽観視していた)ところで?城の守備の為に軍を率いていた楓に発見・保護されたという事らしい。

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「それで、3人の将としての資質を買って雇った・・・ってわけか」

「はい。本初様は元の主君ですし、2人についても私の友人でしたので見捨てるには忍びなく・・・」

そこまで言ったところで、楓は舞人の前に再び出てきて土下座をした。

「師匠!私がこの戦で大功を立てますので、3人の命を助けるよう華琳様に嘆願していただけませんでしょうか!?」

「わ、私からもお願いします!」

「絶対活躍するからさ、頼むよ織田のアニキ!」

楓に習うように顔良と文醜も手を床に付ける。「なんで私が・・・」と呟いていた袁紹も2人に頭を押さえつけられて頭を下げる。

(う〜ん・・・)

4人が頭を下げる中、舞人は真剣に考え込んでいた。

今回の北伐軍は、不安定要素が少なくとも2つある。まず1つは―――

「・・・」

上座で浅黒く日焼けし、冷徹な眼差しを袁家主従に向ける大男―――遼東・燕の主である公孫淵である。

彼は大義よりもまず自分の利を考える武人で強い者に属し、有能ではあるが属している者が衰えを見せるとすぐさま反逆するという臣下に迎えるには少々危険な男だ。官渡以前には袁家に属していたが、袁紹が官渡で大敗を喫して消息を絶つとすぐさま華琳に寝返って、南皮城などの要衝を次々に攻め落として降伏の手土産としたのだ。

「ほっほっほ・・・困っておるのう、織田殿は・・・」

もう1つはこちらも上座でお菓子をポリポリ食べているマロ眉小太りの男―――青州の領主・孔融。彼はかの聖人孔子の子孫であるが、名門意識が強くて少々扱い辛いところがある。

さらに彼の兵は脆弱で数も少なく、はっきり言って足手まといなのだ。舞人はかつて彼に仕えた事があったが、すぐに嫌気がさしてほとんど逃げ出すように彼のもとを去った。

・・・悪い人間ではないのだが・・・

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「分かった!」

パンッ、と手で膝を打って立ち上がった舞人は決断を下した。

「楓、お前に中央先陣を申しつける!お前は3人を指揮下においてしっかりと手綱を握れ!ただし功を焦って死に急ぐな、大本営の指揮に従うように!」

『ぎょ、御意!』

「・・・分かりましたわ」

楓・顔良・文醜の3人が頭を下げ、袁紹も渋々ながら頭を下げた。続けて各部隊の配置も告げる。

「左翼先陣は公孫淵、右翼先陣は徐晃!」

「・・・はっ」

「よっしゃ、腕が鳴るぜ!」

公孫淵が寡黙に、淡雪が威勢よく返答する。

「本陣右備えは于禁、左備えは程c!」

『おぉ〜なの(です〜)』

「後備えは孔融殿にお願いしたい」

「ほっほっほ・・・麿にまかせよ・・・」

?城に少数の兵を残し、明日の朝一番での出陣が決まった。

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「文懿様」

軍議を終えた公孫淵が自軍本陣の天幕に戻ると、彼が唯一信頼を寄せる副官が書簡を持って待っていた。文懿とは公孫淵の字である。

「書状が届いております」

「よこせ」

副官は書状を差し出してすぐさま部屋を出て行った。この主から信を得るには「口を出さない・余計な事を言わない」―――以上2つに限る。

「・・・」

公孫淵は書に目を通し、呟いた。

「出て来い」

彼以外誰もいないはずの天幕の天井から、音も無く黒い影が降りてきた。

「さすがは公孫淵様・・・お気づきでしたか」

「フン。わしが諸侯からどのような目で見られているかぐらい、自覚しておるわ」

自分の周りには常に監視の目が光っているのを公孫淵は自覚していた。監視者が誰であるかまでは居城の中では分からないものの、狭い天幕で一人が隠れているくらいなら気配を察する事は出来る。

「お返事は・・・頂けますでしょうか?」

「・・・貴様の主にまだそのような力があるとはわしには思えんが・・・機を見て、考えておこう」

猛将の様な豪快な外見からは想像もつかないくらい彼は常に用心深く、慎重だ。常に彼は明確な返事はせず、あいまいな答えを返すだけ。

「・・・御意」

それが分かっている間者は、内心不満げな表情を見せることなく返事だけ聞くと姿を消した。

 

説明
あけましておめでとうございます!
激闘編第7弾でございます。
今年も拙作をよろしくお願いします。m(_ _)m
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コメント
陰謀ですね。内部に敵がいるとやりずらいですね。(ブックマン)
暗躍しまくりですな・・・。此れからどうなるのか凄く気になります。それにしても華琳(王朝含め)敵多すぎだろう・・・ 次作期待(クォーツ)
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