英雄伝説~黎の陽だまりと終焉を超えし英雄達~ |
ヴァン達が天文台に突入すると天体望遠鏡があった場所に端末があり、端末は勝手に起動し続けていた。
~バーゼル理科大学・天文台~
「天体望遠鏡があった場所に…………」
「あれがメインターミナルか。」
「ええ、工学都市バーゼルが誇る、中央端末”アウローラ”…………4年前に博士と…………キャラハン先生が主導して、理科大学とヴェルヌ、財団やZCFも協力した…………何かのプログラムが走っている…………?」
「あの複雑すぎるコードは一体…………」
「!あれは…………!」
カトルとリゼットが端末の状態に注視している一方端末の上部にゲネシスが嵌められている事に気づいたアニエスは血相を変えた。
「…………第五の”ゲネシス”。やっぱり絡んでやがったか。そして――――――」
ゲネシスを見つめながら呟いたヴァンがある方向に視線を向けるとそこには人形遣いの娘とメルキオルがいた。
「――――――やはり来ましたか、アークライド解決事務所。」
「ウフフ、”北の猟兵”の女の子達共々半月前の映画祭ぶりで、男達の方は一月前の煌都ぶりだね。これも女神の導き――――――運命の赤い糸ってヤツかな?」
「クク、いいねぇ…………嫌いじゃねえぜ、そういうのも。」
「うわぁ…………”その筋”の女の子達が知ったら喜びそうなセリフね…………」
「?よくわからないけど、お前達と縁があるのはこっちにとっても好都合。今度こそ、制圧する…………!」
「”庭園(ガーデン)”という…………アイーダさんたちの仇…………」
メルキオルの言葉に対して不敵な笑みを浮かべたアーロンの返事を聞いて表情を引き攣らせて呟いたイセリアの言葉に首を傾げたラヴィだったがすぐに表情を引き締めてメルキオルを警戒している様子のフェリと共にメルキオルを睨んだ。
「ああ、僕の古巣の名前もとうとう知られちゃったんだ?しかしマルドゥックのSCが正式加入――――――ハミルトン門下の秘蔵っ子君までたらし込んでるなんて中々やるねぇ?」
「ハン…………こっちの若いのはあくまで”相談窓口”だけどな。」
「…………アンタたちがキャラハン先生を惑わした…………”アウローラ”を勝手に使って何をしようとしているんだ!?」
メルキオルの指摘に対してヴァンが答えると前に出たカトルが怒りの表情でメルキオルを睨んで問いかけた。
「人聞きが悪いなあ。教授とはそれなりの付き合いなんだけど?この端末にしたって、開発者の一人である彼の許可も”一応は”貰ってるからねぇ。ギャスパー社長の時と違って完全にギブアンドテイクってワケさ♪ああ、彼に”そっちの気”があったのも色々とやりやすかったかな…………?おだてて、その気にさせたら次々と一線を踏み越えてくれたからね♪」
「っ…………」
「え”。マジ?」
「おいおい、まさかのハニトラかよ…………」
「…………そんな下種な手も…………」
「冗談抜きで目的の為なら手段を選んでいないわね…………」
メルキオルが語ったキャラハン教授との関係を知ったカトルは息を飲み、イセリアは表情を引き攣らせて呟き、マーティンは呆れた表情で呟き、リゼットは厳しい表情で、ユエファは真剣な表情でメルキオルを睨んだ。
「ああ、いいんじゃねぇか?性癖なんざソイツの自由だしなァ。――――――てめぇが煉獄に堕ちるべきクソ野郎ってのは変わらねぇが。」
「ええ。――――――私達はその焔の代わりを果たしましょう。ゲネシスを奪還して、これ以上傷つき、命を落とす人々を失くすためにも。」
「クレイユから始まったお前との因縁、ここで断ち切らせてもらいます…………!」
一方アーロンは冷静な様子で答えた後静かな怒りを纏ってメルキオルを睨み、アーロンに続くようにマルティーナとメイヴィスレインもそれぞれ厳しい表情でメルキオルを睨んでそれぞれの得物をメルキオルに向けた。
「アハハ、すっかり嫌われちゃったなぁ。――――――オランピア、慰めてくれない?」
「自業自得でしょう、完全に。ですが契約上――――――こちらも従う訳には参りません。」
アーロン達に睨まれたメルキオルは呑気に笑った後人形遣いに話しかけ、メルキオルに話しかけられた人形遣いは淡々と答えた後天使型の傀儡のステルスモードを切って顕わにさせた。
「サルバッドでも現れた…………!」
「…………FIO!!」
天使型の傀儡の登場にアニエスが真剣な表情を浮かべている中カトルはFIOに分析を指示した。
「構成物ヲ走査(スキャン)――――――測定不能。古代遺物(アーティファクト)ノ一種ト推測。」
「やっぱりそっちだったか…………あり得ねぇ動きだとは思ったが。それに――――――何か”仕込んで”やがるな。」
「…………ええ、どうかご注意を。」
FIOの分析結果を聞いたヴァンは納得した後天使型の傀儡に”何か他にも仕込んでいる事”に気づき、ヴァンの推測にリゼットは頷いた。
「良い判断です、裏解決屋にマルドゥックのSC殿。そういえば、サルバッドでは名乗る機会がありませんでしたか。”金の庭園(アウルムガーデン)”の管理人、オランピア。――――――こちらは”イシュタンティ”。アルマータとの契約完了後、という条件付きにはなりますが――――――いずれ”ご用命”を検討の際にはご贔屓のほどを。」
「っ…………!?」
「あ、暗殺の依頼を…………?」
「オイ…………舐めてんのか?」
自己紹介と共に信じがたい営業をした人形遣い――――――オランピアの言葉にフェリは驚き、アニエスは信じられない表情を浮かべ、アーロンは厳しい表情でオランピアに問いかけた。
「…………?単なる営業にすぎませんが。」
「フフ、大マジだから勘弁してあげてよ。見ての通り仕事人間、いや仕事人形でね。それじゃあ僕も久々に――――――”管理人”としての力、披露しようかな?」
アーロンの指摘に対してオランピアは首を傾げて不思議そうな表情で答え、メルキオルは呑気に笑った後オランピアと共に戦闘の構えをした。すると二人の足元から黒き力が現れ、二人を纏った。
「…………!?この”息吹”は…………!」
「チッ、やはり今まで”抑えて”いやがったか…………!」
「皆様、最大限のシャード活用を!何とか凌いでください――――――!」
「よくわからないけど――――――行くよFIO、XEROS!!招かれざる客をこの聖域から追い払うために!」
「リョユカイ!!」
「BOW!!」
そしてヴァン達はメルキオルとオランピアとの戦闘を開始した!”本気”を出した二人は強敵ではあったが、その二人をも上回る実力者であるメイヴィスレインとマルティーナがいた為、ヴァン達は連携してメルキオルとオランピア相手に互角に戦っていた。
「ハア…………ハア…………皆さん、大丈夫ですか…………っ!?」
「ええっ!こんなの”大君”と戦った時と比べれば、まだ楽な方よ…………!」
「…………悪しき天使(メレク)…………メイヴィスレインさんとマルティーナさんの加勢がなければ、わたし達だけでは厳しい相手です…………!」
「その意見には同感だな…………」
「はい………自分達だけではあの二人を制圧する所か、最悪”返り討ち”に逢う所でしたね…………」
「”本気”を出した幹部でこの強さなんだから、ボスの方はもっとヤバいでしょうね…………」
「…………悔しいけど、今後も奴らとやり合う時は”エースキラー”か解決屋達と共闘した方がよさそう。」
メイヴィスレインとマルティーナの攻撃を受けたメルキオルとオランピアがそれぞれ後ろに跳躍して距離を取ると疲弊した様子のアニエスは仲間達に声をかけ、アニエスの言葉にユエファは未だ戦意が衰えていない様子で答え、アニエス同様疲弊している様子のフェリの言葉にマーティンは頷き、タリオンとイセリアはそれぞれ疲弊した様子で呟き、ラヴィは疲弊しつつもなお戦意は高く、厳しい表情を浮かべてメルキオルとオランピアを睨みながら銃口を二人に向けていた。
「てめえ…………!今まで本気じゃなかったな…………!?」
「アハハ、剣と氷の乙女さん達と君のお姉さんにはちょっとは見せたけどねぇ…………?」
「戦力、裏解決屋達は想定の範囲内ですが、そちらの天使2名の戦力は想定外、上方修正が必要ですね。」
一方メルキオルが今まで手を抜かれて戦っていたことに屈辱を感じたアーロンはメルキオルを睨んで指摘し、対するメルキオルは呑気に笑いながら答え、オランピアは冷静な様子で分析していた。
「チッ、”人形”に加えて”爆弾”の古代遺物とはな…………」
「ええ…………これが庭園(ガーデン)ですか。」
「くっ、もっとFIOとXEROSのポテンシャルを引き出せれば…………!」
まだ余力があるヴァンとリゼットがメルキオルとオランピアを警戒している中、カトルは自分の無力さに悔しがっていた。
「うふふ、ホントいいねぇ君達…………天使の二人を除けば揃いも揃って嬲りあいがあってねぇ?…………ああもう、我慢ができなくなってきた…………ボスが気にしてたみたいだけど内緒で食べちゃってもいいかなァ…………?」
「私のボスではありません。お好きにどうぞ、メルキオル。」
一方メルキオルは残虐な笑みを浮かべてヴァン達を見つめて呟き、メルキオルの言葉に対してオランピアは淡々とした様子で答え
「そんな事、私達が許すわけがないでしょう、外道!!」
「今までの戦闘で疲弊した人達は一旦下がって回復に専念しなさい!」
「姉貴の言う通り、小娘共は下がってろ!俺はとことんやってやるぜ…………!」
「わたしだってまだまだ戦闘可能です!クルガの”焔”はここからです…………!」
メルキオルの言葉に対して怒りの表情で答えたメイヴィスレインは得物をメルキオルに向け、マルティーナはアニエス達に戦線から離脱するように指示をし、アーロンとフェリはそれぞれ戦意を高めてメルキオルとオランピアを睨んだ。するとその時アニエスのポーチの中にあるゲネシスが反応した。
「え――――――」
「…………!?」
「”デコード”完了――――――自己創発プログラムを起動します。…………ここ…………は…………そうか――――――成功したのだな。」
ゲネシスの反応に気づいたアニエスとヴァンがそれぞれ驚いたその時、起動し続けていた端末から機械音声による報告が聞こえた後カトルやヴァン達にとって聞き覚えのある男性の声が聞こえてきた。
「――――――!?」
「…………この声は…………」
「アハハ、上手くいったみたいだね!どうだい、教授――――――1(イチ)と0(ゼロ)の居心地は!?」
聞き覚えのある声を耳にしたカトルが驚き、リゼットが真剣な表情で呟き、メルキオルはおかしそうに笑いながら端末を見つめて問いかけた。
「ああ――――――この上なく快適だとも。」
そしてメルキオルの言葉に対して端末から声が聞こえると何と端末にキャラハン教授の映像が現れた!
「ううむ、実に気分がいい。そうか…………こういう事なのだな。”余計なもの”を脱ぎ捨てたおかげか、思考もかつてなくクリアになった…………!これならば最後の一歩も余裕だ!君達の期待にも応えてやれるだろう!」
「ウフフ、さすがは教授♪ご褒美もたくさん用意しないとねぇ!」
「…………ぁ…………」
「…………記録映像…………いえ――――――」
キャラハン教授?の答えにメルキオルが陽気に笑っている中カトルは信じられない表情でキャラハン教授?を見つめ、アニエスはキャラハン教授?の正体を推測した。
「――――――そうだ、お嬢さん。これは映像などではない。私はデビッド・キャラハン――――――バーゼル理科大学の物理工学教授にして、ゼムリア大陸の歴史に名を刻む研究者だ。」
「っ…………どうなってやがる…………!?」
「さ、さっき峡谷の沼で…………!」
キャラハン教授は改めて名乗った後口元に笑みを浮かべて答え、”映像に映るキャラハン教授が本人”であるという事実にアーロンは驚き、フェリは峡谷の沼で見つけたキャラハン教授の遺体を思い返して困惑していた。
「…………まさか、こいつは――――――!」
「…………知性と人格、記憶の全てを”AIとして変換したのでしょう。”おそらく”ゲネシス”の力で。――――――人としての”枷”を外れて”技術的特異点(シンギュラリティ)”その物とならんがために!」
「…………ぁ…………」
「…………キャラハン、先生…………」
「おいおい、そんなのありかよ…………」
「”研究”の為に自ら”人”の身を捨てるとは、なんと愚かな事を…………」
「…………もはや今のキャラハン教授は、”科学の魔人”と呼ぶべき存在でしょうね。」
キャラハン教授の正体に気づいたヴァンは血相を変え、リゼットの推測を聞いたアニエスは呆けた声を出した信じられない表情を浮かべ、カトルは辛そうな表情でキャラハン教授を見つめ、マーティンは疲れた表情で呟き、メイヴィスレインとマルティーナは厳しい表情でキャラハン教授を睨んだ。
「ウフフ、そこまで見抜くのか。思った以上に厄介なメイドだなぁ…………」
「メルキオル――――――悪い癖です。この場での目標は達成されました。行きましょう。」
一方メルキオルは不敵な笑みを浮かべて足元から黒い闘気を発生させ、メルキオルの様子に気づいたオランピアはメルキオルに指摘した。
「はいはい、そうだね。――――――それじゃ、教授もまた後で。」
「ああ――――――待っているよ。」
オランピアの指摘に頷いたメルキオルがキャラハン教授に声をかけると、キャラハン教授は返事をした後自ら端末を停止させてその場からいなくなり、オランピアの天使の傀儡――――――イシュタンティはゲネシスを回収すると空へと舞い上がり、それを確認したオランピアとメルキオルはそれぞれ跳躍してイシュタンティの身体の一部を掴んだ。メルキオルが自分達に見せた意味ありげな笑みを警戒したヴァン達が端末に視線を向けると、なんと端末にはいつの間にか無数の爆弾が仕掛けられていた!
「警告――――――爆発物ヲ検知!」
「仕掛けてやがったか…………!」
「!”アウローラ”が…………!XEROS!スタンモードで封じて――――――」
FIOはヴァン達に警告し、ヴァンは厳しい表情で呟き、カトルはXEROSに指示をしたが
「おっと、それは駄目さ…………!」
「GYAN…………!?」
「ッ…………!?――――――うああああっ…………!!」
「ああっ!?」
「カトル君、駄目ですっ!」
メルキオルが投擲した短剣によってXEROSは怯み、それを見たカトルは声をあげながら爆弾が仕掛けられている端末に突撃し、カトルの行動を見たアニエスはカトルに警告した。
「よせえええっ――――――!!」
(僕が守るんだ…………!!博士の場所を、絶対に――――――)
アーロンと共にカトルを追って走り始めたヴァンの警告を無視してカトルは端末に突撃したが、足に何らかのエネルギーを発生させて凄まじい速さで自身を追い抜いたリゼットによってカトルはヴァン達の方へと突き飛ばされた。
「――――――!?」
リゼットの行動にカトルが驚いたその時、静かな笑みを浮かべたリゼットは端末に突撃し、メルキオルが端末に仕掛けられた爆弾に短剣を投擲した瞬間リゼットは全身にシャードによる結界を展開した。するとその時端末はメルキオルの短剣と爆弾によって爆破された、爆発に巻き込まれた事で全身の至るところが黒焦げになったリゼットが地面に倒れた!
「ッ――――――」
「リゼットさんっ!!――――――メイヴィスレイン、すぐに治癒…………ううん、蘇生魔術をっ!!」
「チィッ…………!」
「クソが…………!姉貴とオフクロもすぐにメイドを治してやってくれっ!!」
爆発に巻き込まれたリゼットを目にしたヴァン達はそれぞれ血相を変えてリゼットに駆け寄ったが
「!!??」
「え――――――」
「…………ッ…………」
「こ、これは…………」
「ちょっ、何なのこの身体は…………!?」
「機械の…………身体…………?」
リゼットの信じがたい身体を目にしたカトルは驚き、アニエスは呆け、ヴァンは唇を噛み締め、タリオンとイセリアは信じられない表情で呟き、ラヴィは呆けた表情で呟いた。
「アハハ、妙な気配はしてたけど”そこまで”だったんだ…………!?これも”あの皇帝”あたりを観測・研究した成果なのかな!?」
「マルドゥック社…………”想定以上”と言うべきでしょうか。」
一方ヴァン達同様リゼットの信じがたい身体を目にしたメルキオルはおかしそうに笑い、オランピアは淡々とした様子で呟いた。
「おっと、噂をすればか。――――――それじゃあ今日は退散するよ。」
「”同じ傀儡に関わる身”として敬意を表します――――――それでは。」
その時何かに気づいたメルキオルとオランピアはイシュタンティの身体の一部に掴まった状態でイシュタンティを飛行させてその場から撤収した。メルキオル達が撤収するとメルキオル達の撤収と交代するかのように”マルドゥック社”のエンブレムが刻まれた戦艦のような大きさの巨大な飛行船がバーゼルの上空に現れ、天文台の上空で滞空した。
「……………………」
「マジ…………かよ…………」
「…………マティ、一応確認しておくけど、”この状態の彼女”に私達の治癒魔術もそうだけど蘇生魔術は…………」
「…………貴女も気づいているでしょうけど、”効果はないわ。””治癒”にしても”蘇生”にしても、”効果があるのは生身の存在”なのだから。」
「最初に貴女を見た時から、”違和感”を感じていましたが、”こういう事”だったとは…………」
「…………リゼット、さん…………」
「…………僕の…………僕のせいで…………」
仲間達がそれぞれ信じられない表情や驚きの表情でリゼットを見つめている中、カトルは自身の行動を後悔し
「…………大丈夫そうか?」
「…………ええ、何とか…………」
ヴァンは爆発に巻き込まれた事でそれぞれ破壊された”機械の手足”が顕わになったリゼットを抱き上げて声をかけ、声をかけられたリゼットは苦笑しながら答えた。
そして翌日――――――
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エウシュリーキャラも登場 ディル=リフィーナとクロスオーバー 他作品技あり 空を仰ぎて雲高くキャラ特別出 黎の軌跡 | ||
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