真・恋姫無双×仮面ライダー 一刀蒼き仮面の遣い 第7話 |
一刀達が成都を制圧し、益州全土を治めてからしばらく経った。
そんな一刀達の元にある情報が届いた。
それは南の南蛮と西の五胡が国境付近で暴れているとのことであった。
一刀達はその報を受け、すぐに軍議を開いた。
「皆も分かってるけど、西方と南方に外敵が侵入しつつあるけどこれに対処するにはどうすればいいと思うかな?」
一刀が皆に意見を聞いてみた。
「残念なことに、私達には二正面作戦を実行できるほどの軍事力はまだありません」
「しかしこの件の処理に手間取れば、今まで私達が来たのを歓迎してくれていた人々が、一斉にそっぽを向いてしまいます」
「自分達をしっかり守って貰うために、我らを受け入れたのですから、当然でしょうなー」
「だよな……」
朱里と雛里とねねの意見を聞いて、一刀は飽き飽きしたような態度を取る。
「皆が皆、桃香様の心に触れ、その理想に全てを捧げた訳ではない、か……」
「仕方なかろうな。庶人達の希望は、日々平和に暮らせることだ。そんなささやかな希望を守ってくれない者など、必要とはされんだろう」
「所詮は利、か。…まぁそれが現実だな」
「利は人を動かす原動力でもあります。自分に利があるのか。自分の周囲に利があるのか。……利とはそれほど重要なものですわ」
「しかし利に溺れば我利我利の亡者となる。…感心は出来んな」
「それは誇りある生を生きている桔梗さんだからこそ言えることです。庶人の人達は亡者となっても生き延びたい…そう考えているだけですから」
「人はどこまで行っても人……か。じゃあ俺は利なんて無視してるんだな」
「何で?」
「俺が戦う原動力は仲間を守ることだ。正直な話、利が無い。と言っても俺はやめないけどな。
まあそれはともかく、方策としては……」
一刀は早馬から届いた敵の初動を聞いて、考えていたことを言う。
「南蛮は領土的野心はなさそうだから、先に五胡の方を叩く。
とは言っても、南蛮の方に将一人は必要だけど……」
一刀が誰か行ってくれる人と考えると、紫苑が立候補し、皆もそれに賛成し、紫苑と恋とねねが行くことになった。
「それじゃあ、頼む。俺達も五胡の方を片づけて、急ぐからな。それまで頑張ってくれ」
「ふふっ、お待ちしておりますわ、ご主人様」
「……待ってる」
「よし、じゃあすぐに出陣準備だ!」
『応っ!』
そして全員が出陣準備を、準備が完了して出発。
一刀達は五胡の兵達が居るであろう場所に急行する。
「そう言えば五胡ってどんな国だっけ?」
「五胡って言うのは、匈奴・鮮卑・羯・邸・羌っていう五つの部族の総称だよ」
「五胡は後漢王朝の西部に接する国で、最近は国境線でその存在を散見されてます」
「各地方は警戒し、内情を探るべく斥候を放っていたようですが、情報を得ることなく消されてしまっているようですね」
「そこまでの連中か……」
「大陸の東方に居た私達にとっては、初めて見える敵となります。心して掛からないと」
「ああ」
一刀の手にガタックゼクターが収まる。
「かなり本気でやらないとな」
「しかし曹操や孫策達との戦いが控えている今、この状況は厄介だな」
「星。状況などを考えるな。ただ、全てを守る。……それだけを考えていればよい」
「そうそう。桔梗の言う通りなのだ。後の事は後で考えればいいのだ」
「さすがに今回はそうだな……。変身!」
「Henshin」
一刀はガタックマスクドフォームに変身する。
「敵との距離は?」
「襲われた村はここより西方四里にあります。……そろそろですね」
「分かった。皆、戦闘態勢を取ってくれ! そして心してかかるぞ!」
一刀が号令をかけ、兵士達は士気を高める。
「俺達の国を守るために!」
一刀達は五胡兵達に向かって突撃していく。
一刀は今までのためらいがないかのようにかなり本気で五胡兵と戦っていた。
マスクドフォームのガタックバルカンで牽制した後、ライダーフォームにキャストオフ。
クロックアップを多用して五胡兵達を襲うが、五胡兵はクロックアップに対応するのがとても早く、一刀は夏侯惇に直線的だと言われてなかったら五胡兵達にやられていたかもしれないようなほど五胡兵達は強かった。
しかし一刀は負けるわけにはいかず、ハイパーゼクターを呼び寄せ、ハイパーフォームとなり、ハイパークロックアップで五胡兵達を倒していくが……。
「退け! 退け!」
ガタックのハイパーフォームを見るや、すぐに引き上げていったのだ。
「敵が……引き上げていく!?」
「うむ。蛮族の割には機を見るに敏だな」
「しかも整然と退却してる。蛮族なんて馬鹿にしてられないぞ、あいつら」
「ああ、相当訓練されているな。俺のクロックアップに対応するのが恋並みにすごかった」
「翠やお館様の言う通り。奴らはかなり戦慣れしとるな。戦う時は死兵となり、退き際には一糸乱れぬ統率を発揮する」
「今回は退いてもらえましたけど…今後、五胡の侵攻が続くと厄介ですね」
「鎮守府を置かないとな」
そして星と愛紗の意見により、張任、呉懿、呉蘭、法正の四人を置くことになり、一刀達はすぐに紫苑達の方に急行。
南蛮兵達はすぐに撤退し、その後一刀達は南蛮を平定することを決意し、一刀達は南蛮の森へとたどり着いた。
「凄い森だ。それに暑い」
「暑いねぇ〜…ふへぇ〜…」
桃香はかなり参っていた。
「朱里、雛里、水と食料の確保は大丈夫か?」
「あまり大丈夫とはいえないかもしれません……」
「この暑さでは兵糧が持たないでしょうね……」
「やっぱこの暑さだと腐っちまうな。兵糧は仕方ないとしても水は確保しないとな」
「しかしこの辺りの水は毒水と言われ、漢朝の人間が飲むとお腹を壊してしまいます…」
「恐らく、何かの呪いが掛かっているのかと」
「それはない。それはない」
一刀が手を横に振りながら大事な事だから、二回言う。
「生水だから細菌があるだけだ。でも細菌を取り除けば飲めるさ」
「さいきん、ってなんですか?」
「目に見えない小さな生き物みたいなものかな」
「お水の中に生き物がいるんですか?」
「ああ、目に見えないだけでね。この空気中は言いすぎだけど、この森だけじゃなくて、普通に村や町にもいるんだよ」
一刀はひとまずろ過装置を作るよう手配した。
「何にせよ、短期決戦ってことかな」
「まあね」
一刀達が行軍していると……突然目の前に猫耳の鈴々くらいの女の子が現れた!
「誰だ!?」
「我こそは南蛮大王孟獲なのにゃ! ショクとかいう奴らめ! 我らの縄張りに入ってきて、タダで帰れると思ったらいかんじょ!」
「……うわー。可愛い!」
「にゃ?」
「ねぇねぇご主人様! この子、ぬいぐるみみたいで可愛いよ! 耳までついてる!」
「うむ、可愛いな!」
「こいつが南蛮の王様なのかなー?」
「諸に自分で名乗ってただろ」
「そうだじょ! みぃは南蛮の王様なのにゃ! えらいのにゃ! みんなハハーッって言え!」
「ハハーッ!」
一刀は笑い混じりに言った。
「何を笑ってるのにゃ!」
「微笑ましいからね。それと今のはノリで言った」
「むー! バカにしおってー! そんな奴らにはたっぷりおしおきしてやるじょ!」
「ああ、それはこっちの台詞だな。お前のお尻ペンペンしてやるからな!」
「にゃにおー! 子分ども!」
すると孟獲の三人の子分、ミケ、トラ、シャムが現れた! しかし三人とも孟獲とあんまり変わらない体型だ!
「あらあら。可愛い子分さんね」
「うわぁ、ちっちゃい。…たんぽぽの子供の頃を思い出すなぁ」
子分が出てきても雰囲気は和んでばかりだった。恋も恋で孟獲をなでる。
おまけに孟獲は嬉しそうな声を出してたりしている。
(戦闘にならないのかな?)
一刀はこの雰囲気自体は嫌いではないが、この場で出す空気ではないと思っている。
「まぁ猫でも虎猫でも何でも良いが、我らの前に現れたということは、戦いを望むと考えて良いのだな?」
「何か言い方が気に入らんがそうなのにゃ!」
星のおかげでようやく戦闘の空気になった。
「ならば話が早い。南蛮王の素っ首、この場でたたき落とし、後顧の憂いを絶たせてもらおう」
愛紗が青龍偃月刀を構えて、本気の目になる。
「愛紗、本気やな」
「上等なのにゃ! 南蛮大王孟獲が相手をするじょ!」
孟獲が背中に背負っていたデカイ肉球の武器を手に持って構える。
「まあ、愛紗……」
「ご主人様……」
「可愛らしくて攻撃できないでしょ?」
「うう………」
図星だった。
「はぁ〜仕方ないな……。星、頼む」
「任されよ」
一刀に言われて、星が愛紗の前に出る。
「むむむっ、何だかきょーてきっぽいのにゃ!」
泣くのを止めた孟獲が武器を構える。
「当然。愛紗のように愛嬌で籠絡はできんぞ。私を退けたければ、得物で退けてみよ」
星も己の槍を持って構える。
「言われなくても、お尻ペンペンして泣かしてやるじょ!」
「俺がさっき言った台詞だな…」
「目にも止まらぬみぃの攻撃で、あっという間にオダブツにしてやるのじゃ!」
そういうと孟獲は得物を振るが、星はその攻撃を簡単に避けた。
「目にも止まる早さだな」
「ぐぬぬー。お前が動くのが悪いにゃ! じっとしとくのにゃー!」
「無茶な事を言う。その鈍器、当たれば痛そうではないか」
「仕方ないな……」
そういうと一刀はまた前に出た。
「何のつもりや?」
「こい、ガタックゼクター!」
そう言うと空からガタックゼクターが飛んでくる。
「何にゃ? その虫?」
「クワガタムシだ。変身」
一刀がそう言うとガタックゼクターは一刀のライダーベルトに自分から収まりに行く。
「Henshin」
一刀はガタックマスクドフォームに変身した。
「にゃにゃ、姿が変わったのにゃ」
「さあ、俺に攻撃してみろ」
「避けないのかにゃ?」
「避けるつもりはない。ただ拳で受けようとは思っているけどな」
一刀は拳を構える。
「にゃにゃにゃー!」
孟獲が武器を振り下ろす。一刀はその攻撃を避けることをせず、本当に拳をカウンターで武器に当てた。
「し、痺れるにゃー」
「ああ、痛いな〜」
一刀は痛がるが、孟獲はあまりの固さで体が痺れて泣き出してしまった。
「あ〜あ、ご主人様泣かせちゃった」
「一刀、さすがに今のはあかんって…」
何故か桃香や霞に責められる一刀。
「いや、俺も痛いんだけど……」
「こうなったらみぃの力を思い知らせてやるにゃ! 子分どもー!」
「おーにゃー! みんなならぶにゃー!」
「みんなあつまるのにゃー!」
三人の子分がそういうと、なんとその三人娘と同じ顔と体の女の子たちが何人も集まってきた!
「量産型だと!? 許せるっ!」
一刀がいつの間にかどこかの蜘蛛男の真似をする。
「お館様、そんなバカな事をしてないでもらいたい」
桔梗に説教を喰らわされた一刀。
いよいよ戦いが本番になり互いの兵がぶつかり合った。
一刀はライダーフォームにキャストオフし、森を上手く使いながら南蛮兵を倒す。
地の利は南蛮兵にあるのだが、クロックアップを捕らえることは孟獲には出来ないうえに障害となる木が邪魔して一刀に攻撃が当たらない。
そして戦いは蜀の勝利。孟獲は蒲公英が捕まえた。
しかし一刀は孟獲が諦めの悪さを歴史で分かっていたので、ためしに聞いてみたら本当に諦めが悪かったので、
一刀は史実のようにまた孟獲と戦い、納得するまで戦うことにし、孟獲を逃がした。
蒲公英は凄く不満そうだったが、一刀にあることを吹き込まれてなんかわくわくしていた。
その理由はイタズラと言う名の罠を蒲公英に頼んだのだ。蒲公英はそれが嬉しそうであった。
「さてと…俺もやりますか……」
それから、孟獲は落とし穴に引っかかったり(二回も)、すずめ取りの罠に引っかかったり、逆さ吊りにあったり、
偽ラブレターに黙れて蒲公英に捕まったり、最後はクロックアップによる追いかけっこで捕まった。
そしてやっと孟獲は戦うのを止めて、降参した。それも大泣きだった。本当にひどい目にあったようだった。
「もう嫌にゃ……」
「そうかそうか」
一刀が孟獲の頭を優しくなでる。
「ごめんな……」
その後、桃香の勧めで城に帰ってご飯を一緒に食べ、真名の美以を許してもらい、孟獲は居心地が良いので子分の三人と一緒に居ついてしまった。
(マスコットとしてはいっか)
一刀は心の中でそう思った。
一刀達が南蛮を平定する少し前……。
「思ったよりやるな。蜀のやつら」
「ああ。あの蒼い鎧を着た奴なんてな……」
五胡の国の匈奴の王、呼廚泉(こちゅうせん)と邸の王、千万が話しあっていると……。
「呼廚泉!」
「何だ?」
「この国に見知らぬ服を着た男が生き倒れになっているのですが……」
「見知らぬ服を着た男だと?」
「はい」
「……その男はどうした?」
「そのままにしておりますが……」
「少し興味がわいた。その男の場所に案内しろ」
「分かりました」
呼廚泉と千万は兵に連れられてその男のところに向かった。
二人が案内されたところに行くとその男はいつの間にか起きていて、その場に座り込んでいた。
「誰だ? お前達は?」
「貴様こそ何者だ?」
「俺はお前達に質問してるんだ。質問は質問で返すなと言われてないのか?」
「貴様!」
「まあ、待て。確かにそうだな。では名乗ろう。我が名は呼廚泉。匈奴の王だ」
「匈奴?」
「この国の名だ」
「知らんな」
「貴様の名は?」
「俺か? 俺は……雨瞳布佐志だ」
五胡の国に雨瞳が来たことを一刀は知らない。
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この物語のメインは真・恋姫†無双の話ですが、主人公の一刀の性格が原作と全然違う部分が存在します。それが嫌な方はご閲覧をご遠慮願います。 なおこの物語の原作者は書いた著者ではありません。 原案者の許可をいただき、原案者の名前を書かせてもらいます。 原案者 ビスマス 作成者 BLACK |
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