夏の奇跡
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「ふぅ・・・やっと休憩できる・・・」

 

男は自分がさっきまで格闘をしていたパソコンのモニターから目をはずし腕に力をぬき、ぶらぶらさせた。

 

「もう夏か・・・」

 

 男はふっと窓に目を向けてつぶやいた・・・

 

「あの夏の日を思い出すな・・・」

 

そういってゆっくりとあの夏のことを思い出すように目を閉じて回想に入っていった。

 

 

それはちょうど俺が高校2年生の夏休みに入る前の終業式がある日から始まった・・・

 

「まぶしい・・・・もう朝か?・・まだ七時ごろか・・・」

 

俺はカーテンの隙間から差し込む朝日の光に起こされ、寝ぼけながら時計をふっとみると目覚ましが、セットされている時間よりもかなり早い時刻だった。

 

「このまま寝直したら確実に遅刻だな・・・しょうがない・・・起きるか・・・」

 

すぐに体を起こしてベッドから降り、タンスから制服を取り出して机の上に放置されているズボンとネクタイを取り、着替えた。

 

(朝食、何にしようかな・・・)

 

着替えを終え、そう考えながら少し早めの朝食を作るためにキッチンに向かった。

 

((男の子の名前は田村(たむら) 夕樹(ゆうき)といい、まだ十六歳である。親は二人とも多忙で

あり今は単身赴任中であった))

 

ジュージュー

 

ベーコンが焦げないようにフライパンを揺らし、出来上がると近くに用意しておいた皿に焼いたベ

ーコンを移す。レタスとポテトサラダも同じ皿に加えた。

 

(まあこれくらいでいいか・・・)

 

炊飯器からお茶碗にご飯を盛ると、さっきの皿と一緒にテーブルまで持って行く、それらをテーブ

 

ルの上に置くのと同時に足で椅子をひいて座った。

 

「いただきます・・・」

 

一人で手を合わせ食べ始める。

 

そして食べ終わるころには自分が普段起きている時間帯になっていた。

 

(さて行くかな・・・)

 

少し早いが家を出ることをした。

 

時間帯が早いためいつもより少し遅いペースで歩いてみると風景をゆっくりと眺めることができ

た。

 

俺はふと思い立ち道なりにあるあまり大きくない公園を覗いてみることにした。

 

 そこは昔よく俺が遊んでいた公園で、最近はまったく近寄らなくなった場所だ。

 

「ん・・・なんだ?・・・」

 

公園の入り口すぐ近くのベンチで女の子がいた。

 

その子は握ったり開いたりをしきりに繰り返していた。

 

俺が見ているのに気がついたのか女の子も俺の方を向きジーと見つめてきた。

 

「お・・・おはよう・・・ござい・・・ます」

 

「あ・・・おはよう」

 

女の子が顔を赤くさせながら挨拶されたため俺は頭かきながらすこし照れながら挨拶を返した。

 

「えっと君はなにやっていたのかな?」

 

「あの…手が少し不自由だから…」

 

「ぁ…ごめん」

 

「ううん…気にしなくてもいいんですよ…」

 

俺が悪いと思って謝ると女の子はすぐ首を振ってそう言ってすこし微笑んだ。

 

「あの…名前なんていうんですか?よければ教えてくれませんか?」

 

「俺は田村 夕樹。いきなり名前なんて聞いてどうしたの?」

 

「この時間帯に学生さんいるの珍しかったので・・少し嬉しくて・・」

 

俺はその照れながら答える女の子が綺麗だなとか思いながら見つめていた。

 

「私は…白井 美希(しらい みき)」

 

「いい名前だね」

 

「ありがとう…ございます……」

 

褒めると顔を赤くさせながら彼女は礼を言った。

 

俺がふっと気がつき、ズボンのポケットにある携帯で時計を見ると、もういつも家を出ている時

間になっていた。

「ってもうこんな時間か。そろそろいかないと!」

 

「ごめんそろそろ行くね!じゃあ!」

 

「ぁ、待ってください!」

 

俺が別れを告げて歩き出そうとすると、白井さんに呼び止められた。

 

俺はその理由を知るためにふり返ると彼女は手を伸ばした状態のまま固まっていた。

 

「白井さんどうしたの?」

 

「ぇ……ぁっあの…私…今日は昼すぎまでここら辺にいるので良ければまた話をしてく

れませんか?」

 

白井さんは伸ばしていた手を引っ込め、照れくさそうに俯き、そう言ってきた。

 

「うんわかったよ。今日は終業式だから授業は昼前には終わると思うからまた来るね……」

 

「ありがとうございます・・・あと私のことは下の名前で呼んでください」

 

「え…わかったよ。でも俺のことも下の名前で呼んでね」

 

俺は一瞬下で呼ぶことを躊躇ったが彼女はとても真剣の目で俺を見つめていたためそれに押されて了承をした。

 

彼女は俺が下の名前で呼ぶことを了承するととても嬉しそうな顔を浮かべた。

「ぁ…じゃあまた後で…美希さん」

「はい…また会いましょうね夕樹さん」

 

俺はすこし彼女の嬉しそうな笑顔に見とれていたがすぐ時間が迫っていることを思い出し再度別れを告げると彼女は手を振りながら笑顔のままそれに答えた。

 

これが彼女との・・・そう美希との出会いであった。・・・

 

この後学校に着いた俺は美希さんの事ばかり考えており、先生の話なんて耳にも入っていなかった。

 

 

俺は夏休みになると美希さんに会いに行くため公園に毎日通うようになっていた。

 

美希さんは俺来るたびに、あの公園で出会った時のような行動を繰り返しており、俺のことを見つけると、いつもたわいもない話を美希さんといろいろ話していた。

 

しかし過去の話や美希さんはどうしてこんな時間帯にいるのかはいつか聞こうと、思ってもなかなか聞きづらかった。

 

そしていつも別れる時間になると美希さんはすこし寂しげな顔を浮かべていたこともとても印象に残っていた。

 

美希と出会って三週間もたち、仲良くなり、お互いの呼び名にさん付けも無くなっていたころのある日に珍しく美希から家で昼ご飯を食べてから、行きたいところがあるということで、昼から美希と出かけるため公園で待ち合わせをすることになり、美希を待っていた。

「ん〜まだかな…」

 

俺は美希との約束の時間より少し早めに到着したためぼっけ?と待つことになった。

(それにしても美希が誘うなんて本当に珍しいな)

 

「あの暑い中待たせてごめんなさいね夕樹」

 

「ぇ…ううん時間ぴったりだし俺は大丈夫だから気にしなくてもいいよ」

 

俺がぼけ?と考え事をしていると美希がいつのまにかやって来ていたため、少し慌てた感じで返事を返してしまった。

「じゃあ行きましょうか」

 

「行こうか」

 

美希は俺が慌てて答えていたことに全然気にもしなかったように歩き出したため俺もそれに併せて続く形になった。

しばらく歩いたが、ふと前からあった疑問があることを思いだし、足を止めると、美希もそれに気が付き、立ち止まって後ろを振り向くと少し不安げに俺の事を見ていた。

 

「今からどこに行くの?」

 

この質問で俺が立ち止まった理由がわかり、少し苦笑いを浮かべた

 

「そういえば言ってなかったですね。今から雪阿神社に行こうと思いまして…」

 

「神社?なんで?」

 

「すこし…気になることがありまして…」

 

俺はなにが気になるのか聞き返そうと思ったが少し目を細め、悲しげに空を眺めた彼女の顔を見てなにも言えなくなってしまった。

 

「それじゃあ改めて行きましょうか!」

 

いつもより声を張り上げてそう言うと彼女は歩き始めた。

 

俺は目的地の神社に着くまではなにも言わずについて行くことを決めて、彼女ついて行くため歩き出すことにした。

 

 少し歩いているといつもの雰囲気に戻っていき、神社の階段に来るまでたわいのない話をしながら歩いていた。

 

「ねぇ本当に上るの?」

 

「はいそうですよ?」

 

俺はあまりにも長い階段に、思わず聞き返したが、美希は即答して、そのまま階段を上り始めたため、あえなくに上ることになった。

 

「はぁ…はぁ…やっ……と……ついた……」

 

「だらしないですよ?夕樹はもっと体力つけないといけないみたいですね」

 

俺がひいひい言っている中美希はあまり疲れてないようで笑顔でそう言ってきた。

 

そして俺が息を整えるのを待って俺を連れて神社の奥に進んでいた。

 

「何も変わってない…」

 

「ぇ?何か言った?」

 

「うんんなんでもないですよ」

 

少し懐かしいようでそして寂しげな目でなにかを呟いたので聞き返したのだがすぐに美希に誤魔化されてしまった。

 

(なにか言えないことなのかな・・・)

 

俺が少しさっきの事について考え込んでしまい、気が付くと美希はいつのまにかお守り売っている神社の奥まで移動をしていたため、早歩きでそこに向かった。

 

美希はいろいろなお守りを真剣にじ?っと見つめていた。

 

「なにか欲しいお守りあったの?」

 

「違うんですよ…本当にいろいろ種類あると思いまして…」

 

俺が聞くと美希は目をお守りに向けたままそう答えた。

 

美希の目がお守りの所からはずれないと思い、俺も一緒にお守りを見ていると一つだけ気になる物があり、それをもって販売員の人に渡した。

 

「これお願いします」

 

「四百円になります?」

 

「はいこれで」

 

「ちょうどお預かりします」

 

俺が買っている姿をちょっとんとした目で見ている美希にさっき買ったお守りに自分が首につけて

いたネックレスを外してにお守りを通して美希の首に再度つけた。

 

「ぇ?なんですかこれ」

 

「やっぱり少し変かな?」

「とてもうれしいですけど…」

「お守り…これで守ってもらって」

「ぁ…ありがとうございます!」

 

そのつけた意図を理解するととても嬉しそうに微笑んだ。

 

でもやはり少しだけどこかに悲しみを含んだ物に見えていた。

 

「ねぇ少し聞きたいことあるんだけどいいかな?」

 

「はい分かりました。あちらの方に行きましょう」

 

俺の真剣な雰囲気が伝わったのか、美希は人気のない所を指定して向かい始めた。

 

俺もそれに続いていき、そこに到着すると美希はすこし覚悟を決めたような顔をして振り向いた。

 

「あのね…」

 

「夕樹が聞きたいのはきっと私の過去やこの平日にいるのとかに関係することですよね・・・いつか聞かれるんじゃないかと思っていました」

 

「美希ここに来てからなんだが少し悲しげだから美希の過去になにかあったんじゃないからね。

たしかに俺が聞いていいようなことじゃないと分かっているよ。でも俺は知りたいから……別に言いたくないんならいいんだけどね」

 

「あの聞いていいですか?なんで知りたいんですか?知らなくてもいいことですし、知ってなにかが変わるわけでもないです」

 

美希は真剣なまなざしで俺に対して質問してきた。

 

その質問した目はとても真剣でその理由を知りたがっていた。

 

(なんで俺はこんなにも美希の悲しい顔に気になるんだろう・・・その理由が知りたいのだろう・・・)

 

美希に言われた質問の答えを探していたがどうしてもその疑問があと少しのところで解けない。

「まあ元々理由が分からなくても私は夕樹に知って欲しかったから・・・話すよ・・・もう覚悟も決めちゃっているしね」

 

美希は俺がとても悩んでいることを気づいたのかそう話しを切り出してきた。

 

いつのまにかいつもの敬語口調ではなく砕けた話し方になっていた。

 

「これからいうことは聞き終えるまでなにも口出ししないでね」

 

俺がその事を分かったという意味で首を縦に振るとすこし悲しみを目に込めながら話をはじめ、俺

はそれを黙って聞き入ることにした。

 

「私がこの手が不自由ということは言ったよね?その理由が交通事故なんだよ」

 

「ちょうど私が高校1年の頃車でこの神社までお母さんと二人で交通安全のお守り買いにきたんだけ

ど。」

 

美希はここで一旦一息つき、その後悲しそうに笑い、話をつづけた。

 

「本当に皮肉なものだね、事故は神社から家に帰る時に起きて、私の所お父さんが幼い頃に病気で

亡くなって女一つで育てるためにつらい仕事もやっていたからきっとその疲れがあったんだと思うんだよ」

 

「ハンドル操作ミスって電信柱に激突して、私ね…助席に乗っていたのになにも止められなかったんです……その時お母さんは即死で私はいろいろと強く打っちゃったらしく、気づいたら白いベッドの上にいって手足が自由に動かない状態だった」

 

「本当苦労して、リハビリで歩き回れるまでになったんだけど事故の後遺症でこんな手になってた……今は祖母の家にいますけどとても悪い気にして仕事を探してもこんな手のため仕事なんてそう見つかるものでもない…まあ元々生きていていいのかもわからないけど・・・」

 

美希はすべてを話し終わるとふぅと息をつき、そして悲しげな微笑を浮かべていた

 

「ごめんね・・・・そしてこんなまだ会ってからもそう日にちが経ってないのに話してくれてありがとう」

 

「こちらこそこんな話を聞いてくれてありがとう…あと気にしなくていいから夕樹だから話したかったんだよ」

 

「え?」

 

俺が聞き返すと美希は口元をぎゅっとしめ、決意をしたような目で俺を見返した。

 

「私に普通の態度で接してくれた夕樹だから話せたんです。そして・・・」

 

美希はいったん話を区切ると深く深呼吸をするとだんだん赤面になってきて、そのままの状態で笑

顔になり区切った話を再開した。

 

「私はこの短い時間だったけど夕樹の事を好きになったから・・・だから私のすべてを知ってほし

かったんだよ・・・」

 

そう美希が言い終わると風が吹いて彼女の髪の長い髪を揺らした。

 

俺は美希のその想いを聞き、沈黙をするしかなかった。どれくらいすぎただろう・・・一瞬にも何

分にも何時間にも感じられた。

 

「お…お俺は……美希のことを自分が…どう思っているか…まだわからない…」

 

「いいんです・・・答えがほしくて言った訳じゃないんですから・・・ただ迷惑かもしれませんが私の気持ちを知って欲しかっただけですから」

 

俺が重い口を開き、今の気持ちを正直にいい終わると一瞬少し悲しげな顔をしたがすぐに笑顔に変えていた。

 

(きっと俺のことを気遣ってのことだろうな・・・)

 

そしてまた口調は敬語口調に戻ってもいた。

 

「さあもういきましょう・・・ここにいても仕方ないですから」

 

そういうと美希は神社の階段へと向かい始めた。だがその横顔はまた少し悲しげな顔を浮かべてい

た。

 

(でもこのまま居てもなにも意味ないのだけはたしかだな)

 

俺はそう思い、美希のあとを追うことにした。

 

だが俺は追いついても、会話を振れるほどの度胸もなくお互いに沈黙のまま神社の階段を降りていった。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

階段を降りた後も沈黙がつづいていた。

 

(おれは美希のことをどう思っているのだろう・・・)

 

俺はそんなことをずっと考えながら歩いていた

 

「あぶない!」

 

そんな声と同時に背中を押され、俺は前かがみになりながら飛ばされた。

 

そのあとキー!!!という音がしてドンという鈍い音が鳴り響いた。

 

俺は擦り傷しかしてないため倒れた体をすぐ起こして後ろを振り向くと停車している車とその前で

血を出して倒れている美希の姿があった。

 

いっきに血の気が引くのが感じられた。急いで美希のそばに寄ると目が虚ろになっている美希と車

を運転していただろう男が車から出て放心状態で立っていた。

 

「どうしよう・・・どうしよう・・・」

 

「放心状態になってないでください!すぐに救急車を呼んでください!」

 

「ぁはいいますぐ電話してきます」

 

俺が救急車呼ぶ指示すると放心状態から戻りすぐに携帯で電話をし始めた。

 

そしてさっきの事故の音に気づいたのか野次馬らしき人たちが集まり始めた。

 

「・・・ゆ・・・う・・・き・・・?」

 

俺がなにか他人事みたいに野次馬をみていると美希が俺のことをかすかな声で呼んでいた。

 

「美希!?体どこか痛むか?」

 

「そ…う…いえば……た…しか……にせな…か……や…あた……まがいた…い…で……すね」

 

そういって俺を心配させまいとしたのか軽く微笑んだのだがそれが逆に痛々しかった。

 

美希の頭からは血が出ており、彼女の黒い髪を赤く染め上げていた。

 

「なんでこんなことになっているんだよ・・・」

 

「お……ぼえて…ない……ので……す…か?……ゆう…き……かんがえごと……しているみ……たい…でその…まま……どうろに……とびだ……したんで……すよ」

 

「じゃあ美希が……こんな風になっているのはおれのせいなのか」

 

俺は自分のせいだとわかり、もともと引いていた血の気が一層引く思いをした。

 

そしてその思いと一緒に自分がどれほど美希のことが大事だったのか・・・どれほど必要にしていたのか思い知った。

 

「なぁ?今こんなこと言っちゃいけないとは分かっているんだけど・・・俺な・・・美希のこと好きだということを今さらながら気づいたんだよ・・・」

 

「うれし・・・い」

 

俺は美希の言葉に血で服が汚れることすら考えず美希のことを抱きしめていた。

 

美希はそんな俺の頭をゆっくりと撫でて始めた。

 

「あり…が……と……う……」

 

「みき!!」

 

美希はそういうとそのままに俺の頭を撫でていた手の力が抜けて垂れ下がった。

 

 

 

(とても昔に思える出来事だな)俺はその当時の鮮明な光景を目を閉じながら思い浮かべていた。

 

「夕樹!お茶いれてきたよ」

 

俺が目をつぶって焼きついた光景を思い出していると、開きっぱなしのドアから俺の嫁さんがお茶

のコップを持って入ってきた。

 

「あぁありがとう美希」

 

(まあ美希は無事でいってくれたわけだが)

 

あの後すぐ救急車が来て、美希は運ばれていき、俺はその付き添いで付いていった。

 

美希の怪我は車が結構出ていたスピードでぶつかられたはずなのに命にかかわるほど酷くなく、数

ヶ月たつと無事に退院することができた。

 

その後俺は高校を卒業すると企業に就職をして、美希を嫁にもらうこととなった。

 

「どうしたの?いらないの?」

 

「いやいやもちろんいるよ」

 

俺は急いでコップを受け取ると自分のパソコンが置いてある机に置いた。

 

「それにしてもなに考えていたの?」

 

「俺たちの出会ったころのこととあの事故のことだよ・・不思議だったからね」

 

「たしかに不思議だね・・まあお守りの力に守られたのかもね」

 

俺は美希の発言にやっぱりそうかなっと思い納得をした。

 

あの事故の日たしかに美希の首にかけていたお守りが病院に着くころに気づくと不思議なことにお

 

守りだけなくなっていたのである。

 

ちょうど美希の命と引き換えのようにどこかに消えていたようにだ。

 

「あれは奇跡かもしれないね」

 

「そうだなちょうど夏の奇跡ってところか」

 

「でももしかして私に夕樹を出会わしてくれたこと自体夏の奇跡なのかもしれないと私思うんだ

よ」

 

俺が話に一息つき、コップのお茶を飲み始めるときにそんなことを美希は言った。

 

神は信じないが美希と出会わしてくれたあの奇跡を俺はなんとなく神様に感謝をしたくなった。

 

そう俺たちは夏の奇跡に守られたんだ。

 

 

 

 

後書きという名の言い訳

今作お読み頂きありがとうございます。

投稿している季節と今作の季節は全く違いますが、それでもこの作品に大変思い入れがあり、一番最初に投稿させていただきました。

最後になりましたが、拙い今作を読んでくれて、本当にありがとうございました。

説明
夏に起こったら奇跡のお話
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