真・恋姫†無双〜薫る空〜第66話 覇道編司馬懿√ 
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――曹軍・張遼隊、呉軍・甘寧隊

 

「はぁぁっ!!」

 

「っ!」

 

一刀の合図で突っ込んだんはいいけど、さすがに甘寧相手はしんどいな。

 

速さで負けるつもりは無いけど、こうまで間合いの中に入られたら……

 

「せっ!!」

 

「ぐっ」

 

一発二発と、連続でくる斬撃。

 

攻撃と攻撃の間がほとんどないから、防御から攻撃にまわることもできん。

 

「……っ。やりにくいったらないわ……」

 

「ならば諦めて投降でもしたらどうだ。もとより貴様になど用は無い」

 

「そうもいかんわ。なんやうちの君主様はこの戦、勝ちたいみたいやしな」

 

「それはこちらも同じこと」

 

「まぁな、せやから――」

 

ほんまにめんどくさい配置してくれたもんや。

 

ま――めちゃくちゃ面白い相手ではあるけどな。

 

「力づくでも通してもらおか!!?」

 

「戯言を!!」

 

右、上、突き、払い。

 

ほんまに速い動きしてくるな。

 

受けるんで精一杯なとこやけど……

 

「っ!?」

 

「体勢崩されても、同じことできるか!?」

 

突きには、受けたところをまわしてやれば、力は流れる。

 

「でええい!!!」

 

そこを狙えば――!

 

「はぁぁっ!!」

 

「ちっ」

 

倒れそうになってたくせに、片手で体支えながら蹴りだしてきよった。

 

「器用な奴やな」

 

「黙れ」

 

また立ち上がって、振り出しか。

 

どうしても獲物の間合いが広い分、中に入られると厳しいな。

 

どうするか……。

 

 

 

 

――曹軍・前線

 

 

「今の爆発は……」

 

「――ごめん」

 

「っは。うっ……!」

 

護衛さえいなければ、いくら陸遜といえど武力は普通の女の子だ。

 

少し手荒だったけど、今は我慢してくれ。

 

「彼女をお願いしていいかな」

 

『はっ』

 

部下に陸遜の事を任せる。

 

数名が彼女をつれて本陣へと戻り、残りの者は俺と共に。

 

「待ってろよ、薫」

 

薫は、必ずあそこにいる。

 

貂蝉の話が本当なら、あいつには時間はそこまで残されていない。

 

それは同時に、俺たちにも言えることだが、あいつの行動を読むには丁度いい。

 

早くとめないと……。

 

 

 

 

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――司馬懿軍・本陣

 

 

呉は曹操を相手にかなり手を焼いている。

 

劉備と同盟を組んだとはいえ、実質主力となるのはやっぱり呉軍だ。

 

劉備のほうで戦いにでるのは張飛、関羽、趙雲の三人。

 

関羽は琥珀と相手になっているから、動けるのは張飛と趙雲。

 

ただ、張飛は性格的に前にしか興味がいかないだろうから、おそらく呂布の壁になるのは趙雲。

 

呉からは手があまっているわけではないだろうけど、来るとするなら、黄蓋か、孫策……

 

ま――李儒がうまくやってれば、その心配もないんだけど。

 

はたして、こっちに来るのが誰になるか……

 

「孫策の動きはどうなっている?」

 

近くのものに訪ねると、孫策は曹操軍本船に乗り込む前に、許緒と典韋に足止めされているらし

 

い。

 

「なるほど、まぁ、うまくはやってるわけだ」

 

李儒に言ったのは孫策の足止めと時間稼ぎ。

 

孫策が曹操の下にたどり着けば、この戦はどちらが勝つにせよ、すぐに終る。

 

それではまずい。

 

東南の風と黄蓋の火計。この二つは最低でも起こしておかないと。

 

幸いにも風と火は成った。

 

後は――

 

 

 

 

 

――曹軍・前線

 

 

「北郷様!」

 

「――どうした?」

 

伝令か、俺の隊にはいなかった兵が声をかけてくる。

 

すでに火の手は上がっている。華琳には火が上がったら鎖ははずせるようになっていると伝えてあるから、多少時間はかせげるだろうけど――

 

それでもつらい戦いには違いない。

 

火を放たれた事実は消えず、兵の士気は下がったままだ。

 

「は!敵軍左翼!我が軍の本船にまでせまっております!」

 

「なっ!許緒はどうしたんだ!?」

 

「現在、本船付近にて敵将孫策と交戦中との事!」

 

「孫策!?」

 

なんでそんなところに、孫策が。

 

総大将が前線へ……?罠か?

 

「軍師からの指示は?」

 

「転進し、防衛へ回れとの事です!」

 

「…………!」

 

今敵左翼……周泰への迎撃へと回れば、呉への攻撃が途絶える。

 

だが、かといってこれを放置しても、本陣があぶない。

 

どうする――。

 

いや、桂花がそちらへ回れというなら、それには従わなければならない。

 

「北郷様、それから――」

 

「――?」

 

「荀ケ様より、言伝が。そのまま申し上げます」

 

「うん」

 

「『――――馬鹿は馬鹿を相手にしていなさい』との事です」

 

「え?」

 

「では!」

 

兵は伝え終わると、その場から姿をけした。

 

 

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「…………。北郷隊!転進して敵将周泰を迎え撃つぞ!!」

 

「おおおおおおおおおお!!!」

 

兵達は大声で答えてくれる。

 

船を転進させ、周泰が向かうであろう場所を目指す。

 

「悪い、これ着て、そっちの指示を頼めるかな」

 

俺は兵の一人に、自分が着ていた制服を渡し、そう告げた。

 

「……これは……?」

 

どういう意味だと、その顔が訴えている。

 

「いいから。この戦が終るまで、君は北郷一刀ね」

 

「は、はぁ……」

 

「じゃあ、後の指揮を頼んだから!」

 

「あっ、ほ、ほんご…………隊長!?」

 

理解してくれているのか、俺の事を北郷とは呼ばなかった。

 

周泰の相手は彼らに任せよう。

 

俺は…………馬鹿の相手をしなくちゃいけないらしいから。

 

転進した自分の隊がどんどんはなれていき、俺は呉の陣地の中に入った。

 

船上とはいえ、それぞれの船の役割は陸の上での拠点とさほど変わりはない。

 

だから、それを順番に落としながら行く。

 

一つ目――。

 

呉の最前線に位置された船。

 

大きさはさほどではないが、小船というには少々派手すぎるだろう。

 

「はあぁぁぁ!」

 

「ぐぁっ!」

 

俺の姿に気づいた兵を迎え撃つ。

 

水関、虎牢関のときよりも、ずっと戦いやすい。

 

敵を怖く感じない。

 

ただ突進するだけだったあの頃より、自分の思い通りに体が動く。

 

「がはぁっ!」

 

生臭い兵の返り血を浴びながら、拠点を崩していく。

 

一つ目を終え、次の船へと向かう。

 

さっきの爆発のせいで呉の船にも炎は舞い上がり、火の粉がそこらじゅうに降り注いでいた。

 

昨日まで晴れていた空は、炎から生まれる黒煙で埋め尽くされている。

 

「洛陽、思い出すなぁ……」

 

無意識に呟いていた。

 

そういえば、あの時もこんな感じだった。

 

つくづく、戦と炎というのは縁深いものらしい。

 

二つ目の船に乗り込んだ。

 

最初の船よりも大きな船。誰か将が乗っているのだろうか。

 

そう思わせるくらいには、その船は大きかった。

 

そして、その勘は的中したらしい。

 

 

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「こんなところまで来るとはのぉ」

 

「黄蓋……だっけ」

 

「ふ。よく覚えていたな」

 

その妖艶さは忘れようとしても無理だろう。なんせ曹操軍傘下にはまるでいないタイプだ。

 

インパクトは凄まじいものがあった。

 

それに、彼女によって生まれた被害も、少なくない。

 

「まぁ、有名人だし」

 

「それをいうならお主のほうだろう?北郷一刀」

 

「……はは」

 

「この状況で笑っていられるのはたいした胆力だが……あまり良いものとはいえんな」

 

「…………」

 

乾いた笑いは、あっさり見抜かれていたらしい。

 

「通してもらうよ」

 

「悪いが、それは出来ん相談じゃな」

 

「――……!!」

 

駆け出すと同時、数本の矢が同時に足元に飛んできた。

 

かろうじてかわしたけど、黄蓋が矢を放った瞬間がまるで見えなかった。

 

――なんだ。どうやって打った……?

 

「ほれ、次、行くぞ!!」

 

黄蓋が叫ぶと、また数本同時に、矢が飛来する。

 

かわしきれない。打ち落と――

 

「ぐっ!?」

 

さすがにすべて打ち落とすには俺には技量が足りない。

 

一本落とし、偶然避けられたもう一本。それ以外の数本が、肌をかすめ、一般が足へと突き刺さる。

 

痛みに膝を突いてしまう。

 

「接近戦での弓を甘く見たか?」

 

違う。そんなんじゃない。

 

うちにも弓の名手がいる。接近戦だからといって、弓が容易い相手だと思うはずがない。

 

これは単に……強さの差だ……。

 

「お主は色々と使える。殺しはしないが……」

 

強さの差……。

 

でも、それは――

 

「勝敗とは別だろ!!」

 

「っ!」

 

勢いよく、刺さった矢を引き抜き、黄蓋へ投げつける。

 

すばやく抜いたせいで、立ち上がってから強烈な痛みが襲い掛かってきた。

 

考えろ……俺がこの人に勝てる方法。

 

武力とは別の、何か。

 

――――。

 

 

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「なぁ、この間、あんたは呉を見限ったようなことを言っていたけど――」

 

「嘘でなければ、此処にはおらんだろう」

 

「なら、今でも呉は大切なんだよな」

 

「もちろんじゃ」

 

「だったら……すぐに戻ったほうがいいよ」

 

「なんじゃと?」

 

「急がないと、周瑜が死ぬかもしれない」

 

「公謹が?敵のお主が何を――」

 

「――呂布が来る」

 

「――っ!?」

 

俺がそう告げた瞬間、呉の、おそらく本陣と思われる場所が弾けた。

 

「呂布……じゃと」

 

「あぁ、あそこにね」

 

周瑜はたしか、智謀だけじゃなくて、武術にも秀でていたはずだけど、

 

それでも、呂布に叶うとは思えない。

 

「…………」

 

「俺は、呉の本陣へは向かわないよ」

 

これで、黄蓋が本陣へ向かってくれれば……

 

 

「――関係ない」

 

「え――」

 

「お主も知っておろう。あそこに孫策様はおらん。なら、あそこは本陣であって本陣ではない」

 

「で、でも、周瑜が――」

 

「そうじゃな。もしあそこに呂布がいるとすれば、死ぬかもしれん」

 

「だったら!」

 

「関係ないと言うている!!」

 

黄蓋は激昂する。

 

まるで何かの気持ちを吐き出すみたいに。

 

「儂がすべきは、呉の未来のため!曹操に舞い降りた天の御使い、北郷一刀!お主の頸を挙げる事のみじゃ!」

 

「…………なんで……」

 

黄蓋は俺の戸惑いには関係なく、再び弓を構える。

 

――なんで……?仲間、だろ?

 

「はぁっ!!!」

 

「ぐっ!」

 

――どうして?

 

矢が突き刺さる痛みの中で、疑問と否定が渦巻いていく。

 

「なんでだよ!」

 

「……それが、覇道を往くという事じゃ」

 

覇道……?

 

華琳が歩むといっている、あれか?

 

それが、周瑜が襲われながらも、俺を倒す理由?

 

なら華琳も、似たような状況になれば、そいつを捨ててでも行こうとするのか?

 

言葉では分かる……。でも、俺は――

 

――『薫ちゃんは――……』

 

俺がやろうとしてるのは……

 

――『薫ちゃんは、もうすぐ死を迎えることになる』

 

今目の前にいる黄蓋の信念を否定する……

 

――『それは、彼女の持つあの力の代償』

 

あの時の貂蝉の言葉……覇道を遮ろうとする元仲間を……

 

――『行き過ぎた覚醒は、自らをも外史へと還してしまう』

 

助けたい。助ける。

 

「覇を競う道は狭い。仲良く隣には並べんのじゃ!」

 

黄蓋はまた、矢を放つ。

 

――『だから、彼女を止めてあげてほしい。それがせめてもの……私からの罪滅ぼし』

 

道が狭い、皆が一緒に歩けないというなら。

 

「そんな道!俺が広げて歩いてやる!!」

 

「なっ、全て……双剣じゃと……!」

 

二つの剣は、あのふたりが俺に預けてくれた力だ。

 

「はあああああああ!!!」

 

「ぐっ!?」

 

襲い来る矢をすべて弾き落とし、俺は黄蓋の弓を跳ね上げた。

 

後ろのほうで、弓が地に落ちる音を聞き、俺は黄蓋に剣を向けた。

 

「…………っく」

 

「……やっぱり、周瑜のところへ向かってくれ」

 

「なん、じゃと?」

 

「こんな戦でも……誰かが死ぬのって嫌だろ……?」

 

「お主……」

 

「頼むから、さ……」

 

――ポツ……ポツ……

 

「……負けた身じゃ。好きに使え」

 

「ありがとう」

 

ぱらぱらと落ちる水滴にかまわず、俺は黄蓋の隣を通り抜け、次へと向かった。

 

「…………北郷一刀か。呉の将でないのが惜しいな……」

 

黄蓋は走る一刀の背を見ながら呟いていた。

 

「……それにしても、この空。黒煙で分かりにくいとはいえ、雲脚がはやい……。荒れるか」

 

 

 

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 一刀と……華琳と、皆と別れるあの夜。

 

『そうだね……。あんたにしてみたら、自分の場所に戻るためなんだもんね』

 

 星も雲に隠された夜。

 

 あの日、あたしは決意していた。新しく入った二人の軍師にも、桂花にも負けないくらい、すごい軍師になってやろうと。

 

『ん?言ってなかったこと?何よ、今更』

 

 華琳と話して、そう思った。

 

 自分の内側から、沸きあがってくるみたいに溢れてくる何か。

 

 この人に、ついていきたい。この人の見る先を見てみたい。

 

 そんな気持ちが、あの時確かに、あたしの中に存在していた。

 

『――……え?』

 

 だけど、その決意は……希望は、叶うことは、ないらしい。

 

―――あなたが頑張れば頑張るほど、曹操が活躍すればするほど、北郷一刀の消失に近づく。

 

『だったら――』

 

 打ち破られた決意は、別の見方を与えてくれる。

 

 少し前に打ち明けられたことだから、一刀の事は、まだ受け入れることができる。

 

 それならば、一刀が消えないように、と。

 

 頑張ることが出来る。

 

 だが、外史はそこまで、優しくはないらしい。

 

―――けれど、それは終端を消失させることになる。

 

 この外史の突端は一刀と華琳。

 

 二人のどちらが欠けても、それはこの外史の終わりを意味する。

 

 二人のどちらも欠けなければ、それは終わりの消失を意味する。

 

 そして、その『終わり』とは――。

 

―――終端は、”薫”なの。

 

 

 

 

 

 

「司馬懿様」

 

 配下の声に、意識を現実へと引き戻す。

 

 いくら思い出したところで、現実は変わらない。あの二人が死ねば、外史は終わり、あたしが死ねば、あの二人を残したまま、外史は終端を失う。

 

 要はそれだけの事。

 

「どうかしました?」

 

 本当に世話のかかる二人だ。

 

 あの時も、あたしは――…………。

――あの時?

 

「は。敵、曹操軍が、呉の先陣と突破し、こちらへと向かっています」

 

「そう……ですか。分かりました」

 

 敵軍……。

 

 ここで曹操の軍がこっちへ向かうような予測は見ていない。

 

 予測になかったという事は、あたしが読めない人物。

 

 ……北郷一刀以外ありえない。

 

 どうする?罠でもはっていようか。

 

 いや――それなら。

 

「兵達に伝えてください。十字の旗が見えたら、”道を開けるように”」

 

 いっそ、招いてしまっても、面白いかもしれない。

 

 

 

 

 

 

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 仲達は許緒と典韋を孫策にぶつけろと言った。

 

 なるほど、面白い策ではある。

 

 しかし、相も変わらず恐ろしい読みだ。

 

 どのようにして孫策の単騎出撃を予測したかは知らないが、まさか、この火計も承知の上か。

 

 我らの介入がなければ、おそらくはこの火で曹操軍は一気に瓦解しただろう。

 

「李儒様。ご指示を」

 

 漆黒の鎧を纏った兵の一人が指示を仰ぐべく、膝を地につけている。

 

「そうだな。孫策の足止め、としか聞いてはいないが……それではつまらん…な」

 

 たしかに、あの洛陽で命を救われて以来、奴の下についてはいるが、あまり言いなりというのも癪だろう。

 

「我らは――……曹操軍へ奇襲をかける」

 

「は」

 

 仲達は呉をまず落とし、最後に曹操を、といった。

 

 ならば、その企て、この私が代行してやろう。

 

「林道を抜け、長江へと入る。皆、駆けよ」

 

 合図と共に兵達は駆け出す。さすがに呂布が手塩にかけて調練しただけはある。

 

 練度はそこらの一般兵とは比べ物にならんな。

 

 

 薄暗い林道の中では、この黒の鎧は保護色のようになっていた。

 

 このあたりも計算済みなのか、それとも偶然か。

 

 もっとも、今ではどうでも良いことだが。

 

 ――と、ある程度進んだところで、兵の足が止まった。

 

「どうした」

 

 誰でもなく、声をかければ、皆一様に同じ顔を見せる。

 

 不可思議な、異様なものを見るときの訝しげな表情だ。

 

 何事かと前へと出れば、その種は簡単にみつかった。

 

「そこをどけ、さもなくばひき殺すぞ」

 

 道の真ん中に、女が二人たっていた。

 

「残念ですが、それは出来かねます。我らは此処を死守するよう命じられていますので」

 

「何?」

 

 眼鏡をかけた女がそういった。

 

 死守?何故後ろを守る。

 

 こんなところにいる軍と言えば、曹操軍しかない。ならば敵は前だ。

 

――ふ。答えなど始めから出ているな。こやつらは、知っていたのだ。

 

「貴様ら、何者だ」

 

「我が名は郭嘉。そちらは司馬懿軍とお見受けするが、間違いありませんね」

 

「いかにも」

 

 女は郭嘉と名乗った。

 

 聞かぬ名だが、身なりから察するにおそらくは私と同じ側の人間であろう。

 

「そちらには兵は見えぬようだが、まさかとは思うが二人で我らを止めると?」

 

「えぇ……――風、いい加減に起きろ」

 

「ぉ?……あぁ、もういらっしゃっていたんですねぇ」

 

「……あまり時間がないのでな。強引だが、通らせてもらう」

 

「まぁまぁ、そうあせらずに」

 

 眠りから覚めた女は飄々とそういった。

 

「どの道、あなたにはここで倒れてもらうんですから〜」

 

 なんだ、この女は。

 

 何故余裕を保てる?兵を持たず、ただ二人で道の上に立っているというだけだ。

 

 何が在る?

 

 私と奴らの間には、少しの距離が開いている。彼女らはそこから動こうとはしない。

 

 この空間に、罠でもあると?……いや、愚策にも程がある。

 

 万が一、彼女らが私と同程度の思考回路を持っているとすれば……

 

「突撃だ」

 

「……え?」

 

 兵が私の声に反応するが、その声は疑問を含んでいる。

 

「かまわぬ。突撃せよ。奴らが用いているは空城と類似した策だ。今の曹操軍に後方まで回す兵などあるはずがない。――往け!!」

 

『――……応!!』

 

 一瞬のためらいの後、気持ちを振り切るように兵の怒号が鳴り響く。

 

「…………ふふ」

 

 だが、その光景をあざ笑うように、女の片方が不敵に笑った。

 

 ――そのとき、馬の足音や兵の雄たけびに混じって、何かが軋む音が聞こえた。

 

 メキメキとその身を歪ませ、へし折るような音。大きくなる音とともに、その原因が視界に入ってきた。

 

 幕を下ろしたかのように、兵達を下敷きにして、巨木が彼女らとこちらの道を両断する。

 

「木……か」

 

 何人の兵を連れていたのかは知らないが、たしかにコレならば、軍は必要ないな。

 

「さて、では、隊を分けようか」

 

 私の声に兵が少しの動揺を見せた。

 

 目の前で巨木に押しつぶされた味方がいれば無理からぬだろうが、それを意に汲んでやるほどの余裕はない。

 

「こちらの狙いを調べるために犠牲にしましたか」

 

 両断された向こう側からの声。篭ってはいたが、声色は先ほどの女、郭嘉だ。

 

「効果的だろう?」

 

「……下策ですね」

 

「ならばどう対処する。こちらは既に別働隊が動いたぞ」

 

「残念ですが、それも進軍は不可能です。そちらには――」

 

『もうしあげます!!』

 

 郭嘉の言葉の中、伝令が一人、走りこんでいた。

 

『別働隊、敵軍の伏兵に会い、苦戦中であります!』

 

「……なるほど」

 

 たしかに、抜かりないな。

 

 本陣への道を封じ、迂回路にするであろう道に伏兵。

 

 軍師であれば誰もが考える手ではあるが、この赤壁での状況下でよくこの場に目を移したものだ。

 

「だが、少し……我らを甘く見すぎだな。兵達に伝えよ。”遠慮は、いらぬ。狙いは曹操の頸。

 

それまでの障害はすべて排除しろ”と」

 

 

 

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――……。

 

「騒がしいわね」

 

 森、川、その先の陸。全てから兵の怒号が聞こえる。

 

 火の手も上がり、沈んだ船も両軍共に少なくない。

 

 両軍……。ここにいるのは、私達と、呉、劉備、それから……

 

「華琳様」

 

「桂花。どうかしたの?」

 

 私は隊を引き連れ、本陣から出撃していた。

 

 それは、一刀から聞いた話と、貂蝉の話を基にした作戦。

 

 貂蝉から聞かされたのは、薫の寿命と、あの子の持つ力の事。

 

 聞いた時には、とれもじゃないが信じられない話だった。けれど、それを信じれば、筋が通る例がいくつかあった。

 

 半信半疑なまま、貂蝉の話を終えた後に、一刀はこの先の事を話すといった。

 

 以前、私が黙っておけと言った上でのことだから、それはかなりの覚悟をしたものでしょう。

 

 一刀は、私よりも貂蝉の話を受け入れているようだった。

 

 元々一刀自体も、特異な存在なのだから、何か見えるものがあったのかもしれない。

 

 だから、私は、信じてみることにした。

 

 ここまで共に来た、天の遣いを。

 

「我が軍後方にて、敵襲があったようです」

 

「敵の将は?」

 

「それが……旗は黒一色の無地だったようで、敵将まではまだ分かっておりません」

 

「…………」

 

「薫――……司馬懿でしょうか」

 

「あの子なら私を狙う前に呉を叩きに行くでしょうね」

 

「呉を?……あぁ、なるほど……確かに」

 

 薫は以前からあまり正攻法を使わない。搦め手から敵の出足をくじいて、付け入るような戦法を使ってくる。

 

 もし、私達のほうが狙いだとすれば、薫自身が攻めに来ることはまずありえない。

 

「川の状況は?」

 

「残念ながら、こちらの旗色が悪いようです。敵の火計により兵の士気がさがったまま、白兵戦に入ってしまったのが原因かと」

 

「そう……」

 

 劣勢は承知の上だった。

 

「桂花」

 

「はい、華琳様」

 

「――本陣の指揮をお願い」

 

「…………わかりました」

 

 桂花の目は私の言いたいことを理解している目だった。

 

 この戦で私達は一歩、新しい歩を出す。

 

「それじゃ、行ってくるわ」

 

「ご武運を……!」

 

「えぇ!」

 

 

 

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 なんだ、これ。

 

 敵兵じゃないのかな。

 

 見知らぬ鎧を着けた兵が見え始めたから、敵兵だと思い、身を構えたが、彼らはまったく襲ってはこない。

 

 それどころか、本陣へと続く道を開けてくれている。

 

 これも、薫の指示なんだろうか。

 

 異様な光景の中、俺は足を進め、敵陣へと入っていった。

 

 襲ってこないとはいえ、その緊張感はさっきまでとまるで変わらない。

 

 今にも剣を振り下ろしてきそうだ。

 

 しばらく足を進めたところで、天幕が見えてきた。

 

 柵で囲まれた中に、兵が十数人。その周りにさらに数十人。

 

 その中央に、見覚えのある顔があった。

 

「――……久しぶりだね」

 

「あぁ」

 

 声を張り上げて、普通に聞こえるくらいの距離。

 

 敵同士なのだから、これが丁度いい距離なのかもしれない。

 

「よくわかったねぇ、ここ」

 

「薫ならどうするかなって考えたからさ」

 

「ふぅん……で、”何しに来たの”」

 

 薫の威圧が強くなる。

 

 こんな薫は初めてだった。以前はこんな風に凄む奴じゃなかった。

 

 繰り返してきた戦で身についたものなのか、ただ隠していただけなのか。

 

 どちらにしても――

 

「少し、勘違いしたお姫様を叱りに来た」

 

 ――俺がやることには変わらない。

 

 俺は二つの剣を抜く。

 

『!!!!!!!』

 

 と、その様子を見た兵がすぐさま反応する。

 

 すごい調練を重ねてきたんだろう。その速さは今までに類を見なかった。

 

「待って。この人には手を出さないで。それより、他軍が此処へ来ないように牽制をかけておいて」

 

 だが、薫が彼らをとめる。

 

 主の命は絶対。彼らは言葉通り、抜こうとした剣を収めた。

 

「……あんたこそ勘違いしないでね、”北郷一刀”。あたしはあんた達に降るつもりなんてないから」

 

「まぁ、そういうなよ。一応華琳とも相談して決めたことなんだ」

 

「――……知らない。最初から言ったよね。あたしは……」

 

 薫は右側の前髪をかきあげる。

 

「っ!?やめろ、薫!!!」

 

「あたしはあんたの敵なんだよ!!!」

 

 深紅色だった瞳は、あたかも、薫の内側すら染め上げるように、金色へと染まっていく。

 

「かお――っ!?げはっ」

 

 数メートルと離れていたはず薫の体が、今の一瞬、目の前に現れた。

 

 瞬間的な視界にの変化についていけず、戸惑った時、顎、首に強い衝撃が走った。

 

「……あんたを呼んだのはね……一刀。あんたを此処で殺して、あの子に分からせる為」

 

「ぐっ……」

 

「兵に手を出させなかったのは、うちの兵じゃ、今のあんたには勝てないだろうから」

 

「お前……」

 

 息苦しさの中で、浮かび上がる疑問。

 

 俺は何をされた?

 

「――で、実はあんたに……というか、まだ誰にも言ってなかったんだけどさ」

 

 何?

 

「あたし、実は――結構強いんだよね」

 

 ――後ろ!?

 

 いい終わり、気配のほうへ無意識に剣を向けると、何かにぶつかった。

 

「っ……!」

 

 その衝撃でまた吹き飛ばされるが、今度は踏ん張ることが出来た。

 

 すぐさま体勢を整えて、剣を構える。

 

 だが、次の攻撃は来ない。

 

 なんだ……?

 

 ふと、見ると、薫は周囲を見渡すように、何かを探すように、視線を動かしていた。

 

 そこで、貂蝉の話を思い出した。

 

「薫……もしかして……」

 

「あぁ、そっちか。無意識になられると困るな」

 

「……お前……目を」

 

「…………。……知ってるんだ……」

 

 

 

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 夏口からの向かい風を受けながら、船を進めていると、大きな横波に船体を少し煽られた。

 

「きゃっ」

 

「曹操様」

 

 兵が私を支えるように手を差し出す。

 

「大丈夫よ。それより、急ぎなさい」

 

「は」

 

 兵に声を掛けると、船の速度が増し、向かい風は一層強くなった。

 

 燃え盛る自軍の船を見て、こうまであせらないのは、なんという異常さだろうか。

 

 平和惚け等ではない、予定通りの結果ゆえの安心。

 

 けれど、それは同時に今までかならず避けてきた、犠牲の上に成り立つ方策だった。

 

 得体の知れない歯がゆさに、唇を噛み締めると、ほんのりと鉄の味がした。

 

 薫、あなたは思い違いをしている。

 

 もしも、あなたが本当に、世の終わりを知っているというなら、それは……人の手で変えられるものではないのよ。

 

 だからこそ、結果は未知であることが望まれる。

 

 あなたが知ったそれは、けして、私の終わりなどではない。

 

 ましてや、自身のいない世の事など、自分が案じてどうするの?

 

 それは、あなたのすることじゃない。

 

 それは、”王”である私の役目なのだから。

 

「……後を頼むわね」

 

 向かいの岸に着き、兵の一人にそう告げた。

 

 振り返った向こうには、やはり、真っ赤になった自陣が見える。

 

 バチバチと木の弾ける音が、この距離でも聞こえてきそうだった。

 

 さて、まずは周りの兵を片付けないといけないわね。

 

「――……春蘭」

 

「は、華琳様」

 

 姿が見えないのに、呼んでみれば返事が聞こえた。

 

 少しして、姿を見せた春蘭は、普段よりも真剣な表情をしていた。

 

「まったく、隠れるならもうすこし分かりにくく隠れなさい」

 

「……申し訳ありません。ですが」

 

「いいのよ。けれど、着いてきたのならその分働いてもらうわよ」

 

「御意!」

 

「ふふ」

 

 春蘭の態度に思わず笑いがこみ上げた。

 

 あぁ、この子は本当に頼りになる。柄にもなく、そう思ってしまった。

 

 

 

 

-11ページ-

 

 

 

 「っぁああ!!!」

 

 っ!剣ごしなのに思いっきり体に響いてくる。

 

 薫、こんなに強い奴だったっけ……?

 

 依然として俺に向かって蹴りを放ってくる薫。その眼はいつかと同じく、また、別れの時には片目だったはずの金色の瞳が、両目になっていた。

 

 たぶん、さっきの反応からして、もう目は見えていない。それに、貂蝉の話だと視覚が失われるのはかなり後のほうだという。

 

 薫は今、どのくらい、ヒトとして感じているんだろう。

 

「余計な事考えなくて良いよ」

 

「っ!ごふっぁ・・・・・・!!」

 

 視界が縦に揺れて、意識が飛びかける。

 

 大きくのけぞった後、無意識に黒色に濁った空が目に入った。

 

 ――顎をやられたみたいだ。

 

「がっ……!がはっ……ごほっ……!」

 

 背中から落ちて、肺から何かこみ上げてくる。

 

「ねぇ、一刀……あたしもう……嫌なんだよ……」

 

「かお、る……っ!げほっ!」

 

「殺して、殺されて……あげく消して、消されて……」

 

「俺は……っ!……消えたり、しない!!」

 

「でも、あんたにもあの子にも、誰にも、もう消えてほしくないんだ……だったら……」

 

「違う!!そんな事誰も!」

 

「だったら、あたしが、消えちゃうしか無いよね……?あたしがさ……ねぇ、一刀……」

 

 薫の声がだんだん小さくなるにつれて、その体の回りに、ふわふわと青白い何かが漂い始める。

 

「……李儒、余計な事しないで」

 

 と、脈絡も無く、薫はそう呟いていた。

 

「何だ……」

 

「あぁ……あぁぁ……あっはははははは!!間抜け!!華琳こっちにきてんじゃない!!ばーか!!!」

 

「薫……?……おい、薫!」

 

「あははははは!!!何慌ててんの……?もういいよ」

 

 冷たく笑いながら、吐き捨てるようにそういうと、薫はこちらを向いた。

 

「そこで死ね」

 

 ――っ!?

 

 突然、浮遊していた蒼い霧が強くはじけた。

 

「なっ……」

 

「あぁ……もう喋らないで。無駄だから」

 

「無駄……?」

 

「耳、もう聞こえないの」

 

 それを聞いたとき、俺は何も言えなかった。

 

 耳が聞こえなければ、話すこともできないなんて、どこかで聞いたことがある。

 

 けど、薫は平然と話し続けているから、まだ間に合うと思っていた。

 

 けれど、違った。

 

 薫は、俺の耳で、聞いていたんだ。――自分の声を。

 

「あぁ〜ぁ……あのさぁ……別に助けてくれなくていいから。だって、自分でこうなるって決めたんだからさぁ」

 

 違う。

 

「あたし、言ったよね?真名も忘れろ。あたしはあんた達の敵なんだって」

 

 それも違う。

 

「ほんと……っ。馬鹿だなぁ」

 

 薫が本当に望んでいたら……俺は、ここにはいない。

 

 そういう事なんだろう?薫。

 

「あたしはぁ……あんた達を消さないために……あれ?」

 

 薫は急に首をかしげた。

 

「消さない……ように、殺す?……あれ?……消えるから……消さないから……殺さない?」

 

 薫の言葉に、意味がどんどん薄れていく。

 

 と、同時に、その表情はどんどん曇っていく。

 

「……あれ……あたし……?」

 

 その顔を見てられなくて、攻撃されるのも覚悟で、俺は駆け出した。

 

「あたし……?……私、……何やってんの?……」

 

「薫!!」

 

 強く、強く薫の手を握る。

 

「…………先生?」

 

「え――」

 

 瞬間、膨れ上がる霧は、火をつけた爆薬のように、燃え上がり、大きくはじけた。

 

 瞬間振り向いた薫の顔は、ほんの一瞬だったのに、俺の脳裏に強く焼きついた。

 

 両目があの、俺たちと一緒に居た頃の深紅色の瞳で、驚くくらいに綺麗な涙を流していたから。

 

「――”バイバイ”」

 

 

 

 

-12ページ-

 

 

『うわぁぁぁぁ!!!!』

 

 兵達の悲鳴が、そこかしこに鳴り響く。

 

 陸から生じた突然の大爆発によって怒った突風で、川の水が大きく流され、転覆する船が数多く存在していた。

 

「急に何!?」

 

「これは……敵側のほうから……?」

 

 季衣と流琉が、その様子に戦いを忘れ、ただ傍観してしまう。

 

 吹き飛ぶという言葉がこれほど適切な状況も珍しい。

 

 爆風に船が煽られ、破壊され、打ち上げられている。

 

「嘘でしょ……冥琳!」

 

 重なっていた剣を弾き飛ばし、雪蓮も振り返る。

 

 視線を移した先には呉の本船があった。当初の壮観などまるでなく、打ち上げられた小船が突き刺さり、まるで廃船のようにも見えた。

 

「あ、待て!!」

 

「相手ならこんど続きをしてあげるわ!!」

 

 季衣の放つ鉄球もものともせず、雪蓮は走り去っていく。

 

「季衣、それより陣形を立て直そう?深追いはダメだって華琳様にいつも言われてるじゃない」

 

「う、うん……」

 

 流琉の言葉に、落胆にも見えるが、季衣は足を止めた。

 

「二人とも無事か!」

 

『秋蘭様!』

 

 と、後ろから聞こえてきたのは、秋蘭の声だった。 

 

「今の爆発。おそらく北郷が何か仕掛けたのだろう」

 

「兄様が?」

 

「うむ……。よし、二人は二陣をまとめて一時撤退し、体勢を整えてくれ」

 

『はい!』

 

 指示を受けた二人は、すばやく行動し、その場を離れる。

 

「……北郷、華琳様を頼むぞ……」

 

 

 

 

-13ページ-

 

 

 

 

「ちっ」

 

 手元で火花がいくつも散る。

 

 元々一騎打ちだったこの場に、先ほどのような爆発が関係あるはずもなかった。

 

「後ろか!」

 

 偃月刀を後ろへ回せば、狙ったようにそこへ琥珀の斬撃が襲い掛かる。

 

 足場は悪く、水面から突き出た船先や、真っ二つになった小型船。そんなものが唯一足の置ける場所だった。

 

 間合いの大きなこちらは、どうしても踏み込みが要になってくるが、細かい動きと早い手数でくる琥珀のほうにどうしても分がある。

 

「……」

 

 猛攻が終ると、互いに届かない距離にまで離れる。

 

 こうして目を見ると、さっきの言葉を思い出す。

 

――『私と戦え!!』

 

 琥珀の口から、そんな言葉を聞くとは夢にも思わなかった。

 

 けれど、不思議なことに、つらさは確かにあったのに、その中には嬉しさが入り混じっていた。

 

 こうして、私の前に立つほどにまで、琥珀は成長していた。

 

 あの時、賊に邑を襲われた時に絶えた望みが、目の前に存在している。

 

 だから、嬉しかったのかもしれない。

 

「琥珀……」

 

「……」

 

 琥珀は、今の攻撃で体力を消耗したのか、肩が上下している。

 

 それはそうだろう。元々体力が違うというのは当然あるだろうが、それ以前に、琥珀は左腕しか使っていない。

 

 地の利はたしかに琥珀にあった。

 

 だが、それ以上の枷が、琥珀にはつけられていた。

 

「腕は、動かないのだな」

 

「……関係ない」

 

「……関係、ない?」

 

 琥珀、お前は戦えといったな。

 

 曹の名を背負い、私の前に立ちふさがり、分かたれた道を否定しないと決めた。

 

 いいだろう。私も、迷うのはやめよう。

 

 ただ、お前の決意と、お前が生きて来た証に、全力を持って答える!

 

「あまり、私をなめるな――!!」

 

 難破した船もろとも、川を、”両断”する。

 

「っ!?」

 

 琥珀は反応し、上へと飛び上がる。

 

 琥珀……。お前の速さは確かに脅威だが……お前は気づいてるはずだ。

 

 まだ、私には一撃も当たっていない事を――!!

 

「速いな、琥珀。私と同じくらいだ」

 

「ぐっ!!?」

 

 後ろへと回り込み、偃月刀を振りぬけば、琥珀を防御した太刀ごと、川へと叩き落とした。

 

 すぐに着地して様子をみるが、琥珀はすぐには上がってこない。

 

「…………」

 

 決まったのか。

 

 いや。

 

「―――!!!」

 

 水面が大きく打ち上げられ、その上には琥珀の姿がある。

 

『――風車』

 

「はあああああああああ!!!」

 

 琥珀から放たれる竜巻。

 

 それが水を含み、嵐をむけられているような気になる。

 

 覚悟が形となった琥珀の技……。その威圧感は以前感じた、呂布にも劣らないものだ。

 

 私は、私達の夢は、その先にある。

 

 琥珀……。私は、お前を――。

 

「はああああ!!!」

 

「っ!?……」

 

 竜巻は、私を中心に二つに分かれる。

 

 力を失った技はただの水滴となり、川へと戻っていく。

 

 不思議な感覚だ。琥珀を思えば思うほど、偃月刀へと流れる力が増していく。

 

 どんどん、高揚する。

 

「でやあああ!!!!」

 

 二の太刀を振ると、明らかに間合いの外にある物まで、断ち切ってしまえるような気がした。

 

「あい、しゃ……」

 

 そんな感覚に呼応して、手ごたえと共に、琥珀の体は、再び長江へと沈んだ。

 

 

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 ………………。

 

 ふわふわする。

 

 まるで宙に浮いてるみたい。

 

 あたし、どうしたんだっけ。

 

 なんか、何かに流されたような。

 

「久しぶり」

 

 誰?

 

「私」

 

 私?

 

「そう。少し前までよく話してたんだけどな。覚えてない?」

 

 わかんない。

 

「呑まれちゃったんだね」

 

 何に?

 

「自分だよ」

 

 あたしに……呑まれる?

 

「うん。あなたには、たくさんの人の思いが集まる。ううん、人だけじゃない。物や外史もそう」

 

 何言ってるの?

 

「わからないかな」

 

 うん。

 

「たくさんの思いを受け入れるのに、あなたっていう人間は邪魔なんだ」

 

 あたし、邪魔なのか。

 

「うん。邪魔。だから、ちょっとずつ消していくの」

 

 最初は、匂い。

 

「次は、感触」

 

 その次は、味。

 

「そして、目」

 

 最後は、音。

 

「ううん。最後は音じゃない。最後はその後」

 

 ……あぁ、あたしか。

 

「そう。あなた」

 

 でも、あたしはまだいるよ。

 

「うん。だから、まだ間に合うよ」

 

 間に合う?

 

「思い出して、薫。あなたはどうして、ここにいるの?」

 

 ……あたしは、あんたの手伝いで……

 

「ううん。違うよね。私は、あなたから生まれた私」

 

 え?

 

「思い出して。私は薫だけど、司馬懿じゃない。じゃあ、司馬懿じゃない薫は誰なの?」

 

 ……あたしだ。

 

「うん。あなたは司馬懿で、薫。私はあなたから生まれた薫」

 

 あたしは……

 

「約束したよね」

 

 約束?

 

「うん。――……あなたの望んだ外史を、見せてくれるんでしょう?」

 

 ……あぁ、そうだったね。忘れてたよ。

 

 あたし……。ううん、私は、もう一度、会いたかった。

 

「うん」

 

 そして、また、生きたかった。

 

「うん」

 

 季衣と、流琉と、

 

「うん」

 

 秋蘭と、春蘭と、

 

「うん」

 

 霞と、桂花と、

 

「うん」

 

 稟と、風と、

 

「うん」

 

 天和と、地和と、人和と、

 

「うん」

 

 凪と、真桜と、沙和と、

 

「うん」

 

 そして、だれより……

 

「うん」

 

 華琳と……、先生と!!!

 

「――……思い出した?」

 

「うん。ばっちりね」

 

「だったら、もう一度聞いていい?」

 

「うん」

 

「……誰も、お前を覚えてはいない。彼も、彼女も」

 

「うん」

 

「それでも、望むか?」

 

「うん。望むよ」

 

「ならば、見せてみろ」

 

「見せてあげる。私の……司馬懿の望んだ、ほんとの外史を!!」

 

 

 

 

 

 

-15ページ-

 

 

 

「くっ……華琳様、ご無事ですか!?」

 

「えぇ、無事よ。春蘭」

 

 爆発が収まり、周囲には砂塵が舞い上がっている。

 

 目を開けるのもつらい中、かろうじて見えたのは、さっきまではっきりと分かっていた兵士達ではなく、一人の人間の影だった。

 

「あれは……」

 

 もしやと、一瞬思いついた予想はあった。その確立も高い。

 

 だが、一人というのが解せなかった。

 

 私の予想通りならば、そこにはもう一人いるはずだったから。

 

「一刀!!」

 

 けれど、私は、その思い浮かんだ人物の名を叫んだ。

 

「……?……華琳!?え、なんで、ここに!?」

 

「は?あなたが此処に薫がいるといったんでしょう?」

 

「そ、そうだけど……って、春蘭さんはどうして剣を構えているのかな……」

 

「先ほど爆発は貴様のせいなのか、北郷!」

 

 いつにもまして春蘭が凄んでいる。

 

 あぁ、気を張ったところにさっきの大爆発。そこへきて一刀の顔を見れば、こうなるわね……。

 

「い、一応そうなるの……かな」

 

「やはり貴様のせいなのだな!!」

 

「う、うわっ!え、えと……きょ、今日は冴えてるな、春蘭」

 

「む、そうか?」

 

「うん、うん。よく俺が原因だって見抜いたよ。本当に」

 

「ま、まぁ、私にかかればな!」

 

 はぁ、どうやら機嫌は直ったみたいだけど、これでは帰ってから色々と話さないとだめね。

 

 けど、今はそれよりも。

 

「一刀。薫はどうしたのかしら」

 

「あ、あぁ……薫は……」

 

 一刀が急に不安げな顔になる。

 

「……。あった事、全て話しなさい」

 

「そうだな」

 

 

 

-16ページ-

 

 

 

 一部始終話したところで、華琳はやはり怪訝な顔をした。

 

「はぁ……未来が詠めたり、急に消えたり。頭が痛くなってくるわ」

 

「最後は、なんだか元に戻ってたみたいだったけど……それより、華琳、周りの兵達はどうしたんだ?」

 

「兵?……あぁ、全て消えていたわ。気配を感じただけで、きちんと視認したわけではないから、確かな事はわからないけれど」

 

「そっか」

 

 華琳や春蘭で分からないのなら、薫と同じように消えてしまったのかもしれない。

 

 ――。

 

 また、とめられなかった。

 

 薫の状態はどんどん悪くなり、最後には目どころか耳までやられていたようだ。

 

 もうおよそ五感と呼べるものは全て失って、薫は何をしているんだろう。

 

 不安が堂々巡りのように、頭を駆け巡る。

 

「一刀」

 

「ん」

 

「薫がいないのなら、すぐに戻るわよ。いくら桂花と秋蘭が指揮を執っていても、そろそろ限界のはずだわ」

 

「……あぁ、そうだな」

 

 薫が心配だけど、軍を放り出すわけにはいかない。

 

 俺たちは、わずかに懸念を残しながら、その場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!」

 

「くっ……なんという力だ……!」

 

 呉本船。いや、頭に元とつけたほうがいいかもしれない。

 

 それほどの被害を受けているにも関わらず、今だに沈んでいないのは、呉水軍の技術力の賜物だろう。

 

 だが、それも時間の問題となっていた。

 

 ある意味では、爆発などよりもはるかに危険な要素が存在していたから。

 

「せやああ!!」

 

 趙雲の連突き。

 

 常人ではほとんど見えないような技だが、呂布の前ではただの突きとなるらしい。

 

 軽くそれをいなし、呂布は体を反転させ、間合いを計りながら、攻撃を繰り出す。

 

「ぐぅっ!!」

 

 方天戟の刃が重く、趙雲の槍に降りかかる。

 

「まったく……一人でこいつを倒せとは、軍師殿も無茶を言ってくれる」

 

「……どけ。恋は薫の命を果たす」

 

「何?」

 

「……どけ!」

 

 呂布が再び突進すると、瞬く間に目の前までやってくる。

 

 どう見ても戟の間合いではないが、それも関係なく、呂布は武器を振りぬいた。

 

「くっ」

 

 趙雲の体が浮いたところで少し間合いが開く。

 

「……は!」

 

 そこへ、間髪いれず、呂布は二撃目を入れる。

 

「―――……!!」

 

『恋、もういいよ』

 

「?」

 

 突然、呂布の頭に声が響いた。

 

 それにあわせて、首へと下ろされようとした撃は軌道を変え、船体を抉るように地に突きささった。

 

『もういいよ。恋』

 

「……わかった」

 

「な、なんだ……?」

 

 理解はできないが、呂布は聞きなれたその声に従う。

 

 趙雲が顔に疑問を浮かべている間に、呂布はその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

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「ふぅ……後は」

 

 残った力の最後で、恋を下がらせて、呉の本陣は……まぁ、形だけは無事だね。

 

 本陣に奇襲をかけたから、先陣の甘寧と周泰も撤退するだろうし。

 

 曹操軍のほうは華琳が戻れば一度撤退して、体勢を立て直すってところか。

 

 まぁ、見事に痛みわけになったね。

 

「……と、もう、いないのか」

 

 頭に話しかけても、あの子は返してはくれない。

 

 結局あの子は、私にとって、なんだったのか。

 

 外史を移ることで無くした記憶。とでもいうんだろうか。

 

 あはは。それじゃ前の私と同じじゃない。

 

 どこまで行っても、変わらないな。私は。

 

「……どうしようかな……。これから」

 

 他人として知っていた記憶を取り戻した。

 

 目的を思い出したのはいいけど……。

 

「今更、戻れないよね」

 

 長江から引き上げていく曹操軍を見ながら、そう思う。

 

「……へへ。見事に消えてる」

 

 肩や額を水面に照らしてみる。

 

 そこには何もなく、ただ肌色の自分が移っていた。

 

 瞳も真っ赤で、前みたいなことはない。

 

「……未来。もう見えないんだね……」

 

 川原に座りこんで、しぶしぶ呟いた。

 

「帰りたいなぁ……」

 

 と、両手を挙げて、後ろへと体を倒す。

 

 ――ごんっ!!

 

「いったああああああああああ!!!」

 

 後頭部に何か当たった。

 

 石並みに硬いそれの正体を確かめようと、後ろを振り向く。

 

「…………」

 

「……え、こは、く?」

 

 水浸しに濡れた琥珀が、打ち上げられたように、そこに眠っていた。

 

「え……ちょっと、琥珀!?」

 

 だが、安心しそうになったとき、それに気づいた。

 

 琥珀が呼吸をしていない。

 

「琥珀!ねえ!琥珀!?」

 

 呼びかけても、返事なんて返ってくるはずがない。

 

「え、えと……たしか……」

 

 一刀の記憶を見たときにこういうときの対処法があった。

 

 たしか――

 

「――っ!!???」

 

 え、えええ、ええええええ!!?

 

 う、うそ、まじで!?これしか方法ないの!?

 

 一刀の記憶あった方法は、いわゆる口付けという奴だ。

 

 ぶっちゃけて言えば、初めてなんて華琳に奪われているわけなんだが、それとこれとは別だろう。

 

 自分からするのと、強引にされるのでは恥ずかしさが段違いだ。

 

「待て……。落ち着け私。琥珀は女の子だ。だから大丈夫」

 

 何が大丈夫なのかはこの際どうでも良かった。

 

 とりあえず逃げ場になるような言い訳がほしかったのだ。

 

 でないと、こうして迷っている間にも琥珀は苦しんでいる。

 

「よ、よし!」

 

 大丈夫だ私。私はやればできる子。いや、しないけど。いや、やるんだけど。

 

 だ、だから最後まではしない。うん。

 

 途中までやればできる子。うん。

 

 途中ってなんだ?途中は途中だ。

 

「ええい!行くぞ!!」

 

 ほとんど春蘭風に掛け声をかけて、私は目を閉じて琥珀の口元へと顔を寄せ――

 

「ぶはっ!!!」

 

 ――ばしゃっ!

 

「…………」

 

「けほっ……けほっ……、ん、薫……?」

 

「おはよう……」

 

「おはよ」

 

「…………」

 

「……おひさ」

 

「…………っ……うん」

 

「……薫」

 

「……っ……何よ」

 

「……泣く前にご飯」

 

「もっかい死ね」

 

――ごんっ

 

「……痛い」

 

「てか、あんたなんでこんなところにいんのよ」

 

「……えと……関羽に負けた」

 

「それは知ってる……。あぁ、打ち落とされて此処まで流れてきたのか」

 

「……それだ」

 

「いばるな!」

 

「……地味にへこんでるのに」

 

「そ、そうなの?ごめん……」

 

「おなか減ったな……」

 

「――〜……っ!(こいつ全然へこんでないな!)」

 

 

 

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「とりあえず、帰る」

 

「華琳のところへ?」

 

「うん」

 

「そっか」

 

「薫も帰る?」

 

「私は……」

 

「カオルモカエル」

 

「へ?」

 

「方術みた――」

 

――ごんっ

 

「痛い」

 

「人のトラウマで遊ぶなっつの!」

 

「トラウマ?」

 

「心の傷」

 

「一刀みたいだ」

 

「まぁ、覚えたことを忘れないのは元々みたいだしね」

 

「……帰る?」

 

「……帰っていいのかな」

 

「ダメだと思う」

 

「そこ励ますとこよね?」

 

「薫、変態だから、逆の事いわないと――」

 

――ごんっ

 

「あで……。顔の形変わる」

 

「せめて天邪鬼っていいなさいよ。ていうか、あんた頭固いから私の手のほうが変形しそうだ」

 

「コハクの勝ちだな」

 

「勝敗にこだわるなんて、子供ね」

 

「――……ギャグ?」

 

――ごんっ

 

「なんで無駄にそういう言葉は一刀の影響うけてるかな!」

 

「薫、殴りすぎ……」

 

「…………うるさいな」

 

「…………ふぅ。よしよし」

 

「へ?」

 

「ちょっと屈め。よしよし」

 

「あ、はい」

 

 急に琥珀は頭を撫でてくる。

 

「何これ」

 

「……よしよし」

 

「何よ。私は……」

 

「…………」

 

「誰にも、いわないでよ……」

 

「うん」

 

「…………っ」

 

 なんでか、琥珀の手が妙に暖かくて。

 

 前に消えそうになった時、華琳にも同じように抱かれたことを思い出して。

 

 気づけば、私は声をあげていた。

 

「うあああああああああああああああああ!!!!!!」

 

 いろんなものを思い出して、それが全部降りかかってきて。

 

 たくさんの人を殺して殺されて、その感覚だけを共有して。

 

 いろんな人が私を恨んでいる。

 

 だから、星詠のせいで、五感が消えていったのは、ある意味救いだったのかもしれない。

 

 こんなものを、背負いきれるはず、なかったから。

 

 

 

 

-19ページ-

 

 

 

 

 

 

 森の中。両軍が撤退していく中、ふさいでいた壁を突破しようと試みた先、告げられたのは、主からの死の宣告だった。

 

「……ぁぁ……」

 

 うめくように、声がもれる。

 

 黙っているにはあまりにも大きすぎる怨嗟だ。

 

「あぁぁぁぁぁ……ああああああああああああああ!!!!!」

 

 ここまでの屈辱があるだろうか。

 

 奴は、仲達は、この私を捨てた。

 

 あぁ、そうだろう。命を存えさせ、利用価値を探して探して、これがその結果だ。

 

 私が逆の立場で会ったところで、切り捨てたであろう。

 

 だが……この感情と事実は別だ。

 

 道をふさいでいたあの二人がいなくなったところを見ると、どうやら二軍は一時撤退したようだ。

 

 仲達からの声が聞こえなくなってからのこの動き。

 

 奴は、下手をうったらしい。

 

 ……なら、どうする?どうすれば、この感情を抑えられる?

 

 簡単だ……。

 

 奴を殺せばいい……。

 

「ふふ……ふははは……あっははっははははは!!!」

 

 答えが昇華して私の中に入り込んでくる。

 

 そうだ。これだ……。

 

 お前もこれをもっていたんだろう、仲達。

 

 感情の波に体を任せたまま、流れてくる、蒼い答えを受け入れる。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 心地よい。

 

「…………仲達……。手に入れたぞ……貴様と同じ力だ……」

 

 

 

-20ページ-

 

 

 

 

【あとがき】

 

こんにちは。

今回で、司馬懿√の分岐が終わりです。

次回からまた琥珀√と合流するんですが、次回もまたしばらく時間かかると思います(、、

 

 

 

さて、とりあえず全行程の約半分かな?くらいまで来ました。

薫が終端だの外史だの、前作でのゴタゴタを引きずるのもこれでほぼ終わりです。

まだ、恋の状況とか、赤壁の決着とか、西涼の事とか、五胡の事とか、色々残ってはいますが、それはまた次回以降という事で。

 

にしても、このお話二次小説って言ってもいいんでしょうか……?w

続編、続編ときてるから、もう三次四次小説くらいじゃないんだろうか。

というか原作設定崩壊しすぎじゃないだろうか。

 

なんつって( ´゚д゚`)

 

もう最初の頃の勢いもないし、投稿するの怖いなぁとか思ったりもしたんですけどね。

なんか、まだ支援してくれる神が二十人もいらっしゃるようなので、もう少し好意に甘えようと思います。

 

最後にキャラの状態変化だけ。

 

 

 

薫⇒チートから普通のヒロインになりました。

琥珀⇒腕が片方だけしか使えないので、結構弱体化。

一刀⇒主人公なのに半分空気化。

華琳⇒原作よりツン成分控えめで大人なお姉さん系になりつつ。

秋蘭⇒琥珀のせいで原作より苦労人。

愛紗⇒説明不足もあってか、勘違いしているシスコン状態。これから頑張ります。

朱里⇒薫とのかねあいもあり、原作よりどころか、結構黒いです。

恋⇒Sサイヤ人もびっくりなほど無双状態。一人で三万人?片手で十分です。

 

 

こんなところかな……意識的に変えているのはこれくらいです。

あとは単にキャラ崩壊起こしてるだけ。。。

 

こんなんでも次投稿していいですか?(´・ω・`)

 

 

ではでは。

説明
俺たちの戦いはこれからだ!

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コメント
復活待ってます(きの)
薫・琥珀のやりとりがとても和みました。このまま消えてしまうのではと不安でした。このまま魏に薫が戻ってきますように(ue)
琥珀と薫が接触するとは予想外だったな、とりあえず薫が消えるのは一応阻止できたのかな? 薫と同じ力を手にしたって・・・またやばそうな感じになりそうだな〜(スターダスト)
さーせん ブログのほうでみてたので支援できませんでした。 それと3次4次でもオリジナルなのは好きなので、投稿ヨロシク?(conqueror)
琥珀ならではの純真さだからこそ薫の最後の枷を外せたように思えます。3次4次?バッチコイです!物語の前に「外史」とつけばどんな世界観&設定も有りですw(kurei)
久しぶりに見ました薫と琥珀のコント・・・そしてラスボスみたいな台詞を吐いてるのって、まさかあの人なのか?(ほわちゃーなマリア)
俺たちの戦いはこれからだ! b( ´・ω・`) 愛媛みかん・・・(thule)
大歓迎さ!!俺は貴方の物語が切っ掛けで恋姫の二次小説を知ったのですから!!琥珀、GJ。(峠崎丈二)
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