二重想 第二章 四
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どうも、米野です。

昨日鬼武者を徹夜でやって、、なんとか無印をクリア。

しかし同時に買った2がなんと、ディスクを読み込まない。

 

・・・・・・ふざけんなぁ!!!!

 

今日バイトついでにかちこみに行きます。

 

さて恋姫夢想のSS毎回応援していただき誠に有難うございます。

ただ二重想の行進が止まっていたので、一気に最後まで消化してしまいたいと思います。

恐ろしいペースであげますが、オリジナル作品を読みたくない人は、タグで検索するなり、作品紹介の所で飛べるようになってますので、それでとんでいってください。

では、二重想をしばらく失礼いたします。

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彼女と逢ってから数ヶ月、暦のほうも、もう十二月をさしていた。あの時から彼女と、ほぼ毎日のように、逢っている。そして僕は、日を追うごとに、彼女に惹かれていた。

お互い運命のめぐり合わせのような立場に、存在しているけれども、彼女の願いは、そう簡単に果たされることはなかった。要するに、僕の根底にあるとされている記憶、それが、引っ張り出されることはなかったのである。

終いに、彼女は言っていた。もう、打てるだけの手は打ったと。

もしかしたら、僕は僕じゃないのかもしれない、本当は。しかし、それはあまり僕には関係ないことだ。それはあくまで、彼女が気にするべき点であって、僕は、雪村聡志のまま、彼女を見つめていればいいのだから。

雪村恵吾という人間を接点に、僕は彼女のことをいろいろ知った。

彼女は水泳の推薦で大学に入り、今も水泳を続けているということ。

その練習のために、暇な時間が少ししか取れないこと。

洋菓子や紅茶が好きということ。

クラシックよりもジャズのほうが好きなこと。

ファンタジーよりも、伝記のほうが好きなこと。

何よりも、『彼』のことを一番に考えていること。

だから今日も……また。

……僕達は、まだ日の高い中、一つの墓石の前でじっと手を合わせていた。今日は気温が比較的高く、北風も強くなかったので、そんなに辛い墓参りにはならないようだった。

一度も逢ったことのない人に向かって、手を合わせている。しかし、信じられないことに、私は彼女のことを、知っているような気がした。

人を想いながら死ぬ。……実際、彼女の気持ちを知ることは出来ないが、想像することはできる。さぞ、無念だったことだろう。そして、その死に立ち会った『彼』の方は、もっと……。

階段から落ちる、冴ちゃん。それを見ている僕。手を伸ばしているのに、無情にも彼女の体は、死線を越えていこうとする。……まぶたの裏にそのシーンが浮かんだだけで、身震いがした。

ゆっくりと目をあける。まず、供えてある菊が視界に入る。その黄と白い色が、『霧下家之墓』の刻印をより深く、悲しみにくれさせている。

「……これで、いいかい?」

「うん、ありがとう。聡志君。……ごめんね、私の我儘に付き合わせちゃって。」

「いや、いいんだ。一度くらい、来ておいたほうがいいかな、なんて思ってたし。」

「……うん。ありがとう。」

再度、礼の言葉を彼女は言ったけれど、僕は、二回目のほうは特に反応を示さなかった。する必要も感じなかったから。

僕は彼女のことを、『彼』から引き継いで、冴ちゃん、と呼ぶようにしている。彼女はもう僕のことを、君付けで呼ぶようになった。『彼』のことを呼ぶ時は、雪村さん。僕のことを呼ぶ時は、聡志君。時折、僕のことを、雪村さんと呼ぶことが、ないわけではなかったが、僕は敢えてそのことを、口にはしなかった。……しょうがないことと諦めていた。

そんな状態がずーっと続いていたから、僕らの関係は、特に変わることはなかった。自然と友達になったし、まあ、……彼女はそれで満足してはいなかったが。かといって、それで不幸でいるわけでもなかったから。

僕は十二分に満足だった。いっしょに過ごす時間が長くなるに連れ、彼女は僕のことを、『彼』ではなく、雪村聡志として見てくれるようになったし、なにより、僕のことを、君付けで読んでくれていることが、一番嬉しかった。……この前は、一緒に映画も見に行ったし。

強いて不満をあげるとすれば、彼女が僕の気持ちに気付いてくれないことだった。けれど、それは、いくらなんでも贅沢すぎる願いだと、わかっていた。それに、逆に僕は、彼女に自分の気持ちを気付かせるわけには、いかないのだ。

彼女が僕のことを、『彼』だと思い込んでいるうちは、このことを気付かせる訳にはいかない。無闇に彼女を傷付けたくはない。

別に、これは、優しさっていうわけじゃない。単なる自己利潤のために過ぎないんだ。

僕の気持ちが何らかの方法で、彼女に伝わってしまったら、彼女は、きっと僕と逢わなくなるだろう。そんな気がする。……だから、僕は、この時期は、告白しないでおこうと思ってる。彼女と二度と会えないなんていうのは、今の僕には死ぬのと同義だから。

寺の名前が書かれた、木製の桶と柄杓を、僕は手に取った。

「じゃ、そろそろ行こうか。」

「……うん。あ、片方私が持つよ。」

僕らは墓地の隣にあるお寺へと向かった。ちょっとした通路をとおり、簡単な石庭のある風景が見えれば、そこが、寺の敷地内だ。

……やっぱり、きたことあるのかな?

行きに来た時もそうだったが、どこか、懐かしい気がする。一度来たことがある、のだろうか?寺の構図、石庭、桶置き場、墓地……ここまでの道のり……。一度足を踏み入れたような気がしてならない。

桶と柄杓は無料で貸し出してあるので、その置き場所へと僕らは歩を進めた。

木で組み立てられた、簡易な桶置き場。元あった場所へそれらを返すため、僕は体を屈めた。

カタッ。それと共に涙が落ちる感触。

どこか懐かしい音が、脳の中から響いてくる。僕の体の動きが、それに反応して急に止まった。

「……聡志君?どうかした?」

「……いや、なんか、涙が……。」

「……えっ?いきなり、どうしたの?」

彼女が不思議そうに私の顔を覗き込んだ。

「聡君……涙なんか出てませんよ?」

「うそっ。」

そう言いながらも、確かに視界はくっきりとしている。涙は、出ていないようだ。試しに、手の甲で拭ってみるが、涙の形跡は現れなかった。

……一体何で?

僕は、曲げていた体を起こして、よーく自分の身体を見回した。……異常な点は見られない。……気のせい、なのかな?

そこへ、微かに低音のビートが、僕の耳へと流れ始めた。経が流れているのだ。

「葬式、なのかな?」

「そうかもね。」

彼女の問いに、軽く僕は返した。その途端、頭にヴィジョンが流れ込んだ。霧下冴子の泣き顔が、一瞬だけ鮮明に写る。

……デ・ジャヴ?

世界が、三百六十度、見えるようになった。しかしその世界は全て鯨幕で、出来ている。……これは、誰の葬式?

頭が、重い。

……痛い。……割れそうだ。

「聡志さん?」

「なんか、……やばいかも。」

「えっ?」

彼女が僕を見つめる。その理由は自分でもわかっていた。僕は、内側から溢れてくる何かと、格闘していたのだ。そのため、外から見ると、悶え苦しんでいるように見えるのだろう。

「……くっ。」

呻きが自分の口から発せられる。もう立っているだけでかなりきつい。僕は体中に力を入れ、地面に根を張るかのように、踏ん張った。

しかし、もう、頭が、駄目だ。

「聡志さん?大……丈…夫?」

聴力に異常がきたされている。音が小さくなったり、大きくなったり、ノイズが混じったり……。いつの間にか視界も真っ暗だ。さっきまで見えていた風景も全く見えない。どうしたんだろう……僕。

「ゆ、き、む、ら、さ、ん。」

霧下冴子の小さい声が聞こえる。微かに聞こえる。

……その声に、諦めを抱く。

……やっぱり、心配しているのは、僕じゃなくて、『彼』なんだね。

嫉妬という感情が、心内で渦巻いていく。でも、それでも、僕は、彼女が好きだ。彼女が僕のことを見るとき、いつも僕の影を見ていても構わない。それでも僕は彼女が好きなんだ。……僕は、彼女が……。

「うっ、がっ、……ぐはっ!」

……僕は、まだ、……。

自分の気持ちを伝えていないことを後悔したのは、今が初めてだった。最後に、彼女の姿が見られなかったのが、心残りだった。

僕は、……どこへ行くのだろう?

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「雪村君……。」

「耀子……。」

やはり、この世の中に、完璧なものなど存在しないといったところか。どんなに完全に作ったと思っても、プロテクトはいつか、破壊されてしまう。しかも、これは仮初めのプロテクトだ。そういつまでも続かないことはわかっていた。耀子も……気付いてたはずだ。

「……うん、わかってたけど、……でも、やっぱり離れたくないよ。」

耀子は私の心の中を読んだ。正確には読んだ、ではないが、まあ、差し支えはあるまい。

耀子は抱きついてこなかった。ということはもう、

「うん……。もう、無理。雪村君の意識は、もう、私と同じ次元には存在していないから。」

「……そうか。」

もう、触れ合うことは出来ない。雪村聡志という、私の精神体の一部が壊れてしまったのだ。少しずつではあるが、私の精神は、本体の方へと流れ込んでいる。もう少しで、私は現世へと戻ってしまうだろう。

「私のことも、……忘れてしまう。」

「そんなことは、……。」

無いと果たして言い切れるのだろうか?もう一度、私は記憶をなくしている。彼女のことを全て忘れてしまっているのだ。それに、このことに関しては、遥かに彼女の方が詳しい。

「あなたは、私と過ごしたここでの生活を忘れてしまう。絶対に。それは本当のこと。仕方のないこと。……でも、雪村君には、……全否定して欲しかったよ。」

「耀子……。」

彼女の瞳に涙が溢れている。……私はとんでもないことをしでかした。

「雪村君、奇跡はね、起こそうって思って起きるものじゃないけど、起こそうって思わなきゃ、起きないんだよ。」

「……!」

彼女の一言が胸をつんざく。

私は自分の精神がだんだんと拡散していっているのを感じ始めた。

「お別れだね。」

彼女は笑みを浮かべた。

「……すまない、耀子。」

「忘れないでね、私はいつまでもあなたと共にあるから。」

「……ああ。」

胸に込み上げてくるものを、必死に抑え、私は彼女を見つめた。触れられなくても心は通じ合う。

涙が溢れる感覚と一緒に、……私は、長い夢から覚めた。

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こめかみと右手のこうに鋭い痛みを覚え、気がつくと、『私』は、立っていた。

その場所を知るために、辺りを見回す。

……ここは、寺か。……そうか、耀子の……。

「雪村さん、大丈夫ですか?」

先程から、私の側にいる存在は一体誰だろう。……どこかで、聞き覚えのある、声。……あ、そうか。

「……冴、ちゃん?」

私は、ゆったりとその名前を紡いだ。すると、彼女の表情は、ゆっくりと、心配そうなものから、笑顔へと変わっていく。その目じりには涙まで浮かんでいた。

「……ゆ、雪村さんなんですか!」

彼女は嬉しそうに私の名を呼んだ。

「ああ、そうだが……。……すまない。どうやら、私はまた、………随分と長い間、記憶をなくしたらしい。今は夏じゃないんだな。」

「ええ。今は、冬です。もうすぐクリスマスですよ。」

彼女の頬が上気しているのがわかる。その吐息は白かった。

「……そうか。じゃあ、何故私は……、いや、何処から話し始めればいいんだ、こういう時は?」

そんなことが二人にわかるはずもなかった。私達は、何の方針も、定められないまま、その場に佇んだ。

古い漫画のように、烏の鳴く声が聞こえた。

……ここは、耀子のいる、寺なんだよな。

太陽はもう夕日へと変貌していた。

「あなたには、今まで、別の人格が存在していました。」

哀愁漂う風景に見とれているうちに、なんだかとんでもないことを、彼女は言い始めた。

「な、ちょっと待て、それはどういう意味だ。」

「そのままですよ。雪村さんには、雪村聡志という別の人格が、乗り移っていました。」

「別の、……人格。」

「ええ。……彼は、雪村さんとは全く別な、人間でした。」

彼女が思い出すように呟く。

……ということはつまり、俺の身体は、半年もの間、その雪村聡志という人間が使っていたことになる。私の身体に、一体何が起きていたんだ。

困惑が困惑を呼び、更なる混乱を呼ぶ。今まで生きてきた中で、こんな不可思議な現象は初めてだ。

私は、自分の思いつ限りの選択肢の中から、最適と思われるものを抜き出し、彼女に告げた。

「……教えてくれ、冴ちゃん。その、雪村聡志のことを。」

「……はい。」

彼女は、自分の知りうる限りのことを話してくれた。それを元にすると、もう一人の私は、いたって真面目そうな青年であるようだった。だが、それでも、彼女の知っている彼は、一部分に過ぎない。その情報からでは、私が判断する材料は、あまりにも少なすぎた。毎日のように古本屋でバイトをしていたとか、……少々、これでは参考にならない。

心の中で、目つきが鋭くなった、私を思い浮かべる。

……もう一人の私。その私は一体何をしたのだろう。

「……でも、良かった。」

「え?」

そんなことを考え手いる私の胸の中に、急に、彼女が飛び込んできた。

「もう、逢えないんじゃないかって……。」

私の視界には後頭部しか入らなかったが、声色から、彼女が涙しているのが窺えた。私はゆっくりと彼女の背中をさすった。

耀子の妹、冴子。その存在が、なぜか今、心の底から、とてもいとおしく思える。懐かしい気持ちが、溢れるように気持ちが流れ出す。

「雪村さん、……。」

「ん?」

「……好きです。もう、何処にも行かないで……。」

「……。」

彼女の言葉。

この甘酸っぱい感覚。

かつて、味わっていたあの感覚。

私は、それがなんだか知っていた。だが、それ故に、私は今の自分が、信じられなかった。実際、耀子を失ってから、もう、誰にも恋するつもりは無かったから、そんな自分を裏切り者のようにも思えた。でも……、いや、そうだったはずなのに、何故、私は……、

「ああ、ずっと、側にいる。……これからもずっと、……絶対に守ってみせる。」

私の心の疑問をすり抜けるように、言葉があふれてくる。まるで私の心の言葉ではないように。

耀子……すまない。私は卑怯者だ。

けど、……この気持ちは、止められない。それが私の贖罪だ。自分勝手な理屈だが、私は彼女の気持ちをしっかり受け止めたいと思う。許してくれ。

彼女の背中をさすっていた手の動きを止め、あまり力を込めずに、包み込むように抱きしめる。

「これが、私の気持ちだ……。」

そこからは、耀子じゃない冴ちゃんの匂いがした。

「雪村さん……、ありがとう。」

羽織っていたウインドブレーカーに、彼女の温もりが、感じられる。

彼女を耀子の分まで幸せにしたい、今、私の気持ちはそれでいっぱいだった。

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耀子が死んだ。笑いながら死んだ。彼女の最後を見届けたのは、私ではなく医師だったが、耀子の最後の笑顔を見届けたのは私だった。

音程が一定の意味不明なお経、時々叩かれる、木魚。南無阿弥陀仏、菩薩、………。

彼女の通夜、私は言われるままに、焼香を行った。しかし、……もう、何も感じられないほど、私は無力だった。世界に色がないというか、つまりは単純に、白黒だった。

事象は全て、事象のままで、私の中に入ってきても、そのまま出て行く。私はそれにけちをつけることも評価することもしなかった。出来なかった。……耀子がいなければ、すべてが無意味だった。

目をつぶり手を合わせる。

瞼の裏に浮かんだのは、一番最後に耀子の見せた笑顔だった。

あの時の涙が、再度幾つも零れ落ちた。際限を知らず、静かに、静かに、嗚咽と共に、いつまでもいつまでも流れていた。目の前の祭壇では、耀子の生前の写真が、生気なく、笑っている。少なくとも、私にはそう見えた。

……私の隣には、冴ちゃんがいて、すすり泣きしながら、他の人の、焼香が終わるのを、じっと待っていた。

その口がほろりと動く。

「……お姉ちゃん、何で、死んじゃったの?」

自分で呟いた言葉が引き金になったのか、彼女の涙はより一層激しくなった。しかし、それを見ていた私は、もっと辛かった。彼女ほど泣けない分、余計に辛かった。

死んだのは……、私のせいだ。……私が、いたのに、……幸せにするはずだったのに。

……事故当初、あまりの出来事に呆然としていた私だったが、すぐに正気を取り戻し、病院へと連絡。すぐに手術室へと担ぎ込まれたが、もう既に手遅れだった。

死の宣告までの、あの長い時間。耀子の肉親、順子さん、要さん、冴ちゃんは、私を責めないでいてくれた。しかし、私としては、寧ろ責めてくれたほうが心の痛みが、薄らいだはずだった。良心の呵責は、時として他人に責められるより辛いものだから。

そして、耀子の家族の涙もまたそれに同じだ。責められない分、気持ちがわかる分、余計に辛い。涙を流すことは、まるで自分には許されていないようで、堪らなかった。

……幸せの絶頂から一気に転落すること。私にとってそれは、今まで向けてきた愛の注ぎ場所が、突如として壊れたことだった。

……今、それを身にしみて実感している。

……辛い。他に言葉が思い浮かばないほどに辛い。

顔は汚れていなかった。それだけが、救いといえば救いだったかもしれない。今も、棺の中を覗き込めば、素直な眠りについた、彼女の顔を見ることができる。……そんな度胸、私には無かったが。

彼女の死の実感はあるのだが、信じられない、そういう心境。世の中矛盾した気持ちは幾らでも存在するものだと、このとき初めて知った。

私の隣には、耀子ではなく、彼女の妹がいる。それが不自然に思えて、自然にも思える。

彼女を助けられなかった自分を、責めたいようで、責めきれない。何処かに、しょうがないと諦めている自分がいるのだ。そんな自分が、許せないのに、心の底で許そうとしている自分がいる。しかも理由に、彼女の気持ちを汲み取ってやれよ、などという文句を並べて。

……当たり前の、自己嫌悪。

黒々とした気持ちが渦巻く中、夜は更けていった。人々のすすり泣く声が、私の心を際限なく蝕んでいった……。

 

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〜私だけを見て欲しい〜

初めて出会ったあなた。

無愛想なようで、丁寧な温かい口調。

いつも姉を見つめていた、優しい瞳。

そんなあなたの全てを、いつの間にか欲していた。

私だけのものに、したかった。

けれど、それはとても、叶わない願いで、

私はあなたを、遠くから祝福するしかなかった。

記憶のないあなた。

それでも、あなたの心は、姉と繋がったままだった。

なくした想い出に囚われていた、あなた。

だけど、私の心が、変わることなんて、一度もなかった。

ずっと好きだった。

でも、それでも、あなたは振り向いてくれない。

私の気持ちに気付いてくれない。

そして、あなたは変わってしまった。

だけど、私はあなたのことが好きで、そんな自分が大好きで、

私だけを見ていてくれる日を、ずっと待ち望んでた。

そうなるのなら、幾らでも、辛抱できた。

もう、待つことには慣れていたから。

……いつまでも、私は私のまま。

生きている限り、あなたを愛しつづける。

誰のためでもない、私のために。

それが私の選択。

説明
メモリースティック見つかった。
よかった。
ってわけで久しぶりの二重想です。
恋姫読んでくれる人も呼んでいただけるとうれしいなぁ、と少しおこがましく。

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タグ
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