赤薔薇†無双〜第二章 |
第二章 赤薔薇 恋姫と出会うのこと
昨夜この世界にきてはじめての戦闘が終わった後、私達は村人と共に消火活動と死人の埋葬、怪我人の治療を行い、全てが終了したときには太陽が中天に昇っていた。
埋葬の手段としては、死人の体から金属等の不燃物を取り除き、村の中央で火葬にかけた。その際村人からは賊の死体まで火葬するとことに反対する者もいたが、そのままにすると疫病の元となり、危険であると説明し、結果、村人の死体と賊の死体を分けて行う事で納得して貰った。
ステラはその中で怪我人の治療や食事を作り、またその笑顔と陽気な性格で村人から受け入れられ感謝されていた。
現在私は、日の光が余り当たらない場所で休息を取っている。この身ヴァンパイヤでありながらは太陽を克服しているが、やはり日中は魔力も落ち体が重いのである。そうしているとステラが横に来て水と食事を差し出してくれた。
「はい、ストラウス。お疲れ様♪」
「ああ、ありがとうステラ。村人の様子はどうだい?」
「皆少しづつ元気になってきているけど・・・家族を亡くした人達が未だ立ち直れてないみたい・・・」
「そうか・・・彼らは時が癒してくれるのを待つしかないだろう・・・」
「ところで、ねぇストラウス。」
「どうした?ステラ」
「実は・・・両親と兄を昨日一度に亡くした子がいてね・・・その子を引き取りたいな〜って・・・」
「・・・ステラ・・・私達はこれから旅に出る予定なのだが?」
「うん。だからその子も連れていけないかな?ダメ?」うるうる(泣き落とし)
「(グハッ)ス、ステラ!それは卑怯だ・・・。ふぅ、私はいいとしてその子は了承してくれたのかい?」
「あ〜・・・ まだ聞いてないや〜 てへっ♪」
「・・・で、その子は今どこに?」
「今呼んでくるね〜♪」
といいつつ、ステラが向かった先に1人の女の子が立っていた。年の頃は10歳前後、姿は黒髪黒眼、利発そうな顔立ちで、将来はひとかどの武将になるであろうと思われた。そしてステラに連れられてこっちに向かってきたので、まず優しく挨拶をすることにした。
「はじめまして、お嬢さん、私はローズレッド・ストラウス。君の名は?」
「は、はじめまして、私は姓は関、名は羽、字は雲長、真名を愛紗といいます。」
その名を聞き私は内心驚いていた。関羽といえば私の世界でも有名な武将であり、武神として祀られている存在でもあったからだ。性別も確か男であったはず・・・
そんな内心とは裏腹に笑顔で疑問に思ったことを彼女に問いかける。
「真名とは・・・何のことだい?」
「えっ!真名をご存知ないのですか?!真名とは親兄弟や仕える主君等、余程親しいか、自らが認めた相手にしか呼ぶのを許されないその人の持つ真の名のことをいいます。知っていても許しもなく呼んだ場合、殺されても文句の言えないこととなっております。」
「そうか・・・そんな重たいものを私に名乗っていいのかい?」
「はい!貴方は私達の命の恩人ですから・・・」
「私を信頼してくれて、ありがとう、愛紗。私の事はストラウスと呼んでほしい。」
「私はステラって呼んでね♪」
「すとらうす・・・すてら・・・ですか?わかりました。珍しいお名前ですね。」
「元々私達はこの世界の住人ではないからね。」
「えっ。この世界ではにとは・・・もしかして・・・あなた達は天の御遣い様ですか・・・?」
「天の御遣い・・・って何かな?愛紗」
「最近、とある占い師が予言したことなんですけど・・・『流星が黒天を切り裂く時、天より御遣いが舞い降りる。御遣いは天の智、天の武を以って世に太平をもたらすであろう』という噂が広まっているんです。で、昨夜近くに流星が落ちるのをみたものですから・・・」
「なるほど・・・私がそれにあたるのであるかはわからないが、私達が異世界から来たのは間違いのないことでもある。」
「ところで、話は変わるけど、君の事情は先程ステラから聞いたのだが、私達と共に来る気はないかい?」
「・・・よろしいのですか?今の私には何も出来ないと思うのですが・・・」
「ステラが君を気に入ってね。私も君を気にいったので、一緒に来てくれると嬉しい。」
「じゃ・・・どうかよろしくお願いします!ストラウス兄様、ステラ姉様!」
「やった〜♪妹が出来たみたいで嬉しいな〜♪」
「フフフ、ではまず村長に挨拶にでも行こうか。愛紗、案内を頼めるか?」
「はい。兄様。あちらの家が村長の家になります。」
私達は愛紗の案内で、村長の家を訪ねた。
「失礼する。村長はご在宅か?」
「はい。私がこの村の村長を勤めます。黄元と申します。旅の方、昨夜はご助勢いただきありがとうございました。ご挨拶が遅れましい申し訳ない。」
「ご丁寧にどうも。私はローズレッド・ストラウスと申します。昨夜は当然の事をしたまでです。こちらは私の旅の連れのステラといいます。」
「少し質問をしてもよろしいかな?」
「はい。私に答えれる範囲でしたらいくらでもどうぞ。」
「感謝する。まずここの地名と現在の王朝、皇帝の名前を教えていただけますか?」
「はい。ここは幽州 琢郡にある村の1つなります。王朝名は漢 現在の皇帝陛下の劉宏様になります。」
そこまで聞いて私は現在が西暦180年代の古代中国であることを確信した。そして黄元さんに感謝の言葉を述べる。
「ありがとうございました。黄元殿」
「いえいえ、この程度では昨夜のお礼にもなりません。つきましては少ないですが、多少の路銀を用意いたしましたので、お礼としてお受け取りください。」
と皮袋に入った物を渡された。
「いえ、そんな貰うわけには・・・」
と断ろうとした所、
「旅の方、旅をするにも色々と物入りでしょうから是非受け取って頂きたい。受け取って頂かないとこちらとしも困ってしまいます。」
と言われてしまい、
「そこまで言われるのでしたら、ありがたく頂きます。」
受け取る事となった。正直この世界の通貨を持っていなかった私達としてはとてもありがたかったのは言うまでのないことであろう。
その日はそのままその村で一泊し、翌日、村の人達の別れを告げ、新たに妹となった愛紗、ステラと共に南の冀州に向かって旅を開始した。
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