真・恋姫†無双―秘密を秘めし御遣い―第四話
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ゴキッ!ガキッ!

 

一刀「クソ〜まだ体が痛む。華琳の奴もう少し手加減してくれてもいいのに」

 

美里「ごめんねカズ君。私の所為で・・・」

 

先の黄巾党拠点制圧後、華琳の怒りに触れ制裁を受けた一刀。今は戻ってきた陳留の城で痛む体を引きずりながら新しく仲間になった司馬懿こと美里と共に華琳に呼ばれ玉座の間に向かっていた。

 

一刀「別に気にしなくていいよ。それにしてもさすがと言うべきかな?あれは・・・・」

 

美里「試験のこと?あれぐらいなら簡単だったよ。華琳様も一際優しい問題を選んでくれてたみたいだし」

 

試験とは華琳が美里を仲間として迎え入れるために兵法や内政など美里の歳では到底分らないような問題に答えると言う物。しかし、美里はその問題を次々に答えていき華琳達を驚かせた。問題を答えて行く美里に華琳は 「貴方ぐらいの歳でこの問題を解ける者は貴方を入れて五人もいないでしょうね」 と褒め真名を預け仲間へと迎え入れた。その後は皆とも仲良くなりお互い真名を交換している。

 

一刀「それでも凄いよ。俺なんて殆どわからなかった」

 

美里「わからなくて良いんだよカズ君は、そのために私がカズ君に知恵を貸してあげるんだから頼りにしててよね♪」

 

一刀(あぁ、可愛いなぁ〜♪抱きしめたいなぁ〜♪やっちゃいたいなぁ〜♪)

 

美里はブラブラと垂れている袖を一刀の顔に向け「任せて♪」という意思表示を示す。一刀は頭は良くても歳相応の子供らしさを出す美里に萌えているが先日の暴走を反省し理性を保とうとする。

 

一刀「あ、あぁ、そ、そうさせても、もらう」

 

美里「うん♪」

 

ズキューン♪

 

興奮を抑えて声が震えていた一刀にとびっきりの笑顔を向ける美里。一刀の萌えの心は見事に打ち抜かれその場で悶えてしまう。更に心配した美里の上目づかいで悶えるという悪循環に捕らわれる一刀であった。

 

 

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玉座の間には華琳を筆頭に主だった将が集まっており、更に先日、美里と同様になった新たに仲間となった季衣と流琉も玉座の間に集まっていた。

 

ギギィィ

 

一刀「悪い遅くなった」

 

美里「遅くなりました」

 

玉座の間の扉を開き中に入る一刀と美里。今回彼女たちが呼ばれたのは各々の役職について言い渡されるからだ。この時、一刀は「自分は美里と違いそこまで大した役職は任されないだろうな」と安易に考えていた。

 

華琳「これで全員そろったわね。・・・・桂花」

 

桂花「はっ、では、これより貴方達に就いてもらう役職を言い渡します。心して聞かれるように!」

 

四人「「「「はい!」」」」

 

桂花は持っていた竹簡を開く。そこには四人の役職と詳細が書かれていた。

 

桂花「まず許緒、典韋前へ!」

 

季衣・流琉「「はい!」」

 

桂花に呼ばれ玉座の間の中央まで出る季衣と流琉。二人は自分がどんな役職になるのだろうと緊張し体がガチガチに固まっている。それを玉座から眺める華琳は二人の可愛らしい姿に微笑んでしまう。無論、一刀の顔もまたニヤけていた。

 

桂花「貴方達は先の黄巾党拠点制圧戦で目覚しい功績を上げました。よって二人には今後、我らが主、曹操様の親衛隊を率い、あらゆる脅威からお守りすることを言い渡します!」

 

季衣・流琉「・・・・・・へ?」

 

季衣「ボ、ボク達が?」

 

流琉「か、華琳様の親衛隊?」

 

華琳「二人とも返事は?」

 

季衣・流琉「「は、はい!!謹んでお受けいたします!!」」

 

華琳「フフ、期待しているわよ二人とも♪」

 

二人は思っても見なかった重役に戸惑いつつも華琳から信頼されていると感じ嬉しく思いながら将達が並ぶ列に戻って行った。

 

美里「ふわわ!季衣ちゃんと流流ちゃんすごいね!親衛隊だなんて。ね、カズ君」

 

一刀「まぁ、二人の実力を知っている者なら当然の判断だと思うけどな。まだ、美里は二人が戦う姿は見たこと無いんだよな?」

 

美里「うん、二人がとても力持ちだってことは陳留に戻るときに知ったけど、そんなに強いの?」

 

一刀「そりゃ、一撃で黄巾党を何十人も吹っ飛ばせるからな」

 

美里「ふわわ!?季衣ちゃんと流流ちゃんって強いんだね」

 

桂花「こら!!なに二人で無駄口叩いてるのよ!次は貴方達なのよ!さっきから呼んでるのだから早く出なさいよ!!」

 

一刀・美里「!?」

 

一刀と美里が話していると桂花が怒鳴りながら早く出てくるように急かす。一刀と美里は慌てながら玉座の間の中央へと出る。

 

桂花「まったく、これだから男はグズでノロマなのだから。まったくなんでアンタなんか・・・ブツブツ」

 

一刀「あ〜わかったから早く教えてくれないか?俺の役職」

 

桂花「アンタそれが人にものを頼む態度!!アンタなんか馬小屋の掃除係で十分よ!!」

 

一刀「今言うってことは少なくとも馬小屋の掃除係は無いんだな」

 

桂花「!?///// /////」

 

一刀はしてやったりとニヤリと笑う。桂花は自分の失態に顔を赤くしながらアレやコレやと罵倒する。

 

華琳「はいはい、話しが進まないから此処で終了。桂花も意地悪しないで早く二人に役職を教えなさい」

 

桂花「し、しかし華琳様・・・」

 

華琳「フフ、貴方にはちゃんと後で意地悪をしてあげるから♪」

 

桂花「あぁ〜♪華琳さま〜♪」

 

美里「ねぇねぇカズ君。桂花はなんで華琳様から意地悪されるって知って喜んでいるの?」

 

一刀「美里・・・・人には知って良い事と知らなくて良い事があるんだよ。桂花の事は一生知らなくていいから、というか知るな!!わかったか?」

 

美里「う、うんわかった・・・」

 

美里は肩を掴まれすごい気迫で迫る一刀に威圧されながら返事をする。

 

(ふぅ、危なかった〜危うく美里が汚れてしまうところだった。美里を桂花みたいには絶対に汚させはしないぜ!意地でも!)

 

と心の中で頑なに誓う一刀であった。

 

桂花「なんだか凄く貶された気がするけど、まぁいいわ。では、これより北郷一刀、司馬仲達二人に与える役職を言い渡す!」

 

いよいよ二人の役職が発表される。美里は緊張し一刀の服をギュッと握りしめる。一刀はその手をやんわりと握りしめ緊張を解してあげる。そんな彼女も気楽に思っていながら密かに緊張している。

 

桂花「北郷一刀!貴方に警備隊隊長および将軍の地位を授ける。そして、司馬仲達!貴方には北郷一刀の補佐および戦時には軍師としての地位を授けます。以上!」

 

美里「つ、謹んでお受けします!」

 

一刀「謹んでお受け・・・・・・・へ?・・・・ちょっと待て!!」

 

桂花「な、なによ何か不満でもあるの!!アンタなんかには勿体無さすぎる役職よ!不満があるのなら厠の掃除係でもしてあげるから感謝しなさい!」

 

一刀「誰がするか!!不満じゃないけど、俺じゃ役不足というかなんで俺が将軍なわけ?」

 

華琳「あら?貴方は先の戦いで私を守り黄巾党本陣を落としたのだから十分な功績を上げているじゃない」

 

一刀「それは・・・そうだけど・・・」

 

華琳「それに天の御遣いとして戦場に出ればそれだけで民衆からの風評は得られるわ。これは決定事項なの今更変える気はないわ!」

 

一刀「うぅ・・・・ったく、わかったよ!。北郷一刀謹んでお受けします!」

 

華琳がこう言いだしたら無理だとあきらめ渋々将軍職と警備隊隊長の任を引き受けたのである。

 

華琳「わかればいいのよ。それじゃ・・・・」

 

華琳は玉座の席から立ち上がり一刀と美里にむかい命を下した。

 

華琳「二人に命を言い渡す!此処から南西の街に先遣隊として赴き街の治安と警護にあたれ!」

 

一刀・美里「御意!」

 

二人は臣下の礼を取り命を受ける。しかし、一刀はなぜ陳留の街の警備ではなく南西の村なのか気になり華琳に質問してみる。

 

一刀「なぁ、華琳。なんで南西の街なんだ?此処の警備はしなくていいのか?」

 

華琳「もちろん普段は此処の警備をしてもらうわ。・・・でもね、黄巾党がこの南西の街を狙ってるっていう情報があるのよ」

 

一刀「黄巾党が!?」

 

秋蘭「本来なら私か姉者が行くべきなのだが他にも黄巾党の目撃情報が多数あってな」

 

春蘭「奴ら拠点を失ってバラバラに移動しているみたいなのだ。まったく蟻みたいな奴らだ!」

 

華琳「この情報もまだ確かな事はわからないわ。ただ用心に越したことはないわ、・・・安心なさい後から援軍として私たちも向かうから」

 

一刀「つまり先に行って華琳達を出迎える準備をしとけってことか?」

 

華琳「まぁ簡単に言えばそういうことね。私も忙しいから一週間ぐらいしたらそちらに着くと思うから」

 

一刀「了解。出来る限りやってみるとするさ」

 

華琳「えぇ、楽しみにしているわ。・・・それじゃ二人は二刻後に部隊を率いて出立しなさい。」」

 

一刀・美里「「御意!」」

 

こうして一刀と美里の初仕事が始まったのである。いろんな希望と不安を抱えながら二人は南西の街へと出立する。

 

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出立する際、部隊の顔触れを覗くとなんと先の戦いで一刀が率いた部隊の兵士だった。兵士の話しでは自分たちから志願したとのことで一刀は気恥ずかしくなりながらも自分を慕っている事を感じ嬉しく思った。

 

一刀「では、これより我ら北郷隊は南西の街に向け出立する!!」

 

兵士「「「おおぉぉぉーーーー!!!」」」

 

一刀が馬に跨り号令を掛けると兵士たちは大きな声を上げ歩きだした。一刀の跨る馬には彼女の背にしがみ付く美里の姿があった。

 

美里「そういえばカズ君、馬はもう大丈夫なの?春蘭様や秋蘭様から聞いたんだけど?」

 

一刀「あぁ、あの時に気分悪くなったおかげで随分となれたみたいだから大丈夫だと思う。陳留に帰ってくる時も大丈夫だったみたいだし」

 

美里「それなら安心してしがみ付いていられるね♪」

 

ギュッ♪

 

一刀「ははは、相変わらず可愛いなぁ美里は♪」

 

美里「・・・・・・・・ぷうぅ〜、何か予想してたのとちがう・・・」

 

一刀「???」

 

美里はそう言うと一刀のお腹に手を回そうとするが手が届かなく横腹の服を強く握り体を密着させる。この時、美里の無に等しいムn(ゴキッバキッ!・・・・・・・・し、失礼!、密やかなムネが一刀の背中に当たっていたが、女である一刀は何も感じなく予想とちがう反応にむくれる美里。美里の密かなアプローチは失敗に終わったのだった。

 

季衣・流流「兄ちゃん!!(兄さま!!)」

 

一刀「季衣!流流!どうしたんだ?」

 

季衣「見送りだよ。それより頑張ってね兄ちゃん、美里」

 

流流「二人ともお体には気を付けて」

 

美里「もぉ〜、季衣ちゃんも流流ちゃんも一週間たったらすぐに会えるんだから」

 

一刀「二人ともしっかりと華琳の事を守るんだぞ」

 

一刀は見送りに来た二人の頭を撫でながら華琳の事を託す。二人は頭を撫でてもらう気持ちよさに酔いしれながら心の中で堅く誓う。

 

季衣「うん!任せてよ♪」

 

流流「必ずやお守りいたします!」

 

一刀「うん、二人とも・・・それと物陰から覗いてる桂花も向こうで待ってるからな!」

 

桂花「な!?べ、べつにア、アンタの見送りに来たわけじゃ・・・・・ってもういないじゃないの!!」

 

季衣「はは、バレバレだったみたいだね」

 

桂花「もぉ〜〜!!やっぱりアイツ、ムカツク〜〜〜〜!!」

 

桂花は両腕を掲げ怒りを現しながら一刀達が出て行った城門を眺める。季衣と流流はヤレヤレといった感じに溜息を吐くのだった。

 

春蘭「どうやら行ったみたいですね華琳様」

 

華琳「・・・・そう」

 

秋蘭「宜しかったのですか?見送りに行かれなくて?」

 

華琳「ふん!一刀とはまたすぐに会うのだから見送る必要もないでしょう。ほら二人ともボサッとしてないで仕事に戻るわよ!」

 

春蘭「は、はい!華琳様」

 

秋蘭「フフ♪」

 

一刀達が城門を抜け荒野を行進し地平線に消えて行くのを城門の上から眺める三人。本当は見送りに行きたかったのに素直になれない華琳の背中は寂しそうに物語っていたのは秋蘭にしかわからなかった。

 

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一刀「・・・・・・あれが南西の街か」

 

美里「ふわわ〜、結構遠くまで来たね」

 

一刀達が陳留を出て三日、目的地の南西の街近くまで来ていた。前回よりも長い距離を行進してきたが馬酔いは無く目立った問題もなく行進はスムーズに進んだ。

 

一刀「いや〜、初めはどうなるかと思ったけど美里の指揮のお陰でなんらく来られたよ」

 

美里「えっへん!凄いでしょ」

 

イヌミミをピコピコと動かしながら胸を張る美里。その姿が可愛らしく我慢できずに頭を撫でる一刀・・・しかし、初めは喜んでいた美里だったが段々と頭のミミが伏せてしまった。

 

一刀「ん?どうしたんだ美里?」

 

美里「うん・・・少し気になることがあって・・・」

 

一刀「気になること?」

 

美里「黄巾党は拠点を失ってバラバラになってるって春蘭様が言ってたでしょ」

 

一刀「あ〜そう言えばそんな事言ってたな」

 

美里「だけど此処に来るまでに黄巾党を一度も見掛けなかった・・・・それが気になるの」

 

一刀「そりゃ俺達が官軍だから見つかるとヤバイって思って隠れてるんじゃないのか?」

 

美里「それならなんであんなに目撃情報があったの?それに黄巾党はこれまでにも官軍に勝利を収めてるからそこまで官軍を恐れてないと思うの」

 

一刀「だったら偶然か?それとも何かの策か?」

 

美里「う〜ん、まだよくわからないけど取りあえず兵の皆も疲れてるから村に行こう。私、お腹が空いてきちゃった。

考えるのは食べた後で」

 

一刀「それもそうだな。それじゃ・・・みんなあともう少しだ頑張って村まで行くぞ!!」

 

兵士「「「「「おう!!」」」」」

 

一刀の号令に答え兵士たちはもうひと頑張りし行軍速度を上げる。美里も普通の子供同様、思考よりも食欲が勝りこの時は一刀との食事を早く楽しみたい気持ちで黄巾党の事を忘れていた。しかし、この時すでに黄巾党の策は動き出している事には二人はまだ気が付いていなかった。

 

 

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街に入った二人はまず町長に会いに行き入場を許可してもらう。その後は兵士達を交代制で休ませ一刀と美里は街の定食屋へとやってきた。

 

店員「いらっしゃいませ!!」

 

一刀「二人だけど席空いてる?」

 

店員「はい、席は空いていますので大丈夫ですよ。どうぞこちらに」

 

と言われ店員に店の奥の席へと案内される二人。店内は満員で客の殆どが安物っぽい防具を身に着けていた。

一刀はそれが気になり席に着くと店員に聞いてみた。

 

一刀「店員さんちょっといいかな?」

 

店員「はい、なんでしょう?」

 

一刀「なんだか物騒な人たちが多いみたいだけど・・・」

 

店員「あぁ、あの方たちは義勇兵の方たちですよ」

 

一刀「義勇兵?」

 

美里「民たちが自ら武器を掲げ暴徒を鎮圧する。その人たちを義勇兵って言うんだよ」

 

店員「そうです!そして今この村に来ているのは数多くの黄巾党から村を守ってきた凄腕の義勇軍なんですよ!」

 

一刀「へぇ〜、それはすごいな」

 

店員はまるで自分のことのように義勇兵の武勇伝の語りだした。何千という黄巾党を前にしても怯まなかったとか奇襲を掛け一瞬のうちに大将の首を取ったなど鼻息を荒くして語っていく。しかし、そんな話もお腹を空かしている美里には途中からどうでもよくなり「早く注文したいのに」っとテーブルに顎を乗せ頬を膨らませていた。

 

一刀「店員さん、そろそろ注n「更にすごいのは!!」・・・・・・」

 

店員「義勇兵を率いているのが何と!三人の少女なんですよ!しかも、三人共美少女で自分も憧れているんですよ」

 

一向に話しが終わらない店員にそろそろ文句を言おうかと思った。その時・・・

 

ガッシャン!!!

 

兵士「っんだと!!もういっぺん言ってみろ!!」

 

義勇兵「あぁ、なんどでも言ってやるよ!!お前ら宦官なんて不要だ!とっとと帰りな!!」

 

兵士「テメェェェェェェェ!!!!」

 

店の前で一刀の隊の兵士と義勇兵が怒鳴り合いながら喧嘩を始めてしまった。一刀はすぐさま店を出て喧嘩の仲裁を試みる。

 

一刀「やめろお前ら!!」

 

兵士「ほ、北郷様!?」

 

義勇兵「あん?だれだお前?」

 

一刀「こいつの上官だ。それでなんで喧嘩してんだ?」

 

一刀は兵士に事情を聞いてみる。事の発端はたまたま擦れ違った義勇兵が目に入った兵士に聞こえるように「宦官が今更来たってもう遅えのによ」っと皮肉交じりに言い放ちそれにキレた兵士が義勇兵を捕まえ口論になったということらしい。

 

一刀「はぁ〜、お前も子供じゃないんだから。言われたからってムキになるなよ」

 

兵士「し、しかしあいつ等が先に「言い訳しない!」は、はい!///// /////・・・・・?」

 

弁明しようとした兵士の口に指を当てそれ以上口が出せない様にする一刀。その仕草は子供を叱るときの母親に似ていて兵士もなぜ男の一刀に顔を赤くするのか疑問に思った

 

一刀「よし!、そっちの人もうちの者が迷惑を掛けたな。・・・だけど、非はそっちにもあるんだ。それに敵は共通してるんだから仲良くしていこうよ」

 

義勇兵「はん!さすが官軍のお偉いさんだ!そう言って戦いは俺たちに任せて自分たちは美味しい所だけ持っていく・・・・見え見えなんだよ!!!」

 

和解しようとする一刀に対して義勇兵は、宦官に対する恨みから一刀の言葉に聞く耳をもたず、一刀に襲いかかってきた。

 

一刀「やれやれ、せっかく穏便に片付けようとしたのに」

 

義勇兵「うらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

一刀「・・・・・・・よっと!」

 

義勇兵「な!?ぐはっ!!」

 

ドサッ!!

 

殴りかかってきた義勇兵に対し一刀は、義勇兵の拳が自分の顔に届くギリギリのところで手を拳に被せ自分の顔の横に流す。その後に腕を引っ張り足を掛け空中で一回転させる。この時、地面で頭を打たない様に手は相手の拳を握ったままであった。

 

義勇兵「ぐっ・・・・」

 

一刀「どお?まだやる?」

 

義勇兵「この!なめんじゃ「やめろ!!」!?が、楽進さん!?」

 

一刀「ん?」

 

義勇兵が起き上がりもう一度、一刀に襲いかかろうとすると集まっていたヤジ馬の中から制止の声と共に三人の少女達がこちらに歩んできた。少女達の姿をみると義勇兵は先ほどまでの威勢は無く大人しくなってしまった。

 

凪「貴様・・・何をしていた?」

 

義勇兵「い、いえ、べつに」

 

凪「今がどれほど大事な時かわかっているのかっ!!」

 

義勇兵「は、はい!すみませんでした!!」

 

楽進と呼ばれる少女は自分よりも大きな義勇兵に大きな声で怒鳴り上げると義勇兵は委縮してしまい頭を下げ謝りだした。

 

一刀「誰だい君は?」

 

凪「私の名前は楽進、この町に滞在している義勇兵を率いている者です。私の仲間が失礼をして申し訳ございませんでした。そして、後ろにいるのが・・・」

 

真桜「李典や。武器やカラクリならうちに任しとき!」

 

沙和「干禁なのー。お兄さんカッコいいから沙和仲良くしたいのー」

 

一刀「楽進、李典、干禁・・・君たちが」

 

凪「ん?我らの事をご存じで?」

 

一刀「い、いや!?こ、この辺じゃ、君たちの義勇軍は有名だからね。話しでは聞いたことがあるだけだよ」

 

真桜「そやなぁ、うち等もかな〜り有名になったからな〜」

 

沙和「わたしたち有名人なの♪」

 

自分たちの名前が広まっている事にはしゃぐ二人、それを叱る凪。こうして見ると唯の年ごろの女の子にしか見えないが、先ほどの気迫は唯者ではないと感じ取った一刀。

 

美里「もお〜!!カズ君遅いよ!!わたしもう我慢できない〜!!お腹すいた〜!!」

 

一刀「み、美里!?」

 

店の中から美里の不満の声がそれまで喧嘩の起きていた通りに響く。

 

凪「よろしければ、お詫びも兼ねて此処は我らがご馳走したいのですが?」

 

一刀「え?いや、悪いのはこちらもなんだし別に・・」

 

凪「いえ、遠慮なさらずに!それに私は貴方ともう少し話がしたいのです」

 

真桜「おぉ!!凪が会ったばかりの兄さんを軟派しよる♪」

 

沙和「凪ちゃんだいた〜ん♪」

 

凪「な!?ちがっ!わたしはただ・・・///// //////」

 

凪は二人にからかわれ顔を赤くしあたふたと動揺する。そんな四人を先ほどの喧嘩で集まった野次馬は微笑ましいと温かな目でこちらを見ていた。

 

一刀「と、とりあえず俺の連れも中にいることだし入ってから話をすると言う事で?」

 

沙和「さんせ〜いなの♪」

 

真桜「よかったなぁ凪話しが出来て♪」

 

凪「だ、だからちがうと!!///// //////」

 

沙和はカッコいいお兄さんと食事ができると思い上機嫌で店に入り、その後にまだからかわれながら店の中にはいる凪と真桜。そんな三人をみながら本当にこの三人があの楽進、李典、干禁なのか疑いたくなってきた一刀であった。

 

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美里「ぷうぅ〜!!」

 

一刀「え、え〜と、美里?こちらは、義勇軍を率いてる楽進、李典、干禁で話がしたいって言うから・・・その、一緒に食事をしても良いかな?」

 

美里「ふん!!」

 

プイッ!!

 

美里は食事を散々待たされた挙句、一刀が見知らぬ少女を連れて来た事により機嫌は最高にわるかった。美里は頬を膨らませてプイッっとそっぽを向いてしまった。その時の美里のイヌミミと毛の先の色が黒の揉み上げは逆立っておりまるで子犬の反抗期のようだ。

 

美里「ふんだ!カズ君は私なんかよりそっちのお姉ちゃん達と食事がしたいんだ!別にいいもん!私の事なんて気にしなくてどうぞ好きなだけ話していいよ!!」

 

沙和「うわ〜、お兄さんの妹ちゃんご機嫌斜めなの」

 

真桜「ほらほら〜妹ちゃん。お姉ちゃんたちが遊んであげるさいかい機嫌なおしてな」

 

美里「ムッカ〜!!私は妹じゃないもん!!私はカズ君の軍師だもん!!子供扱いしないでよ!!」

 

沙和と真桜に子供扱いされミミをこれでもかっと言うほどビンビンに逆立て二人に対して威嚇のポーズをとる美里。

 

凪「はぁ。沙和、真桜。もうその辺にしておけ」

 

沙和・真桜「「は〜いなの(へ〜い)」」

 

一刀「美里もいい加減に機嫌直して。ほら、この店自慢の特製杏仁豆腐でも食べて・・・ね?」

 

美里「ふんだ!こんな物で・・パクッ・・・機嫌が・・・パクッ・・・・直る・・・パクッ・・・ほど・・・パクッパクッ・・・子供じゃパクッパクッパクッ・・・ないんだから・・・・・・・パクッパクッパクッパクッパクッパクッ・・・・♪♪♪」

 

美里は一刀が用意した杏仁豆腐を文句を言いながらも綺麗に食べ。食べ終えた時には美里の顔は満足感に浸った笑顔になっていた。

 

一刀「おいしかったか?」

 

美里「うん♪・・・・・はっ!!ま、まぁ。義勇軍との連携を取るため親睦を深めるのも大切なことだもんね。」

 

一刀「クク、そうだな♪。というわけだそうだ。」

 

凪「はい!それでは失礼します。」

 

真桜・沙和「「おじゃましま〜す(なの)」」

 

美里の了解も取れ凪達に席に座るように勧める一刀。三人もそれに従い席に座り、自己紹介が終わると各々料理を頼み食事が進める。その時、凪が頼んだ激辛麻婆豆腐をみて一刀と美里は驚愕しながら引いていた。

 

凪「先ほどの北郷様の身のこなし感服しました。私も体術を心得ていますが、あのような柔らかい動きは初めてみました。さすが噂に名高い曹操様の将軍です。」

 

一刀「いや、俺なんて全然だよ。か、曹操の下にはもっと強い奴らがまだいるんだから」

 

凪「さすが曹操様ですね。我々も早くお傍に仕えたいものです」

 

美里「ん?楽進さん達は曹操様に仕官するつもりなの?」

 

真桜「初めはそのために住んでた村を出たんやけどな」

 

沙和「途中で黄巾党に苦しめられてる人を見てほっとけなくって」

 

凪「それで仲間を集め、義勇軍を作ったのです。この黄巾党がいなくなれば義勇軍は必要なくなります。そしたら我々は心置きなく曹操様の元に仕官できるのです。」

 

一刀「自分の事よりも民の心配・・・・か。なるほど、その気持ちがあれば曹操はきっと楽進達のこと気にいると思うよ」

 

凪「ほ、本当ですか?」

 

一刀「あぁ、だから一刻でも早く黄巾党を倒して平和な世になったら俺達の所においで。歓迎するから。」

 

凪「は、はい!ありがとうございます!」

 

真桜「まぁ、見ていてや。兄さん等よりも早く黄巾党を潰したるさかい」

 

沙和「沙和達が大活躍するの期待しててなの」

 

美里「ふわわ!私たちだって負けないもん!ね!カズ君!」

 

一刀「あぁ、そうだな。俺達みんなで黄巾党から民を守れるよう頑張ろう!!」

 

三人「「「はい!!」」」

 

食事が終えるころには外は暗くなり空には一面の星空が広がっていた。凪達は明日にはこの村を後にし、別の村に行くと言い残し一刀達と別れた。一刀達も星空を眺めながら自分たちが泊まる宿へと戻って行った。

 

 

 

 

一刀達のいる村から少し離れた崖の上、そこから村を眺める男達がいた。

 

男1「へへ、まんまと罠にはまってくれたみたいだな」

 

男2「初めは官軍が狙いだったのにまさか義勇軍も来るとはな。奴らにも借りがあるから一気に代えせるぜ」

 

男1「仲間の方はどうなっている?」

 

男3「大方、集まりました。戦力は十分すぎるかと」

 

男1「ふふ、そうか。ならば、作戦決行は明日、斥候によれば義勇軍は明日の朝一に村を出るらしい。そこを一気に襲うぞ!仲間にも伝えておけ!!」

 

男3「はっ!!」

 

男たちの顔は暗闇でもわかるぐらいにニヤ付いていた。男は目の前にいる獲物に早く食らいつきたい衝動を抑え夜の暗闇へとその身を消していった。

 

 

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翌朝、一刀は宿屋の部屋で寝息を発てていた。入り口には立ち入り禁止と言う札が下がっており、誰も無断で入ってこられない様にしていた。

 

一刀「クゥ〜、クゥ〜ZZzzzz」

 

美里は「一緒に寝たい」と言っていたが、正体がバレる恐れがあったので別々の部屋にしてもらった。その時の一刀は美里を抱き枕にして寝たい衝動に駆られていたがどうにか抑え、部屋の中で枕を抱き妄想の中で美里を抱いて眠りに付いたのだった。

 

ドドドドドドドォォォォ!!!!ドンドンドン!!

 

兵士「北郷様!北郷様!起きてください!北郷様!!」

 

一刀「う〜むにゃ?・・・なんだよ朝っぱらから?」

 

一人の兵士が寝ている一刀の部屋に慌ててやってきてドアを叩き一刀を起こす。一刀もまだ眠い頭を起こしながらただ事ではない様子を感じていた。

 

兵士「はっ!早朝に村を出発した義勇軍が黄巾党の大群に囲まれ襲撃されています!!」

 

一刀「な、なに!?」

 

兵士「今は義勇軍も抵抗しておりますが、数が違いすぎるため最早時間の問題かと」

 

一刀「クソ!やられた。奴らこれが狙いだったのか。お前はすぐに足の速い兵士を集め出られる準備をしとけ!」

 

兵士「御意!」

 

一刀は扉越しから兵士に指示を出すとすぐさま身仕度を始めた。一刀は着替えながら後悔した。此処まで来る間になぜ黄巾党に出会わなかったのかと。それは奴らが密かに集まり何かを狙っていたからだ。その何かとは自分達、黄巾党に立ち向かう厄介者だ。

 

奴らはわざと目撃されるように広い範囲に散り、軍を分けさせ戦力の縮小を狙い、ある程度分けられたら情報を流し獲物をおびき寄せ密かに集結した戦力で袋叩きにする。これが奴らの作戦だった。

 

一刀は苛立ちながら着替えているとドアからコンコンとノックの音が聞こえる。一刀はこんな忙しい時に誰だと思いドアに近づくと女の子のすすり泣く声が聞こた。一刀が慌ててドアを開けるとそこには寝間着姿で泣いている美里がいた。

 

美里「ひっぐ・・・・うぐっ・・・うえぇぇぇぇぇん!!」

 

一刀「美里!?どうしたんだ?」

 

美里「だっ・・・だって・・・ひっぐ・・・・私がもう少し・・・・うぐっ・・・気を付けていれば・・・・こんな事には・・・えぐっ・・・わ、私・・・・軍師・・・失kうえぇぇぇぇぇん!!!」

 

美里は更に声を上げて泣き出す。自分の失敗で多くの人が危険に晒されいることに責任を感じどうすればいいのかわからいで唯泣くことしか出来ない。

 

それもそのはずだって美里はまだ子供だ。本当なら戦場に出ないで友達と遊び回るような歳の子が多くの人の命を背負っている。しかも、これは美里にとって初陣、初めての戦場に戸惑うのも仕方がないのだ。

 

一刀はそっと美里の頭に手を起き優しく撫でる。美里は泣くのを止め撫でる手の先にいる一刀の顔を見つめる。

 

一刀「美里、今後悔しているか?今自分を責めていのか?」

 

美里「う、うん・・・」

 

一刀「だったらそれは今することじゃない。今するべきは皆でどう生きのころかだ。そのためにはどうするかは美里お前じゃないとわからないんだ。」

 

美里「私じゃ・・・ないと?」

 

一刀「後悔なんかは後でいくらでもすればいい。その時は俺も傍にいてやる。だから、今は前を向け!お前は軍師なんだろ!戦場を見定め俺たちを導いてくれ!」

 

一刀の力づよい言葉に美里の沈んでいた気持ちが軽くなっていく。それに連動するかのように今まで伏せていたイヌミミがピンッと立ったのだ。

 

美里「わかった!私、がんばる!皆が生き残れるように私が皆を導いてあげる!!」

 

一刀「その意気だ!それじゃ、俺は今から楽進達を助けに行かないといけない。村の事は美里に任せてもいいか?」

 

美里「もちろん!」

 

美里はドンッ!と胸を張る。一刀は元気を取り戻したことに安堵し、美里を抱き寄せ頭を撫でる。これで村の方はなんとかなると思い、一刀は目の前の敵に集中するのであった。

 

 

-8ページ-

 

 

 

 

 

 

 

黄巾党「死ねえぇぇぇぇ!!」

 

義勇軍「グハッ!!」

 

バタッ!

 

街から離れた荒野そこでは黄巾党と義勇軍との戦いが繰り広げられていた。・・・しかし、戦いと言うにはただ一方的な戦況で義勇軍三百人に対し黄巾党は三万もの大群で囲み嬲り殺しにしていた。義勇軍も唯では終わらせないと言わんばかりに抵抗を続けるも徐々にその数を減らしていく。

 

凪「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ドゴオォォッ!!

 

黄巾党「「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!」」」」

 

真桜「これでも喰らいな!!」

 

ドドドドガガガガガガ!!!

 

黄巾党「「「「グヘェバァァァァ!!!」」」」

 

沙和「やあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!

 

黄巾党「「「「ギョワァァァァァァ!!!」」」」

 

戦場の最前線では抵抗を見せる義勇軍の先頭で凪達が仲間の義勇兵たちを庇いながら黄巾党を蹴散らしていった。

 

凪は持ち前の体術に加え手から光輝く氣を放ち敵を吹き飛ばし、真桜はギュインと回転するドリルのような槍で黄巾党の体を削って行き、沙和は両手に持った二刀を舞を踊るかのように軽やかに振り回し黄巾党を切り刻んでいく。

 

凪「ハァハァ、クソ!!数が多すぎる!」

 

真桜「これはちぃとヤバいんちゃうん?」

 

沙和「ヤダヤダ!沙和まだ死にたくないの!まだ、今度発売する雑誌も読みたいし、可愛いお洋服も着たいし、カッコいいお兄さんと遊びたいし、やりたい事まだ沢山あるの〜!!」

 

真桜「ハハ、まだこの状況でそんなこと言えるうちは大丈夫やな♪でも、実際問題どないする凪?」

 

凪「こうなったら全軍で一か所に突撃して切りぬけるしか・・・」

 

沙和「でもでも、敵の方が圧倒的に数が上だよ!途中で止められたらお終いなの!」

 

凪「くっ!!」

 

最早これまでか凪は心の中でそう思った。世間では負けなしの義勇軍と呼ばれ民衆から希望の眼差しで見られ、自分達もそれに答え調子に乗っていたのかもしれない。その結果がこれだ!圧倒的な数の前ではどんなに評判が良くてもその数に呑まれてしまう。凪は拳を握り、もっと自分に力があればと嘆いた。

 

沙和「凪ちゃん!!」

 

真桜「凪後ろ!!」

 

凪「はっ!?」

 

黄巾党「大将の首いただきいぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 

凪は二人の声に気付いた時には後ろで剣を大きく振りかぶる黄巾党の影が凪に覆い被ろうとしていた。今から防御しても間に合わない凪は切られる事を覚悟する。だが・・・

 

ブオォン!!ザシュッ!!

 

黄巾党「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!」

 

凪「な!?こ、これは?」

 

凪を襲おうとしていた黄巾党の手に剣が突き刺さり黄巾党は手を抑えながら地面を転ぎ回る。凪の下に真桜と沙和が身を心配し駆け寄るが凪は突然の事で呆然とする。そんな彼女たちの下に・・・・

 

一刀「三人共無事か?」

 

真桜・沙和「「お兄さん!?(兄さん!?)」

 

凪「ほ、北郷様?」

 

 

-9ページ-

 

 

 

義勇軍を助けに来た一刀は戦場に飛び込むと一目散に凪達を探した。今彼女たちを失えば後の戦いで曹操軍は危険に晒されるかもしれない。一刀は何としてでも凪達を助けるべく戦場を駆けると、一刀の眼に飛び込んだのは今にも切られそうになる凪の姿、一刀は無我夢中で駆け抜け腰に差していた剣を抜き相手目掛け投げた。投げた剣は見事敵の腕に刺さりどうにか凪を助けることができたのである。

 

一刀「三人共無事のようだな」

 

凪「な、なぜ北郷様がここに?」

 

一刀「話しは後だ!街まで撤退するぞ」

 

真桜「で、でも撤退するって言うても」

 

一刀「大丈夫、道は俺達で作る!」

 

ピィーーーー!!

 

一刀が指笛を吹くと後から一刀を追いかけて来た北郷達の騎馬兵たちが黄巾党を蹴散らしながら一刀達の傍まで道を作る。

 

兵士「北郷様ご無事ですか?」

 

一刀「あぁ、お前たちは義勇兵を救出後、すぐに戦場から撤退しろ!時間は俺が稼ぐ」

 

兵士「分かりました!」

 

兵士たちは一刀の命令を聞くと義勇兵を街まで誘導し、怪我をしている者は馬に乗せ運んだ。

 

一刀「ほらお前らも早く行け!」

 

真桜「し、しかしなぁ」

 

沙和「お兄さんが一人じゃ・・・」

 

一刀「俺なら大丈夫だ!それよりも逃げている奴らの方が心配だけら三人共そっちに回ってくれ!たのむ!」

 

真桜「・・・・・わかったわ!うち等に任しとき!」

 

沙和「絶対皆を無事に逃がしてあげるの!」

 

沙和と真桜はそう言い残し街まで逃げている者の護衛にむかった。しかし、凪だけは一刀とその場に残り黄巾党と対峙した。

 

一刀「凪お前も早く皆のところに「私は!」!?」

 

凪「私は皆から強いなど希望などと言われ心なしか舞い上がっていました。そして、浮かれた結果がこれです。これで負けなしの義勇軍とはお笑いです!私は・・・・強くなりたい!もっと強くなって!こんな危機を脱せれるぐらい強くなりたい!!」

 

一刀「・・・・・・・・・」

 

凪は心の嘆きを涙を堪えながら叫ぶ。今更叫んだところでどうにもならないとわかっていながらも、叫ばずにはいられなかった。そんな叫びを聞いた一刀は・・・・

 

一刀「・・・・・・・ふふ、ふふふ、ふはははははh!!!」

 

凪「な、なぜ笑うのです!?////// ///////」

 

一刀「ハハハ、いや、美里も同じように落ち込んでいたからな。ふふ、楽進、そんなものは後に幾らでも悩めばいいんだよ!苦しい事つらい事なんて後に考えて、目の前の事を片付けちまおうぜ。その後は美里と一緒に反省会でもすればいいさ」

 

凪「・・・・・・まったく、貴方様は結構楽観主義なのですね」

 

凪は呆れながらも一刀の言葉を聞き胸の痞えが取れたような感じになり、一刀の背に自分の背を重ねる。二人の周りには黄巾党が蔓延る。しかし、二人の顔に恐れは見えない。二人は黄巾党に負ける気がしなかったのだ。

 

凪「反省会には北郷様もご一緒してもらいますよ♪」

 

一刀「そうだな。李典や干禁も集めて皆で反省しような♪」

 

凪「北郷様、今の状況で言うのも何なのですが、私の真名は凪です。どうぞお受け取りください!」

 

一刀「凪か・・・いい名前だ。だったら凪!背中は任せた!一気に突破するぞ!」

 

凪「はい!!」

 

 

一刀・凪「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

一刀と凪は雄たけびを上げながら黄巾党へと突撃する。黄巾党も彼女たちを迎え撃とうと一つの塊と化して襲ってくる。

 

黄巾党「「「「なめんじゃねぇぞ!ガキがぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」」」」」」

 

凪「もう貴様等なんかに遅れは取らない!!」

 

ドガアァァンッ!!!

 

黄巾党「「「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」

 

しかし、そんな塊も凪の放った氣弾により砕かれ粉々になっていく。粉々になった黄巾党はそのまま一刀の方へと襲いかかった。

 

黄巾党「おら死ね!!」

 

一刀「悪いけど今は男に構っていられないんでね!」

 

ブオォン!カキンッ!ショイッ!ドガアッ!!

 

黄巾党「グホォッ!!」

 

一刀は向かってくる黄巾党を次から次へと受け止めて行き投げて行く。時には腕を掴み、ある時には相手を別の相手に投げ飛ばしたりなどし二人の通る道の前にいる敵をどんどん消していった。

 

黄巾党「うらぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

一刀「ほら凪!コイツで最後だ・よっと!!」

 

ブオォン!カキンッ!ショイッ!!

 

黄巾党「のわぁぁぁぁぁ!!!」

 

凪「仲間の所に・・・・逝け!!!」

 

黄巾党「ぐほべらぁば!!」

 

ドガアッ!!

 

一刀が投げた黄巾党を凪が氣の籠った鉄拳で殴り、一刀達を追っていた黄巾党の集団へと叩きこむみ黄巾党を吹き飛ばす。

 

一刀「よし!皆の所に戻るぞ凪」

 

一刀「はい!!」

 

二人は追手を振り払うことに成功するとそのまま街まで走って行った。しかし、黄巾党もこのままでは終われないと三万の兵で街全体を取り囲み逃げ場をなくした。

 

-10ページ-

 

 

 

沙和・真桜「凪(ちゃん)!!」

 

美里「カズ君!!」

 

無事に戻ってきた二人を抱きしめる三人。二人の事が余程心配だったのだろう。二人もまた三人に抱かれながら無事に帰ってこれたことに安堵する。

 

凪「沙和、真桜心配かけてすまない」

 

一刀「美里も心配しただろ。ごめんな」

 

沙和「ううん別にいいの」

 

真桜「うち等信じとったからな」

 

美里「必ず戻って来るって♪」

 

五人はお互いの無事を祝うが、まだ戦いは終わっておらず、一刀はすぐさま頭を切り替える。

 

一刀「美里戦況の方はどうなっている?」

 

美里「ふわわ!え、えっと。敵の数は約三万対して私たちの兵士の数は義勇軍も入れて二千と少し。今は街の門と急造で作ってもらった防柵で持ちこたえているけど」

 

一刀「防柵?」

 

真桜「うちが作ったんやで褒めて♪」

 

一刀「っでその防柵はどのくらい持ちそうなんだ?」

 

真桜「うわ!流すんかいそこは!まぁ、時間も無かったし持って二日・・・いや、三日もてば上出来やな」

 

一刀「三日か・・・華琳達が来るのが五日後だから間に合わないか」

 

美里「さっきカズ君達が黄巾党を引き付けている間に知らせを出したけどそれでも間に合うか賭けだね」

 

助かるかどうかわからない状況で先ほどまでの空気が一転して沈み始める。しかし、そんな中一刀だけはちがった。

 

一刀「なにしょげてんだよ!落ち込んだり反省するのは後にするって決めたばかりだろ!な、凪」

 

凪「そ、そうでした!今は目の前の事に全力を尽くすだけです」

 

真桜「ちょ!凪いつの間にアンタ真名を預けたん!ズルくないか?」

 

沙和「ぶ〜、凪ちゃんが預けるのなら沙和も預けるの〜お兄さん沙和の真名は沙和って言うんだよ。よろしくねあ、妹ちゃんも沙和って呼んでいいの」

 

美里「だから私は妹じゃないって言ってるじゃない!」

 

真桜「ちょ〜!沙和まで、今どういう状況か・・・・あ〜もぉ、しゃない二人が預けるちゅうなら、うちの真名真桜を兄さん等に預ける。」

 

一刀「あぁ、預からせてもらうよ。さっきも言ったけど落ち込むのはこの戦いの後ですればいいんだ!今は空元気でも何でもいいから、立ちあがって前を向かなくちゃいけないんだ!」

 

真桜「そうやな、うち等としたことが弱気になってしもうたな」

 

沙和「私たちの強みは気持ちなの!気持ちが折れない限り沙和達は負けないの!」

 

凪「私も反省は後悔は後回しです。今はただ皆を守ることだけに集中します」

 

美里「私の策で皆が生き残れるように絶対に導いてあげるから!」

 

一刀「よし!これからが正念場だ!皆力を合わせて乗り切るそ!!」

 

全員軍「「「「「おおぉぉぉ!!」」」」」

 

五人の心が周りにいた兵士達にも伝わり連動していく、五人の心はやがて街全体に広がり官軍、義勇軍、町人関係なく心が結ばれ。必ず生き残るという気持ちにかられた。その後、美里は三人に真名を預け共に闘う結束を固めた。

 

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一日目

 

美里「弓隊・・・・・・射て!!」

 

シュ!シュ!シュ!シュ!シュ!

 

黄巾党「「「「ぐはぁぁぁぁぁぁ」」」」」

 

黄巾党が街を包囲して一日目、黄巾党は門をこじ開け中に侵入しようと試みるが美里の指揮する弓隊にことごとく串刺しにされていき、思いのほか侵攻が進まないでいた。

 

沙和「怪我をした人はこっちに来て手当てを受けてくださ〜い」

 

沙和は怪我をした町人や兵士たちを緊急で設置された診療所に案内し、怪我の手当てなどを手伝った。

 

真桜「はよう資材持ってきい!!壊れた所から片っ端から直していくで!!」

 

兵士「「「「おう!!」」」」

 

真桜は手先の器用な者を集め壊れた門や壁を片っ端から修復していき守りを固めて行く。

 

三人共一刀の言葉が強みとなり、いつも以上の動きを出していた。三人の活躍により最初の侵攻は最小限に抑え込むことができた。

 

 

 

 

 

 

二日目

 

凪「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ドガアッ!!

 

黄巾党「「「「ぐぼぉぉぉぉっぉぉ!!!」」」」」

 

一刀「凪深追いはするな!町民の非難を最優先にするんだ!」

 

凪「は、はい!」

 

黄巾党襲撃から二日目、守りに徹していた一刀達だったが数に押され街の門をこじ開けられてしまったのだ。その時にすぐさま凪と一刀が黄巾党を引き付けたお陰で町人達は街の奥へと避難することができた。

 

黄巾党は街の中へと侵攻を始めたが街の中には真桜特製の防壁や美里と共同で作った罠の数々でその日の侵攻はあきらめたのだった。

 

 

 

 

三日目

 

そして三日目、その日の朝は先の二日間とは違った重苦しい空気がまたしても流れていた。だが無理もないのかもしれない今日が自分たちの命日になる。そう思うと普通の人間なら気持ちが沈むのも無理がないのである。

しかし、彼らの目はまだあきらめていなかった。いくら気が沈もうと最後まであきらめない。なぜなら彼らは必ず引き残ると誓ったのだから。

 

一刀「いよいよ大詰めだな。この戦いも」

 

美里「結局、華琳様たちは間に合わなかったね」

 

一刀「そう言うな美里。こうなってしまったのなら俺たちだけでここを突破するしかないんだ」

 

美里「うん、そうだね。私たちの力の見せ所だね」

 

一刀「あぁ!」

 

一刀と美里は目の前の荒野を埋め尽くすように蔓延る黄巾党を前にし決意を新たにする。そして、ついに南西の街での最後の戦いが始まった。

 

黄巾党「押せぇぇぇぇぇ!!押しきれ!!此処を越えれば敵は目の前だ!!」

 

美里「敵の侵攻を許さないで!!弓隊、放て!!」

 

シュ!シュ!シュ!シュ!シュ!

 

黄巾党「「「「ぎゅあぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」」

 

真桜「ほらほら!うち特製の煙玉や!喰らっときな!!」

 

モクモクモクモク

 

黄巾党「「「「ゲホゲホ!!な、なんだこりゃ!ま、前が見え」」」」」

 

真桜「いや〜、兄さんが教えてくれたコレすっごい威力やな」

 

真桜は先ほど投げた煙玉を見つめる。この時代まだ煙玉と言う物は作られていなかったので一刀は簡単にできる手製の煙玉の作り方を真桜に教えたといたのである。

 

黄巾党「突っ込めえぇぇぇぇぇぇ!!!全員で行けば押し切れる!!」

 

凪「此処からは一歩も近づかせない!!はあぁぁぁぁぁ!!!」

 

ドガアッ!!

 

黄巾党「「「「「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」

 

黄巾党「クソ!たかが数千の相手に何を手間取っている!!」

 

なかなか侵攻が進まない事に苛立ちを出し始める黄巾党。その苛立ちが除序に黄巾党全体に広まり仲間割れを起こす所も出始めた。戦いの流れは一刀達に流れていた。だが・・・

 

一刀「よし!いい傾向だ。このままいけば乗り切れるかもしれない。そうすれば明日には華琳たちも援軍に駆けつけて一気に逆転でき「た、大変なの〜!!」さ、沙和!?どうしたんだ?」

 

沙和「東側の防壁が全部破られて敵がこっちに向かってきているの!」

 

一刀「な、なんだって!?」

 

真桜「しもうた〜、あっちの防壁は材料が足らへんかったから強度が弱くなってしもうとるんやった!」

 

一刀「そんなこと言ってる場合じゃない!!クソ!凪一緒に来てくれ奴らを防壁の外まで押し返す!真桜はその間に大至急防壁の修繕を頼む!」

 

真桜「任しとき!!」

 

一刀「凪行くぞ!!奴らをこれ以上中に入れさせるな!!」

 

凪「はっ!!」

 

一刀と凪は急ぎ街の東側へと走った。真桜も資材を兵士に持たせ後を追う。

 

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黄巾党「ハハハ!殺せ殺せ!、今までの鬱憤を晴らすんだ!!」

 

ザシュッ!!

 

兵士「ぎゃあぁぁぁ!!!」

 

兵士「くっ、これ以上貴様等の好きには・・・」

 

黄巾党「へへ、そう言う事は俺たちに勝ってから言えよなっと!」

 

ザシュッ!!

 

兵士「ぐはっ!!」

 

黄巾党「ぎゃははははははは!!!」

 

一刀達が駆け付けた時には東側を守っていた兵士達は殆どが殺されておりほぼ全滅していた。一刀達は怒りが込み上げてきたがここで冷静さを失えば取り返しのつかない事になる。一刀たちは込み上げてくる怒りを抑え黄巾党と対峙する。

 

一刀「そこまでにしろ黄巾党!」

 

黄巾党「あん?だれだお前?」

 

一刀「俺は此処にいる軍の指揮官だ!お前たちに一つ問う!なぜこんな事をするんだ!」

 

黄巾党「なぜかだと?そんなもの決まってる…生きるためだ!俺達が生きるには奪うしかみちは無い!いや、それしか残されていなかったんだ!だから俺たちは奪う!殺して奪う!殺しても奪う!それが俺達の生き方だ!」

 

一刀「・・・・・もう・・・・戻る気はないんだな?」

 

黄巾党「はっ!戻るとはどこにだ?俺たちに戻る場所など無い!俺たちは進む!ただそれだけだ!!」

 

 

一刀「・・・・・・・」

 

黄巾党の大群は剣を振りかざし轟音をあげて襲いかかってくる。凪は迫りくる黄巾党を前に黙り込んでしまった一刀の顔を覗く、凪は一刀の顔を見た瞬間心が痛んだ。一刀の顔はまるで自分が傷付けられたかのような苦しい顔をしていた。

 

凪はなぜ貴方がそのような顔をしなければならないのかと思った。凪はその思いを秘め黄巾党を睨みつける。一刀に辛い思いをさせた黄巾党を殺気を込めた眼で睨みつける。

 

一刀「・・・・・凪、いくぞ!奴らを街から追い出す!」

 

凪「はい!!」

 

一刀と凪は黄巾党を正面から迎え撃つ。凪の放つ氣弾により黄巾党は後ろに吹き飛ばされ、一刀に向かってくる者は攻撃を受け流され投げ飛ばされていき、一気に黄巾党を街の門の外へと追い出したのだが・・・

 

一刀「よし!そろそろ戻るぞ凪!」

 

凪「はい!北郷さm・・・・!?北郷様あれを!!」

 

一刀「ん?な!?しまっ」

 

バタン!!

 

一刀達が気付いた時にはすでに遅かった。一刀たちが前方の黄巾党に気を取られている間に少数の黄巾党が街の門を閉め一刀達の逃げ場を断ってしまったのだ。危機的状況に落ちてしまう二人。

 

黄巾党「ふははは、これまでのようだな!貴様らがこの軍の要だと言うことはこの三日間で調べさせてもらったわ!お前たちを殺せば、あとの者など容易いわ!ふはははは」

 

凪「くっ、迂闊でした。せめて私が門の内側にいれば・・・」

 

一刀「後悔しても始まらないだろ。それに前に出過ぎた俺の責任だ!少し熱くなりすぎた。」

 

黄巾党「死ぬ覚悟はできたか?そろそろこの戦いも終りにさせてもらう!」

 

凪「北郷様、いざとなった時は私が・・・」

 

一刀「いや、その必要はないと思うぞ」

 

凪「え?」

 

一刀「確かにこの戦いは終わったな・・・・・・俺達の勝ちだ」

 

ドスッ!!

 

黄巾党「なに?ぐはぁ!!」

 

大口を吐いていた黄巾党の首に一本の矢が突き刺さりその場に倒れる。周りの黄巾党はなにが起きたのか分からずその場に立ち尽くしていると空から無数の矢が黄巾党の次々に射抜いて行った

 

ドスッ!!ドスッ!!ドスッ!!ドスッ!!

 

黄巾党「「「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」

 

凪「こ、これはいったい・・・」

 

???「遅くなってすまない北郷」

 

一刀「いや、俺達も今来たところさ秋蘭」

 

バタンッ!!

 

二人の下に馬に跨り弓を携える秋蘭が部隊を率いて援軍に来たのだ。一刀は信じていた仲間の登場に安堵の息をもらすとその場にヘタリ込んでしまった。

 

凪「ほ、北郷様!?」

 

秋蘭「大丈夫か北郷?」

 

一刀「あははは、な、なんだかこの数日間、ずっと気を張り続けてたから気が抜けた瞬間腰が抜けちゃった」

 

凪「は、はぁ・・・」

 

秋蘭「フフフ、まったく後の事は私たちに任せてお前はそこで休んでいろ。流琉!」

 

流琉「はい!秋蘭様!!」

 

秋蘭「一気に黄巾党を殲滅する。今頃、姉者達も向こうで暴れているのだろう我々も負けてはいられないぞ!」

 

流琉「わかりました!・・・兄さま。私の戦う姿そこでしっかり見てくださいね」

 

一刀「あぁ、そうさせて貰うよ流琉」

 

二人はそう言うと部隊を連れて黄巾党へと突撃していく。黄巾党は秋蘭たちを迎え撃つべく群がっていくが秋蘭の弓と流琉の伝磁葉々で駆逐されていく。

 

凪「ほ、北郷様、あの者たちは一体?」

 

一刀「凪、あれが前に話した俺よりも強い奴らだよ」

 

一刀と凪はしばらくの間、二人が黄巾党を全滅させる様を眺めていた。

 

 

 

 

春蘭「ふはははは、我に敵う者なし!!」

 

季衣「さすが春蘭様です!!」

 

美里・沙和・真桜「・・・・・・・・・・・・」

 

美里達が守っていた街中央では救援に来た春蘭と季衣の部隊により黄巾党を殲滅できた。しかし、戦いに夢中になるあまり春蘭は防壁まで破壊してしまい。その上で戦いを見ていた美里達は危うく瓦礫の下敷きになるところだったのだが春蘭はそんな事に気付きもしなかった。

 

真桜「なぁ?あれが美里達の期待してた援軍かいな?」

 

美里「期待を越えすぎた援軍だけどね。ゲホッ」

 

沙和「も、もう少し周りを見てほしかったの〜ゲホッゲホッ」

 

春蘭・季衣「「わははっははははは!!!!」」

 

美里・沙和・真桜「・・・・・・・・・・・・はぁ〜」

 

蹴散らした黄巾党の真ん中で高笑いをする春蘭と季衣を瓦礫に埋もれながら見る三人は大きな溜息を吐くのだった。

 

-13ページ-

 

華琳達の増援部隊により黄巾党との戦いは一気に決着が付いた。華琳は黄巾党を殲滅するとすぐさま救助活動するように指示をだす。指示を出すとすぐさま街を掛け周り一刀の姿を探す。そして、凪と秋蘭に引きずられながらも救援所に向かう姿をとらえる。

 

華琳「一人!?貴方大丈夫なの?」

 

一刀「お陰さまで何とか生きながらえたよ」

 

華琳「そう・・・・なかなかの活躍だったみたいじゃない?」

 

一刀「そんなことないさ。俺よりもこっちにいる凪・・・・義勇軍の方が活躍したさ」

 

凪「え!?いや、私はその!!」

 

そう言って隣で肩を貸していた凪を華琳の前に押し出す。凪は突然の事で顔を真っ赤にし緊張してしまう。そんな彼女の下に沙和と真桜が駆け寄って抱きついてきた。

 

沙和・真桜「「なぎ〜〜〜(ちゃん)!!!」」

 

凪「沙和!?真桜!?うわっ!!」

 

ガバッ!!

 

真桜「うち等あの大群を相手に生き残ったんやで!!」

 

沙和「奇跡なの!!神様がくれた奇跡なの!!」

 

凪「こ、こら二人とも!そ、曹操様の前で!!」

 

傍にいる華琳には気にも留めないではしゃぐ二人にと困る凪を見て、華琳は口に手を当て笑みを浮かべる。

 

華琳「ふふ、面白い子達ね」

 

一刀「だろ?それで・・・華琳、一つ頼みがあるんだけど」

 

華琳「何かしら?」

 

一刀「彼女達・・・もとい義勇軍を華琳の下に置いてくれないか?」

 

凪・沙和・真桜「え!?」

 

はしゃいでた三人の動きピタッと止まる。三人は一刀の願いを聞いてびっくりする。

 

華琳「つまり義勇軍が私の指揮下に入るってこと?」

 

一刀「彼女達は元々華琳の下に仕えたいって言ってたんだ。だけど、黄巾党に苦しまれる民を見捨てられなくて義勇軍を作って今まで戦ってきたんだ。だから・・・」

 

凪・沙和・真桜「「「北郷様(お兄さん・兄さん)」」」

 

華琳「彼女たちの能力はどうなの?」

 

美里「それなら問題ありません!!」

 

華琳の問いかけにこちらに走りながら答える美里。

 

美里「か、華琳さま!こ、こたびの失態申し訳ございませんでした!敵の策に気付かず、任された部隊を危険に晒してしまった私が言うのも可笑しいのですが、彼女達の力がなければ私たちは今此処に居なかったでしょう。彼女たちの力は必ず華琳様の力になるでしょう。ですので、お願いします!凪ちゃん達を仲間にお加えください!」

 

一刀「美里・・・・・・・華琳!お願いします!!」

 

凪・沙和・真桜「「「曹操様!お願いします!!!」」」

 

華琳「・・・・・・・・・・・」

 

一刀と三人は彼女たちのために必死に頭を下げる美里と共に華琳に頭を下げお願いする。華琳はしばらくその姿を見ていたが、一つ溜息をつくと・・・

 

華琳「貴方達名前は?」

 

凪「が、楽進と申します。真名は凪」

 

真桜「李典ですぅ。真名は真桜といいますぅ」

 

沙和「干禁なの、真名は沙和っていいます」

 

華琳「そう、三人共私の部下の命を救ってくれてありがとう。私の事は真名の華琳と呼んでいいわ。これからは、私のためにその力振って頂戴」

 

凪・沙和・真桜「「「は、はい!!!」」」」

 

華琳「ふぅ、・・・・彼女たちの事は貴方に任せるは一刀」

 

一刀「それじゃ?」

 

華琳「ふふ、しっかりと面倒を見てあげるのよ」

 

華琳はそう言い残しその場を後にする。五人はしばらくの間放心状態だったが、段々と状況を認識すると一気に興奮しだした。

 

一刀「よっしゃ!!!よかったな三人共!!」

 

美里「ふわわ!よかったね!これで私たちちゃんとした仲間だよ!」

 

凪「はい♪北郷様、美里様、ありがとうございます!!」

 

真桜「ほんまありがとうな♪二人のお陰や!」

 

沙和「私達これから華琳様の役に立てるように頑張るの!」

 

一刀「あぁ!これから皆で頑張っていこうな!」

 

凪・沙和・真桜「「「はい!」」」

 

こうして南西の街での黄巾党との戦いは、新たな仲間を加え幕を閉じたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

左慈「・・・・・・・・・・」

 

どこかわからない空間、そこには日夜一刀を付け狙う左慈が何やら作っている真っ最中だった。

 

左慈「う〜ん・・・・・よし!出来たぜ!」

 

于吉「おや?なにができたのですか?左慈」

 

どこから来たのか左慈の後ろには于吉の姿が、 左慈はあまり動揺した様子も無く于吉の質問に答える。

 

左慈「人形だ、北郷のな」

 

于吉「人形・・・ですか?なんでまたそのようなものを?」

 

左慈「決まっているこれで奴の息の根を・・・・」

 

于吉「あぁ、呪いをかけるのですね。確かに居場所が分からない相手には打ってつけかもしれませんね。」

 

うんうんと納得する于吉。しかし、左慈はそんな于吉を呆れた眼で見ていた。

 

左慈「なにを言っているんだ貴様は?奴は俺の手で直に殺さなければ意味がないだろ」

 

于吉「え?でしたらその人形は?」

 

左慈「これは北郷の息の根を止めるための練習台だ!」

 

左慈はそういって抱いていた人形を于吉に見せる。その人形はなんとも可愛らしく刺繍されており見ためからすればぬいぐるみに分類される人形だ。于吉は人形を見て絶句してしまう。

 

于吉「・・・・・・・・・・左慈」

 

左慈「ふん、これでいつ奴と再開してもすぐに殺せれるぜ。北郷貴様などこうだ!こうして!こうやって!こうしてやる!ふはははは♪」

 

左慈は北郷人形を抱きしめ絞め技をかける。しかし、その姿ははたから見ればただ好きな相手の人形に抱きついているにしか見えないのだった。

 

于吉「左慈・・・私はどんな貴方でも愛しますが・・・・・時々、貴方がわからなくなります」

 

左慈「ふはははは♪ふははははは♪」

 

 

おわり

 

-14ページ-

 

 

あとがき

 

如何でしたでしょうか?今回の話しのキーワードとしては「失敗しても挫けるな!」だったのですが、私は何事も初めっから上手くいくはずがないと考えており、今回の美里や凪は失敗しましたがそこからあきらめない事と仲間を頼ることを学んでほしいと思います。

 

さて次の話しですが、拠点を書こうと思います。出来るだけ全員出せるようにしますが、もしかしたら出す割合が極端になるかもしれないかもしれませんが次回も楽しみにしてください。

 

あと、毎回のコメントありがとうございます。これからも多くのコメントを待ち望んでおります。

 

 

 

 

 

 

 

説明
ナメクジ並みの更新速度ですみません。私にもっと文才があれば早く書けるのですが、生憎凡人以下の才能しかないわけで・・・・

さて今回はやっとあの三人組みを出せます。私はあの三人の中では傷のあるアノ子が一番好きだな

なので、何かと出番回数が違ってきますが、そこは作者の趣味が入っておりますので申し訳ございません。

それではお楽しみください。
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コメント
ラストの左慈で何かとても空気が変わった・・・先の防衛戦の苦しさがw(深緑)
F91 ありがとうございます。間違えましたすみません(転換者)
9pで楽進の真名を預かる前に凪と呼んでいますよ。(F91)
はりまえ 様ありがとうございます。度重なるご指摘ありがとうございます(転換者)
きたさん 様ありがとうございます。すみません間違えました。(転換者)
はりまえ 様ありがとうございます。普通の話しと思いきや視点を変えたら百合これが子の話しの面白いところだと思います(転換者)
ヒトヤ犬 様ありがとうございます。まさか貴方まで見てくださるとは大感激です。これからもコメントお願いします(転換者)
拾参拾伍拾 様ありがとうございます。意味の訂正会感謝です。(転換者)
紫炎 様ありがとうございます。そんな意味があったとはしりませんでした(転換者)
FALANDIA 様ありがとうございます。さてさてどっちがどうなのでしょうね(転換者)
kaku 様ありがとうございます。語学力がありませんでした。すみません(転換者)
ほわちゃーなマリア 様ありがとうございます。いつも呼んでくれてコメントを毎回してもらい感謝です(転換者)
Djトク 様ありがとうございます。変換するときに間違えました。(転換者)
naganaga様ありがとうございます。女体化などは会ったと思いましたが、男装はまだ無かったと思ったのでやってみました(転換者)
ポセン様ありがとうございます。指摘感謝です(転換者)
2828様ありがとうございます。左慈は壊れていません。天然なだけです(転換者)
今気付いた9P一刀「よし!皆の所に戻るぞ凪」一刀「はい!!」←凪「はい!!!」なはず・・・・一刀になってます(黄昏☆ハリマエ)
4P 美里の指揮のお陰でなんらく来られたよ →なんなく来られたよ  カナ?細かい突っ込みでゴメン!(きたさん)
百合百合無双始まったか・・・・・(黄昏☆ハリマエ)
真名許す前に一刀が凪と言ってますよ(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ)
力不足は、役目や役職を果たすだけの力量が無いことです。(拾参拾伍拾)
P2役不足→力不足。役不足はその仕事、役職が簡単すぎるという意味です。間違えている人が多いですがご注意を……(紫炎)
この作品における左慈は実はヒロインですよね。いや、一刀女だしヒーローであってる・・・のか?(FALANDIA)
役不足の使い方がたぶん間違ってる。「俺じゃ力不足」でしょう(kaku)
美里は一刀の妹と犬ですが何かの称号を手に入れたwwそして、左慈は良い御婿さんになれますね、きっとw(ほわちゃーなマリア)
7pで一刀が「皆でどう生きのころかだ」、「ろ」のところは「る」ではないでしょうか。(ポセン)
左慈が壊れたw(2828)
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