真・逆行†無双 二章その7
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何も目立つ物がない荒野の上、

二つの塊が対峙していた。

 

一方は黄色の布を巻いた盗賊たち。その数七千。

もう一方は鎧をつけた公孫賛率いる軍。その数五千。

 

両者はにらみ合いながらじっと待っていた。

 

何を?

もちろん戦いの合図をだ。

 

いように静まったこの地で風だけが緩やかに流れる。

 

固唾を呑む音まで聞こえそうな程静まり返った時、

両方の陣から一人ずつ前へ出てくる。

 

公孫賛と琥栗である。

 

そして――

 

 

 

「聞け!盗賊共!」

 

「聞け!愚かな官軍共!」

 

 

「今日まで生かしておいたその命」

 

「今まで私たちを苦しめてきたその命」

 

 

「「今日、ここで貰いうける!!」」

 

 

「さぁ皆!忌々しい賊共は目の前にいるぞ!

私たちの大切な家族を奪おうとする野蛮な獣たちが目の前にいるぞ!!」

 

「私たちはずっと奪われる側だった。我慢する側だった……

だが、そんな私たちに奴らは何をしてくれた?

何もしてくれなかったではないか!!」

 

 

「だが臆することはない!今まで奴らを退けてきたのは誰だ!?

他でもない私たち自身だ!!」

 

「もう我慢をする必要なんかない…。

もう奪われる必要なんかない!!」

 

 

「さぁ剣を持て!そして今日ここで奴らを根絶やしにしてくれよう!!」

 

「奪え奪え奪え!!!

今度は私たちが奴らから奪う番だ!!そして―」

 

 

「私たちの街を……家を……家族を友を護るのだ!!」

 

「殺しつくしてやるのだ!!!」

 

 

「全―」

 

「―軍」

 

 

 

 

 

「「突撃ぃいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!」」

 

 

 

 

 

両軍の戦いが今、始まった―!

 

 

 

 

 

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「お前達!先程言ったように三人一組で奴らに当たれ!

そうすれば必ず勝てる!!」

 

戦闘が開始され目の前の敵を見据えながら関羽は叫ぶ。

それと同時に接近してきた賊をその槍でなぎ払う。

 

「ぐえ!?」

 

「たかだか賊がこの私に傷をつけられると

思わぬことだな!!」

 

「す、すげぇ」

 

「これなら俺たちだって!」

 

どんどん敵をなぎ倒していく姿に、

始めよく知らない関羽隊につき不安をもっていた者たちは次第に士気を高めていく。

 

「うりゃりゃりゃりゃーーーーー!!

野蛮な賊共はみんな鈴々がやっつけてやるのだー!!」

 

そして関羽だけでなく、小さな張飛の勇ましい姿は、

見るもの全てに勇気を与える。

 

「俺たちもやるぞ!」

 

「ああ!!」

 

そうして次々と彼等は盗賊たちを倒していった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、初めて隊を率いての戦であの動き……

フフ、こちらも負けていられんな」

 

一方、星の部隊。

こちらも順調に盗賊たちを倒していた。

 

それに兵の質も一番この部隊が高いだろう。

白蓮の兵にも鍛錬をつけているとはいえ、こっちは正真正銘の星の部隊。

戦の度に星と共に戦場をかけ、鍛錬をつんできた者たちばかりがいるのだ。

負ける要素はほとんどないといっていいだろう。

 

「死ねぇ!」

 

「甘い!」

 

「ぐぎゃっ!」

 

また一人敵を刺殺し、星は眼前の敵の群れを睨みつける。

 

「我が名は趙子龍!天の御使い北郷一刀が家臣であるこの私の首が欲しければ

かかってきたくばかかってくるがいい!」

 

「くっ、うあああああああああぐぼぁ!?」

 

斬りかかってきた賊を簡単にねじ伏せ、

それから不適な笑みをつくり言葉を放つ。

 

「だがこの首、簡単にとれると思うなよ?」

 

 

 

 

 

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「ちょっと何考えてるのよ!?」

 

所代わって公孫賛本陣。

桂花と一刀はここにいた。

 

「何って出ようと思って」

 

「はぁ?ふざけんじゃないわよ!

何考えてるの?バカじゃないの!?」

 

「そこまで無茶苦茶言わなくても……」

 

「言いたくもなるわよ!アンタ自分の立場を理解してないでしょ!?」

 

桂花が怒っている理由は簡単だ。

一刀が自分も戦場に出ると言い出したからである。

 

「万が一にでもアンタが死ねばどうなるか分かってるでしょ!?」

 

「………」

 

「……何よその目」

 

「……どんな目してる?」

 

「……どれだけ止められても絶対行くって目……してる」

 

「ごめん……」

 

「うるさい変態!!」

 

言葉と同時に一刀の胸を殴る。

一刀はそれを黙って受け止めた。

 

一刀とて分かっているのだ。

ただのわがままだってことは。

 

この軍の大将は白蓮だ。

白蓮が討たれない限りこの軍は機能するだろう。

だが、一刀を慕ってついてきた者によっては話しが違う。

 

白蓮の所に一刀は客将としてきている。

つまり彼等にとっては一刀が自分の王なのだ。

 

「……あの女に会いに行くの?」

 

「……うん」

 

「あほ。バカ。変態。全身精液男。……下から上までち○こ男」

 

「最後こわいなっ!?」

 

「……死んだら一生怨んでやるから」

 

「……うん」

 

撫でるように髪に触れる。

今回は桂花も文句を言わず受け入れた。

 

それから一刀は傍にいた六花に乗る。

 

「またよろしく頼むよ六花」

 

「ヒヒーン!(まかせて下さい旦那さま♪)」

 

「それから桂花」

 

「……何よ」

 

「俺は絶対死なないから」

 

それだけ言って返事は待たずに一刀は六花と共に

戦場へとかけていった。

 

そんな背中を見ながら桂花はポツリともらす。

 

「………………………バカ一刀」

 

 

 

 

 

 

 

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「せああああああっ!!」

 

「がっ」

 

「ぎゅばっ!?」

 

「怯むな怯むな!私たちのほうが強い!!」

 

盗賊、公孫賛軍が激突している戦場のある中。

そこには大量の死体が出来上がっていた。……公孫賛軍の。

 

それを作ったのは一人の少女、琥栗である。

 

「こっち側は私たちが優勢か……でも何なのあれは?

公孫賛軍で警戒すべき隊は趙雲隊だけの筈なのに……

あっちの二人……格が違う!」

 

そう関羽と張飛のいる方向を見ながら零す。

完全な計算違い。

 

この短期間に新しく趙雲クラスの武将が入っているとは

流石に思いつかなかった。

 

「趙雲一人でも厳しいのに……!!」

 

「ほう?私をお呼びか?」

 

「っ!?」

 

ギィン!!

 

と刃がぶつかりあう音が辺りに響く。

 

それと同時に睨み会う二人。

琥栗と星だ。

 

「もうここまで突破してきたっていうの!?」

 

回りでも星の部隊と盗賊たちが激しく戦闘している。

 

「あのような雑兵。我が隊の敵ではないよ」

 

「くっ!バカにして……!!」

 

一合、二合と槍同士がぶつかり合う。

焦りの表情を見せるのは琥栗だが、

星は内心で驚いていた。

 

(ふむ……これが主の言っていた……。

流石主、見る目がある。

これは油断すれば私でも直ぐにもっていかれるな)

 

不意打ち気味の最初の一撃にしてもそうだ。

雑兵なら止められぬ速さでついたにも関わらず、

見事に琥栗は星の槍を止めて見せた。

 

はっきり言おう。

琥栗は単純な武だけを見れば星には敵わない。

 

琥栗には関羽や張飛のような力強さは無い。

星のような速さもしなやかさもない。

 

だが彼女には目があった。

 

動体視力。

動きを捕らえる目。

 

その一点において彼女は星よりも上をいっていた。

 

それに星たちより武はないといっても、

そこらの兵よりは段違いに強い。

 

だからこそ星と拮抗していた。

 

「フフ……これはこれは」

 

「な……にがおかしい!?」

 

「いや、何でもない」

 

「くっ!」

 

見切る見切る見切る。

 

星の動きは面白いぐらい琥栗に見切られ受け止められる。

そして返しざまに反撃。

 

強い。

素直に星は琥栗を認めた。

 

同時に奇妙なものだと笑みを浮かべた。

 

レベルとしては明らかに琥栗が上。

だがこの戦い方を星はよく知っていた。

 

 

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「っ!!貰ったぁ!!!」

 

一瞬の隙。

防御されたことにより生まれた隙。

そこを琥栗に狙われる。

 

その攻撃は止められることはなかっただろう。

おそらく……初見だったならば。

 

「なっ……受け止め…!?」

 

「スマヌな……その攻撃は知っている」

 

相手の攻撃を受け隙を作り反撃する防御型の戦方。

それは星の良く知る人物と同じであるのだ。

 

そう……北郷一刀と!

 

だからこそ防げた。

 

一刀との訓練の時、

実は内心ヒヤリとさせられた場面がいくつか星にもあった。

 

その時は一刀の武の低さから一撃を貰うことはなかったが、

それでも鋭くいい攻撃だった。

 

そして今、琥栗が放った攻撃もそれと同じ。

一刀より武が上の琥栗の攻撃だ。

おそらく知ってなければくらっていた。

 

だが知っていれば話は違う。

一刀より上とはいえ、星にとっては格下。

受け止められないわけがない!

 

「……っ〜〜〜!!」

 

琥栗の言葉にならない叫び。

 

理由は簡単である。

隙を突いた攻撃は受け止められた。

つまり……今度は自分に隙が出来てしまったのだ。

 

そして目の前の武人はそんな隙を見逃すようなヘマはしない。

すなわち……数秒後、自分は死ぬ!

 

(イヤだ……イヤだよ…!)

 

想像通り、星が琥栗に向けて槍を放つ。

死が……迫る。

そして――

 

(あ……死んだ。

ごめん皆、お義父さん。

………もう一回話したかったよ、一刀さん……ゴメンね)

 

死は……訪れなかった。

 

「………え?」

 

星を見る。

彼女は槍を構えはしているものの、

琥栗を殺してはいなかった。

 

「…どう……して?」

 

「お主を殺すと……主が悲しむからな」

 

「……え?一刀さんが……?」

 

その名に呆然とした時だ。

 

「うあああああああああ!!」

 

「っ!?」

 

「おじさん!!」

 

一人の賊が星へ突撃する。

攻撃をくらうことはなかったが、不意をつかれ後ろへと後退する。

 

「大丈夫ですか!?お嬢!!」

 

それは琥栗の育ての親の親友である男であった。

 

「お嬢、ここは俺に任せていって下さい!

向こうが押されてきてるみたいで」

 

「何言って……!」

 

「心配しないで下せぇ、こんな奴ぐらい俺一人で十分でさ」

 

「おじさん……!」

 

琥栗に優しく笑う男。

その顔は決意に満ちていた。

 

「俺がいくまで……数、残しておいて下さいよ」

 

「っ………。分かった!ここは任せた」

 

「おう!」

 

「……絶対」

 

「何ですかい?」

 

「絶対……後からきてね!」

 

「ああ、もちろんさ!!」

 

男の言葉を聞き届け、琥栗はこの場から去っていった。

残されたのは……

 

「まさか……」

 

「あん?」

 

「本気で私に敵うとは思っておるまいな?」

 

明らかに強さの次元が違う二人。

もちろん強者は星である。

 

そんなことは男にも分かっていた。

だが男は不適に笑い。

 

「決まってる……もちろん本気だってんだ!!!」

 

星へと挑んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

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あとがき。

 

うん、なんかもうメチャクチャですねw

ちゃんとプロットたてないからこんなことに…。

まぁ相変わらず戦闘適当ですが、何とか頑張って書きました。

 

琥栗の強さは今回見て貰えれば分かったと思いますが、あんな感じです。

単純な武で言えば、沙和よりは強いです。

真桜とはいい勝負じゃないんでしょうか。

って感じです。

 

そして能力は強化版一刀。

目だけは凄くいいです。

 

次回はいよいよ一刀と再開!?

ってな感じの話しです。

前、二章は10話いかないといいましたが、

ジャスト10話でおわりそうです。

 

ということで二章残り3話、お付き合いくださると嬉しいです。

ではまた次回にノシ

 

 

 

 

説明
いよいよ始まった戦い。
琥栗は…一刀は…二人は再び出会えるのだろうか。
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コメント
sirokumaさん>次回は星のターン!かわいい星はもう少し待ってくださいねww(テスタ)
kashinさん>僕も書きながらどっちも応援してますwなんでオリキャラだしちゃったんだろうww(テスタ)
よーぜふさん>おじさーんww桂花は一応人間側のメインパートナーですからねw押していきますよww六花拠点か…二章終わったらやってみようかなww(テスタ)
村主さん>きっとどんな戦でも善悪なんてないんだろうなと自分は思ってます。そして親友がどうなるかは次回…(テスタ)
やっぱり星が一番カッコいい・・・!でもたまに照れちゃう星かわいいよ星(シロクマ)
それぞれに正義があって辛い戦いだなぁ・・・ どんな戦いであれこういう内情があるのだと思いますが知ってしまうと簡単にどちらか一方を応援できないのが辛い(kashin)
賊には賊の理由がある・・・まあそれでもやってはいけないことにはかわりませんが・・・お、おじーさーん!!! それはさておき、桂花可愛いなぁ・・・そしてそろそろ拠点で六花さんが本気をおだしになるんですね?w(よーぜふ)
単純にどっちかが善悪で片方消えれば事態が丸く収まる・・・といった話では無いだけに そして育ての親の親友さん、漢だけど・・・どうなりますやらw(村主7)
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恋姫 逆行 一刀 桂花  琥栗 ちょこっと愛沙 

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