変態司馬懿仲達物語 反董卓連合 5 |
連合軍はついに洛陽前まで軍を進めた。
虎牢関で戦う事もなく撤退した董卓軍を警戒して数日は動かなかった連合軍は総大将である司馬懿が袁紹に「一番乗りはしたくないですか?」と吹き込んで虎牢関一番乗りをさせて罠ではない事を確認して虎牢関を突破した。
董卓軍は決戦をするつもりであると諸侯達の考えもあり、虎牢関突破後すぐに軍を進める事となった。
曹操が先鋒を勤め、その後ろに司馬懿、袁紹、袁術と言った順で行軍しており、水関で一番目だった劉備軍は一番後ろにいる。
曹操軍は早い段階で斥候を放ち董卓軍の様子を探って情報を集めようとした。
すると、斥候は思いも寄らぬ報告を持ち帰ってきた。
――洛陽が火の海となり、董卓軍はそれを背に布陣している。
連合軍を唖然とさせる知らせは諸侯たち放った斥候誰もかれもが同じような内容を持ち帰ってきた。
連合軍は行軍速度を速め二日で洛陽まで到達し、その様子を目の当たりにした。
「酷いです。こんな……こんな事を……」
そう呟いたのは徐庶だ。
口元に手を当てて呆然と黒い煙が立ち上る洛陽を見ている。
それは連合軍の誰もが同じで、その様子は口では到底言い表せないものだった。
董卓軍はその黒煙が昇る洛陽を背にして布陣していた。
唖然とする連合軍を攻める好機と思ったのか、董卓軍は突撃を開始した。
「こちらも突撃します。辰、よろしくお願いします」
「あいよ。おっしゃオメェら! 曹操軍に続いて突撃するぞ!」
号令と共にケ艾、姜維の部隊が駆け出し、本隊の司馬懿は後ろに退き始める。
袁紹と袁術の軍が隊列を崩して後退する司馬懿の横をすり抜けていった。
両軍がぶつかり、戦いが始まる。
曹操軍に張遼と高順。司馬懿軍に呂布と陳宮。残りは李儒が相手をする事になった。
曹操軍では先鋒の夏侯惇が力任せに突撃し、高順を一騎討ちで撃破。と言っても途中で逃げられて無理に攻めようとして逆撃を喰らい、態勢を立て直す為に退き、その隙に張遼が騎馬でのチマチマとした突撃を繰り返して確実に董卓軍有利に戦運びをしていた。
呂布の補佐、高順は一騎当千の強さがあるわけではなく、戦運びが上手い武将である。
個の武に頼らず、戦場を見て上手く立ち回ることを得意とする高順は黄巾の乱ではいくつもの陣を破った陥陣営と呼ばれ恐れられたほどの戦上手である。
張遼も同じく個人の武ではなく用兵を巧みに扱う武将だ。相性で言えば抜群の組み合わせに曹操軍は手を拱いている。
他の軍でも同じようなものだった。
飛将軍呂布を相手取る司馬懿軍はケ艾、姜維が二人掛かりでなんとか耐えている状態だった。
ケ艾は拳を武器に戦う武将で動きも速く身のこなしも文句なしだ。姜維は抜刀術の速さと状況を見て斬り込む観察眼を武器にしている。
一瞬の隙を作る役目のケ艾は何度も呂布に隙を作らせ、それを姜維が見逃さず目にも留まらぬ速さで攻撃するが、それよりも呂布は速く動いた。
常に死角となる位置で呂布の隙を窺う姜維の一撃をチラリとも見ずに受け止め、飛びかかるケ艾を姜維と同じかそれ以上の速さで振り抜かれる攻撃で吹き飛ばす。
攻めているように見えるが、ケ艾たちからすれば一方的にやられているのと変わらなかった。
李儒は最も好まれない戦いをしている。
弓兵を中心とした戦いで矢に毒を塗り、それを袁紹、袁術の軍勢に降り注がせていた。
全てに毒を塗っているわけではなく、毒を塗っている矢と塗っていない矢を放って絶大な効果を出していた。
即効性の死なない程度の毒は兵士たちを苦しめ、それを横で見ている兵士は矢を喰らえば毒に侵される、と毒の塗られていない矢に当たっても毒になったと思い込んで戦意喪失していく。
更に袁紹軍も袁術軍も人数が多い。上手く機能しているのは張?の部隊と孫策軍くらいで、後は大混乱に陥っていた。
李儒の好まれない戦いはそれだけではなく、部隊での突撃はしてこないのだ。
ただ矢を降り注がせ、敵の戦意を削ぎ、徐々に後退して突撃してきた部隊を深いところまで引き込もうとする。
他の連合軍の諸侯は袁紹、袁術の部隊が邪魔で戦線に参加できずにいた。
「曹操軍が張遼、高順と交戦中! 戦況は思わしくありません!」
「袁紹、袁術の軍が大混乱に陥りました。張?と孫策軍がなんとか持ち堪えています」
「報告! 馬超殿は混戦する戦場に乱入は無理だと判断し、待機しております」
「劉備軍が大きく迂回して洛陽を目指すと報告が入りました」
「公孫?の軍がいつの間にか洛陽を目指しておりました」
次々に飛び込んでくる諸侯たちの近況に耳を傾けつつ、司馬懿は悩んでいた。
主力であるケ艾と姜維は呂布相手に手一杯で洛陽を目指す事はできない。しかし、劉備軍に洛陽一番乗りをされるのはあまりにも面白くない。
劉備軍はこの反董卓連合で唯一目立っている勢力だ。それが洛陽一番乗りを果たし洛陽の民を助け出すのは面白くない。
しかし、司馬懿が動かせるのは北郷、荀ェ、徐庶の三名だけだ。
「彗里、考えを述べてください」
「御意。まず北郷、荀ェに部隊を率いてもらい劉備軍の背後に付いて洛陽を目指します。敵は劉備
軍に押し付けるのがよろしいでしょう。敵と交戦する様なら劉備を盾に洛陽へ。敵がこちらを無視するなら劉備軍の後に洛陽へ入り、朝廷を押さえます」
「それしかありませんか。北郷、荀ェに五百ずつ兵士を与えます。劉備軍の後ろに付いて洛陽を目指してください。無理はせず、入場後速やかに朝廷を押さえなさい」
命令に戸惑う一刀を荀ェが引っ張っていく。
それを確認してから再び戦場に視線を戻した。
「戻る場所を失った軍は強いですね。しかし、徐々に押してきましたね。この戦い、辛くも連合軍の勝利で幕を閉じそうです」
「はい。曹操軍の夏侯惇の突破力は凄まじいです。高順と張遼を蹴散らして軍を真っ二つに引き裂いてしまいました。李儒は徹底的に無視する事になったようですね。孫策軍が我が司馬懿軍を援護してくれています」
「李儒さんを張?さんが抑えていますね。袁紹軍と戦うとすれば彼が難敵でしょう。他は張?さんの補佐に回りましたか。袁術軍は……何も言いません」
「率いる将も印象に残らない人たちですからね。しかし、客将の孫策軍は強いです。呂布軍を我が軍と一緒に圧しています。どうやら呂布に何人か将が向かったようです」
「呂布さんの武勇に対抗するには江東の虎の娘、孫策さんくらいでしょうか。彼女の参戦でも多少は有利に運ぶ事が出来たのかもしれませんね」
孫策軍の介入で司馬懿軍の動きが急速に変わり、呂布の軍勢を圧し始めている。
軍勢を真っ二つにされた張遼と高順は撤退を始めていた。
張遼は夏侯惇の部隊に捉まり囲まれつつあるが、高順は一点突破で呂布と合流した。
呂布は高順の部隊が合流すると颯爽と撤退していった。
曹操軍が張遼を捕縛したという知らせが入り、司馬懿はすぐにケ艾と姜維に李儒の捕縛を伝令で飛ばし、連合軍はただ一つ残った部隊に突撃を仕掛けた。
劉備軍の後に付いて洛陽入りを果たした一刀たちはわき目も振らず朝廷を目指していた。
街は全焼し、まともに残っている建造物は一つもなかった。
倒壊した家で道が塞がれている箇所が多々あり、中々朝廷に向かうことが出来なかったが、ようやくあと少しのところまで来ていた。
劉備軍は朝廷を押さえるよりも住民たちの安全を優先して怪我人がいないかの確認の為に軍を使い、その脇をすり抜けるように通り過ぎた一刀たちに軽蔑するような視線を向けていた。
一刀は少し悪い気がしていたけど荀ェが、
「好きに思わせておきなさい。わたしたちは朝廷を押さえろと命令を受けてるのよ。劉備は主君として民を助けるという自己満足に走っただけ。わたしたちが蔑まれる謂れはないわ」
と、辛口だが一刀を励ましたので気持ちを切り替えることが出来た。
「なぁ荀ェ。俺の気のせいかもしれないけど、人が見当たらないんだけど」
「奇遇ね。わたしも同じ事を考えていたわ。嫌だけど」
一言多い、と内心思いながら一刀は周囲を見渡した。
小走りで朝廷目指して駆けている一刀たちはここまで人影を見ていなかった。
隠れているとか既に死んでいるなら分かるが、それはおそらく間違いだろう。
残っている建物はなく全てが黒い炭に変わっており、死体を一つも確認できていないのだ。
董卓が洛陽に火を放ち、逃げ惑う人がいたとしたら死人が出てもおかしくない。
ましてここは洛陽。大陸で一番の人口を誇る場所で一つも死体がないのはおかしい。
「もしかして民を火をつける前に逃がしておいて、どこかに隠れているとか」
「何の為にそんな事するのよ。そんな事するくらいなら洛陽を捨てて長安辺りに逃げるわよ。もしかしたら、もう逃げているかもしれないわね」
「もし董卓が長安に逃げてたらどうするんだ? 追いかけて、殺すのか?」
「当然でしょう? この戦いは董卓の首を晒さない限り意味のない戦いになるわ。有耶無耶になれば戦って死んだ者たちが報われないでしょ」
「そうだよな。俺さ、まだ考えが甘いんだ。もしかしたら董卓はただ祭り上げられただけで本当に悪い奴は他にいるんじゃないかって」
「考え方としては間違ってないわ。けど、黙っておきなさい。そんな事言ってたら笑い者だし、反感を買うわ。曹操辺りに噛み付かれたくないでしょ」
弁舌で曹操に勝てる筈もないので黙っておこうと誓った。
「北郷さま、先行していた者が帰ってきて、住民を保護してきました」
「わかった。ここは朝廷に向かう隊と住民から話を聞く隊に別れた方がいいのか?」
「武芸に長けている訳じゃないのよ、わたしたち二人とも。離れるのは危険よ」
「なら住民から少しだけ話を聞いて朝廷に向かおう。兵士さん、その人たちをここへ連れてきて」
兵士は御意、と一礼して走り去っていった。
しばらくして兵士に連れられて少女が二人やってきた。
「司馬懿軍の北郷さん……天の御遣いというのはあなたですか?」
「そうだけど、君は?」
一刀の前にやってきた人形のように綺麗な少女は意志の強い目で答えた。
「わたしは董卓。お願いします。わたしたちを司馬懿さんの下に連れて行ってください」
告げられた名前はこの戦いの中枢に居る者の名だった。
どうも傀儡人形です。
日本凄いことになってますね、広島にいるのでほとんど影響ありません。
そんな中投稿するのはどうかと思いましたが、ツイッターで暗い気持ちにならないで
という言葉があったので前向きに投稿します。
ようやく反董卓連合も終わりが見えてきました。
終盤に出てきた董卓が何をし、李儒はどうなってしまうのか。この戦いがどうなるのか。
ぐだぐだにならないように全力で前向きに書いていきます。
では。
説明 | ||
どうも傀儡人形です。 かなりの駄文。キャラ崩壊などありますのでご注意ください オリキャラが多数出る予定なので苦手な方はお戻りください 書き方を試行錯誤しているのでおかしな箇所あります。 |
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コメント | ||
やはり仕方なしにか。さてどうなるか。(O-kawa) | ||
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