真・恋姫無双 〜降りし御遣い伝〜 第16話 |
第16話 姉妹と覇王と競争
一刀たちが魏について数カ月が過ぎようとしていた。
春蘭「師匠!!」
一刀「!・・・またか春蘭・・・」
毎度のことながら扉を破壊しながら部屋に入ってくる春蘭。
扉の修繕費だけで給料がなくなるんじゃないか?
なんて言おうと思っても春蘭は聞く耳をもたないだろうと、言うのを諦め溜息をつく。
春蘭「どうしたのですか?師匠」
一刀「なんでもない。それで?今日はどうしたんだ?また鍛錬に付き合ってほしいのか?」
春蘭「もちろんです!」
春蘭との鍛練は基本模擬戦を行い、悪かったところを改善していくということをしている。
春蘭は野生の勘と力を持って戦っている。しかし、そんな戦い方にも限界はあるし、弱点もある。そこで、おれは春蘭の野生の勘と力を一時使うことをやめさせ、速さと集中力を重点的に鍛えることにした。春蘭は良くも悪くも一度武の型が完成されていた。なので、使えないと言うことは簡単ではなかったが、春蘭は毎日の鍛練でそれを克服した。最終的には野生の勘と力に速さと集中力を足してみれば、春蘭は大抵の将に負けはしないだろう。模擬戦だと春蘭が集中してくれるので集中力の鍛錬になるし、おれの速さについて来ようとして一生懸命になる。その分ボロが出るから最後に反省会を開いているのだ。
春蘭は純との模擬戦の後に自分を一から鍛えなおしてほしいと願い出てから、毎日のように俺に鍛練をしてほしいと頼んでくる。おれには客将ながらも仕事が山のようにあるのだが・・・。
ところで、春蘭がおれのことを師匠と呼ぶようになったかと言えば、鍛練をし始めたころからだ。
おれはいつも通りでいいと言ったのだが、それを春蘭は頑なに拒み続けていた。根負けした俺は仕方なしにそう呼ぶことを了承した。
秋蘭に後日聞いた話によれば、「姉者は今まで周りに姉者に勝てる者がおらず、小さい頃に父様に教えてもらえて以降、誰からも教えてもらえずに今まで独学で武について学んできたのだ。もちろん私もだがな。だから北郷のような雲の上のような手の届かない強者と出会い、一度は自分が信じてきた武が完膚無きまでに叩きのめされて自分との差を実感した。それから鍛えなおした。しかし、今度は北郷が鍛えた弟子に勝ちはしたが良い試合をされた。それで姉者は今までのようなやり方では駄目だと気付いたのだろう。だから姉者は北郷に教えを乞い、新しい自分の武、目指すべき北郷の武を少しでも身に付け、華琳様の覇道の礎になろうと考えているのだろう。難しい事を言ったが、北郷のことを信頼し、尊敬しているということだ」
なんだか褒めすぎのようだと思いながらも、納得した。
春蘭はただ純粋に華琳の為と思っているのだろう。
ここまで家臣に想われるとは、華琳は幸せ者だと一刀は思った。
一刀「じゃあ、俺は全身全霊をもって春蘭を強くするだけさ。今までも十分に強かったんだし、それに春蘭はこれから更に伸びる。周りのみんなが驚くぐらいにね」
秋蘭「そうか。それは良い事を聞いたな。ほんご・・・、一刀よ。今から私の鍛錬に付き合ってもらいたいのだが大丈夫か?」
一刀「うん。いいぞ」
それから一刀は秋蘭と剣での鍛練を行った。
それが終わると一緒に弓の鍛練に移った。
秋蘭「一刀は弓を扱えるのか?」
一刀「え?あ、あぁ。まぁね、少しぐらいなら出来るかな」
秋蘭「ならば今度は私が教えてやろう」
一刀「いいのか!?」
秋蘭「もちろんだ」
その日は2人で鍛練をしていた。
それを影で見ていた3人は鍛練をしてもらえないことが悔しいという思いと、2人で行っているということに対して嫉妬しているが入り混じった何とも言えない想いが心の中に渦巻いていた。
春蘭「秋蘭・・・師匠と2人で鍛練とは、何とも羨ましい!!」
純・凪「「一刀様・・・」」
それを遠巻きで見ていた我らが覇王様は嫉妬のオーラを出して玉座に戻っていった。
その途中ですれ違う侍女や将兵らは華琳の背中に広がるドス黒い何かを見たという・・・。
華琳「はぁ〜〜〜。・・・一体私はどうしたというのかしら。一刀と秋蘭の鍛練を見ていただけだというのに・・・」
華琳は気付いていたのだろう。
しかし、気付いていないふりをする。
もしかしたら気付いていなかったのかもしれない。
北郷一刀という1人の男に心を奪われていたということを。
ただ北郷一刀の力があれば覇道にぐっと近づくと思って仲間にしたかった。
彼がこの魏にいると知った時は最初信じられなかったが、口の端が上がるのが分かった。
これは神が私を認め、覇道を導いているのだと。
しかし彼は頑なに断り続ける。
なぜここまで断るのか私には理解できない。
私に仕えて従っていればいずれこの大陸に平和が訪れる。
今度こそいい国が出来る。
漢とは違う国が。
私が望んでいるのに彼は私の元にくることを望まない。
胸がズキッとする。
秋蘭にあの優しげな笑顔をむける一刀を思い出し、胸が締め付けられるように痛む。
華琳「一刀のせいね、こんなに胸が痛むのは。これは何か罰が必要だわね」
時は変わり秋蘭と一緒に鍛練をしてから2日後の北郷の部屋。
珍しく昨日は鍛練をしてほしいと頼んでくる3人がいなかった。
そのおかげで溜まっていた竹簡が綺麗に無くなっていく。
一刀「良い日だ・・・」
お茶をすすりながらまた1つ、そしてまた1つと片付けていく。
春蘭「師匠!」
一刀「来たか・・・。どうした春蘭?あといい加減に扉を蹴っ飛ばして壊しながら入ってくるのはやめなさい!」
春蘭「扉が軟弱なのが悪いのです!それよりも師匠、私についてきてくれませんか?」
一刀「もう少し待って。そしたら竹簡が全部片付くから」
そして一刀は竹簡を全部片付け、春蘭と庭に行った。
そこには華琳、桂花、秋蘭、凪、真桜、沙和、それから兵士たちもいた。
一体これから何をするんだ?
華琳「遅いじゃない」
一刀「すまなかった。それよりも華琳、これはいったいどうしたんだ?」
華琳「いいえ、別に大したことはないわ。あなたの教え方が上手いというのが噂になっていてね。だからあなたに教えてもらいたい人を募ったらこれだけ集まったということよ」
桂花「私は華琳様が見にいくと言ったから付いてきただけで、決してあんたを見に来た訳じゃないんだからね?この全身精液白濁男!」
一刀「桂花のことは置いといて「置いとくな!」・・・はいはい。華琳、おれは別に上手くないぞ?それにこんなに大勢に一度に教えることは無理だ」
華琳「あら?あなたでも無理なことがあるのね?だったら分けて教えたら?私の元に来るなら時間なんていくらでもあるわよ?」
その言葉に目を輝かせておれの言葉を待つ者が若干2名。
睨みを利かせて華琳を見る者が若干1名。
それを横目で見てクスッと笑う華琳。
一刀「また勧誘かよ・・・。おれは華琳の仲間になる気はないと言っただろ?」
おれの言葉を聞いて先ほどまで目を輝かせていたのが一転してがっくりと肩を落とし、うなだれている者が2名。
勝ち誇ったような目で2人を見ている1名。
聞かなくても答えは知っていたかのように笑う華琳。
仕方なく、おれは前々から考えていた鍛練を全員で実践した。
ようは障害物マラソンだ!
一刀「それでは、将軍、兵士全員でこれからこの障害物競争をしてもらう。これから、城外を全員で走ってもらう。しかし、そこにはいくつもの障害物がある。それらをその場で看破し、無事にここまで来たものが優勝だ。優勝者にはちゃんと褒美がある!」
その言葉に全員やる気を出したようだ。
障害物は真桜率いる工作兵さんたちに頼んで作ってもらった。
急なことなのに良い出来だった。もちろん、真桜はどんな障害物があるか知らない。
城の周りはだいたい10kmはあるだろう。そこに障害物をいくつも設置してもらった。
それも簡単なものは無い。
武力と知性両方を持つものだけがゴールまで辿り着けるだろう。
せっかく兵士が来ているのでおれは両方を兼ね備えたものがいないか探るチャンスだと思い、この方法を考えた。決してめんどくさかったとかじゃないんだからね!
一刀「それではヨーイ・・・」
ドン!
真桜製の火薬が爆発して一斉に走り出した。
この時代に火薬ってあったっけ?
先頭はどうやら春蘭と凪のようだ。
春蘭「この勝負に勝って師匠と2人で朝から鍛練をするのだ!」
凪「今回は私も譲る気はありません!」
その少し後ろでは・・・。
純「秋蘭様!前に一刀様と一緒に鍛練したんだから今回は私に譲って下さい!」
秋蘭「何を言うか。私とてまた一刀と一緒に鍛練したいのだからな」
いつの間にか優勝賞品が一刀との1日2人っきりでの鍛練になっている。
だが、とうの本人がそのようなことを知るよしは無かった。
真桜「わいらかて頑張るで!」
沙和「そうなの!勝って欲しい服を買ってもらうの!」
全員欲望出し過ぎ!!
最初の障害は高さ5mで65度の坂。
しかし、そこには滑りやすいように油が塗ってある。
案の定、全員が苦戦しているが、ここで春蘭がキレて坂を破壊してしまった。
木材で出来た坂は粉々に砕けてしまった。
春蘭「よし!」
春蘭の活躍?により、全員がなんなく通っていく。
春蘭以外は全員頭を抱えていた。
次の障害は、桂花が監督しながらの借り物である。
最初は嫌々であった桂花だったが、華琳が「しっかり監督してくれたら今日は閨に来ていいわよ」と言ったから喜々として監督をしている。
春蘭「桂花?」
凪「どうしたのでしょうか?こんなところで」
桂花は説明をした。
説明を聞いた参加者は全員桂花の前に落ちている竹簡を拾い、書いてある内容を確認してからまた城内に戻っていった。
純「一刀様、その武器を貸して下さい」
一刀「あぁ。いいよ」
参加者である将達や兵士は書いてある物を探してうろうろしている。中には街に行って買っているものもいる。
一刀(結構難しいものばかり書いたから大変だろうな♪)
竹簡は一刀が書いたものがほとんどだが、少ないということで工作兵が華琳に頼んで書いてもらったのもある。
秋蘭「一刀」
一刀「どうしたの?」
秋蘭「一緒に来てもらいたいのだが、平気か?」
一刀「大丈夫だぞ」
秋蘭「では急ぐとしよう」
一刀は秋蘭の竹簡に何が書いてあるのか気になったが、まずは桂花にところに行くことだと考え話すのをやめて一緒に走り出した。
秋蘭「桂花、これでいいか?」
桂花「秋蘭・・・本気?」
秋蘭「あぁ。私は本気だ」
桂花「あっそ。だったらいいわ。ここを通りなさい」
秋蘭「ありがとう」
一刀「じゃあな。頑張れよ!」
秋蘭「あぁ!」
秋蘭は軽快に走っていく。
一刀「なぁ、さっきの秋蘭のには何て書いてあったんだ?」
桂花「なんでも無いわ。ほら、用事が終わったならさっさと戻りなさい。ここにいられたら妊娠しちゃうじゃない!」
一刀「そこまで言わなくても・・・。じゃあ戻るかな。頑張れよ!」
一刀は手笑顔で手を振りながら戻っていく。
桂花「見せられる訳ないじゃない・・・」
竹簡には『好きな人』と書かれていた。
桂花のデレ期突入か!?
あとがき
長い間更新が滞りましてすみませんでした。
作品説明のところにも書きましたが、色々考えていました。
このままこの小説を書いてもいいのかどうか。
幼稚な文章しか書けない私が、学も無いのに書いてもいいのかと。
誰かを楽しませることが出来ているのか。
疑問に思ってしまいます。
でも最後まで書きたいと私は思っています。
例え誰かが読まなくても、私はこの小説を完結までもっていきます。
途中で諦めることはしちゃいけないことだと思うので。
ここまで書いた以上は責任をもって書きあげるのが書き始めた自分の義務だと思っています。
暗い話になりましたが、今回はここまで。
今後は不定期更新になると思います。
御了承下さい。
説明 | ||
お久しぶりです。 この作品について考えていました。 文章が幼稚なことなど色々と言いたいことがあると思います。それらは自分の学がないことが原因です。すみませんでした。 軽い気持ちで書くものではないと反省しています。 ですが、書き始めたものは最後まで書きあげようと思いますので、最後まで応援してくれたら幸いです。 ※5/14本文修正 |
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コメント | ||
…あぁ、曹操軍の面々も完全に落ちてるな。しかしまぁ、結構長居してるみたいだが、教えを請われた以上、中途半端で終わらせるつもりは無い、か。…敵として再会することになっても、きっとこの一刀は成長振りを喜ぶんだろうな。(クラスター・ジャドウ) 作者さんカッコいいです。(readman ) シリウスさん>ありがとうございます!これからも頑張ります!!(rin1031) 言いたい人には言わせておけばいいと思いますよ?全員が全員満足するものってないと思いますし。だから自分が面白いと思う物語をこれからも書いていってください。ファイトですよ〜(シリウス) shirou>頑張ります!!気にしないようにします。(rin1031) 2828さん>まぁ、春蘭ですからね(笑)(rin1031) Reyさん>ありがとうございます!元気が出ます^^ご指摘ありがとうございます。直しておきますね。(rin1031) アロンアルファさん>春蘭の性格から言って無くもないですね^^;(rin1031) 月野さん>完結目指して頑張ります!!(rin1031) 余り気負わずに思うがままに書き進めてください。投稿の間隔が長いなんて気にしたらダメなんですよ(遠い目)。(shirou) 予想どうり壊しやがったw(2828) 連コメ失礼します><p3「戦闘はどうやら・・・」→先頭ではないでしょうか?これからもがんばってください(>_<)ノ(結音) 初コメです^^rinさんのお話ですが、自分的には提供させていただいてる側なので今まで通りのrinさんでいいと思いますよ^^(結音) 春蘭全部壊して進む気か?(アロンアルファ) |
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