そらのおとしものf 番外編 『カオスのとある日常(いちにち) 誕生日編』 |
ある日の学校の帰り道。
智樹達を迎えに行き、一緒に帰るカオス。
するとカオスの前には一組の親子が歩いている。
「ねえねえママ、明日僕の誕生日だよ」
「そうね〜、じゃあ明日はパーティーでもしましょうか」
「パーティー? やったぁ!」
「好きなもの、一つ買ってあげるわよ」
「本当!? う〜んとね……」
カオスはその親子のやり取りを見てふと思い出す。
「お兄ちゃん」
カオスが智樹に声をかける。
「うん? どうした、カオス」
「私ね……来週、誕生日なんだ…」
「ふぅ〜ん……って」
『ええええええええ!?』
智樹、そはら、ニンフ、アストレアが驚く。
「誕生日……」
一人ぼやくイカロス。
『カオスのとある日常(いちにち) 誕生日編』
守形、美香子、秋山を入れた一同は全員智樹の家へと行く。
「来週、カオスの誕生日なのか?」
「うん?」
「ねえ、秋山さん本当なのかしら?」
「カオスの言ってることは本当だ。ちょうどこの時期だったな。自分の中にある闇が暴れだしたのは」
「闇が暴れだした?」
「正確には闇の魂の力で感じた何者かの負の感情が、俺の闇を刺激したんだ。
まあその何者かと言うのはカオスだったんだがな」
秋山がカオスの方を見る。
「でも秋山さんそんなそぶり、見せなかったよ」
「見せなかっただけで、実際はそれなりにつらかったんだぞ。
かなりつらくなったのはカオスが地上に降りてからだな。ちょうどその時くらいから俺、姿を見せなかっただろ」
「そういえば……」
「そんでもってカオスと初めて会った時に思いっきり滅フォームを使って、襲ったな〜」
秋山はその時のことを思い出す。
「まあ、そんなことより今はカオスの誕生日だな」
「まさか来週だなんて思わなかった」
アストレアは驚きの声を上げる。
「……あれ? 私の誕生日っていつだっけ?」
イカロスとニンフも誕生日が分からず、智樹達が相談しあった結果、クリスマスの日を二人の誕生日にした。
しかしアストレアは誕生日を考えてない。
「とりあえずはカオスのための誕生日パーティーだな」
「どうするんですか?」
「イカロス達のようにすればいいんじゃね?」
秋山が簡単に言う。
「まあそれしかないだろ」
「でもプレゼントはどうするの?」
「プレゼントね〜」
「せっかくの末っ子だ。一人一つプレゼントするってのはどうだ?」
「いいですね……」
イカロスが珍しく賛同する。
「っても誕生日パーティー当日はパーティーやるまではカオスが退屈だからな……。
よし、こうしよう。誰か一人がパーティーまでカオスと付き合う。
そんでもってその任された人は誕生日プレゼントはその時に買う」
「それでカオスの相手はどうやって決めるの?」
「じゃんけんだ」
そしてカオス誕生日パーティー当日。
パーティーは夜であり、それまでの間、カオスの相手はそはらが受け持つことになった。
「………」
「……」
そはらはカオスと二人きりになったことがないので、何を話せばいいのか分からず緊張していた。
(はぁ〜、どうして私なのかな〜)
そはらはなんで自分になったのかを考えるが、それは分かり切ったこと。
カオスのお守り役を決めるじゃんけんの1回目でそはら以外がチョキをだし、そはらはパー。
「ねえねえ」
「うん? なぁ〜に、カオスさん」
「元気ないよ? 大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫」
カオスはそはらが元気ないように見えたのだ。
「あ、そうだ。カオスさん、服見ていかない?」
「服?」
「うん。だってカオスさん、いつも修道服じゃないですか」
「う〜ん……」
「だからさ、見ていこ♪」
そはらとカオスは服屋に行った。
「いらっしゃいませ〜」
「こんにちは〜」
「この子にあう服ないでしょうか?」
「この子くらいのサイズとなると……」
そうしてそはらとカオスは服を選び、買った。
「これが私の誕生日プレゼント……でいいかな?」
「うん♪」
二人が店の外に出るとすでに日が暮れ、夕方になっていた。
「帰ろうか」
「うん」
そはらとカオスが智樹の家に戻る。
そして居間でカオスのための誕生日パーティーが開かれる。
『誕生日おめでとう〜』
皆が一斉にクラッカーを鳴らす。
居間には『カオス(さん)、誕生日おめでとう』と書かれた垂れ幕がある。
「皆……ありがとう」
「それじゃあまずは俺からプレゼントをやろう」
そう言って守形がカオスにプレゼントをあげる。
「なにこれ?」
「俺が最近作った、新大陸に向けて作った釣竿だ」
「新大陸で……釣り?」
正直、なんでこれなのかがよくわからない一同であったが…。
「ありがとう」
カオスは笑顔でお礼を言う。
「次は会長ね〜。会長はこれをプレゼントするわ」
美香子が出したものはなんとライフル銃であった。
「か、会長……」
「大丈夫よ〜、おもちゃだから〜」
美香子の言ってることにイマイチ信憑性を持てない智樹とそはら。
「人に向けて撃つなよ。もしそれに本物の弾が入ってたら、イカロスやニンフにアストレア、それと俺なら問題ねえけど、他の人達じゃ死ねるからな。
絶対に人に向けて撃つなよ」
秋山がカオスに注意をしておく。
「でも、ありがとう」
カオスは物騒なものをもらっても普通にお礼を言う。
「ところで誕生日ケーキは?」
「俺が用意してあるが、もう少し後にしたいな」
「出来てないんじゃないでしょうね」
ニンフが秋山を疑う。
「いやいや、出来てるけどさ。ただ……最後のプレゼントの一つ前に渡したいんだよな」
「なんで一つ前なの?」
「お前達がよだれ出す恐れがあるからだ」
「よだれって……」
「ケーキでよだれ出すほど子供じゃありません!」
そはらが子供っぽく怒るが……。
「普通のならな……」
(普通の…?)
今の秋山の言葉で秋山が用意したケーキは普通じゃないと悟る一同であるが……。
「そんなことより次だ。次は…ニンフだな」
「私はこれよ」
ニンフが出してきたのはリンゴ飴であった。
「そのリンゴ飴、わざわざ買ってきたのか?」
「そうよ、悪い」
「ううん、ありがとうニンフお姉様」
カオスがリンゴ飴をもらって早速舐める。
「おいしい」
「よかった」
「それじゃあ、次は私!」
そういうとアストレアは自信満々にプレゼントを出す。
「山で拾ったキノコ!」
「……アストレア、これは毒キノコだぞ」
「え!?」
守形に毒キノコだと教えられるアストレア。
「まあでも大事なのは気持ちだよね……」
「アストレアお姉様……ありがとう」
カオスはそう言って、笑顔で毒キノコを受け取るが……。
「……えい!」
カオスは毒キノコをアストレアの口に入れる。
「うっ! ぎゃあああああ!!」
アストレアは毒キノコの毒で痺れてしまう。
「次はイカロスだ。なにをプレゼントするんだ?」
「私はこれです」
イカロスがあるものを出す。それは積み木であった。
「積み木か」
「はい。人形もいくつか持ってるカオスにはこれがいいかと思いまして…」
「イカロスお姉様……ありがとう」
カオスがこれまで以上の喜んだ顔をする。
「最後は智樹だから、俺の番だな」
秋山はそう言って指を鳴らす。
するとケーキが入ってるとされる箱がテーブルの上に現れる。
「さてと、それでは……御開帳〜〜〜〜!」
秋山がケーキの箱を開ける。そこにあったのは見た目はごく普通のチョコレートケーキであったが……。
「な、なにこれ!?」
「!?」
イカロス、カオス、秋山を除く面々の口からよだれが流れ出す。
「だからよだれを流すと言ったんだ」
「一体このケーキなんなのよ……」
「食べてみれば分かるが、これを最初に食べるのはカオスだ」
秋山はそう言いながら、ケーキを切り、小さくしたケーキをカオスの方にやる。
カオスは出されたケーキを前にフォークを持つ。すると途端にカオスの口からも智樹達ほどではないが、よだれが出てくる。
「いっただっきま〜す」
カオスはよだれが出るほどのケーキを食べる。
「! これ……おいしい! いろんな味がある」
カオスはケーキを食べてそんな感想を言う。
「ま、ま、ま、マジか!?」
智樹が興奮する。
「お兄ちゃん達も食べる?」
「いいのか!?」
「主役が良いって言うんだ。食べな」
秋山も食べるように勧めながら、ケーキを人数分に分ける。
「それじゃあ、一口……」
智樹とそはらは恐る恐るケーキを口にする。
「え……えええ!?」
「?」
守形と美香子も一口食べてみる。
「これは……味が口の中で変化していく!?」
「しかもこれって胃の中に行く間も変化してる?」
「そういうこと」
「師匠! それ本当ですか?」
「どれどれ…」
イカロス、ニンフ、アストレアがケーキを口にする。
「「う、う、う、うんま〜〜〜〜〜い!!」」
ニンフとアストレアがあまりのケーキのうまさに昇天しそうになる。
「おいしいです」
「一体これ、何使ったの?」
「この前、俺、異世界に連れてったよな?」
秋山がニンフに問う。
「……まさか、あの世界のものを!?」
「そうだ。あの世界にあるちょっとした果物を使ったのさ。
手に入れるのに苦労したんだぞ。それも少ししか手に入らなかったんだぜ。
まあそれとこれ」
秋山はそう言って液体状のものが入った瓶を出す。
「さっき言った果物を加工して作ったシロップとかいうか調味料だ。
これをやるぜ。ってもこの家の台所管理はイカロスがやってるから、イカロスへのプレゼントになっちまうかな………」
「いえ、これはカオスのものです」
「まあカオスへの誕生日プレゼントだからな。だったらカオスが食べたいと思った時に味付けで使うってところでいいか」
「うん♪」
「あの〜私にはくれないんですか?」
アストレアが秋山に尋ねる。
「お前、誕生日じゃないでしょ」
「うぬぬぬぬ……」
「さてと……最後は智樹、お前だ。
やっぱカオスはお前のプレゼントが一番楽しみだと思うぜ」
「そうか? まあ、それに順番で俺が最後になってたしな。
カオス! 俺のプレゼントはこれだ!」
智樹はプレゼント箱をカオスに渡す。
「開けていい?」
「ああ」
カオスが袋を破って箱を開けるするとそこに入っていたのは……。
「服?」
「え? 智ちゃん、私と被っちゃったの?」
そはらは服と聞いて自分と智樹のプレゼントが被ったと思って失敗したと思ったが…。
「ただの服じゃないぞ。広げてみろ」
智樹がそういうので、カオスは服を広げる。
するとその服はなんと幼稚園児が着る幼稚園の服であった。
「これなぁ〜に」
「幼稚園服だ!」
「智ちゃん…」
なぜか不機嫌そうにチョップの構えをするそはら。
「そはらさん、ちょっと待って!」
「言い訳は聞いてあげるよ」
「これはカオスのためを思って……」
「カオスさんのため?」
そはらがチョップを振り下ろそうとした時!
「カオスに友達が作れるようにって思ったんだ!」
その言葉を聞いてそはらがギリギリでチョップを止める。
「え?」
「だって、カオスいつも家にいるだろ。それだと友達出来ないと思って……。
だから幼稚園にでも入れて友達作れればいいかなと思って…」
「お兄ちゃん……」
カオスは嬉しそうに幼稚園服を抱きしめる。
「ありがとう」
カオスは今日一番の本当に嬉しそうな顔でお礼の言葉を言う。
「智ちゃん、考えてたんだね」
「カオス、どうするんだ? 幼稚園に行きたくなったら、俺に声をかければいい。
金とか手続きはすべて俺がやってやろう」
「秋山お兄ちゃんもありがとう。でも、今は…このままでいいかな……」
「そうか…」
「それじゃあ、パーティーの続きだ!」
カオスの誕生日パーティーは大いに盛り上がるのであった。
おまけ
作者「どうだったかな?」
一刀「しかしなんでまた誕生日の話なんだ?」
作者「前に書いた奴のおまけで書いただろ。俺の中じゃカオスは6月生まれだって。まあこれはいつだってとかは書いてないから何月になっても大丈夫なようにはしてあるけどな」
一刀「どんな状況になっても大丈夫か」
作者「それに今日は俺以外にすでに『そらのおとしもの』関係の作品が二つ投稿されてんだぜ。
この勢いには乗るべきだろ」
一刀「閲覧数は知らんけどな」
作者「まあこの誕生日ネタは一昨日考えて、昨日の夜寝るときにきちんと書くことを決めて、今日書いて投稿した」
一刀「まともな見直してしてないってことじゃ……」
作者「そうだな。
まあそれはそうとして次に書くネタがないな…。一応少しずつだが前に書いた夢ネタは書いてるけど……。そんでもって最近は龍が如くの最新ゲームが出たよな」
一刀「それがどうした?」
作者「いや、それを『そらのおとしもの』世界に入れたらとか考えたが、無理だな。イカロス達がいる時点で色んな意味で……。そんで今日はレンタルビデオ屋に行ってみたらなんとなくドラえもんの映画が目に付いたな」
一刀「そっちをネタにするのか」
作者「ドラえもんとコラボしたら明らかにそらおと勢が有利でしょ。いくら未来の力があるって言ってもシナプスの力は未知のもの。未来のものを超えてるものが多いだろ。それに俺の分身もいるし」
一刀「お前の分身が一番チートだろ」
作者「まあな。そういえばスーパー戦隊の映画がやったよな」
一刀「ああ」
作者「初日に見に行ってよかったよ。おかげで次の日のゴーカイジャーの話がちんぷんかんぷんにならずに済んだ」
一刀「まさかいきなり映画の次の話だもんな。映画見てない人置いてけぼりだぜ」
作者「まったくだ。しかしあれだけ熱い映画となるとそっちをネタにしたいとかも思ってるぜ」
一刀「どこかで聞いたな。エンジェロイドの戦隊……」
作者「とりあえずは現状4人だな。カオスは追加戦士扱いで……」
一刀「何度も言ってるがお前の好きにしたら」
作者「そうだな。それでは!」
説明 | ||
この作品はアニメ「そらのおとしものf」の最終回後を二次創作で考えたものです。 そのため映画に出てくるであろう要素は一切入りません。 原作キャラクターの性格や口調が一部変わっていたりするかもしれませんが、その事はご了承下さい。 またこの小説には作者の分身とも言えるオリジナルキャラクター(秋山総司郎)も出てきます。 |
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コメント | ||
カオスの誕生日か。その発想はなかったなあ。シナプスのマスターの呼び出しに応じてシルエットで出てきちゃったから誕生日って雰囲気でなかったし(枡久野恭(ますくのきょー)) | ||
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