ツン!恋姫夢想 とある外史のツンツン演義 第九話
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 ツン!恋姫夢想 とある外史のツンツン演義

 

 

 

 

 

 第九話 「新たな野にて立てる、新たな旗、のこと」

 

 

 

 

 

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 あれから三日。

 

 新野の地で起こった一騒動で、私たちは、結果的にとはいえ、その地の太守を追い出してしまった。でもってその太守と一緒に、性質の悪かった兵士たちまでほとんど一掃してしまったため、現在この新野の地にある戦力は、思春が例の軍資金で集めてきた有志たちと、私たちに協力を申し出てくれた元・この城所属の兵士、そして、騒動のあとすすんで志願してくれた街の若者たち。

 

 以上の、合計千人程度だけになってしまっていた。

 

 「……これはさすがに、この街を捨て置いて義勇軍を、というわけにも行かなくなったな」

 「……そう、だね」

 

 腕組みをしたまま言う思春のその台詞に静かに頷いた後、一刀はその視線を私に向け、こう提案をしてきた。

 

 「なあ、桂花。荊州牧の劉表さん…だっけ?その人に代わりの太守さんを送ってもらえるように、頼むことって出来ないものかな?」

 「……頼むだけならすぐにでも出来るわよ。街の長老辺りに名前を出してもらえばね。けど、多分それじゃあすまないと思うわ」

 「どういう意味だよ、それ」

 私の言葉に首をかしげ、そう問いかけてくる焔耶。……まあ、こいつに私の考えを瞬時に理解しろってのが、土台無理なのは分かっていたけど、それでもそれ位は気づいて欲しいもんだわ。

 

 ……でないと、これから先、“軍を率いる将”としてなんか、やっていけっこないんだから。

 

 「あのね、焔耶?元々ここにいた太守は、その牧である劉表から任命されてきていたのよ?でもってその太守を、理由の如何によれ、私たちはほとんど力ずくで追い出したのよ?そりゃ確かに、実際はその太守自らさっさと逃げ出したんだけど、それがそのまま通用すると思う?」

 「通用するに決まっているだろうが!大体、私たちが牢に入れられたのは、逃げた兵士たちが傍若無人だったのがそもそもの原因なんだし!」

 「……だからあんたは脳筋だって言ってんの。いい?そもそもその事実を知っているのは、この街の人たちだけなのよ?しかも、よ。さっきも言ったけど、どんな理由があれ私たちが民を扇動して太守を追い出した、その事実は変わらないの。一刀とあんたと賈駆の三人を、牢から脱獄させるためにね」

 「だからその事情を牧に話せばいいだけのことだろうが!太守とその兵士たちが、街の者達をぞんざいに扱っていたのは確かなことなんだし!」

 

 ううう〜、と。互いににらみ合う私と焔耶。そりゃね?私だって焔耶の言い分が正しいことは良く分かっているわ。でも、それはあくまで、牧である劉表がまともな人物なら、という前提での話。……正直言って、ねねから話を聞く限りでは、私には到底そんな人物には思えない。だから、

 

 「牧に対して、太守の交代要員を送ってもらうのと同時に、私たちが弁明する機会と、それを証明するための場を設けないといけないのよ。そうしないと」

 「……俺たちはただの賊一味として扱われ、義勇軍どころか、追っ手を差し向けられる立場になる、か」

 「……そういうことよ」

 

 私の考えを理解してくれた一刀が、台詞の続きをその口にした。うん。やっぱ一刀とは以心伝心、二人の心が繋がっている証拠よね♪

 

 「では具体的にはどうするのだ?」

 「え?あ、ああ、そうね。……まあ、一番手っ取り早い手段としては、捕まえてある兵士の何人かを一緒に連れて、長老と一緒にどこかで牧に直談判するのが良策だとは思うけど」

 「……だったら水鏡塾にしたら?」

 『え?』

 それまでだんまりを決め込んでいた賈駆が、突然私たちの会話に割って入ってきて、会談場所に司馬徽さんの塾を推薦してきた。けど、なんで水鏡塾なのかしら?そんな素直な疑問を彼女にそのまま問うと、帰ってきたその答えは、私たちの考えの斜め上をいくものだった。

 「今の荊州牧である劉景升ってね、水鏡先生の姉妹弟子なんですって」

 『……うっそお』

 まー。なんていいご都合主……もとい、偶然なんだろう(笑)。

 

 まあ、それはともかくとして。

 

 確かに水鏡塾であれば、こちらにとってもいろいろ都合がいい、会談の場所には違いがない。それじゃあ早速、長老さんや司馬徽さんに連絡をとりますか。

 

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 そうして。

 

 私たちはそれからすぐに、街の長老に事情を話し、そして水鏡塾にその足を運んでもらえるよう、劉表州牧に伝えてもらった。その間に、私と一刀、そして賈駆の三人でもって水鏡塾に先行し、司馬徽さんに事の事情説明を行い、弁明の手助けをしてもらえるように頼んだ。

 ちなみに、焔耶と思春には街に残ってもらい、万が一の為に備えてもらった。賊が襲って来たりとか、逃げ出した太守が“援軍”でも連れて戻ってきた時に備えて……ね。

 

 それから二日後。

 

 私と一刀、そして賈駆の三人は、再び水鏡塾の一室にいた。同じ室内には、私たちと司馬徽さん、そして薄い桃色の髪をした、どことなくほんわかとした雰囲気の熟…もとい、妙齢の女性が、卓を囲んで優雅にお茶なんかすすっていたりした。

 

 劉表、字を景升。

 

 荊州牧にして、漢王室の流れを組む劉氏の末裔。ねねから聞いた話では、あんまり政には熱心な人ではないとの事だったけど、その噂もあながち間違いでもなさそう、というのが、その第一印象だった。

 「ふむふむ。お話のほどは良く分かりましたわ。正直言って、あの街のことは私も気にはかけていたんですの。もっと早くに手を打っておくべきでしたのに、これは私の完全な手落ちでしたわ。忙しくてなかなか他ごとに手が回らなかったの。ごめんなさいね?」

 ……その台詞は、私たちより街の人たちに言うべきじゃあないの?のほほ〜んとした態度で、さも反省してます、みたいに言ってはいるけど、この人、絶対に反省してないわ。口先だけの謝罪。それが丸分かりだわよ、ほんとに!と、そう思った私はこの馬鹿女に一言言ってやろうとして、その身を机の上に乗り出そうとしたんだけど、ふいに、私の服の袖が軽く引っ張られる感覚がした。

 「……?一刀?」

 「劉表さんのお気持ちは分かりました。やはり州牧ともなると、こなさないといけない仕事が山積みで大変なんでしょうね?」

 「そうですわねえ〜。毎日毎日大量の竹簡と格闘しているものですから、小さな事柄はついつい他の文官任せにしてしまいますの」

 「(ひくひく)……なるほど。では、こういう提案はどうでしょうか?劉表さんにも決して損はさせない、いい話があるんですけど」

 「あら?なにかしら?」

 馬鹿女の返事に、そのほほをわずかに引きつらせつつも、一刀がとある話を彼女に持ちかけた。それは、こんな感じの内容だった。 

 「新野県を丸々一県、人に任せてしまえばいいんですよ。金銭による売却という手段で。そうすれば、劉表さんはその分の仕事が減って楽になるし、その上巨額の資金が手に入る。そしてその資金でもって襄陽や他の郡県をより豊かにしていくことが出来ます。もちろん、貴女自身の懐も、ね」

 

 この会談が始まる前、一刀は司馬徽さんに、劉表のその人となりを細かく聞いていた。司馬徽さんいわく、劉景升という人物は、目先の得を最優先にする、後先を考えない人物、との事だった。……ようするに、その場のことさえしのげれば、先々のことなど野となれ山となれ、という類の人種なわけだ。そんなんでよく州の牧なんていう職が務まるものだとは思ったけれど、これも司馬徽さんいわく、

 「彼女自身がそうでなくとも、周りにそこそこ優秀な人物がいますから。ただし、その視野の広さはみな同じぐらい……だけどね」

 とのこと。ようするに、自分の身の回りだけ保つことは出来るけど、それ以上は……ということである。ねねがいつだか言っていた凡人という人物評価。それは適格だったわけだ。

 

 

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 でもって結論から言うと、あの馬鹿女…もとい、劉表は一刀の提案にすぐさま食いつき、喜んで受け入れる旨をその口にした。司馬徽さんのいる前で了承の返事をした以上、後になって何のことかととぼけることなど、もう出来っこない。けど……。

 

 「……それで?そんな大金、だれがどうやって工面すると?」

 水鏡塾から新野の街に戻ってきた私たちは、早速その事を長老を交えた全員に話して聞かせた。最初はみんなそんな話の流れにその胸をなでおろし、無事に会談がまとまったことに安堵していたんだけど、思春がポツリとつぶやいたその台詞で、室内の空気は一気に凍りついた。

 

 劉表が新野県を売却するその額。それは、平均的な郡や県の一年分の予算の、その三倍ほどの額という、思いっきり足元を見た金額を提示してきたわけだ。司馬徽さんが証人となった以上、言を翻すことが出来ないのは、私たちも同じ。その上で、そんな額を提示してくるんだから、ほんと抜け目がないわね、あの性悪女。

 

 「……もし、それを払えない場合はどうなるので?」

 思春んのその台詞の後、おずおずとこちらの顔色を伺いながら尋ねてくる長老。……この人も割りと小市民のようね。まあ、それはともかくとして。

 「……その場合は、これまでと同じように、牧が送ってくる太守にこの街を委ねることになるわ。当たりを引くか外れを引くかは分からないけどね」

 「……そして俺たちは、前任の太守を追放した罪人として、処分されることになる……とはいかないまでも、それ相応の対価を求められるだろうな」

 「相応の対価?」

 「まあ、一番可能性が高いのは、あの牧の下でこき使われるようになる……って、所でしょうね。無論、報酬なんかほとんど無しに」

 「……ただ働きってことか」

 こく、と。焔耶に対して揃って頷く私と一刀。

 「……北郷。一つお前に聞きたいんだが、お前には何か当てがあって、そんな話を州牧殿に持ちかけたのではないのか?でなければ、あんな大事な話、そう簡単には出来はしないだろう?」

 ……それは確かに。普通策というものは、そういった事前の下準備があってこそ、仕掛けることが出来るもの。もしそうでなければ、そんなものは策とは呼べない。それこそ絵に描いた餅というやつだわ。

 「……桂花」

 「何?」

 「この間の商人さん……張世平さんのこと、覚えてるかい?」

 「そりゃあ覚えてるけど。……まさか」

 「ん。そのまさか、だよ」

 にこ、と。私たちにそう言って微笑んで見せた一刀の瞳に、何か大きな決意をしたかのような、そんな光が宿っていたことに、そのときの私たちはまだ気づいていなかった。

 

 

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 「……なるほど。それでこの私に、その資金を出して欲しい、と。そう言われるのですな?」

 丸いめがねをかけたその下の、黒い瞳を細くして、その男性、荊州でも五指に入る商人である張世平が、一刀を始めとした私たちにその鋭い視線を送ってくる。

 「はい。……だけど正直いって、今の俺たちには、それに対する対価を支払う手段は、現時点では何もありませんけど」

 「……なんの担保も無しに、一つの県の三年分の予算の金を、あなた方に貸せ、と。そう言われるのですか?北郷どの」

 「……そうです」

 「いやはや。これはまた面白い冗談を言われるものですな、天の御遣いというお方は」

 『!?』

 な、なんでこの人、一刀が天の人間だって事知ってるのよ!?そのことはまだ、私たち以外は司馬徽さんしか知らないことなのに。あの州牧のおばはんにだって話してないのに……!!

 「おや?私が北郷殿のことを知っているのが不思議なようですが、あなたたちはお忘れかな?以前私があなた方から『ぼおるぺん』と『めも張』とやらを買わせていただいたことを」

 「そ、それにしたって、だからってこいつが天の御遣いだとは……」

 「荀文若殿……でしたな?私ども商人にとって、商売の種となるのは何も、物だけに限ったものではありませんよ。情報とて大事な商品。であるならば、いち早くかき集めるのが成功の秘訣、でしょう?」

 「う。そ、それは確かに……」

 特に今というご時勢では、誰よりも早く情報を制したものが、勝者への一番の近道を歩める。それゆえ、早くて正確な情報ほど、高額で売買されているとは聞いたことがあったけど……。

 「話を戻しますが、あのように不思議な物品を所持している可能性のある人物など、それこそ大陸中を探したってそうは居るものではありませんからね。さらに、例の管輅の占いのことと合わせて考えれば、おのずと答えが見えてくるものですよ」

 ……参った。やっぱりこの人は大人物だわ。私もまだまだ、修行が足りないわね……。

 「さて、北郷殿?先にも言いましたとおり、我々商人という者は、何の担保も無しに金を貸すなどということはありません。たとえそれがどれほど仲の良い人物であろうともね」

 「……分かっています」

 「では、今回の商談は不成立ですな。……と、本来ならそうなるところですが」

 「え?」

 にや、と。張世平は一刀の顔を見て、なにやら不敵な笑いをその顔に浮かべた。……はっ!ま、まさかこの人、実は“そっち”の趣味があって、担保にか、一刀自身を…なんていう気じゃあないわよね?!だ、だって、世の中にはそういう趣味の人間がたくさんいるって、前に読んだ本に書いてあったし。著者はたしか、伏……だか、鳳……なんとかって書いてあった気がするけど。

 「……本当はあるのでしょう?“貴方自身”という担保が」 

 『……へ?』

 「や、やっぱり!?」

 「桂花?なにがやっぱりなんだ?」

 「え゛?!あ、いや、えと、その、だから、つまり、担保が一刀自身ってことは、つまりその」

 「……ああ。そういうことですか。ご心配なく。私には衆道の趣味はありませんよ、荀ケどの」

 「え?あ、ああ、そう、ですか」

 「……桂花。お前何を考えていたんだ?」

 「……るっさいわよ、馬鹿焔耶///」

 「????」

 うう……恥ずかしい……。まあ、一刀は何のことか分かってないみたいだからいいけど。

 「話を戻していいですかな?私が言う北郷殿が担保というのは、その知識のことですよ」

 「あ……」

 ……そっか。そうね、確かにうかつだったかもしれない。

 「荀ケどのは気づかれたようですね。そう。その全てとまではいかないにしても、その知識の一端だけでも利用することが出来れば、それはとてつもなく大きな財を生み出す、まさに金の卵となるに違いはない。……そうは思いませんか?」

 「……そして、その知識から得た成果を、張世平さんだけが独占し続けられるように、俺がそう取り計らえば」

 「……張世平どのは、大陸一の商人にもなれる……か」

 「だから、今現在は何も持っていない。けど、これから担保は生まれて来る。この私自身の手で。そういうことでしょう?御遣いどの?」

 「……はい」

 

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 そんな交渉の場から、瞬く間にその月日は流れ、あっという間に一月が経った。あの日、張世平さんから巨額の融資を受けることが出来た私たちは、晴れて新野県を劉表から買い取ることに成功した。ただし、あの時張世平さんが、融資を行うためにもう一つ、提示してきた条件があった。それは。

 「一刀どの〜!今回の募兵の結果報告ですぞ〜」

 「一刀、明日からの新しい巡回路を作ってきた。一度目を通してくれ」

 「お館!新兵たちの訓練について相談があるんだ!ちょっと付き合ってくれないか?!」

 「……あのね、あんたたち。一刀はまだ処理しなきゃいけない竹簡が、た〜っぷり、山と残ってるの!県令になった以上こなさないといけない仕事は、ただの将官であるあんたたちとは比べ物にならないほどあんのよ!そこのところ分かってるわけ!?」

 「あ、あはは……あ、あの桂花さん?か、彼女たちも一応仕事でここに来てるんだから、もう少しですね」

 「……あんたは黙ってその手を動かす!」

 「はいっ!失礼しました!!」

 がるるる、と。そんな感じで口を挟んできた一刀を一喝し、再びねね、思春、焔耶に向かって口撃(誤字にあらず)を開始する私。

 

 まあつまり。世平さんが出したもう一つの条件というのは、新野県の統治権買取は、一刀の名義で行うこと、とのことだった。結局、理由はどうあれ新野の太守を不在にしたのは、私たちの責任によるところも大きいのだから、その責務を果たすのが人として当然の行いだろう、と。

 

 まあ、世平本人からすれば、今後の一刀の知識を活かした発明品の独占権を、しっかりと確保するためにも、そのほうが都合がいいんだろうけども。

 

 で。その条件を呑まざるを得なかった一刀は、こうして今新野県の新しい県令として、毎日大量の竹簡相手に奮闘中。……前もって字を教えておいて良かったわよ、ほんとに。で、私はその一刀の軍師として、参謀兼、補佐官兼、秘書を務めることになった。……一刀から、どうしてもと頼まれたら、断りきれるわけないじゃない。……これで、完全に曹操さまにお仕えする夢は、潰えちゃったわね……。でもまあ、その。一刀の傍にこれでずっと居られる訳だし、まあ、いっかな?

 

 思春と焔耶は将官として、そしてねねは軍師補佐として、それぞれこの地に残って手伝ってくれることになった。けど、もうここにはその姿の見えない人物が一人だけいる。そう、賈駆文和こと、“詠”の姿だけは。

 

 「ボクは月の……友達の力になりたくて、水鏡先生の下で勉学に励んできたの。あ、あんたたちのことはその、し、心配でも無くは無いでもないんだけど、やっぱりボクは月の所に帰らないといけないから」

 

 そう言って、彼女は一刀が県令になったその三日後に、私たちが手配した護衛の兵たちに守られて、新野の地を旅立っていった。

 

 「賈駆さん。お友達の人と仲良くね?」

 「あ、あったりまえじゃない!月とボクは大!大!大親友!なんだから!」

 「はは。……元気で、ね。そして、またいつか、今度はお友達と一緒に、ゆっくり遊びに来てくれ。な?」

 「……ふん。まあ、気が向いたら、ね。……それから、その」

 「ん?」

 「……詠、よ」 

 「え?いいのかい?真名……だろ?それ」

 「まあその、あ、あれよ!親友じゃなくたって、し、信頼できるゆ、友人にぐらい、その、あ、預けたって別に問題ないでしょ?!」

 「……意地っ張り」

 「そこるっさい!いい!?今度会ったら、ボクのことはそう呼んでよね?!でないと承知しないからね!あんたたちもよ!分かった?!」

 

 とまあ。そんな感じのやり取りをした後、私や他の三人とも真名を交換して、詠は洛陽、そしてその先の安定へと帰っていった。

 

 「……最後の最後まで、素直じゃなかったのは、私とどっか似てるわね」

 「……桂花?何か言った?」

 「なーんにも!ほら!口じゃなくて手を動かしなさいって言ってるでしょ!あんたたちはその報告書こっちによこしなさい!あたしが全部目を通すから!」

 『え〜……?桂花(どの)が〜?』

 「……あんか文句ある?(ぎぬろ)」

 『いえ!ありませんです!はい!』

 

 

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 こうして、私たちは新野の街で、一刀を主君として旗揚げをすることになった。

 

 それから三ヶ月間。

 

 政務に調練に、そして、曹操様の手で滅びながらも、時折現れる黄巾の残党退治にと、私たちは目まぐるしい日々を過ごしていった。

 

 

 

 そして、ある日突然に、その二通の書簡は、私たちの下へと届けられた。

 

 

 

 どちらをとっても、大きな戦となることは避けられない、その二通の書簡。

 

 

 『袁』と『董』

 

 

 それぞれに印された、その印を無言で見つめつつ、私たちは決断を迫られていたのだった……。

 

 

 〜続く〜

説明
ツン√、第九話をお送りします。

前回のアンケートの結果、ですが。
結局半々ぐらいでした。
なので、散々悩んだ挙句こうなりました。

みなさま、ご協力のほどありがとうございました。

選ばなかった方を選択した方々、本当にごめんなさい。

では、本編の方をどうぞ。
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コメント
ここからですね。さて、どっちについても大変そうですねえ。(ZERO&ファルサ)
執筆お疲れ様です。ああ、詠が行ってしまった・・・でも、反董卓後には月ごと頂きますがね。そして、反董卓はどちらにつくのか・・・個人的には詠ですが、反董卓に参加(裏では詠を通して助ける事を月に知らせて)してもう少し将が欲しい様な・・・ 次作期待(クォーツ)
RevolutionT1115 さん、ふふ、どうでしょうねー?www(狭乃 狼)
董をとって欲しいけど……普通に考えたら袁か;;董希望しますよww(RevolutionT1115)
mokiti1976-2010さん、チップはこの先の互いの運命・・・なんつってw(狭乃 狼)
両方からお誘いが来ましたか・・・・・さあ、一刀はどっちに賭ける?(mokiti1976-2010)
きのさん、縁からいけば・・・ね。さて?w(狭乃 狼)
namenekoさん、お楽しみにしてくださいw(狭乃 狼)
320iさん、詠との再会・・・たぶんいつもどおりの言葉が出るかとw(狭乃 狼)
一刀たちはどっちに着くのかな? 縁からいけば詠の方だろうけど(きの)
反董卓連合は楽しみだ(VVV計画の被験者)
瓜月さん、抜けている人員をどう補っているか・・・?それは・・・まだ考えてません(マテw(狭乃 狼)
中原さん、まあ、そうなるでしょうねえw(狭乃 狼)
まぁ、どっちについても助けるんだろうな。(中原)
readmanさん、さあ、どっちについたらより面白いでしょうね?w(狭乃 狼)
村主7さん、おし、釣れた釣れたw という冗談はさておいて。商人はその辺の割り切りがしっかりしていますからね。この先どうなるやらw(狭乃 狼)
反董卓連合。どういう決断をするか楽しみです。(readman )
5p目、ぱっと聞きなら一瞬張世平が「うふふ(はぁと)」と勘繰ってしまいます罠w まあ一応確約が取り付けただけでもラッキーですし(少なくとも知識で儲けが出せている間は裏切らない?でしょうし) そして最後やってきた運命の選択、さてどうこのツン陣営の行方はw(村主7)
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