C80新刊「uncontrolable de」サンプル。 |
と言う感じで数か所より抜きます。まずは日常っぽいところを。
「ってお前さん、いいのかよ、それで」
「……いいも悪いも。お二人のお話が休憩時間中である以上何も申し上げることはありませんよ」
あいた。アルヴァは声にならない呟きを洩らした。ダメだ、こいつ。全然質問の意味が分かってない。言い替える。
「いや、そういう意味じゃなくてだなあ……『自分の恋人』が、だ。毎日毎日別の男と仲よさそうにくっちゃべってるのを目の当たりにして何とも思わないか? とそう聞きたい訳だが」
自分の恋人が、の部分を若干ではあるが強調する。お互いの立場とやらを重視して未だ大っぴらにしちゃいないが、みんな知ってるさ、という意味合いを含ませて。
――この際だから婚約でも何でもして表に堂々と宣言しちまえばいい。藍澄は自分の恋人なのだ、と。
「……ですから。藍澄さんがご友人とお話したいと思われてお話されるのなら、私には何らそれを咎める立場にはないでしょう……ところでアルヴァさん、手が止まってますよ」
「――りょーかい」
本来の目的である仕事の話題を振り、会話を途中で打ち切った。アルヴァは何かしらか不満げな表情を返したが、最終的には了承した。
これ以上この話題を続けると、また『もやっとした何か』が表に現れそうな気がしたからだ。そうしないと、仕事が捗らない。
その後。
ヴィオレに同様の話題を振られて、同様に仕事の話題を振り直した。
レイシェンに何故か気遣われて、やはり仕事の話題を振り直した。
ルシオに食事中「副艦長、がんばって!」と声を掛けられて、自分の分のデザートを分けた。
ヨシュアが何故か自分の体調を聞いてきたので、医務室へ連れて行った。
フェンネルが「あんな野郎は一発ブン殴っておけばいいんだ」と言いだしたので、何を言ってるんですかと説教を始めた。
彼らだけに留まらず、クロイツァーが、クロエが、ラルフが、ボリスが、アニタが、ソフィアが、とエリュシオンクルーが次から次へと何かしら自分に同情的なアクションを起こし、それらを普通に退けた。
何故皆がこうも自分を構うのか、雪乃には理解できなかった。
もう一か所。直前。
――閉じ込めたい。
出来得ることなら、彼女の何もかも全てを己の内に。
そうすれば。
零れる藍澄の声が、吐息が、触れた箇所から伝わる体温が。
雪乃の心中に渦巻いている『何か』に火を点け、体温の上昇を加速させる。彼女にも、自分の熱が伝わっているかもしれない。いっそ伝わればいい。
「え、や、ちょっと、待って、くださ……っ」
「待ちません……っ」
耳元で低く声が響く。その色は甘く、熱い。漸く雪乃の声が聞けたと安堵したものの、直後その唇は耳を弄り、首筋を緩やかに降りていく。ところどころを音を立てて
軽く吸われる。
耳元、首、胸元へと推移する彼の吐息とその動きに意識が再び翻弄される。
「だ……あっ……ん……んんっ。ゆ……さ……ま……っ」
『ゆきのさん、まってください』と彼を制止したいと声を上げるものの、言葉となる前に新たな刺激が与えられ、断片としてしか発声出来ない。引きずられるようにその甘さに浸ってしまう。
「待つ、なんて――」
――そんなこと、できるわけがないでしょう?
説明 | ||
3本入っているうち、わたしの書いた「Morning Moon」の本文サンプルです。 【前提】 ゆきあすです。 ED後、平和維持部隊として動いているエリュシオンにみんな乗ってます。 とは言いながらモブとは言いづらいポジションでオリキャラっぽい人が出ます。役どころ的にエリュシオンクルーにはしたくなかったのです。すみません。 成人向けです。後半はぶっちゃけそんな感じです。 ※TINAMIさんの小説の制限レベルが判断し辛いところですが、まだセーフじゃないかな、というところだけ抜き出してます。 |
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