おくうとヤタさま外伝分割差分
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う→うつほ ゆ→ゆうか か→かせん 燐→おりん

 

う「た、たいようだ!」

ゆ「あんた向日葵しらないの?」

う「初めて見たわ!すごい!こんなにたくさん!

  私だってこんなにたくさん太陽つくれないよ!」

ゆ「ずいぶん気に入ってくれたようね

  こんなに喜んでもらえるとなんだか私もうれしいわ」

う「これ、全部花なの?」

ゆ「もちろんそうよ、あら?なんだか様子が変ね…」

う「へん?」

ゆ「いつもここの向日葵は夜の暗いうちは月のほうを向いているはずなのだけど

  なんだか今日は様子が違うわ…」

う「そういえば…なんか…すごく視線を感じる…」

ゆ「あなた、さっき太陽を作るとか言ってたわね。

  もしかしてあなたのその能力の影響かしら…

  面白いわ!ますますあんたのこと気に入った!

  あんたちょっとこの花の種持って行って育ててみなさい」

う「え、」

ゆ「向日葵たちが言ってるのよ、

  この子に私たちの種を分けてやれって

  本当は私以外のやつにここの花は触らせたくないんだけお

  今回は向日葵たちが言っているから特別よ」

う「あ、それとあの」

ゆ「なに?嫌なの?そんなことないわよね(ニコッ)」

う「いやそのそうじゃなくて地上の人と…」

ゆ「遠慮はいらないのよ(ゴゴゴゴゴゴ)」

 

 

 

 

 

 

 

う「結局ヒントは見つけれずじまい…

  手に入ったのは向日葵の種だけ…

  はぁ、絶対何かわかるとおもったんだけどなぁ…」

ヤ「向日葵か…もしかするといけるかもしれないぞ」

う「何かいい考えでもあるの!?」

ヤ「可能かは分からないが可能性はあると言う話だが

  我が慈母の天照大神は地上に巣食う邪気に花を咲かせ祓っていたことがあった。

  花を咲かすことができればもしかすると地上に噴出する邪気も祓えるかもしれない

  それと、これは八坂の神とつるんでいたときに聞きかじった話なのだが

  向日葵の花というモノは地にとりついた邪気を根から取り込み

  種へと封印する力を備えているという話だ。

  こちらの話に関しては人間の間での伝聞のようなものだから

  やや信頼性にはかけるが、もしかするともしかするかもしれない」

う「うにゅ・・・なんだか難しいけどとにかくこの向日葵の花を咲かすことができれば

  地底からの瘴気や邪気をなんとかできるかもしれないってことだね!」

ヤ「あくまで可能性の話だ。だがやってみる価値は十分あるぞ」

う「いけるかな!いけるかな!」

ヤ「ああ、きっといけるはずだ」

 

 

お空は地底からの邪気が出ている丘に種を植えることにした

 

う「幽香は雑草の処理さえしっかりしてればあとは勝手に育つって言ってたけど」

ヤ「ここにはぺんぺん草すら生えていないな」

う「大丈夫かな…」

ヤ「大丈夫なんじゃ…ないだろうか…」

 

地底では植物を育てるだなんて習慣がほとんどないため

二人ともなにやら自信なさげにおそるおそる声をかわしていた。

 

それから数日…

 

う「まだ芽でないね…」

ヤ「やはりこの環境では植物も育たないのだろうか…」

 

それからまた数日…

 

毎日間欠泉の管理の仕事を終えたあとにのぞきに来るが

芽が出る気配は一向にない

 

種を植えて数週間たったころである

う「でた!やっと芽がでた!」

ヤ「まずは1段階目クリアといったところか」

 

それからも毎日幽香に言われた通りあまり余計な世話をしない程度の

手入れだけをして、あとはひたすら見守る日が続いた。

 

 

か「まだ性懲りもなく地上にでてきているのねあなたたち」

う「今に見ているといいわ!あなたを黙らせるほどすごいのができるんだから!」

か「なにを企んでいるのかは知りませんが

  あんまり大異変になるようなことはしないでくださいね」

 

 

う「むぅ…花はまだ咲かないのかなぁ…」

ヤ「やはりこんなペンペン草も生えないような環境じゃ無理だったのだろうか」

う「なんとかならないのヤタさまぁ」

ヤ「なんとかと言われてもだなぁ…花を咲かす力を司っているわけじゃなしに…」

う「やくたたずー(ぶーぶー)なんとかしてよー」

 

ゆ「なんとかしましょうか?」

う「あ、あのときの!」

ゆ「花の噂を聞きつけてね、やっとあんたたちを見つけれたわ

  それにしてもなんてところに植えてるのかしら…

  ホントひどいわね」

う「やっぱりここじゃダメなのかな」

ゆ「ダメなんてことは無いわ、向日葵は強い植物だもの、

  急いでいるのなら、ただちょっと足りないかなってだけね」

う「足りない?」

ゆ「率直に言うと土が痩せすぎなのよねもっと肥やしてあげないと」

 

う「肥やす?」

ゆ「そうね、肥料が必要だわ」

う「肥料って何を使えばいいのかしら」

ゆ「そうねぇ…死体なんかがいいんじゃないかしら☆」

う「う、うぇ…死体!?」

ゆ「そう、死体☆生き物の死体なんかはすごくいい栄養になるのよ

  そうねぇ、これくらいの広さならざっと五十人くらいの死体があれば

  きっとここの土も豊かになるんじゃないかしら」

う「そう五十人かぁ…」

ゆ「あら、ちょっと引いちゃった?

  でも、あなたの体から死体の臭いがぷんぷんするから

  ちょっと血の気の多い妖怪なのかと思ったんだけど」

う「うにゅ…そんなににおうかな…ヤタさまぁ」

ヤ「わからん…お前と感覚を共有しているからな」

ゆ「なーに一人でごちゃごちゃ言ってるのよ。

やるの?やらないの?どっちにするの?

やるなら私も協力してあげるわよ」

う「ちょ、ちょっとたんま!

べ、別に生きてるのをココで殺す必要は無いのよね」

ゆ「まぁどっちでもいいんじゃないかしら

  ココでやるのか別の場所でやるのか

  そんなの些細な問題だわ」

う「そーいうのじゃなくてー(泣)

  もう死んでしまっている亡骸とかでもいいのかなっていう」

ゆ「あーそういうことねー

  べつにいいんじゃないの」

う「なんでそんなつまらなそうなのよ…」

ゆ「だってそしたら私の出番ないじゃない」

う「いったい何を手伝うつもりだったのよ…」

ゆ「もちろん と さ つ ☆」

う「運ぶのは手伝ってくれないの…?」

ゆ「いやよーそんなの、臭くなるじゃない

  そこまで手伝ってあげる義理は無いわね」

う「そんなぁー」

ゆ「ま、肥料になりそうなもののアテがあるんなら私の出る幕ではなさそうね

  じゃあ私はここら辺で帰ることにするわ、精々頑張ることね」

う「いっちゃった…ちょっとぐらい手伝ってくれたっていいのに」

ヤ「解決の糸口が見つかっただけ良しとしようじゃないか」

う「でも五十人分だよ…どうするのさ…」

ヤ「それならプロがいるじゃないか」

 

 

 

 

燐「で、あたいの力が必要だっていうことかい」

う「なんとかできないかしら」

燐「なんとかできなくもないけど結構な量が必要なのね

  流石にいつもの仕事の合間にってわけにはいかなそうだわ」

う「そうだよね…ごめんねお燐ちゃんやっぱり自分でなんとかするわ」

燐「待ちな、誰がやらないって言ったんだい!

  聞けばそいつはあたいに持ってこいの仕事じゃないか

  この旧地獄でその仕事誰ができるっていうのサ」

う「それじゃあ!」

燐「もちろんさ!なに水臭いこと言ってるんだい、あたい達親友じゃないか」

う「ありがとう!お燐ちゃん大好き!」

燐「たーだーしーこの量だし、運賃は弾んでもらうよ☆」

う「もちろん!私のコレクションから沢山あげちゃうよ」

燐「はは、あんたのコレクションはいらないよ(にこ)」

う「えー、綺麗なのたくさんあるのにー」

 

 

 

燐「運んだはいいものの…

  これをここにみんな並べるのかい?」

う「コレが肥料になるって幽香がいってたから…

  多分コレでいいんだと思うけど…」

ヤ「死屍累々とはこのことか」

燐「普段死体を扱ってるあたいからしてもコレは無いと思うんだ…」

う「うにゅ…私もなんかコレは違うと思う…」

?「ナキガラノハイハイイヒリョウニナルワヨ」

う「誰!?」

 

燐「逃げられた…」

う「今のは何だったんだろう…」

ヤ「さっきの声は『亡骸の灰はいい肥料になる』と言っていたぞ」

う「ということは、コレを焼いて灰にしたのを撒けばいいのね」

燐「最初っから灰で運んでいれば楽だったのにね。やれやれ…」

う「そういわずに〜運賃はずんであげるから」

燐「あんたがそういってくれるならあたいも骨折り損じゃないけどね」

 

 

 

う「こうやって普段やってることを地上でやっているって

なんだか不思議な気分になるわね…」

燐「普段はこの亡骸たちもただの燃料としか見てなかったけれど

  元々は生きて動いていただなんて思うとなんだか変な気持になるわね」

ヤ「我らの私欲の糧になってくれる亡骸たちだ

敬意を持って弔ってやろうじゃないか」

う「そうね、感謝しなきゃだね」

 

 

 

う「よし、肥料も撒けたしこれできっと綺麗な花が咲いてくれるはず」

燐「死者の灰が花を咲かすだなんてなんだか昔話みたいね、

  花さか…なんだっけ…」

う「うにゅ、花さか…はなさか…さとりさま!」

燐「ぷっw、なによそれwww」

う「でもさとり様そういうの似あいそうじゃない?」

燐「何想像させてるのよwww」

う「あははー」

 

 

他愛もない話で二人はお互いの仕事をねぎらうのであった。

 

 

 

 

 

翌日、早朝はやくも昨日撒いた肥料の効果が気になり

日の出とともに地底の天窓からお空が顔を出した。

 

朝日に向かい大きく花びらを広げている向日葵がそこにはあった

 

う「やった!やったよヤタさま!」

ヤ「見事な向日葵じゃないか、

  あの物騒な妖怪の花畑の向日葵よりもずっと逞しく育っている」

う「これで地底の邪気や瘴気を祓うことができるのかしら…」

ヤ「それはまだわからんな…見た感じでは目立った動きがある様には見えない」

う「うにゅ…」

ヤ「だがこれからかもしれないぞ、

  天照大神のように直ちに邪気をはらえないにしても

  微弱ながら何か力を感じる、

  おそらくこれから何かが起こるのだろう」

う「ホント!?」

ヤ「我の勘だ」

う「ヤタさまの勘」

ヤ「すまないが我にもこればかりはどうなるか見当もつかない

  だがきっと悪いようにはならないはずだ

  この向日葵たちを信じてやることだな」

う「そうね、この子たちだってこんなところに頑張って咲いたんだもんね

  きっとすごく強い向日葵なはずだよね!」

ヤ「ああ、神である我が言うのだから間違いない(キリ)」

う「なんか急に自信もっちゃった?」

ヤ「何を言うか我は最初っから」

 

 

不安であふれかえっていた初めての向日葵の栽培も

本来の目標達成はまだ見えてはいないが

見事な花を咲かせたことで

その不安もどこかへ吹き飛んでしまった

二人であった。

 

 

 

間欠泉の丘の近くを通りかかった華扇が

依然との周囲の様子の変化に思わず目を丸くした。

 

か「この花は、何があったって言うの…」

う「ふふん、驚いた?コレが私の秘策!

  この花はね、地底からでた邪気や瘴気を吸い取って

  封印することのできるすごい花なのよ!」

か「ふふ、地底の妖怪のくせにずいぶん華やかなことをするのね、面白いわ!

  でも残念だわ」

う「え、」

か「この花は確かに少なからず邪気や瘴気を吸っているようだけれども

  あまりにも少なすぎる、これではすぐに人間がいられる環境になるとは言えないわね」

う「そんな…コレじゃあダメってことなの…」

か「そんなことは無いわ」

う「うにゅ?」

か「確かにこの花の邪気を吸う力は僅か、

ひとめぐりの季節だけじゃ到底ここの邪気は吸いつくせるはずがない

だけれども、この花たちをずっと長くそして沢山咲かせ続ければ

いずれここ一帯、いいえ、もしかすると地底全体の邪気を吸いつくすほどの

ものになるかもしれないわ」

う「どれくらいかかるのかな?」

か「それは私にも見当がつかないわ、

  何十年、もしかすると何百年かかるかもしれないけれども

ただあなたたちのやっていることは無駄では無いってこと

私が言えるのはそれだけね。」

う「何千年かかろうともやってやろうじゃない!」

か「あらぶる者たちが集う地底の者にこんな気の長い方法を見つけて

ましてやそれを実行してるのがいるだなんて驚きだわ

先日はひどいことを言ってしまったかもしれないけれど

私も応援させてもらうことにするわ」

う「じゃあ、この勝負は…」

か「あなたたちの勝ちと言いたいところだけど

  それは結果が出てからのお預けということにしましょう」

う「そうね、まだ勝負は始まったばかりよね!

  絶対に負けないんだから!」

 

か「せいぜい負けないように頑張ることね」

 

 

こうして地底の地獄烏と片腕の仙人の長い長い戦いが始まったのであった

 

しばらくしてこの丘に突然現れた大量の向日葵に異変を感じて

巫女が現われたのはまた別のお話。

 

そして、この二人の戦いの決着がつくのはきっと並大抵の人間では

見られないほど先の話になってしまうであろうことは言うまでもない。

 

 

どんどはれ。

 

 

 

それにしても、あの時の小声でアドバイスをして

逃げて行ったあの小さな影は何者だったんだろう?

 

説明
この小説は某所に投稿している小説の分割差分です。
推敲していないのでめちゃくちゃ誤字あると思います。
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