真・恋姫無双〜2人の飛将軍〜 第23話
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第23話 新たな力

劉備軍の侵攻を受けて、呉からの河北への侵攻も予想されたために多くの武将が戦闘不能の元魏の将の代わりに一刀、恋も霞と共に陳留に残り詠、風、華雄、翠はいそいで洛陽へ帰還するために陳留を出立した。

詠たちの出立を見送った一刀は華琳、秋蘭、桂花と執務室へ、霞は稟と練兵場へ、そして恋は流琉と季衣を連れて厨房へ向かおうとする。

「いやまって・・・恋?」

 

「・・・・?」

厨房へ行こうとしたのを一刀にとめられた恋は首をかしげながら一刀を見つめた。

 

「なんで厨房に向かおうとしてるのかな?さっきご飯は食べただろ?」

 

「・・・季衣が流琉は料理が得意ですごくおいしいっていうから」

 

「すでに真名すら交換済みなのか・・・はぁ・・・わかった。そのかわりにあんまり食べ過ぎないように。いいね?」

 

「・・・ん」

一刀と恋の会話を聞いていた華琳が「そういえば」と声を上げる

 

「私たちも真名を交換してなかったわね。私は華琳。これからはそう呼びなさい」

 

「おれには真名っていうのがないから一刀とでもよんでくれ」

 

「秋蘭だ。これからよろしくたのむな」

 

「なんで私がこんな男に「桂花」か、華琳様!うー・・・桂花よ!」

 

「・・・恋は恋」

 

「私は流琉といいます。よろしくおねがいしますね。お兄さん!」

 

「ぼくは季衣だよ!」

 

「ウチは霞や!よろしゅうな!」

 

「私は稟です。」

真名をお互いに交換した一刀たち。しかし一刀には1つ疑問が残った。

 

「流琉?お兄さんって・・・まさか・・・」

一刀に話しかけられた流琉は笑顔で答える

 

「え?「一刀様」というよりも「お兄さん」って呼ぶほうが喜ぶと風様が・・・」

 

「いつの間に真名交換したんだよ!ってツッコミの前に・・・風ぅぅぅぅ!変なことを吹き込むなぁぁぁぁ!!」

一刀は洛陽へもどっている途中であろう風へ向かって叫んだ。

 

「クシュン!うー・・・これはだれかが風のうわさをしてますねー」

 

「いやそれたぶん確実に一刀よ・・・」

翠の前に乗ってる風にツッコミをいれる詠だった。

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凪√

それから2週間ほど経過し、陳留は戦闘の混乱からすっかり回復。また一刀からの願いで洛陽から急遽移動した華陀によって怪我人の治療が行われ、重症者を除いてほとんどの者が回復し、仕事に戻っていた。

そして今日は一刀が提案した警備隊の結成式が行われていた。いままでは複数の兵が鍛錬の間に警邏する程度だったがどうしても時間が空いてしまうために犯罪が防げない時間帯があったが、通常の兵とは違い警備に特化した部隊をつくることで無人の時間を消し犯罪抑制を行えるようにしようという案。この案はすでに洛陽、長安で実行されている。

 

「あ、あの私が隊長でいいんでしょうか・・・?」

結成式の舞台裏。この警備隊の隊長に選ばれた凪は緊張した面持ちで部隊袖で一刀たちと出番を待っている。

 

「凪が一番真面目だからね。自信もっていいよ」

 

「せや!凪ぐらいやでそんな真面目なん!」

 

「そうそう、凪ちゃん自信もつのー」

 

「う、うん・・・」

 

「楽進様!そろそろお願いします!」

兵士たちが凪を迎えにくる。一刀たちの激励をうけてすこし覚悟を決めたのか凪は気を引き締めて式のために用意された台の上に立つ。

 

「警備隊に選ばれた兵士たちよ。警備隊隊長の楽進だ。警備隊の本懐は戦闘ではなく町の守護になる。町の者を敵軍、犯罪から守ることが我々の仕事だ。私たちが仕事を怠慢に行えば行うほど町の者が怪我を負うと考えよ。諸君このことを心に刻んで仕事に励むように!いいな!!」

 

「「「応!」」」

警備隊の兵士を解散させた凪は一刀たちがいる舞台裏に下がった。

「ふぅ・・・」

 

「おつかれさま。凪」

一刀は凪に水の入った竹筒を渡しつつ労う。

 

「ありがとうございます。北郷様」

凪は受け取った竹筒を飲み、のどの渇きを潤す。

 

「それじゃあ、おれは城に戻るから」

一刀が城に戻ろうとするのを凪が慌てて引き止めた。

 

「あ!北郷様!よければ食事でも一緒にいかがですか?」

このとき一刀はなにも知らない。

 

「うん?いいのかい?沙和や真桜といっしょに食べるんじゃないの?」

 

「2人も来ますが武術のことなどお聞きしたいこともありますし、北郷様さえよければ・・・」

凪の真摯なお願いに首を縦に振らないわけにいかないと考えた一刀は了承し、凪、沙和、真桜がよくいくという定食屋にはいったのはいいが・・・

数分後その定食屋から一刀の悲鳴が聞こえたのだった・・・。

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真桜√

一刀と恋がめずらしく非番の日が重なり城内の中庭にて2人で過ごしていると、真桜がそこに通りかかった。

 

「お、そこにおるのは兄さんと恋ちゃんやん」

 

「うん?あ、真桜か。どうした?」

ちなみに恋は一刀の膝枕で爆睡中。

 

「町の鍛冶屋のおっさんから聞いたんやけどな。なんでも2人ってあたらしい武器をさがしてるんやって?」

陳留決戦において一刀と恋はお互いの武器を失った。恋は刃の部分は残っているために柄だけなのだが、恋の腕力と氣に耐えられる物が少なく難航しており、また一刀にいたっては無銘の日本刀2本、それに閃華も失ってしまい、いまは魏軍で支給されている槍を借りている状況だった。

 

「いろいろ回ってるんだけどな。なかなか難しい状況で」

 

「それならな!ウチに作らせてくれへんか?」

真桜が笑顔で一刀に提案した。その提案に驚いた一刀は最初言葉が出なかったが、

 

「いいのかい?真桜の技術は凄腕のなのは知ってるけど・・・」

 

「最近なええ鉱山が見つかってん。そんでな、だれかの武器を強化しようとおもっていろいろ回ったんやけど『魔改造は勘弁』ってみんな言われてしもうてなぁ・・・アハハハ」

真桜の言葉になにかしらのいやな予感はしたものの背に腹を変えられないのも事実なので承諾せざるえない一刀君だった。

 

「それじゃあ!さっそく取り掛かるさかい。何日か待っといてな!」

そう真桜は言い残して全速力で自分の工房へ走っていた。

真桜が工房に篭って1週間後・・・

工房から出てこなくなった真桜を心配した華琳たちが工房に集まっていると、中から真桜の歓声が聞こえた。

 

「できたでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

「「「「!!」」」」

すると工房中から方天画戟のようなものと2本の刀をもった真桜が飛び出してきた。真桜は工房の前の人だかりに目をパチクリさせて、首をひねった。

 

「あれ?華琳様とかどしたんです?あ!ついにウチに武器の強化を・・・」

 

「いや違うから。真桜あなた1週間工房から一切出てこなかったから心配になって見に来たのよ」

 

「え、ウチ1週間も篭ってたんですか?まったく気がつきませんでしたわ」

としれっといいきった真桜に集まった全員がため息をついた。そんな中一刀に寄りかかって眠そうにしていた恋が真桜に近づいて方天画戟(仮)を指差した。

 

「・・・これ」

 

「お、恋ちゃん探しとってん!はい!これが生まれ変わった方天画戟や!名づけて『方天画戟・改』や!」

いやそれ名づけたというのか?という心の中のツッコミが恋を除いた全員共通で生まれたなか、恋は真桜から方天画戟・改を受け取りすこしみんなから離れたところで数回素振りしてみた。

 

「・・・・かるいでも硬い」

恋の感想にうれしいのかものすっごい笑顔で真桜が答えた。

 

「せやろ?せやろ?めずらしい鉱石が見つかってな。軽いのに熱を加えたら硬くもなるっていう品物でな、せっかくやから贅沢につかってみたんや!」

恋はあたらしく生まれ変わった方天画戟を見つめてうれしそうに一刀に見せにきた。

 

「・・・ご主人様。戟が元通り」

 

「よかったな、恋。でも作ってくれたのは真桜なんだから先に真桜にお礼をいっておいで」

一刀は恋の頭を撫でながら恋を真桜のほうへ向かす。

 

「・・・真桜ありがと。大事にする」

 

「お礼はええって!ウチもいい仕事させてもらったし満足や!それで兄さん!次は兄さんの武器や!これには苦労したでー。刀?ちゅうもんはよくわからなかったから試行錯誤の連続やってんよ」

 

「ごめんな。真桜ムリいって」

 

「ええってええって苦労はしたけどできたらなんか疲れは全部吹っ飛んだわ。まぁ、口で説明するのもなんやし実物見てや」

真桜は袋のなかから2本の刀を取り出す。その刀には鍔がない。そして片方には月を護ると書いて「護月」。そして一方には「飛天」と黒色の鞘の中に金色で彫られている。

 

「『護月』『飛天』というのか?」

 

「そうや・・・にいさんの話といままでの戦いを見せてもらってしっくりくるのを考えたからその2つの名前になってん」

一刀は真桜の説明を聞きながら「護月」を鞘から抜いた・・・。

その刀をみた華琳が驚嘆の声を上げた。

 

「黒い刃・・・でもとても綺麗ね・・・」

ほかのものもその黒き刃を褒め称えた。一刀は「飛天」も抜くと「飛天」も「護月」同様に黒刀だった。その刀はすこし重量感があったものの力強さを感じさせた。

 

「ありがとう。真桜。こんないいものもらって」

 

「ええってことよーどうしてもお礼がしたいっていうならご飯奢ってくれたらかまんから」

さすがに1週間篭っていた疲れが出てきたのかふらつく真桜を一刀と恋は支える。

 

「うんじゃ、時間もお昼に近いしご飯にいこうか」

 

「・・・ん」

その後定食屋についた真桜は恋と同じレベルで食事を平らげて店の人からも驚かせたらしい・・・

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華琳√

陳留決戦から1ヶ月経過し、華陀の治療の甲斐あって回復した春蘭を連れて華琳たちは陳留を後にした。

出立直前の城門にて・・・。

 

「すまない。華琳迷惑かけて」

一刀は華琳に頭を下げていた。本来ならば華琳には元魏領での政務を行ってもらう予定だったが、政治の指導ができるのが一刀、月、詠しかいなかったために政務をできる人間を育成する時間がなかった。そのために政務に長ける華琳の協力を仰いだのだった。

 

「別に迷惑とは思ってないわ。それにね、一刀。私は負けてよかったと思ってるのよ。」

 

「え・・・」

華琳の言葉に一刀は理解が追いつかなかった。

 

「私はいままで覇王として振舞おうとしてきたわ。覇王としての覚悟もあったし、天下を統一する意志に曇りはなかった。でもね、一刀たちに負けた後に覇王ではない華琳としてすごしていると、なにか気が楽になったのよ」

 

「華琳・・・」

 

「こう思うようになったは一刀あなたのおかげでもあるんだけどね・・・」

華琳は一刀に聞こえないような小さな声でつぶやいた。

 

「それじゃあ、いってくるわ。留守は頼んだわよ。一刀」

 

「ああ、まかせとけ。道中気をつけてな」

 

「あら?護衛に春蘭と秋蘭がいるのをなにがおきるって言うのよ?」

 

「ま、それもそうだな。でも春蘭が暴走して迷子にならないようにだけはしろよ?」

一刀からの指摘に華琳は馬の準備をしているうれしそうな春蘭を一目みて一刀に向き直った。

 

「そ、そうね。肝に銘じておくわ・・・」

 

こうして一刀達は次への段階へ進むために動き始める。

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あとがき!

バイトが忙しい!(゚д゚)ドーン!社員よりも会社に残るバイトってどういうことやねん!(゚д゚)ドーン!

 

はい、どうも作者です。完全な不定期投稿になってもうしわけありません。

 

さて今回23話からすこしの間拠点√にしようと思っています。その先駆けとして華琳、凪、真桜の登場です。特に真桜は早期に登場させないと進行に問題があったので今回のメインになってます。

 

凪√は元魏√で一刀が隊長を務めた警備隊そのものです。一刀がいなかったらやっぱり凪が隊長だろうなぁという作者の思いこみが含まれています。

 

真桜√は進行上大事だったので今回登場。どのような鉱物をつかったのか、どうやって刀をつくったのか、などなどの説明不足なとこはいなめませんが、説明を入れたらなんか読みにくくなったのでもうしわけありませんがカットしました。ごめんなさい。作者のアホさがにじみでてます・・・

 

華琳√は華琳様の心境の変化をテーマに書いてみました。また次回以降に華琳様の拠点は描く予定です。あ、一刀犠牲者の1人ですのであしからず

 

では次回お会いしましょう(´・ω・`)ノシ

説明
久々の平穏の中で過ごす一刀たち。この平和を続けばいいと皆思いすごしていく。
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コメント
初コメです!おもしろすぎて一日で読んじゃいましたw次回も楽しみしてます^^(TK)
面白い作品です、次回も待っています(さまよう人)
まおえもんが超人化しとるwww一週間集中し続ける根性とか、恋と同じ食欲とかwwww(通り(ry の七篠権兵衛)
>皆様 え、なにこの春蘭迷子外伝期待ageみたいな雰囲気(゚д゚;)(caval)
春蘭の迷子ネタ読んでみたいかもwwwアルバイトお疲れ様です。(量産型第一次強化式骸骨)
確かに春蘭ならなんか伝説の一つや二つありそうww(アロンアルファ)
迷子ネタで外伝1話つくれそうですねw(氷屋)
おつかれさまです!!(aikora)
春蘭の迷子、ありそうで怖いかも・・・(佐木瑞希)
タグ
恋姫無双  一刀  華琳 真桜 

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