お題禁書1
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「永遠なんて無いんだよ」だから美しいのかも知れないね、と月明かりを背後に微笑む少女は何度味わっても変わらない愛らしい唇で小さく言葉を紡いだ。今が何時まで続いて、自分の息が途切れる時がきたとしても、この手だけは離さないでいれたらいい。まるで子供が我侭を言うように、思う。

 

 

口に出して告げたらその笑顔は多分崩れるだろうから。

言葉にはしないけれど。

何時だって結局は言葉なんて必要なかった。

一緒に居るのが当然で、それが日常で。

誰が認めなくても、心で間違っていると知っていてもそれは少年にとっては日常だった。

失う怖さを孤独に飢える心を、埋める為に。

大事なら、自分で掴めばいい。失いたくないなら手を伸ばせばいい。

離れるのが怖いなら逆に引っ張ればいい。

 

 

確かな糸なんて必要ない。意味が無い。

 

結局決めるのはこの心だ。

 

伸ばした右手に透き通るような白い手が重なり、引き寄せられて頬へと擦り寄せられる。

温かくて、心地良くて、何故か泣きたくなる。

 

目覚めたあの日から少女はそこに佇んでいた。

あの日嘘をついたのは本当は分かっていたからかも知れない、

もし、真実を告げればこの少女は自分から去っただろう。

あの時泣きそうな、一瞬だけ見せた歪んだ表情が物語っていた。

それを心が拒んで、激しい拒絶を生んで、あの瞬間、少年も少女も自らに囚われた。

それは幸か不幸かならば不幸なのかも知れない。

けれど少年にとってはこの上ない幸福だった。

 

今掴んでいるこの手が解かれぬ事が無いように静かに指先に口付ける。

祈りににも似た気持ちだ、と付け加えたらやはり少女は瞳を潤ませた。

 

下唇を小さく噛んで、震える声が名前を呼ぶ。

 

赤い林檎のように頬を染めた少女に

同じくつられて赤く頬を染めた少年は

 

「林檎食べたくなっちまった」と照れくさそうに笑った。

 

 

 

 

 

アダムとイヴの魅惑の林檎。

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とあるの上インで。
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