真・恋姫無双〜軍神VS覇王〜運命の分岐点〜
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最終話

 

『赤壁の戦い、新たなる敵』

 

大河が燃えた。

風が燃え、星空は真っ赤に染まる。

それを曹操は憎しみという憎悪で見ていた。

「こんな……こんなことが……」

一体、どうしてこうなったのだろうか。何が原因でこんな結果になってしまったのか。

「………っ」

わかっている。すべては自分が招いたミスだということを。

李典を殺してしまい、黄蓋を受け入れてしまったこと、火攻めでくるのをわかっていながら時間をかけたことなど。思い返せばどれだけの悲劇を生み出してしまったことか。

「見つけたぞ、曹操……」

一人の女性が曹操の名を呼ぶと同時に弓を構えた。

「黄蓋………か」

曹操は微笑みを浮かべた。

「貴様の首を民達に見せれば、江東は平和に満ちる」

「……ふっ、私も落ちたものね。敵を懐まで近づけさせるとは」

曹操は『絶』をかまえる。

「死ぬがいい曹操っ!」

黄蓋が握っていた矢が曹操に放たれた。

「………」

避ける気はなかった。

これも運命………ここで終わりにしよう。自分の力では軍神達を倒せなかった。それでいい。

だが。

「……諦めては困りますっ! 華琳様」

放たれた矢は曹操に届く前に斬られて落ち、放った黄蓋の体中に剣や矢など無数の刃が突き刺さった。

「がはっ!?」

曹操も黄蓋も何が起こったのか理解できなかった。

しかし、黄蓋に理解を得る時間はない。空を見上げてみれば一人の男が空飛んでいた。

「貴様を斬首する」

男はそう呟くと黄蓋の首を刎ねた。

「………」

真っ赤に染まっていく男は、微笑の笑みを浮かべる。

「……どうして?」

曹操は男に尋ねた。

「あなたはここにはいないはず。先陣で指揮をとっていたはずよ。そんな貴方がどうやってここに?」

男は、照れくさそうに、笑った。

「何を言っているのですか華琳様。私は貴方の『剣』であり『盾』なのです。貴方に危険が及べば泳いででもお守りするのは当然です」

「この炎の川とも言える状況の川を泳いできたですって!?」

まさに火の中、水の中という言葉通りだ。

「それに私と同じようなことをしたのは自分だけではありません」

「えっ?」

曹操の無事を喜び、泣きながら抱きついてくる二人の少女。さらに最初に曹操を護衛できなかったことに悔しがりながらの顔をした姉妹が現れる。

「これは……」

そして、曹操の肩に手が置かれた。

「いや――、みんな馬鹿ばかりだな華琳」

隣には夫がいた。触れられるまで気がつかなかったが、夫の体には焼き焦げの強い匂いがしみついている。きっと、曹操を守るために炎の中で戦っていたのだ。

「……あきれた。結局、私がいないと、みんな駄目じゃない」

曹操は、くっと唇をかみしめ、うつむいた。

「そういうことだ。だから……華琳、指示を頼む」

夫の言葉と共に、曹操は顔を上げた。その瞳は射抜くように澄んでいる。

「では、これより指示をいいます」

曹操は曹操に戻る。

それを見る夫は、心の奥底で『これでこの国の実権の段取りはついた。後は操り人形のように華琳や他の人間を使って、桃香や蓮華、華琳を殺してやる』と心に潜めるのだった。

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周瑜は絶望した。

気づいたときには、すべてが終わっていた。

「なんだこれは?」

この戦い、すべて諸葛亮の手の上で踊らされていた。

「なぜだ? なぜなんだ!」

憎悪として憎む。江東の未来が暗雲と包みこむ。

「私は………私は……がっ!?」

未来を見た。

それと同時に周瑜は倒れる。それは自身に未来がない象徴の倒れ。

「本当の……本当の敵は……」

手を伸ばし、星空を見る。

「天よ! なぜ、あのような少女の存在を許すのだ! 彼女さえ……彼女さえいなければ、この江東は……っ!!」

そして、息が途切れた。

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―――そして、時代は新たな戦乱を呼ぶ。

 

だが、誰もが知らない真実がある。

 

周瑜も曹操もあの諸葛亮でさえ、知りえない真実を。

 

この世界の北郷という名のつくすべての人間が『悪』だということを――――。

 

 

 

説明
前回のお話
次第に諸葛亮の危険を感じる江東の軍師達だが、やがて赤壁の戦いが始まってしまうのだった。
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