GROW4 第二十章 闇の恐怖
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「悪いけど早々に勝負を決めさせてもらうよ、刹那ちゃん」

 すすすっ

「これはっ!?」

 螺旋状に移動する三尋さんの背後には、巨大な黒い影が憑いている。それは、動くたびフィールド全体黒い闇へと浸食していく。

「呪いの進闇(ディーセンド・カーズス・フェインダム・タークネスト)」

「太陽の熱も吸収してる?普通の力じゃない!?」

「悪いね刹那ちゃん。どうしても負けるわけにはいかないんだ。?右手(クロム・ディクロマグラム)」

 ゾクゾクゾクゾクッッ

「八式炎聖(はっしきえんせい)、猪戸喝破(ししどうのかっぱ)」

 ボボボボボボッ

「もはや全属性が無意味だよ・・・」

 ドドドドドッ

「火が触れた所から闇に浸食されていってる!うわっ」

 刹那さんの放った巨大な炎は、闇に触れた瞬間黒く染まり闇の一部と化した。闇と化した闇炎は、もはや三尋さんの支配下だ。

「闇の不死鳥(ダークネス・フェニックス)」

 ギャァァァァァッ

「まさか、浸食された炎が操られるなんて」

「闇の不死鳥の息炎吹(ダークネス・ミロリティアーム・ブレス)」

 ジュァァァァッ

 

「ゲホゲホッ。黒天絶対防御壁!!」

「魔法無効化の槍で一時的に攻撃を防いだところで・・・・もう闇の浸食は止まらない」

 なんとか黒天で防ぎきったものの、闇は完全に刹那さんを取り囲んでいる。

「魔法無効化のこの槍なら攻撃できます。七式閃堵(ななしきせんど)」

「残念・・・」

 ボシュウウッッ

「貫通した!?実体が捉えられていない!?そんな筈は・・・」

「これだけ完成された闇にもはやその程度の魔法無効化(マジック・レジスト)は届かない・・・

 ガシィィィッ

 ドロドロドロ

 

「黒天が闇に!?武器が変化していくっ!?」

「終わりだよ刹那ちゃん。本来闇の魔法は存在自体がもはや反則なんだ。完全に“覚醒”した闇に

防ぐ方法なんてないよ。“小細工”程度ではね・・・」

「小細工だって!?ふざけないでください!!まだ三本も残っています」

 零無の槍を取り出す刹那さん。三尋さんはもはや勝ちを確定したかのようにその場に座り込んで目を閉じた。

「くっ、四式零殿(よんしきれいでん)、絶対零度(エイガリマーティアス・リディアスメスト)」

 パキパキパキパキィィィン

「三尋さんの周りだけ凍らない!?」

「・・・・・」

「それなら直接叩きこむだけ。九式氷嚢(きゅうしきひょうのう)」 

 太陽のフィールドすらも一瞬で凍りつかせた攻撃が、三尋さんには通じていない。刹那さんは直接攻撃に転じる。

 しかし・・・

 

 ヒュッ

 ボフゥン

「そんな!?」

 刹那さんの攻撃に反応して、三尋さんの左肩が闇になり、そこから一メートル程の闇の剣が現れる。それが刹那さんの攻撃を防いだのだ。

 それから連続で攻撃を仕掛けても、身体のあらゆるところから闇が出現して防ぐため、術者本人に攻撃が通らない。

 通ったところで実体を捉えなければダメージすら届かないのだ。

「能力が反則過ぎる・・・」

 連続攻撃で息が上がる刹那さん。右手に持つ零無の槍は、たび重なる攻撃のせいで闇に浸食されもはや使い物にならなくなっていた。

 これが真の闇の力。絶対能力裏三大要素の一つ。通常の魔術では倒せる筈がなかったのだ・・・

 

 ドサァ

「身体に、闇が・・・」ゲホッ

 とうとう闇の浸食が刹那さんにも及び倒れてしまった。

 

 「勝者、籠山三尋」

 

「ゴメンネ、こんな勝ち方で・・・」

 

 

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 2

 

 次の第三回戦第三試合は、龍神スサノオ(今井1)VS湖都海天使(流水1)の試合だ。

 天使さんは前回の試合で、水の神と水の悪魔を全壊させられ、地獄悪魔を半壊近くまで追いやられている。自己修復機能を使って回復をさせているが、次の試合まで動かない状態だ。

 つまり、今天使さんが行使できるのは、瑳塵欧轍牡丹だけといえる。

 相手は衣さんを破った相手。今井の三枚頭の一人だ。

 

「傷を負っておるのはお互いのようじゃのぅ」

「体調管理はトーナメントの定石。わたしは問題ない」

「ほほう、なるほどのぅ」

「衣と戦って体力が大きく削れたあなたなら、一瞬で消せる。長引かせたら、魔力消費が大きいわたしのほうが不利だから・・・」

「つまり、防ぎきったらわしの勝ちじゃな」

「勝たせない、絶対に」

 

 「第三回戦、第三試合はじめっ」

 

「旧世代の魔人(フェーミリタリア・マルサゴッテ・ブラハリアームス)」

「地獄悪魔契約フェード“9”、地獄からの来訪者(ヴィヴァンチェ・ゴルナフェルディマー・カドレード・ジェブーク)」

 

 ドドドドドドッ

【密かに5辺りまで上げていたけどこの反動はきついね】

「向こうも動き出したよ」

「回転剛拳(ベイグル・パンク)」

 ゴォッッ

「辟易の盾(カンビエシマ・フェドラヴァ)」

 ボギィィィィン

 シュゥゥゥ

 

「なるほど堅いな」

 スサノオの攻撃を巨大な盾で受け止めた天使さん。逆手には既に攻撃準備が整っていた。

 

「悪魔の気炎(デイモン・サバイエット)」

「速いっ」

 ズガァァァァッ

「なかなかやるのぅ」

「ゲホゲホッ。倒れない・・・」

 フェード9の強力な攻撃を受けても倒れないスサノオ。攻撃も防御も異常過ぎる。

「失われた魔法(ロスト・マジック)にここまで対抗してくるとはな。しかし、ドーピングでは長くはもつまい?」

「牡丹、フェード10だよ」

【それしかないね】

「ほほう、更に力を上げるか。わしも、身体のリミッターを解除する」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴッ

「地獄悪魔契約フェード10、三桃源の鬼神(エノトリハデス・マゴローマザイゼフ・アルキオーデム・ドロキオルディスダム)」

「お・に・・・」

「フェード10は最終段階。9から10へと移行すると、魔力の造りが大きく変化する。あなたの力も素晴らしけどもはや勝ち目などないよ」

「ぜ、全身の震えが止まらない。さっきとはレベルがまるで違いすぎるのじゃ」

 二度目のフェード10。全試合では一瞬で終わってしまったが、今でははっきりと見える。今の天使さんの姿はまさに鬼神そのもの。しかし、ただの鬼神ではない。現世、冥界、天界の三桃源を統括する、最強の鬼神の姿なのだ。

 天使さんの気があまりに張りつめていて、フィールド全体は半分空気が真空状態になっている。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ」

 天使さんに向かって前進するスサノオ。右拳を強く握り攻撃態勢に入った。

「ゲホゲホッ」

「魔人装宝仙龍神(まじんそうほうせんりゅうじん)」

 ドゴォン

 シュゥゥゥ

 

「勝てない・・・」

 攻撃が全く通用しないスサノオは、戦意を失っていた。

「崩壊していく世界(エンドロスト・カタストロフィー)」

 グォン

 

 ドサァ

 「な、なにがおこったんだ?」

 

 視界全体が歪み、真っ暗になる。強烈な頭痛と痛みが観客席まで届いた。

 頭を抱えながらフィールドを除くと、崩壊したフィールドと倒れたスサノオの姿があった。

 「しょ、勝者、湖都海天使」

 

「ゲホゲホッ。もしも次、中尊寺の三年が上がってきた時、完全状態のフェード10三重重ねじゃないととても対抗できないね。舞華ちゃんが勝ってくれればいいんだけど」

【いずれにせよ厳しいよ】

「残る魔物はあと・・・」

 

 

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 3

 

 次の第三回戦第四試合。孔雀院舞華(流水1)VSシグマー=フェルティマ(中尊寺3)の試合である。

 シグマーさんの真の実力とはいったいどれほどのものなのか。

 

「まさか僕以外、中尊寺の面子が全滅するとはね。今年のレベルの高さは異常だよ。そして、今眼前に佇む相手。とても一筋縄ではいきそうにないね・・・」

「シグマーさんですか。ウチの高校にわざわざ出向いたって聞いたで。何やら“指令”か何かかと」

「たいしたことないさ。ただ、“友達”に会いにね」

「ふーん。まあいいけど。会長を気にしてはるみたいやけど、ここで負けてもらうわ」

「そうかい。言っておくけど君じゃ僕には“絶対に勝てない”。絶対に、だ」

「なるほどね。じゃあ勝たせてもらいますわ。そのけったいな自信をへし折って」

 

 「第四試合目、始めっ」

 

 ドガシャァァァァァッ

 パラパラパラパラ

 

「なっ!?」

 始まった瞬間、フィールド全体が歪んだかと思うと、舞華ちゃん吹き飛び倒れてしまった。

「なるほどね・・・」

 ドンッ

「何したんや、アンタ」

 立ち上がった舞華ちゃん。足元には刀身にヒビが入った刀が落ちている。とっさに受け止めたのだろう。

「僕の一撃で倒れなかったのはここ最近ではあなたが二人目だよ。でも・・・

“完全には反応しきれなかった”みたいだね」

「ちょっとやばそうやな」

 

 

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 4

 

 次回予告

 

 シグマーさん始動。その力とは・・・

 こんかいかなり進めました。まだけっこう残ってる

 

 次回、GROW4 第二十一章 折れない心

 

 ではでは

 

説明
 闇の魔法キターー
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GROW 籠山三尋 御狩懈刹那 龍神スサノオ 湖都海天使 孔雀院舞華 シグマー=フェルティマ 

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