（午後３時２０分・ロシア・ロシア科学アカデミーの発表会場・休憩所）

移動した全員は、カイトに無料のコーヒー全員分を頼んで、テーブルに持ってこさせた（不憫な子）。

メイコ警部：さて、納得のいく事情を説明して貰うわよ。少なくても警察ｖｓ泥棒のスタンスは変わらないんだからね

怪盗リン：ええ。こちらもそのつもりよ

Dr.ルカ：まず、今回のターゲットに関するレン君のさっきの調査結果は、全部正解よ。さすが探偵ね。偉いわよ

レン：あ、ど、どうも有り難う御座います

メイコ警部：（はぁ〜）

Dr.ルカ：さて、レン君の情報の通り、今回のターゲットには、“同等品にもオーパーツが組み込まれていないとならない”物。つまり、私たちの“９９％デュプリケーター（複製機）”ですらも、同等品を作る事が出来ないわ。つまり、“同等品と交換する事が出来ない”案件。だから、交換して入手する事が出来ないから、完璧に盗むしかない。それに、“心臓ユニット“である性質上、盗むのはパーツだけってわけにはいかない。つまり“本人”を誘拐しないとならない事になるのよ

メイコ警部：ちょ・・・・、ま、まさか、私達にもそれを協力してくれなんて、言うんじゃないでしょうね！？

怪盗リン：ピンポーーーン！　でも半分だけ正解

カイト：誘拐するのは僕たちだけで、あなた達は、僕たちが行うことを“承認”してくれるだけでいいんｄ

メイコ警部：ふ・・・・ふ・・・・ふざけるな！！！

メイコ警部は立ち上がって顔を真っ赤にして怒鳴った！　近くにいた来場者が全員、メイコ警部の方を向いた。メイコ警部は冷静さを取り戻し、静かに着席した

メイコ警部：あ・・・あなた達・・・もう少し考えて言葉を発してよね。警察が“誘拐の承認”なんてできるわけないでしょ・・

怪盗リン：さっきは言葉の最後で怒鳴られたから言えなかったけど、ちゃんと“承認しなくちゃならない情報”を持っているのよね。

Dr.ルカ：そう、承認する以外の答えが出てこない情報を

そういうと、カイトは１つのモニターをカバンから取り出した。そしてスイッチを入れてメイン画面から“ローラ”の項目を選んだ。するとモニターにローラと思われる女性型アンドロイドの映像が映った。

メイコ警部：これがそのローラさんね。ほとんど人間と変わらないのね

怪盗リン：そう、このローラさんが今会場に来ていて、発表の壇上で紹介されるのよ。でもね、これがその情報の１つじゃないのよ。肝心なのはこっち

そういうと右ボタンを押して、次の映像に映った。そこには・・・・

メイコ警部：な・・・・・ここは警察の格納庫・・・・

レン：ローラさんがいっぱい・・・・・

Dr.ルカ：そう。この同時刻で既に警察は、“量産型ローラ”の“製造技術”と“ライン”と“ある程度の製造”を終えているわ。そしてこの“プロトタイプ”であるローラさんのなれの果ては・・・

また右ボタンを押した。そこに映し出されていたのは１体だけのローラだった、が、少し違っていた。

メイコ警部：裸の状態で、しかも左胸のユニットがごっそり取り除かれている・・・・

怪盗リン：そう、警察はこのあと、量産型の技術確立とさらに発展させた機体開発に成功したため、初代のローラは永久人工心臓を取り除かれて“廃棄”されるの。その永久人工心臓も、次世代機の開発のために解体されちゃうしね

Dr.ルカ：これが今この会場に持ってこられたローラさんの末路

怪盗リン：発表では“初めて開発に成功”とかいうんだけどね、本当は、“初めてで”発表しているんじゃないの。既に初代ローラの情報は完璧に入手してある“研究の終了段階”で、その一部だけ誇張して発表しているだけなのよ

カイト：この初代ローラがこの会場からいなくなっても、一応警察が持ってきている“量産型”を公開すればそれで済むこと。この時代の警察は、そういう連中なんですよ

メイコ警部：そ・・・・そんな・・・・“そういう怪しい連中”を取り締まるのが、警察の仕事じゃなかったの・・・

Dr.ルカ：この時代からじゃないんだけど、警察直下の研究機関は各時代で極秘裏に“オーパーツ”を大量に入手する事に成功しているの。レン君、どうやったらそんなこと出来ると思う？

レン：オーパーツは元々、地球外、つまり宇宙由来の素材の事。当然、見つけるのは本来困難。ルカさん達ですら発見するのに苦労していた。それを“大量”に入手するためには、当然“宇宙人から大量に入手”しなければいけません

Dr.ルカ：Good！　警察直下の研究機関はね、各時代で極秘ルートを使って宇宙人とコンタクトを取っていたの。そして地球の物品と交換で、オーパーツを入手していたのよ

怪盗リン：でも、それが仇になって、子孫の首を絞めることになったの

メイン画面に戻り、今度は“６６６６年”の映像を選んだ。そこに映し出されたのは・・・・

メイコ警部：こ・・・この建物は・・・世界警察本部・・・・

レン：見事に破壊されてますね。そして周りには異形の生物が横行跋扈してます

怪盗リン：これは“私たちが来た時代”の風景よ

レン：え！？

Dr.ルカ：私たちはね、“未来人”なのよ、６６６６年の未来の地球から来たの

カイト：タイムトラベルマシンでは、“現時間より未来”に行くことは出来ないから知らないと思うけど、これが“未来の地球”なんです

Dr.ルカ：世界を統治した世界警察はね、宇宙人の力をも借りて、“世界の掌握”に出たの

怪盗リン：でも世界を掌握する前に、地球の分析が終わった宇宙人によって、逆に警察が掌握されちゃったの。そしてその後、地球も征服されちゃった・・・・

カイト：僕たちは、最後の生き残りの一部。もう残っている地球人はほんのわずか

メイコ警部：そ・・・・・そんな・・・・・・

レン：これが僕たちの未来・・・・・

ミク：ミクぅ〜、ここで食べる食べ物は美味しそうにないミク〜

Dr.ルカ：あなた達が生きている間には、こんな惨状にはなってないけど、子孫はこの道を少しずつ辿ることになるの

怪盗リン：だから、私たちは“こんな未来”にならないために、最後の賭けに出たの

レン：最後の賭け？

Dr.ルカ：古来から地球人と結託していた宇宙人の“素”。一番最初の宇宙人を破壊する事

怪盗リン：最初にいなかった事にしてしまえば、少なくても６６６６年のあの惨状にはならないと考えたの

カイト：ある程度の“歴史変更の罪”を被ることを覚悟の上で、手を打ってきたんだ

Dr.ルカ：タイムトラベルして、大学に研究機関を作って６６６６年の時点では出来なかった研究をし、

怪盗リン：ベーカー街に歴史図書館を作り、オーパーツ等の歴史研究をして、

カイト：あなた達の協力もあって、やっとこここまでたどり着いたんだよ。ここのローラさんと最後の１つの“きのこオーブ”を入手すれば、その“最初の宇宙人の破壊”を可能にできるんだ

Dr.ルカ：人類最後の力、“時空戦闘艦スウィート・アン”、に６つのきのこオーブを搭載する事で、最初の宇宙人“プロト・プリマ”が存在した時代までタイムトラベルする事が出来るの

怪盗リン：向こうがオーパーツ、つまり宇宙の力を使うのなら、

カイト：こっちもオーパーツを使うことで、解決する事にしたんだよ。でも、僕たちの時代６６６６年に僕たちが使えるオーパーツは１つもない。だから、過去に戻って、強力なオーパーツを探す事にしたんだ

Dr.ルカ：私たちのここで話せる事はここまで。これから、あなた達の回答を聞くことにするわ。まず１つ目。これまでの事情を鑑みた上で、この会場に来ている、プロトタイプのローラさんを、私たちは誘拐、というか、盗んでもいいのかしら？

メイコ警部：・・・既に量産型が出来ていて、その必要性すら軽視されている。それよりなにより、警察そのものがこんな事をやっていたことの事実を考えた上で・・・・不謹慎かもしれないけど、“許可”します

怪盗リン：そのアンサーは同時に“あなた達も私たちの行動側に移る”事を意味するけど、それでもいい？

レン：（メイコ警部・・・・）

メイコ警部は警察手帳と電子銃をテーブルに置いた。

メイコ警部：この２つは、あなた達の行動が終わった後、頃合いを見て、警察に返します

カイト：・・・・・つまり、“辞職”ということですね

メイコ警部：この未来世界の“世界警察本部の陥落”を見せつけられたら、これでも安い覚悟だと思ってます。あなた達の覚悟に比べたらね

怪盗リン：ありがとう・・・・・

Dr.ルカ：で、お二人さんはどうする？

レン：メイコ警部に同じく、僕も警察とのホットラインを切ることにするよ。今後は迷子ネコの捜索や浮気調査かなんかに、内容変更する事にするよ

ミク：ミクも迷子ネコさん探しやりたいです、ミク！

カイト：心から感謝する・・・・

Dr.ルカ：皆さん有り難う。じゃあ協力も得られたから、私たちは行動に移るけど、最後のきのこオーブの事を説明したいから、ミクさん、あなた達の探偵社のタイムトラベルの入り口をカイトに教えてくれませんか？　さすがに世界警察の部屋とか歴史図書館とかは、警察官だらけで、帰られないからね

ミク：ミクぅ！　ここでーす！

ミクはカイトに懐中時計の探偵社ゲートのデータを、カイトが持っていた懐中時計にコピーした。

カイト：OK！　これでここに行くことが出来ます

怪盗リン：皆さんは一足早く探偵社に帰っていて下さい。ローラを連れて、そちらに向かいます。あなた達がここにいて、一緒にここを出るのは得策ではないと思うんです

メイコ警部：それは私も賛成よ。わかった、先に戻って待っているわ

Dr.ルカ：じゃあ、作戦開始するわ！

こうして、Dr.ルカ、怪盗リン、カイトの３人は、物陰で、スタッフに変装して、会場裏に消えていき、メイコ警部、レン、ミクは、先に時空探偵社に戻ることにした。

（午後４時・ロシア・ロシア科学アカデミーの発表会場・外に止まっているトラックの中）

車内のスタッフ：なんだ？　そろそろ発表の時間だぞ？

スタッフに変装した怪盗リン：それが会場内でプロトタイプ・ローラの転倒事故があり、不具合が生じてしまったので、急遽、量産型ローラで発表を行うことになったとのことです。私たちがソレを運ぶ事になりました。はい、これ簡易書類

車内のスタッフ：ふんふん、なるほど。これまた急だな〜、まぁいい。時間がないから、急いでくれ。で、プロトの方はどうするんだ？

スタッフに変装したカイト：私たちが用意したハンガートラックに移して、別ルートで運ぶとの事です

車内のスタッフ：了解した、じゃあ、頼むわ

こうして電源が待機状態になっている量産型ローラを小型フォークリフトに載せ、会場に運び出した。

（午後４時・ロシア・ロシア科学アカデミーの発表会場・待合室）

待合室のスタッフ：どこの部署のものだ？

検査員に変装したDr.ルカ：先ほどトラックのスタッフの者から急に、移動中にプロトタイプだけに大きな衝撃が加わり、システムに異常が加わっているおそれがあるため、受けた衝撃が小さかった量産型に変えてくれとの連絡を受けました。これが通知書です

待合室のスタッフ：なるほど。発表者の承認もあるな。よし、すぐに交換してくれ

検査員に変装したDr.ルカ：了解しました

検査員に変装したDr.ルカは電話で連絡をするふりをした。

２分後、スタッフに変装したリンとカイトが、小型フォークリフトで量産型を持ってきた。

検査員に変装したDr.ルカ：オーライ、オーライ、ストップ！　では、量産型を降ろして、プロトタイプを積みます

３人はテキパキしていた。なにせ“偽造の書類”で動いているため、さっさと終わらせないといけないからだ。

小型フォークリフトに電源を待機状態にしたプロトタイプを載せた。

検査員に変装したDr.ルカ：それでは移動車に積んできます！

待合室のスタッフ：宜しく頼む！

こうして、部屋からある程度離れたところで、小型フォークリフトからプロトタイプを降ろし、システムリセットをかけて、電源を入れた。

キュイーーーーーーーーーン、ピーン！

プロトタイプローラ（以下ローラ）：マスターの映像を取り込みます

Dr.ルカはローラの前で静止した。

ローラ：了解。次に声を取り込みます

Dr.ルカ：あーーーーーーーー

ローラ：了解。ではメインシステム起動します

ローラはやっとこ動ける状態になった。

Dr.ルカ：ローラ、早速で悪いけど、私たちに付いてきて

ローラ：了解しました

こうして、「生命」のきのこオーブであるローラは３人と共に、タイムトンネルをくぐって、時空探偵社に向かった。

残りはあと１個。