真・恋姫無双〜反逆の北郷〜
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誰かが言った。

 

北郷一刀は死ぬべきだ。

 

北郷を否定する。

 

彼は人間として最低だ……と。

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歌というのは不思議な力がある。

喜び、感動、憎悪、癒し、成長など様々な生き物達に何かしらの不思議な力を与えている。もちろん張三姉妹も例外でない。ただし、歌の力は場所や時などで大小変わり予測がつかないものだ。

けれど、北郷は知っていた。

何度も何度も『世界』を繰り返し、記憶を引き継いでいたため、彼女達の歌で戦争を起こすことなど造作もなかった。まあ、多少道を誤れば血の『戦争』ではなく歌の『戦争』になっていたのもかもしれない。

もちろんそうならないために、ワザと護衛という名目で彼女達に兵士を置いて、戦争の火種を起こした。

「………私は……ただ、歌でみんなを平和を導きたかっただけなのに……」

死ぬ間際、何も知らない張角はそう呟いた。

だから傍にいた北郷はこう言った。

「無理に決まってるじゃん。歌では『世界』は救えるわけがない。もし、そんなことが出来るならすべての『世界』が平和の道を歩んでいるよ」

そう言って、張角の想いを全否定して殺す。

 

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董卓が支配する舞台では、流石に一人では何も出来ないので、自分を分裂させた。

ただし、ただ分裂するだけでは意味がないので『北郷一刀』という人間が持ち得る能力の一部を強化した自分を生み出した。

策士、誘惑、信仰者、依存など北郷一刀自身だけではなく人間が必ずしも持ち得る感情の一部に。

しかし、これには弱点があった。

それはいくら分裂しようが元は『一つの形』であるということで、一人でも死を迎え入れば他も北郷も連鎖的に死を迎えてしまうことだ。

「でも、問題ないだろうね。俺が死ぬということはこの世界も死ぬということなんだから」

北郷は自身を神に近い存在だと認識していた。だいたい、他の人間とは違いすでに逸脱した力を持っているのならば死ぬ可能性は低いものだ。それが舞台の創設者の特権だ。

しかし、そのの力は限られていた。だからそのために、回りくどい『三国志』などを創り上げている。

「でもさ……、月とか詠なんか英雄が女の子なんかは簡単に支配できるんだよね」

人を誘惑させることに長けた北郷が、人形化させた董卓の体を色々と触りつつ対峙する呂布に微笑をかけた。

「………お前は、死ぬべきだ」

事の顛末を知った呂布は、北郷を否定した。

「なんで? 俺は『世界』を救うためにここに来て平和を作るために動いているだけだよ」

「違う。……貴様は、ただ自分が受け入れられないのが気に食わないから殺しているだけだ」

「はは……キツイなぁ……。『前』の時はあんなにも『ご主人様』といって慕ってくれたのに」

呂布は動く。

「『前』なんか知らない。……ただ、お前は死ぬべきだということだけは認識できる」

それを北郷は微笑んでこう言った。

「いや……死ぬのは恋だよ?」

それが呂布が聞いた最後の言葉。

 

 

第四話へ続く……

説明
第三話
『反逆の北郷 前編』
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