真・恋姫†無双 ~君思うとき、春の温もりの如し~ 合間23
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【呂蒙 side】

一目惚れでした。

下級の文官であった母に勧められて始めた勉強。

当時の私は武術では周りの人達よりもひとつ抜けていましたが、学の方はさっぱりでした。

それを見て母はこれでは駄目だと思ったのでしょう。

勉強をはじめて、最初の頃は大変でした、何しろ文字が全くわからなかったのですから。

しかしそれも勉強するうちに少しずつ文字を覚え、学ぶ楽しさを感じるようになりました。

そこからいくつもの本を読み、兵法を学びとすっかり勉強にはまっていったのでした。

ある程度勉強も進み、家の中の本もすべて読み終えた頃、私は母の紹介で諸葛謹さん、茶々さんの所で学ぶこととなりました。

茶々さんは呉の家臣だと知っていましたが、孫堅様亡き後、呉の者達は皆バラバラにされてしまったと聞きました。

茶々さんの所ではいろいろな事を学びました、兵法はもちろん、指揮官としての心構え、政についてや国家のあり方などたくさんの事を。

他に呉の国のこともたくさん話してくださってくれました。

亡き孫堅様のことや今仕えている孫策様の事、そして孫権様の事を。

その頃から私は、自分が学んだことを呉のために使いたいと考え始める様になりました。

そのことを茶々さんに話すと、茶々さんは喜んでくれました。

それからは、どうやって袁術から独立するかについて話し合う様になりました。

そして私の策が採用される事となり、いざ実行されることとなりました。

はじめに黄蓋様、祭様がやって来て策を仕込む事となりました。

準備があらかた終えると今度は孫権様が来ると言うではありませんか。

とても緊張しました、相手は呉の王族の方、私の主となる方です。

私はあまり人と関わるのが苦手な、引っ込み思案な性格です。

茶々さんは大丈夫だとおっしゃっていましたが不安でした。

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初めて孫権様とあった時、胸が熱くなるのを感じました。

そう、これは一目惚れ、私は孫権様に目を奪われました。

しかし私の目付きは良く鋭くて怖いと言われます、孫権様に不快な思いをさせてはいけないと思い、袖で顔を隠すことにしました。

そんな私の目を孫権様は、凛々しい良い目だと言って下さりました。

その時の笑顔は今でも忘れません。

とても輝いていて眩しくも優しい顔、私の胸は再び高鳴ります。

それからです、孫権様を、一刀様の事を好きになり、その思いが私の中で大きくなるのを感じ始めたのは。

 

「亞莎は、一刀様のことが好きですか?」

ですから、親友の明命の言葉を聞いた時は驚きました。

「ふぇっ!?そ、それは…その……」

一刀様の事を好きかと聞かれ、自分の胸の内を見透かされた様な気分になり、恥ずかしさのあまり袖で顔を隠してしまいました。

…どうして明命はこんな事を聞いてきたのでしょうか。

【呂蒙 side end】

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【周泰 side】

私には好きな人がいます。

呉が袁術により解体され、一刀様達は散り散りになることとなりました。

当時庶人であった私は、軟禁のための屋敷に向かう途中の一刀様に出会いました。

私の隠密としての能力に気が付いた一刀様は、私を他の呉の方との連絡係として仕えさせました。

自分の力を持て余し、周りの者から疎まれていた私にとって隠密の仕事は自分の能力を活かせる仕事でした。

時には手を汚す仕事もありましたが、私を拾ってくださった一刀様のためと一生懸命に行いましたが、そのたびに命令を下す一刀様は苦しそうな顔をしていました。

その優しさが痛く伝わり、この人のためにまたがんばろうと思うようになりました。

私のとても大切な人。

 

私には親友と呼べる娘がいます。

亞莎は少し恥ずかしがりやなところがありますが、優しい性格の女の子です。

優しい性格ですが戦場では一転し、策を練り、的確に敵を倒してゆきます。

その手腕は目をみはるものがあり、冥琳様が後継者に考えているのにもうなずけます。

とても凄い自慢の友達です。

だから確かめなくてはいけません、知らなくてはいけません。

「亞莎は、一刀様のことが好きですか?」

亞莎は顔を真っ赤にして、その長く垂らした服の袖で顔を塞いでしまいました。

この反応は正解だということです。

だから私は提案します、好きな人と大切な友達、両方を幸せにする方法を。

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「亞莎、私は一刀様のことが好きです」

「え?」

袖を少し下げ覗き見る亞莎の目は驚いていました。

「そ、そうですか……」

「でもっ。でも、亞莎のことも大好きです」

「えっ?」

「亞莎も好きなんでしょ、一刀様のことが。

それはとても素敵なことだと思うんです。

大切な友達と同じ人を好きになった、これはとても素晴らしいことです」

「でも、同じ人を好きになったってことは、とても苦しいことだと思うの……」

亞莎の言っていることはよくわかります。

もし、一人しか愛されなかったら、選ばれなかった方は傷つき、選ばれた方も後ろめたさに悩まされます。

「でも、私たちの愛した人は一刀様です。一刀様なら私達2人ともを受け入れてくれるはずです。

私の調べによると、一刀様はもう複数の方と関係を持っているようです」

「ええっ!?一体どうやってそんな事を……」

私の調査結果に呆れ返り、亞莎は顔を隠していた袖もすっかり下ろしてしまいました。

「でも、私なんかが思いを伝えても迷惑なだけじゃないかな…」

「何を言っているんですかっ亞莎!亞莎はとっても可愛いですよ。…それに2人でなら大丈夫です」

「2人でなら…」

「そうです。2人で行けば一刀様もきっと。

…あっ!もしかして亞莎は一人抜け駆けするつもりだったですか!」

「そんなつもりありません!で、でも一緒ってことは明命と…」

そう言うと亞莎は再び真っ赤にして袖で顔をかくしてしまいました。

亞莎の言ったことを数瞬考えた後、自分の言ったことの意味が分かり私も恥ずかしくなります。

2人でということは、亞莎と一緒に一刀様とその…する、ということになります。

「はっ、いや、でも!初めては怖いと聞きますし、亞莎なら別に一緒でも良いと言いますか…」

「ふぇぇぇ……」

話している私も聞いている亞莎も、両方とも恥ずかしさで顔は真っ赤です。

でも、決めなくてはいけません、進まなくてはいけません。

「は、恥ずかしいですけど、2人でならきっと!」

「2人でなら……わ、分かりました。私も、が、頑張ります!」

亞莎も覚悟を決め、2人でよるに一刀様の部屋に行くことに決めました。

【周泰 side end】

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【呂蒙 side】

朝、目が覚めると自分の部屋で無いことに気が付きます。

そして昨日の夜のことを思い出します。

「私と明命、2人だったのに、一刀様すごかった……」

2人同時だというのに、一刀様はその、とても激しくって……って何考えてるだろう私。

一刀様を挟んで向こう側では、昨晩の疲れからかまだ寝息をたてえいます。

しかしその寝顔はどこか幸せそうな、満ち足りた様な顔をしています。

私一人であったら一刀様に思いを伝えられなかったかもしれません。

もしかしたら明命は、私のこんな性格を考えて、私が思いを伝えられるようにと考え、一緒にと言ったのかもしれません。

私は幸せです、大事な友だちと大好きな人、そんな存在が居ることが。

「ありがとう、明命」

まだ眠っている親友に、感謝の言葉をそっとつぶやきました。

【呂蒙 side end】

説明
今回は亞莎と明命の拠点。
過去の話はオリジナルとなっています。
ではどうぞ!
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コメント
この二人が一緒とか…爆発してください!!!(summon)
亞莎に明命まで一緒に! ううっ・・・もげてしまえ。(きたさん)
拠点ばかりですみません。もう少しで本編に移りたいと考えていますので、ご了承を。(lovegtr)
最近合間ばっかりですね・・・本編進まないかなぁ。すいません、自分勝手なことを。(etyudo)
一刀視点一切なしですか。・・・・・・くそぅ・・・うらやましい。・・・・・・爆発しろ爆発しろ爆発しろ・・・・・・。(アルヤ)
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真・恋姫†無双 孫権 一刀 呂蒙 亞莎 周泰 明命 

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