【改訂版】真・恋姫無双 霞√ 俺の智=ウチの矛 三章:話の一
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プロローグ

 

 

 

 

 ?州 黄河流域上・官渡郊外。

 

 

 

 「……静かだな、異様な程に」

 

 夜の大河を行く帆船、その帆にもたれかかり空を見上げる少女が一人。

 褐色の肌に紫の髪が月明かりに照らされ、愛刀を抱え座る様は、

 若い少女特有の儚さと、触れる者を皆切り捨ててしまいそうな鋭利さという矛盾した二つの感想を見た者に抱かせる。

 

 それは、まるで一枚の完成された美しい絵画の様な雰囲気を醸し出していた。

 最も、本人にその様な事を言えばどうなるか分かったものではないが──。 

 

 

 「思春様っ! ……こんなとこに居たんですか。

  甲板に居るなんて、風邪をひいてしまうかもしれません!」

 「……ん。明命か。相変わらず意味不明だが、どうした?」

 

 

 突如破られた静寂。その原因に、“思春”と呼ばれた少女は鋭い視線を向けるも、正体を見ると目じりを僅かに下げた。

 

 そんな視線の先、ぱたぱたと可愛らしい足音を立て甲板の上を走る少女。

 身の丈は六尺(130cm)程しかないのに、それに不釣り合いな大きな刀と寝癖でぼさぼさに刎ねた黒髪をぴょこぴょこ揺らし近づいてくる様子は、

 なんというか、とても可愛らしい。何処か人形や、愛玩動物と同種の気配を持っていた。

 

 

 「はっ、そんなこと言ってる場合じゃ無かった!

  思春様!! 西の空を見てください! 凄いんです!!」

 「……全く騒がしい。で、何が……っ!!」

 

 

 指を北西の空に刺し、ブンブンふりキャーキャー騒ぐ“明命”に釣られ視線を向けた先には……。

 

 思わず息を飲むほどの、見事な2対の流星があった。

 空に孤を描き、まるで寄り添うかのように流れる流星。

 

 それは見る者に何処か幻想的で、非現実的な感覚さえ与えた。

 

 “思春”と呼ばれた少女も例に漏れず、思わず口をぽかんと開き茫然と空を見つめた。

 

 

 「──……すごい」

 

 思わず漏れた感嘆の声にはっ、と口を塞ぎ、横目で妹分の様子を確認する。

 どうやら聞こえて無かったようで安心したのか、ほっ、と溜息を吐いた。 

   

 「すっ……ごぉぉーいい!! すごいのです! すごいのです!! すごいのです!!!」

 

 ……心配するだけ無駄だったようだ。

 先程とは違う意味で、褐色の少女は溜息を一つついた。

 

 「……しかし、なんだろうな。アレは……」  

 

 褐色の少女は胸に不思議な感覚を覚えた。

 哀愁の様な、望郷の念の様な。

 

 「この景色が終わっちゃうのがもったいないのです!!」

 「……そろそろ落ち着け」

 「はうあっ! うう、申し訳ないです」

 「船の夜風は体を冷やす。寝巻の人間には聊か堪えるぞ」

 「まだまだ大丈夫……へくちっ、うう……その様です。では思春様、お先に戻らせてもらいます」

 「ああ、お休み」

 「はいっ、また明日の朝に!」

 

 

 途端に静まる甲板。

 響く音は木材の軋む音と、波をかき分ける水音のみ。

 

 空にはまだ流星の残滓がうっすらと漂っていた。

 

 「……」

 

 

 

 

 鈴の音は、未だ収まる鞘を見つけず。

 

 

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 **

 

 

 ?州東郡・東阿邑 

 

 

 

 「ふむぅ……これはどういうことなんでしょうかー……」

 

 

 むむむ、と悩み声を漏らす後ろ姿はまだ年若く、精々十歳、と言ったところか。

 ぽりぽりと頭を掻けば、ふわふわの長髪がこれまたふわふわと揺れた。

 白魚の肌に、大きな翡翠色の瞳。西洋人形の様な容姿は、将来確実に美人になる事を物語っている。

 

 

 「風、……その、起きていますか?」

 「はいですよー、どうしましたか、母様」

 

 

 扉を静かに開き、部屋に入ってきたのは妙齢の美女。

 風、と呼ばれた少女をそのまま大きくしたような容姿は、二人が確実に親子であるということを物語っていた。

 

 

 「えっと……その、まだ明かりが灯っているのが見えてね。勉強中だったのかしら」

 「はいですー。今は母様から借りた孟子を読んでましたー」

 「そう……その、明日なんだけど……」

 

 

 唇を噛みしめ、俯く“母様”。

 握られた拳は、細かく震えていた。  

 

 

 「……もういいのです。風は農家の四女、口減らしをするには、歳も、順番も丁度一番良いのが風なのですよ」

 「ごめんね……ごめんね!!」

 

 

 “風”と呼ばれた少女は、何処か達観した表情を浮かべていた。

 が、その仮面はあっさりと突破される。

 どうあがこうと、二人は親子。そんな小芝居は有って無い様なものだ。

 

 

 「……泣かないで欲しいのですよ。泣かれると……風も……悲しくなっちゃうじゃないですか」

 「ごめんね……! こんなに頼りないお母さんで……!」

 「っ、母様は頼りない訳がないのですよ。……女ばかり四人も育て上げた人が、頼りない訳無いじゃないですか」

 「……でも、貴女を。風を……」

 

 

 そっと、ふわふわな“風”の髪を撫でる。

 それはとても優しく、少女の最後の防壁をあっさりと破壊した。

 

 

 「……っ、母様ぁ…えぐっ…っ、風は、風は奴隷になんかなりたくないのです……ひぅっ……ぐすっ」

 「ごめんね……ごめんね……」

 

 

 少女と母の最後の邂逅が終わる頃。 

 

 

 「……あ、母様。流れ星です」

 「……あら、本当ね。寄り添う二つの流れ星……」

 

 流星が二つ、西の空を駈け下りた。

 寄り添い、地平線で消えるそれは、まるで自分達みたい、だ。

 そんな風に、少女は思った。

 

 

 

 

 少女は、未だ日輪を見つけず。

 

  

 

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 **

 

 

 

 司隷 安邑郊外。

 

 

 

 一面の銀世界は、夜の闇に身を潜め、その中を行く四十程の馬群。

 装備は統一感がなく、派手な色の着物や装飾品が目を引く一行。

 

 司隷安邑周辺を拠点とする馬賊・義賊の集団である。

 

 

 「おっ、斗詩! 丁度いいとこに!」

 「どうしたの文ちゃん?」

 

 

 その装飾華美な中でも、ひときわ存在感を放つ人物が二人。

 もっとも、その二人以外は全員“男性”という点が、彼女らの存在感の理由なのかもしれないが。

 

 先に声を上げた少女は、水色の髪と活発そうな釣り目を輝かせていた。

 ボーイッシュな無邪気な表情は、美少女と呼ぶのに相応しく、見る者を魅了する。

 どんな場所でもどんな状況でもそれは変わらず、天性のムードメーカー、もといお祭り女、といったところか。

 

 追随した少女は、黒のおかっぱ髪と少々困った様な疲れた様な表情が非常に良く似合っていた。

 しかし振り回されることが嫌、という訳ではなく、何処か楽しそうな雰囲気も同時に醸し出していた。 

 こちらも美少女と呼ぶのにふさわしく、先程の少女とは対照的で、見る者に庇護欲と悪戯心を掻きたてる。

 

 

 「斗詩、あれ見ろよアレ!」

 「アレって……っ!! 凄い……」

 「だろっ! すげーよなっ!! でっけーし、キラキラって!!」

 「うん……凄い、凄いね文ちゃん!!」

 

 

 文ちゃん、と呼ばれた少女は北西の空に大きく流れる流れ星を指差し言う。

 大きく尾を残し落ちるその姿に、斗詩と呼ばれた少女は指先を目で追い、感嘆の声を上げた。

 寄り添うように流れ落ちる様は、まるで自分と文ちゃんの様な、己の半身と言える様な、不思議な感覚を“斗詩”と呼ばれた少女に与えた。

 

 

 「よし斗詩、アレの落ちた方へ行ってみようぜ!!」

 

 

 目をきらきらと輝かせ、如何にも興味心身といった感じで手をぶんぶん振る。

 すっかりあの不思議な流星に魅せられた様子だ。しかし振られた方はと言えば、あまり乗り気でないようだ。

 若干眉をしかめ、咎めようと声を出そうとした時には…… 

 

 

 「はっはー! あたい一番乗りぃ! 斗詩ぃ! もたもたしてっとおいてっちゃうぞ!」

 「え、って待ってよ文ちゃん! 文亨お義父様も笑ってないで止めてくださいよ!!」  

 

 

 振り返り、指差し訴えた相手は筋骨隆々の大男。

 しかし厳つい見た目とは裏腹に、表情は穏やかで優しさを感じさせるモノだった。

 

 

 「はっはっは、まあ良いじゃないか。この辺りには危険も少ないし、斗詩の腕前なら余程の武人でも出ない限りは問題ないさ」

 「もーっ、皆適当なんだからっ!!」 

 

 

 「おーい!! 斗詩ぃーっ! さっさと来ないと置いてくぞぉー!!」

 

 「あっ、待ってよ文ちゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 少女達は知らない。

 

 この先に、全てを変える出会いがある事を。

 

 

 

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 **

 

あとがき

 

はい、こんばんわ。

甘露です。

 

アンケート沢山の投票ありがとうございました。

 

けっかはぴょー

 

一位:程c 18票

二位:周泰 11票

三位:馬超・趙雲 7票

 

 

一言だけ。

このロリコン共め!

 

 

正直風ちゃんの参入って一番難しいんです。

軍師だし。ようじょだし。

 

趙雲さんなら武者修行の途中で云々、霞の強さに云々。

馬超さんなら馬賊との交易で云々、父ちゃん(or母ちゃん)馬騰さんお無茶振りで云々。

周泰さんならもう甘寧さんとの抱き合わせ販売で云々。

 

さてどうする程cさん。

 

・・・で、こうなりました。

 

2000年前の中国なら口減らしで売るのも日常茶飯事・・・じゃないかなぁ、と勝手な思い込みによってです。

資料も根拠も全くありません。サーセン。

 

あ、石投げないで!

 

では

 

 

説明
今北産業
・流星
・はうぁ
・おおっ

・今回はほぼプロローグオンリーです。
・アンケは……まあある意味予想通りに。
・敢て言うなら、ぅゎょぅι゛ょっょぃ
・このロリコン共め!

総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
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コメント
本があるのに口減らしですか? 風との絡みを激しく期待!(狼来)
紳士淑女の世界にようこそwww Yesロリータ!Noタッチ!(朱槍)
ロリk・・・紳士多いなぁwかく言う私も紳士でねww Yesロリータ!Noタッチ!(ああ)
TINAMIは紳士淑女の集いの場となりました。Yesロリータ!Noタッチ!(駆逐艦)
あれ、ここ一郎太さんの作品感想欄だったっけ・・・Yesロリータ!Noタッチ! 売られた風を強奪だぜヒャッハー!(通り(ry の七篠権兵衛)
私は紳士です  Yesロリータ!Noタッチ!(駆逐艦)
紳士淑女は多いですからね     Yesロリータ!Noタッチ!(danjain)
甘露殿・・・今は紳士淑女の時代なのですねwww Yesロリータ!Noタッチ!(azu)
貧・並・巨キタ━(゚∀゚)━!次回以降がどんな邂逅になるか楽しみです! Yesロリータ!Noタッチ!(シグシグ)
いよっしゃぁぁ! 明命きたぁ!!! Yesロリータ!Noタッチ!(summon)
Yesロリータ!Noタッチ!(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊)
一刀よ、早く風を助けるんだ!!Yesロリータ!Noタッチ!(量産型第一次強化式骸骨)
売られちゃったな、風。(歴々)
劉邦柾棟さん、その紳士はルビがロリコンでしょうが。Yesロリータ!Noタッチ!(アルヤ)
売られた風はどのようにして一刀に出会うのでしょう?とても気になる。(mokiti1976-2010)
星が7票って。幼女好きの勢力をなめてた。(陸奥守)
失礼な「ロリコン」ではありません!? 紳士です!!  Yesロリータ!? Noタッチ!?ですよ。 Σ(゚д゚lll)(劉邦柾棟)
ロリコンでさーせんwww でも風が来たから特に問題なし!!(ナニwww(狭乃 狼)
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真・恋姫無双 程c 周泰 甘寧 顔良 文醜 

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