そらのおとしもの 誕生日クリスマスパーティー |
そらのおとしもの 誕生日クリスマスパーティー
ある日のこと。
智樹達は学校帰りに商店街を歩いていた。
そんな時であった。
「はい、はーい! クリスマス記念だよ!」
商店街のお店の人達がクリスマスセールで色んなものを売り出していた。
「もうすぐクリスマスか…」
「私達の誕生日ですね」
イカロスの言うとおりである。
イカロスとニンフがやって来てしばらくのことであった。
誕生日のわからないイカロスとニンフに誕生日を決めてあげようとして、智樹達は考えた結果、聖なる日のクリスマスにしたのである。
「え? イカロス先輩とニンフ先輩って誕生日あったんですか?」
当然、それを後からやって来たアストレアは知らない。
「最初のあの時のクリスマスは色々あったけどな……」
「まあ、俺にとってもあの日は特別な日だったな」
秋山はその日を思い出して、物思いにふける。
秋山総司郎。智樹達の住む世界とは全く異なる異世界からやって来た、更なる異世界に存在する『邪悪なる闇の魂』を持った青年。
秋山はふとしたことでこの世界へとやって来た。
秋山はイカロス達の最初の誕生日の日にイカロスとニンフがハーピーの二人に襲われた時に智樹達は助けに行ったが、その時に一番怒りを露わにしていたのが秋山であった。
「手前ら、人の友達(だち)になにしてやがるんだ?」
「他人(ひと)は怒らせるもんじゃないぞ」
この時の秋山はとても怖い顔で『命をなんとも思っておらず、簡単にその命を消滅させることも出来る上に、消滅させても心に影響も受けない』そんな顔をしていた。
ちなみに秋山の「他人を怒らせるもんじゃない」と言う時の他人は大抵自分のことをさす。
その理由としては今となっては自然状態である「真モード」だが、この時まではまだ「真モード」は自然状態でなかった。
イカロスとニンフが智樹に対する思いに揺らいだ時、秋山は「真モード」を自然発動する間近であった。
だがそこでハーピー達の襲撃が起こってしまい、秋山はせっかく自然発動させようとした「真モード」を怒りにより、強制発動させてしまった。
しかしイカロスが智樹達に自分が愛玩用ではなく、戦略エンジェロイドであることを告白し、それを智樹が受け入れた時、秋山の「真モード」の強制発動が強制解除され、自然発動になった。
それ以降、秋山は自然発動した「真モード」が自然状態になったのはまた別の話。
「イカロスお姉様とニンフお姉様の誕生日……」
智樹を迎えに来ていたカオス。
「お前の誕生日パーティー、前にやったろ?
今度はイカロスとニンフのをやろうってことさ。
それも前以上の盛大にさ。いいだろ、智樹」
「なんで俺に聞く?」
秋山が智樹に聞いた。
「なんでって……」
「二人の誕生をするのはお前の家が一番いいだろ」
「そうね〜、桜井君の家は集まりやすいから〜」
「やっぱり皆来るのかよ!?」
『当然だ(よ)!』
全員が声を揃えた。
「そう言えば風音はどうするんだ?」
「私ですか…」
「日和ちゃんも行くよね?」
「いえ、私は……弟たちの面倒をみないと……」
「そうか」
「大変だな」
「ごめんなさい、誘ってくれたのに……」
「ううん、日和ちゃんは悪くないよ。用事があるのに誘った私の方が……」
「まあまあ、どっちが悪いかの責任は置いといてだ、とにかくイカロスとニンフのクリスマス誕生日パーティーをやるってことで…」
「賛成〜♪」
「なんでデルタが言うのよ」
「いいじゃないですか〜、食べ放題で……」
「はあ……」
「とにかくは楽しみにしようぜってことだ」
それから数日後。
「出かけてくるね〜」
「いってらっしゃ〜い」
カオスは一人で出かけて行った。
カオスの行先は……。
それから数日が経ち、誕生日&クリスマスパーティー当日になった。
秋山と日和以外のいつもの全員が智樹の家に集まり、飾りつけなどしていた。
「デルタ、その飾りつけとって」
「その飾りつけってどれですか?」
「それだよ、それ」
ニンフ、アストレア、智樹は飾りつけをしていた。
「うわ〜、これ懐かしいな〜」
「初めてアストレアも参加した秋祭りの時のだな」
「アストレアお姉様、変な格好」
「カオスちゃんもしてみる?」
懐かしい写真を見て懐かしむそはらと守形と美香子、そして自分がまだ参加していない時のを見るカオス。
「………」
イカロスは黙々とケーキを作っていた。
それから数十分後、ひとまず飾りつけやケーキ作りなどが終わる。
「ひとまずこんなものだな」
「でもなんか物足りなくない?」
「もう少し買い足した方がいいか?」
「! ねえ、私が買いに行っていい?」
カオスが自分から買いに行くことを名乗り出る。
「いいけど……」
「これを買って来て」
「はぁ〜い」
カオスは家を出て行った。
そして家を出て行ってすぐに人気のない場所にやって来た。
「よ」
そこには秋山が立っていた。
秋山の後ろには狭間の空間の入り口が開いていた。
「遅れてごめんなさい」
「別にお前達の行動は狭間から見てたぞ。それに何かあったら時間停止でお前だけを回収も出来たしな。それよりさっさと入るぞ」
「うん」
秋山とカオスは狭間の空間に入り、入り口は閉じられた。
それから数十分後、秋山とカオスは元の世界に戻っていった。
「ただいま〜」
「おかえりなさい、カオス」
「秋山さんも来てたんですか?」
「途中で会ってな…。それより飾りつけ、もう少し加えたいからカオスにお使いを頼んだんじゃないのか?」
「そうだった」
「さっさとしちゃいましょうよ〜。お腹すいた〜」
「飯はまだ後だ」
そして秋山も加わっての追加の飾りつけをし終えるといつの間にか夜になっていた。
「夜だな」
「それじゃあ……」
イカロスとニンフ以外の面々がクラッカーを持つ。
『イカロス(さん)(ちゃん)(先輩)(お姉様)、ニンフ(さん)(ちゃん)(先輩)(お姉様)、お誕生日おめでとう〜〜〜〜〜〜!!』
全員が一斉にクラッカーを鳴らす。
「ありがとうございます」
「ありがとう皆」
「それじゃあ早速ケーキを……」
アストレアがいきなりケーキを食べようとするが…。
「待て」
秋山がアストレアの手に握って、アストレアを止める。
「何するんですか?」
「普通こういうのはパーティーの主役から食うもんだ。
それにケーキはまだあるぞ」
『え?』
秋山の発言に皆、驚く。
「カオス」
「うん」
カオスは一時部屋を出ていき、部屋から戻ってくるとプレゼント箱を持っていた。
「カオス」
「それは?」
「イカロスお姉様、ニンフお姉様、お誕生日おめでとう♪」
カオスが箱をケーキの横に置く。
「開けていい?」
「テーブルに置いたまま、慎重に蓋を上から開けてみな」
「?」
秋山の説明に疑問を抱きながらもニンフがプレゼントの箱の蓋を開けてみる。
「これって……」
「誕生日ケーキ?」
「うん♪」
「実はな……」
秋山は語る。
カオスが数日前に出て行った時のことである。
「何? クリスマスケーキ風誕生日ケーキが欲しいだと?」
「うん♪」
本屋でゲーム雑誌を立ち読みしていた秋山にカオスが声をかけてきた。
「ふぅ……」
秋山は読んでいたゲーム雑誌を元の場所において、カオスと一緒に店を出た。
「あのお客さん、いい加減本を買ってくれないかな?」
秋山が毎回立ち読みに来てるのに、買ってくれないので困る本屋の店長。
「それでなんでケーキが欲しいんだ? ケーキならイカロスが自分で作るだろ」
秋山とカオスが歩きながら話す。
「うん、イカロスお姉様、準備してるんだよ。でも、今度のパーティーってイカロスお姉様とニンフお姉様のためのだよね?」
「まあ、メインはあの二人だからな」
「それで二人を驚かせたいかなって…」
「そうか、サプライズと言うわけか。
だったら俺の力で召喚ってわけにはいかないな」
「ダメだよ!」
カオスが大声を出す。
「分かってる、分かってる。お前は自分で作りたいんだな?」
「うん。秋山お兄ちゃん、ダメかな?」
「そこは智樹に聞くべきだろ」
「お兄ちゃんだと、どこかでばれる気がするから……」
「あいつはそういうことに関しては口は堅い方だと思うんだがな……。
まあ智樹を驚かせるのにもいいな。いいぜ、手伝っちゃる」
「うわ〜い」
「材料だけは俺の召喚で出す。買うのめんどくさいし、作る場所は……俺の普段住んでる狭間の空間がいいな。
あそこは時間軸に囚われないからな」
「どういうこと?」
「その空間は特殊でな、俺のコントロール一つで時間の流れを変えることが出来る。
つまりその空間で10年だろうが100年経っても、こっちの世界じゃまだ1分も経ってないとかに出来るってことだ」
「う〜ん」
「まあアストレアじゃないから分かってるだろ」
「うん」
「それじゃあ早速……」
「ねえケーキ作るの、パーティーの日じゃだめ?」
「ダメじゃないぜ」
「それじゃあ…」
「パーティー当日に外に出てこい。俺が適当にお前を拾ってやる」
そしてその日、カオスと秋山は別れた。
「ということだ」
「そうだったんですか、……カオス」
「うん?」
「ありがとう」
イカロスはにこやかにカオスにお礼の言葉を言った。
「あ、イカロスさん笑った」
「イカロス、もう一度笑ってみろ」
「………………にやり」
イカロスの頭を智樹がハリセンで叩いた。
「だからそう言う笑いじゃなーーーーーーーい!!」
「はははははは」
「それじゃあ次は会長が隠し芸でも披露しましょうかしら」
「隠し芸?」
美香子はどこからか人一人は入れるよくマジックで使われる縦長の箱を用意した。
「さっそく人体切断のマジックするから、桜井君いらっしゃい♪」
美香子はチェーンソーを持つ。
「いやいやいやいや! 明らかにマジックする気ないだろ! 絶対俺の体をぶった切る気だよ!」
美香子が手品が出来るなんて聞いたことがないし、いつもの流れからして普通に切断マジックは失敗、やられた人は体は真っ二つ。
「そう言う相手は俺にしろよ! じゃねえと死ぬから!」
「秋山さんは死なない上に再生するから面白くないのよね〜」
「やっぱりぶった切り前提かよ!」
「とにかくそれはさせん! と言うかクリスマスだからやるべきじゃないだろ! 誕生日にまた血なまぐさいことするなよ! 俺怒っても知らんぞ!」
「まあ落ち着け、秋山」
怒りかける秋山をなだめる守形。
「俺からのプレゼントは………すまん、ない」
「だあああ!?」
秋山がずっこける。
「アストレアはともかく……」
とうのアストレアはいつの間にかケーキを食べていた。
「……………」
「………」
「だからケーキは主役が先だ!」
秋山がアストレアの頭を叩く。
アストレアは思いっきりケーキに頭を突っ込んだ。
「そはらは何かあるのか?」
「私はこれ」
そはらが小さなプレゼント箱をイカロスとニンフに渡す。
「開けていい?」
「うん」
二人が開けるとその箱にはブレスレットが入っていた。
「そはらさん、これって…」
「結構悩んだんだよ。イカロスさんとニンフさん、こういうのもらって喜んでくれるのかなって…」
「嬉しいです」
「早速つけていい?」
「いいよ」
ニンフが早速ブレスレットを付ける。
「ありがとね、そはら」
「それじゃあ最後に俺からのプレゼントになるか」
秋山は手を袖に突っ込んで何かを出す動作をする。
「何にしようか……、こいつにするか」
秋山が袖から手をだし、その手にはある物が握られていた。
「それって……」
「前に大雨の時に出したことのある『ホープボール』だ。せっかくの誕生日だ、大判ふるまいしないとな」
秋山がイカロスとニンフに手渡す。
「ありがとうございます」
「これ、なんでも叶うんだよね?」
「よほどおかしなこととか、この世界にとって滅茶苦茶なことは無理だけどな」
「……そういえば、智ちゃんは何かあるの?」
「え?」
「俺が最後と言うのは少し早すぎたようだな」
秋山は下がる。
「智樹、何か出してやれ」
「俺は…………」
智樹はかなりの間を置く。
そして出した答えは……。
「これで許してくれ!」
智樹が出したものはうまい棒であった。
「ちょっと手持ちがそんなになくて……」
「マスター……」
「トモキ………」
二人は涙を流す。
そして二人は同じ言葉を口にした。
「「ありがとう(ございます)」」
「え?」
「礼を言ったんだぞ」
「でもなんで…」
「あの二人にとっては何でもいいんだよ。心がこもっていればな……」
そんな時であった。
「こんばんは〜」
玄関から声が聞こえてきた。
その声の主は日和であった。
「風音」
「日和ちゃん、来れなかったんじゃ…」
「それが弟達に『せっかくだから行って来いよ』と言われまして……」
「まあいいさ。イカロスのとカオスの作ったケーキの量を考えるとちょうどいい」
こうして日和も加わったクリスマス誕生日パーティーは盛り上がりをみせるのであった。
終わり
説明 | ||
今回はある人の影響で書いた作品です。 またこの小説には作者の分身とも言えるオリジナルキャラクター(秋山総司郎)も出てきます。 |
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コメント | ||
私とネット仲間の某さんはうまい棒で買収できることを知っての智樹の計画的犯行なのですね(枡久野恭(ますくのきょー)) カオスも誕生日を祝ってもらえる日が来るといいなぁ。それとトモ坊、いくらなんでもうまい棒はないよ、ロマンチック零だよ…w(tk) |
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