寂しがり屋の女の子の為に…… 廿弐話
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その日の会議の終わる直前、袁紹が劉備の国、徐州の国境を越えたと言う情報が入って来た。

 

「……そう。麗羽が」

 

そう呟く華琳の顔には驚愕の表情は無い。

ある程度は予想していたのだろう。

 

「袁術相手で手一杯の劉備を見て好機だと思ったのでしょうか?」

 

「袁術に徐州を一人占めされるのが急に惜しくなったんでしょう」

 

そんなに袁紹は子供な訳……あるか。

 

「風、お茶をもう一杯くれるかしら?」

 

「はいー」

 

「それでこれからどうするんだ?」

 

先程まで軍議で決めていたのは近いうちに攻め込んでくるであろう袁紹への対応。

もちろん、こちらに攻め込んでくることを前提にした決定だから会議の内容は白紙に戻さなければならないだろう。

 

「皆の意見を聞きたいわ。これから我等はどうするべきかしら?」

 

華琳がそう尋ねるとまず稟がこう答えた。

 

「徐州の遠征軍には袁紹、顔良、文醜、と言う敵の主力が揃っています。

この機に南皮へ攻め込み袁紹を徹底的に叩くべきではないでしょうか」

 

すると桂花がこう言った。

 

「袁紹は確かに大軍ですが先見の明の無い小物ですから放っておいても良いでしょう。

ですが、劉備はいずれ華琳様の前に立ちふさがるであろう相手です。

これを期にまずは徐州に攻め込み劉備を討つべきかと」

 

おお、見事に意見が分かれたなぁ……

俺の場合はどうするかな……やっぱり……

 

「美蓮、あなたはどう思うの?」

 

「放置ですね」

 

「「賛成だな(ですね〜)」」

 

「どう言うことかしら?」

 

「世間の風評を考えれば分かるさ」

 

「劉備さんを攻めれば弱い者いじめをしたと思われるのです」

 

「袁紹さんの所に行けば火事場泥棒をしたと思われるでしょうね〜」

 

そう、もし、どちらかを討てば華琳の風評は一気に下がる。

だから、今介入するのは得策じゃない。

だから、華琳が取るべきなのは放置だ。

そう言えば話は変わるが劉備はどうするんだろう?

北を袁紹、南を袁術、そして西を華琳に囲まれては逃げ場はもう無い。

ここからの逆転となると海にでも逃げるしか無いんじゃないか……?

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「……ふっ!」

 

「だらぁぁぁぁっ!」

 

ドガァァァァッン!

 

「ふぅ……今日はここまでで良いな?」

 

「………ん」

 

不殺をしまいながら先程まで鍛練をしていた恋にそう言った。

時間はもう既に夜。

最初は一撃を入れた方が勝ちと言う風に決めたのだがこれが中々入らずこんな時間にまでなってしまった。

これ以上はお互い注意が散漫になるから危険だ。

因みに恋直属の軍師である音々は俺達の仕合を見ていた。

……眠そうな顔をしているが。

 

「さて、今日はもう寝るか。

恋、明日な〜」

 

「……ん、明日」

 

恋はそう言って音々に近づく。

そして少し喋り部屋に戻ろうとする。

すると

 

「師匠!おお、恋と音々も居たか」

 

春蘭がそう言いながら走って来た。

 

「緊急招集です。一応恋と音々も来るようにと」

 

二人は軍議に参加しなくても良い特権を持っているが華琳が参加しろと言ったら参加しなくてはいけないらしい。

 

「緊急招集って何かあったのか?」

 

「詳しくは玉座の間で華琳様からお話がありますので……」

 

「ああ、分かった。お前等、行くぞ」

 

俺の号令で全員玉座の間に向かって歩き始めた。

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玉座の間

 

「一体何なんだ?緊急招集って……」

 

四名(恋、音々、沙和、凪)はもう寝てるし……

 

「ほら、お前達、起きろ〜!」

 

「「「はっ!(おおっ!)(……眠い)」」」

 

いや、恋さん、眠いと言われましてもね……

しょうがないんですよ……

そんなやり取りをしながら定位置に揃うとようやく華琳達が入って来た。

華琳達はピリピリした様子は無いが……華琳は平気な顔して無茶を言うから参考にはならない。

 

「全員揃ったようね。急に集まってもらったのは他でも無いわ。秋蘭」

 

「先程早馬で、徐州から国境を越える許可を受けに来た輩が居る」

 

「……何やて?」

 

「入りなさい」

 

「……は」

 

この時期に徐州からって……まさか!

 

「な……」

 

「何やて……!」

 

「マジかよ……」

 

来たのは史実においてその人並み外れた武勇や義理を重んじる人物と敵の曹操や多くの同時代人から称賛され一生の中で必ずと言っても良いほど高確率で名前を聞く人物。

史実では「美髯公」と呼ばれているがこの世界ではその美しい髪から「美髪公」と呼ばれている。

 

「関羽……!?」

 

「見覚えのある者も居るようだけど、一応、名乗ってもらいましょうか」

 

「我が名は関雲長。徐州を治める劉玄徳が一の家臣にして、その大業を支える者」

 

「何で関羽がこんな所に……」

 

「さっき秋蘭が言ってただらう。『徐州から国境を越える許可を受けに来た輩が居る』ってな。

大方、袁紹と袁術から逃げる為に俺達の領土を抜けて益州に向かうってことだろ」

 

「しかし、我等は劉備達と同盟を組んでいない。

そんなこと許可する確立は限りなく無いに等しい筈だ。

何故このような決死の使いを買って出た?」

 

「我が主、桃香様の願いを叶えられるのが、私だけだったからだ。

それに我々が生き残る可能性としては、これが最も高い選択でもあった」

 

我が主の為に危険を自ら冒すか……

俺が知ってる関羽とあまり変わらないな。

 

「これからその返答をしようと劉備の元へ向かおうと思うのだけれど……

誰か付いてくる子は居るかしら?」

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「何だかんだで全員か……人気者だな、華琳」

 

しかも夜を徹しての行軍だと言うのに、準備は早いわ、誰も文句は言わないわ……

少人数とは言えいつもより手際が良かったような気がする。

 

「おだてても何も出ないわよ」

 

そう言う割に華琳まんざらでもなさそうだけどな。

 

「華琳様、先鋒から連絡が来ました。前方に劉の牙紋旗。劉備の本陣の様です」

 

本当に国境ギリギリの所に張ったな。

これ以上奥に張ったら面倒な事になってただろうな。

 

「関羽、これからあなたの主の元に案内して頂戴。

何人か一緒に付いて来てくれる?」

 

「華琳様!この状況で劉備の本陣に行くのは危険です!

罠があるかもしれません!」

 

「桂花の言う通りです!せめて劉備をこちらに呼び出すなどさせては!」

 

全く……二人過保護っぷりは……

 

「二人共、華琳は覇王になるんだぞ?

その華琳が臆病な振る舞いをしても良いと思うか?

大丈夫、もしもの時は俺が何とかするさ」

 

「「分かりました……」」

 

「後は……美蓮、付いて来てくれないか?」

 

「はいです」

 

「あとは霞と季衣も付いて来てくれ。

それ位で大丈夫か?」

 

「あと、稟も付いてきなさい。

何か異変があったら夜月と桂花の指示に従いなさい」

 

まぁ、その時は劉備達が終わる時だろうけどな。

 

「華琳様、劉郷さん、お気を付けて……」

 

「華琳様、師匠、お気を付けください」

 

桂花と春蘭の二人の言葉に俺達は微笑みこう返した。

 

「「行ってくる(わ)」」

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劉備本陣

 

「曹操さん!」

 

俺達が本陣に入った瞬間濃いピンクの髪に綺麗な垂れた目の少女が走りながら声をかけて来た。

劉備だ。

ああ……走ってるから大きな胸が揺れ……申し訳ありませんでした、華琳様。そんなに睨まないでください。

 

「やれやれ……劉備、久しいわね。連合軍以来かしら?」

 

「はい、あの時はお世話になりました」

 

俺が気絶した時華琳が教えてくれたのだが何でも作戦で連合の部隊を六つに分ける必要があったらしいのだがその時に袁紹が出ないと言って劉備が二回出ることになったらしい。

だが、その時劉備には二回出る余裕等無かったが華琳が兵士を貸したらしい。

 

「それで今度は私の領地を抜けたいなどと……随分と無茶を言って来たものね」

 

「すみません。でも、皆が無事にこの場を生き延びる為にはこれしか思いつかなかったので……」

 

「まぁ、それを堂々と実行するあなたの胆力は大したものだわ。

良いでしょう。私の領を通ることを許可しましょう」

 

即決だと?絶対に何か裏があるな……

 

「本当ですか!」

 

「華琳様、劉備にはまだ何も話を聞いていませんですが……」

 

「聞かずとも良い。こうして劉備を前にすれば何を考えているのか分かるのだから」

 

俺には全く分からない……

流石曹孟徳ってところか……

 

「曹操さん……」

 

「ただし、街道はこちらで指定させてもらう。

米の一粒でも強奪したなら、生きて私の領を出られないと知りなさい」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

「通行料はそうね……関羽で良いわ」

 

「……え?」

 

あぁ……そう来たか……

史実で曹操は関羽を欲しがったらしいけどこっちの世界でも欲しがってるんだな……

 

「何を不思議そうにしているの?行商でも関所で通行料くらい払うわよ?当たり前でしょう」

 

「え、でも、それって……!」

 

「あなたの全軍が無事に生き残れるのよ?

勿論、追撃に来るであろう袁紹と袁術もこちらで何とかしてあげましょう。

その代価をたった将一人の身柄であながえるのだから……安いものだと思わない?」

 

確かに安い買い物だ。

たった一人を支払うだけで劉備達全員助かるんだから。

でも……

 

「曹操さん、ありがとうございます」

 

「桃香様!?」

 

「お姉ちゃんっ!」

 

「……でも、ごめんなさい」

 

「あら」

 

やっぱり断ったか……

 

「愛紗ちゃんは私の大切な妹です。

鈴々ちゃんも、朱里ちゃんも……他の皆も、誰一人欠けさせない為の、今回の作戦なんです。

だから、愛紗ちゃんが居なくなるんじゃ、意味が無いんです。

こんな所まで来てもらったのに……本当にごめんなさい」

 

流石大徳劉玄徳と言ったところか……

 

「そう……流石徳をもって政治を為すと言う劉備だわ。残念ね」

 

「桃香様、私なら……」

 

「言ったでしょ?愛紗ちゃんが居なくなるんじゃ意味は無いって。

朱里ちゃん、他の経路をもう一度調べてみて。

袁紹さんか袁術さんの国境辺りで、抜けられそうな道は無い?」

 

「……はい、もう一度候補を調べてみます!」

 

諸葛亮が頷いたのを見て俺は隣に居た美蓮に尋ねてみる。

 

「美蓮、そんな都合の良い経路なんて存在するのか?」

 

すると美蓮は首を横に振りながら答えた。

 

「幾つか候補はあるでしょうが完全に無傷で振り切るのは無理なのです」

 

「そうか……」

 

俺と美蓮がそんなやり取りをしていると華琳が劉備に近づく。

 

「劉備」

 

「……はい?」

 

劉備が首を傾げると華琳は少し息を吸って

 

「甘えるのもいい加減になさい!」

 

こう怒鳴った。

 

「……っ!」

 

「たった一人の将の為に全軍を犠牲にするですって?

寝惚けた物言いも大概にすることね!」

 

「で……でも、愛紗ちゃんはそれだけ大切な人なんです!」

 

「なら、その為に他の将……諸葛亮や張飛、そして生き残った兵が死んでも良いというの!?」

 

劉備が言っているのはそう言うことだ。

たかが一人の将の為だけに他の将を殺すと。

王たる者は残酷な心を持っていなければならない。

もし、一人を救う為に百人を犠牲にしなければならない時が来たら王は百人の為に一人を見捨てなければならない。

劉備にはそれが出来ないのだろう。

もし、そうであるとしたら劉備は人としては兎も角王としては失格だ。

 

「だから今、朱里ちゃんに何とかなりそうな経路の策定を……!」

 

「それがないから私の領を通ると言う暴挙を思いついたのでしょう?

違うかしら?」

 

「……そ、それは……」

 

「諸葛亮」

 

「は、はひっ!」

 

「そんな都合の良い道はあるの?」

 

「そ、それは……」

 

「稟。この規模の軍が、袁紹や袁術の追跡を振り切りつつ、安全に荊州から益州に抜けられる経路に心辺りはある?大陸中を渡り歩いたあなたなら、分かるわよね?」

 

「はい、幾つか候補はありますが……完全に振り切れる経路はありませんし、危険な箇所が幾つもあります。

我が国の精兵を基準にしても、戦闘、もしくは強行軍で半数は脱落するのではないかと……」

 

「……っ。朱里ちゃん……」

 

劉備は否定して欲しいと言う気持ちで諸葛亮を見るが

 

「………」

 

諸葛亮は俯いて沈黙するだけだった。

それは稟の言葉を肯定する行動だった。

 

「そんな……」

 

落胆する劉備に華琳は静かにこう言った。

 

「現実を受け止めなさい、劉備。あなたが本当に兵の為を思うなら、関羽を通行料に、私の領を通るのが一番なのよ」

 

「桃香様……」

 

「曹操さんだったら……」

 

多分劉備は『だったら私が関羽の代わりになる』と言いたかったんだろう。

だが華琳はそれを遮った。

 

「それから、あなたが関羽の代わりになる、等と言う寝惚けた提案する気ならこの場であなたを叩き斬るわよ。

国が王を失ってどうするつもりなの?」

 

「……!」

 

「……どうしても関羽を譲る気は無いの?」

 

「………」

 

「まるでだだっ子ね。今度は沈黙?」

 

「………」

 

流石に言い過ぎだがこれは王同士の会話。

俺が口出しをして良い物じゃない。

そんなことを思っていると華琳が呆れた表情をして劉備にこう言った。

 

「良いわ。あなたと話していても埒があかない。

勝手に通りなさい」

 

「え?」

 

「聞こえなかったの?私の領を通っても良いと言ったのよ。

益州でも荊州でも勝手に行きなさい」

 

おいおい……良いのかよ……

 

「そ、曹操さん!ありがとうございます!」

 

「ただし」

 

「通行料ですか?」

 

「当たり前でしょう。先に言っておくわ。あなたが南方を統一した時私はあなたの国を潰しに行くわ。

通行料の利子込みでね」

 

ああ、成程。

そう言うことね……

 

「………」

 

「そうされたくないのなら私の隙を狙って私を殺しにきなさい。

そうすれば借金は帳消しにしてあげる」

 

「……そんなことは」

 

「ない?なら、私が滅ぼしに行ってあげるから良い国を作って待っていなさい。

あなたはとても愛らしいから……私の側仕えとして存分に可愛がってあげる」

 

おいおい……

 

「く……曹操殿!これ以上桃香様を侮辱するといくら貴女とはいえ……!」

 

今のは関羽が怒っても仕方ないと思うぞ……

 

「稟、霞、劉備達を向うまで案内しなさい。

街道の選択は任せる。劉備達は一兵たりとも失いたく無い様だから。

出来るだけ安全な道にしてあげて頂戴ね?」

 

「はっ!」

 

「それでウチも連れて来たって訳か。了解や」

 

「それでは戻るわよ。劉備あなたのした選択が間違っていなければ良いわね」

 

「間違ってなんかいません!それを絶対に証明してみせます!」

 

「良い返事だわ……戻るぞ」

 

華琳の命令で俺達は戻ることになった。

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「随分な悪役ぶりだったな」

 

城に戻ってる最中、隣で歩いている華琳に話しかける。

 

「あら、そうだったかしら?」

 

「ああ、俺は華琳の夫だからな。

妻のことは良く分かってるよ。

劉備がどこまで行けるか見てみたいんだろう?

それに南方の南蛮をどうにかしてくれるから併合の時に手間が省ける」

 

「ふふっ、正解よ。良く勉強してるわね」

 

これで間違いだったらどうしようかと思ったぜ……

 

「「華琳様!お帰りなさいませ!」」

 

おお〜いつもは仲が悪いのに息ぴったりだな〜

 

「交渉はどうなりましたか〜?」

 

「劉備達はこのまま国境を抜け益州へ向かうことになったわ。

道案内は霞と稟が、袁紹の追撃は私達が引き受けることになったわ」

 

「はい、では、霞ちゃんと稟ちゃんに護衛の兵を出しておきますね〜」

 

「迎撃は秋蘭、凪、沙和、真桜、を既に配置済みです。

皆は彼女達に合流して、指示に従って頂戴」

 

「袁紹さんは短気ですから劉備さん達の撤収の報を受けた瞬間に動くのです!」

 

「流石桂花と美蓮ね。そう言うことよ。皆、すぐに移動するように」

 

華琳の号令で全員移動を始めた。

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桂花の指示で俺が合流したのは凪の率いる隊だった。

 

「凪、本当にこの少人数で大丈夫だと思うか?」

 

凪の率いる隊は、華琳の護衛軍を小分けにした隊の一つだ。

夜中に急な出撃だったこともあって護衛軍自体が少ない上にそれを小分けにしたとなると……

その数は推して知るべしって奴だ。

 

「桂花様と美蓮様が大丈夫だと言っていましたが……」

 

「そうか、なら安心だ」

 

袁紹の軍は数万のだと聞いている。

この人数でそれを止めようと思うからには何か策がある筈だ。

 

「楽進様!敵の先鋒を確認しました!」

 

「良し。総員戦闘準備!」

 

凪の声と同時に部隊の全員が弓矢を構える。

月明かりの中。小高い丘に陣取った俺達からは袁将軍は丸見えだった。

 

「撃てっ!」

 

相手に気取られない様に号令こそ小さかったものの振り下ろした腕に合わせて数百の矢と凪の気弾が天に放たれ

一斉に敵陣へと襲い掛る。

 

「翁に弓矢習っといて良かった……」

 

もし、習って無かったらとんだ醜態を晒すとこだったぜ……

 

「隊長!敵が退いて行きます!」

 

「すげえ……マジで退いた」

 

先端をちょっと叩いただけで、袁紹軍はゆっくりと撤退していった。

 

「すごいですね、桂花様と美蓮様の予測は……」

 

「全くだな、それじゃぁ、俺達は本隊に合流しよう」

 

「はい」

 

桂花の予測が当たるとなると次に文醜達が行くのは沙和達の所だな……

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本陣

 

「夏候淵様から伝令です!袁紹の追撃軍が撤退したとのこと!

夏候淵様は次の地点に移動するそうです!」

 

俺が本陣に戻ると伝令兵が華琳にそう伝えていた。

 

「へえ〜流石桂花と美蓮だな〜すごい予測だ」

 

「は、はい、ありがとうございます!」

 

「ありがとうなのです〜」

 

「一刀、凪、お疲れ様」

 

「ああ、しかし、桂花、良く相手の思考を読めたな」

 

俺はそう言って桂花の頭を撫でる。

すると、美蓮が嫉妬の表情を浮かべて来た。

何となく美蓮の頭を撫でてみると美蓮は猫の様に目を細めて気持ち良さそうな顔になった。

 

「………」

 

今度は華琳が不機嫌そうな顔になった。

だから、華琳の頭を撫でてみる。

すると、華琳は上機嫌になった。

 

「う〜ん……お兄さ〜ん……」

 

風は俺の服の袖を掴んで上目遣いで俺を見ている。

頭を撫でると美蓮と同じ反応をとった。

翁に知れたらどうなるんだろうな……

ボコボコにされそうだ……

 

「っと、そんなこと思ってる場合じゃないな。

伝令!本隊の春蘭と恋に指示を送れ!

敵を見つけたら思い切り一撃を加えて敵を混乱させろ!」

 

「はっ!」

 

「これで良いんだよな?音々」

 

「な、何で音々なのですか?」

 

「華琳と他の軍師組がこうだから……」

 

華琳と他の軍師組は恍惚とした表情を浮かべ完全に気が抜けている。

 

「はぁ……安心するのです。指示は合ってるのです」

 

呆れられた……完全に呆れられたよ……

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少し経って俺達は敵に一撃を与えた春蘭達と合流した。

 

「春蘭、恋、ご苦労さま」

 

「し、師匠!」

 

「……劉郷」

 

「他の皆にも撤収の指示を出してあるわ。

袁紹もこの一撃で懲りたでしょうから、今日はもう攻めて来ないでしょう」

 

華琳と音々以外の軍師組は来る途中に復活した。

 

「はっ!ならばこちらも撤退させます!」

 

「総員、撤収や!さっさとずらかるで!」

 

「はっ!」

 

「さて……次は袁紹と袁術の二面作戦かしら。

劉備ではないけれど、これに勝ち残らなければ後は無い……か」

 

華琳はそう言って黒い空を見上げた。

説明
廿弐話目投稿します。



p.s アンチの要素は無いというご指摘があったのでアンチの警告を消しました。
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コメント
根黒宅様コメントありがとうございます。そうですか?なら、アンチの警告は消しておきます。(DOWANNGO)
いや、まったくアンチのうちに入らないぞ、これ(根黒宅)
確かにアンチではないですよね。このシーンの桃香のだだを正当化する事はどんなに桃香好きでも無理だと思います。俺は桃香アンチが嫌いですが、何故かと言うと桃香を劣化させる事が良くあるからで原作遵守されてればアンチも悪くない。(陸奥守)
アンチか?別に恋姫の有名なワンシーンじゃね?面白いからいいがww(IFZ)
骸骨様コメントありがとうございます。そうですね、私自身劉備が好きなのでそんなに批判が出来ないんです。それと誤字の修正ありがとうございます。すぐに修正します。(DOWANNGO)
ここでの劉備の批判は原作通りだったな。6p「通行量の利子込みでね」→「通行料の利子込みでね」、「間違っていなけれな良いわね」→「間違っていなければ良いわね」では?(量産型第一次強化式骸骨)
通行料貰うまで折れない魏王って見ないな〜(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ)
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