全ての終焉 4 |
第4話『ネギの暗躍と変異』
〜ネギの部屋〜
エヴァンジェリンさん……マスターの家から転移した。
木乃香さんが朝食を調理している。
目玉焼きにシャケ、味噌汁が準備されていた。
そういえば、ちゃんとした食事は何年ぶりかな。
なんたって、誰もいなかったし、魔法世界は消滅していた。
どれぐらいの核を発射したのかわからないほどぶつけたらしい。
勝利したのは誰だろうか? 僕は傍観していたから興味すらないし、
アスナ達が寿命でこの世を去ってから始まった戦争だから助ける気もなかった。
「ネギくん、明日菜〜、出来たで〜」
木乃香さんの声に反応して明日菜さんがベットから降りてくる。
明日菜さんのベットは木乃香さんと2段ベットになってる。
上が明日菜さん、下が木乃香さんって感じかな?
「おはようございます。明日菜さん」
「おはよって今朝、会ったじゃない」
「改めてです」
「でも、何処に行ってたの?」
「内緒です」
明日菜さんは僕の居場所を聞いてきた。
さりげなく伏せた。
木乃香さんがテーブルの上に料理を持ってくる。
僕は青いソファーに座り、料理の匂いを嗅いでいた。
「ネギくん、おじいちゃんの所、寄るんやろ?」
「はい。お風呂の事と後、例の件について」
「例の件?」
「向こうで話す内容ですから、それは伏せます」
マスターの事を言って置かないといけない。
僕が狙われるのは別に構わない。
どうせ、マスター級レベル以上じゃないと大したダメージにもならない。
「ウチも行くから」
「木乃香、やっぱり提案するの?」
「だって、ネギ君のパートナーやん」
この会話、うん。絶対に何かあるぞ?
まさか、魔法の事?
そう推測した僕は木乃香さんに聞いてみる。
「何を提案するんですか?」
「魔法知ってる事をおじいちゃんに言うんよ?」
木乃香さんが嬉しそうにそう言った。
ええ? いきなりですか……
仕方がない。僕が教えた方が早そうだ。
「木乃香さん、僕が教えましょうか?」
「いいん?」
「構いませんよ」
知ったら知ったで、後が面倒なんだ。
明日菜さんは味噌汁を飲んで会話を聞いていた。
話に入ってこないんだ……明日菜さん。と思われたが、
明日菜さんから話しかけられた。
「ねえ、ネギ」
「何ですか?」
「私も魔法習得できない?」
「え?」
明日菜さんは才能があります。
魔法無効化がある上、魔力と気の同化も使えるようになってた。
今でも使えるんじゃないの?
小さい頃に使ってたって未来の明日菜さんが言ってたし。
結論を出そうか、今から習わしたら面白そう。
「別に構いませんが、誰にも内密にしてもらえますか?」
「魔法って秘匿やもんな」
「そうね。関わるんなら、それなりの覚悟がなきゃ」
……え?明日菜さんの言葉に何か違和感を感じる。
まるで、これからの事を知ってるかのようにってまさかね。
明日菜さんがそんな訳ないよね。
「ウチの魔力ってどれぐらい何?」
「潜在能力は明日菜さんよりも上ですよ。
運動が得意な分、明日菜さんの方が強いかと」
あの身体能力って明日菜さんの体力みたい。
耳も良くて目も良いぐらいだから、上級どころじゃないかも。
木乃香さんの魔力は父さんより高いからな〜。
僕は味噌汁を飲み干して手を合わせる。
「ごちそうさまでした」
「おそまつさまでした」
木乃香さんが笑顔になって言ってくれた。
笑顔で言った後、台所に向かった。
明日菜さんもごちそうさま。と立ち上がる。
「明日菜さん、行くんですか?」
「一応、着替えなきゃね」
明日菜さんの服装が私服だった。
やっぱり違うや。
新聞配達の時、制服で配達をしていた。
明日菜さんが服を脱ごうとしたから、僕は慌てて明日菜さんを止める。
「ちょっと待ってください!」
「別に良いわよ……」
どうでも良い様に呟き、着替えを始めた。
僕がいる事を気にしないって僕は10歳のガキか。
それを思い出した僕は木乃香さんの手伝いをすることにした。
「木乃香さん、手伝いましょうか?」
僕は食器を洗っている木乃香さんに話しかける。
「ん〜、じゃあ、洗った後の食器を拭いて直してくれる?」
「わかりました」
作業中に木乃香さんとこんな会話をしていた。
「ネギくん」
「何ですか?」
「ウチが魔法を使えるようになったら、ネギ君の助けになれるんかな〜」
「どうして僕の?」
「ネギくん、まだ子供やん」
ああ、そういう意味か。
無理もないな〜。
今の僕は10歳だから木乃香さんの母性本能が働いてるのか。
「そうですね……」
「別に拗ねんでもええやん」
「拗ねてません。ただ」
「ただ……?」
「それだけで魔法に関わると痛い目を見ますよ?」
「ウチな、親友がおんねん」
刹那さんの事か…
「せっちゃんがなぁ、ウチが話しかけても避けられてるんよ。
ウチ、嫌われるような事したんかな〜って」
「それで?」
「だから、せっちゃんはウチを護ってくれてる事を偶然知ったんや」
「そうなんですか……」
うわぁ、全然違う展開になってる。
刹那さんが護衛という役目のせいで仲がおかしくなってる。
それに、あの事は知ってるのかなぁ。
「木乃香さん、そのせっちゃんって人が隠している事に関係があるんじゃないですか?」
「……翼」
「え?」
「せっちゃんの背中に白い翼がある夢見たんや。大きな化け物がいて、
変な女性に攫われて、せっちゃんがウチを助けようとする。
捕われたウチは、ただ気持ち良くなってるだけや……」
気持ち良くの部分で赤くなった木乃香さんを見て、ちょっとだけ分かった事がある。
大きな化け物、変な女性に攫われる。これは……
どうしてそんな夢を見るの?
まさか、明日菜さんもそんな似たような夢を……見・て・い・た?
確信はないけど、多分、そう言う事だと思う。
「大丈夫ですよ。あと数カ月で修学旅行があるじゃないですか。
その時、仲直りになるチャンスです。僕も協力しますから」
「ネギくん……ありがとう」
木乃香さんは全ての食器を洗い終わって拭いていく。
「そのせっちゃんのためにも強くなりたいんですね」
「そうや……」
「友達思いなんですね」
「せっちゃんだけやない。明日菜だってクラスメートの皆も、もちろん、ネギくんも」
最後だけ頬を染めて言ってくれた。
木乃香さんの言葉に僕も赤くなってしまった。
さすがに、まっすぐ言われると照れる。
「とりあえず、魔法の訓練はこの部屋でしましょうか」
「ここでできるん?せまいよ?」
「マジックアイテムを今日、入手しておきますから、それで」
「もしかして、ここを広くするアイテムなん?」
「いえ、水晶の中にある場所に入れるアイテムです」
マスターでも使っていた別荘だ。
あの別荘のコピーを作って全く別の修行場にしようと思う。
マジックアイテムの複製なんて簡単だからお金何てってあれ?
僕ってお金持ってたっけ?
ここに来る前は人がいないから我慢してた。
木乃香さんが僕の手を両手で持って呼んでいた。
「ネギくん」
「何ですか?」
「ウチ、補助魔法と後方からの魔法もほしい。前はウチじゃあ無理やし」
「その辺は明日菜さんの方が良いですね」
「体力馬鹿やもんな〜」
悪気が無い笑顔で僕の手をぎゅっと握る。
どうして握るの? さすがに色々と困るんだけど……。
すると、何処から聞こえていたのか、
こちらに来て木乃香さんへ反論する。
「誰が体力馬鹿よ!」
「明日菜、ウチがローラースケートで走っても、追いつけるやん」
「反論できないわ……」
地面に両手を付いて落ち込む明日菜さん。
木乃香さんが明日菜さんの頭を撫でていた。
この2人はすごく仲が良い。
こうして見ると、女の子同士でも通じって駄目じゃん!
僕の計画でそういう事は駄目すぎる。
「そろそろ、学園に行こう!」
落ち込んでいた明日菜さんが立ち上がり、僕と木乃香さんに言い放つ。
そう言えば、木乃香さんは、聞いてみるか。
「木乃香さん」
「どうかしたん?ネギ君」
エプロンを脱いで折りたたむ木乃香さん。
こうして見ると、木乃香さんって主婦がすごく似合う。
「学園長に何か用事があるんじゃあ」
「その事はもうええよ?」
「さっきのあれだけ?」
「そうやけど……」
僕の言葉に軽く頷いた。
本当にそれだけみたいだから、とりあえず安心する。
木乃香さんは鞄を持って準備完了とVサインする。
何時の間に準備をしていたんだか。
明日菜さんも既に完了済みのため、後は僕なんだけど
「僕が準備できてませんので、ちょっと待ってくれますか?」
「早くして」
「別に急がんでも……」
下から木乃香さん、明日菜さん、僕という順で発言する。
とにかく、僕は右手を上げてクイッと人差し指を曲げる。
何もない空間から歪みが入り、鞄が出てきた。
その鞄が僕の方に向かってくる。
直線で向かってくる鞄を僕はキャッチする。
玄関にいる2人の方へ歩いて笑顔で2人に言う。
「いきましょうか」
木乃香さんは「これが魔法なんや〜」と目がキラキラと輝かせていた。
明日菜さんの反応は少し違っていたが、気にせずこの部屋から出た。
ちなみに、明日菜さんの反応は額に手を当てていた。
ああ、非常識な現象に手間取っているんだね。
僕もその気持ちがわかるよ、多分……。
そんなこんなで、寮から走って電車に乗り、目的の駅に着いた。
相変わらず、人が多い。
まだ8時だよ?ってああ、それが普通なのか。
僕は魔力を体に覆わせながら明日菜さんと木乃香さんに先に行くと伝える。
「先に行きますね」
「え?」
「ネギ君?」
僕は2人の言葉を無視して超光速のスピードで学園長室へ走った。
あまりのスピードに反応できる人間はいなかった。
1秒も経たないうちに学園長室の前に着いた。
これでもスピードは抑えているんだよ。
抑えていないと、走っている時の衝撃波で周りに被害が出る。
被害どころじゃなくて学園そのものがってなるからね。
僕は学園長室の部屋に入った。
〜学園長室〜
僕が入ると、マスターと学園長がいた。
何でいるの?と目線をマスターに向ける。
マスターはニヤッと嫌らしい笑みを浮かべていた。
こういう時のマスターは絶対に問題なんだよ!
今はどうでもいいか、学園長に例の件を話す。
「学園長、お風呂の事なんだけど、どうすればいいの? 思いっきし女子寮なんだけどさ!」
「ネギ君は子供じゃから見放題じゃぞ?」
「……あのですね、僕も一人になりたい時があるんですが?」
顔をヒクヒクと痙攣させながら問い詰める。
学園長はうむ〜と何か悩んでいるが、僕は魔力を1部開放する。
魔力が部屋全体に充満していく。
そのあまりの出力にマスターと学園長が慌てる。
「ちょっと待て! ぼうや」
「そうじゃ、落ち着くんじゃ!」
「無詠唱の行使による魔法の矢8をぶつけましょうか? 命の保証は全然ありませんが」
脅しかけるような態度で迫る僕を見て、
学園長がオロオロしながらも別案を立てる。
「ネギ君、そうじゃ! マジックアイテムでお風呂を作ってみたらどうじゃ?」
学園長いや、こんなのは妖怪長でいいや。
その妖怪長の言葉に魔法の矢を消してアイテムの内容を聞く。
「そんなアイテムがあるんですか? それってどんなのです?」
「……それはいいとして、うむ、エヴァよ、
あの水晶をネギ君に譲ってもらえんかのぅ?」
って無いんかい!
僕は妖怪長の言葉に呆れていた。
マスターは怒りの表情で学園長の机にバン!と叩いて否定する。
「誰がやるか!!」
「エヴァンジェリンさん、見せてくれますか?」
「ん? 見せるだけなら……」
悩みに悩んで表情が歪んでいた。
あまりにも面倒くさそうなので、ここで提案する。
「僕がその水晶を持ってきましょうか?」
マスターの返事を待たずに実力行使することにした。
話が一向に進まないからね。
僕はマスターの頭に手を置くと、マスターが騒いだ。
「何をする!」
しかし、僕の力に勝てずバタバタと抵抗するだけ。
まるで駄々っ子のようだ。
そんなマスターを苦笑した後、こう呟く。
「エヴァンジェリンさんの家、水晶、持ち主転移」
そう呟くと、マスターの前に水晶が転移してきた。
僕はその水晶に魔法陣を貼り複製を開始した。
同じ構想をさせるためには1分はかかる。
別に時間をかけなくても完成できるが、使い捨てになるのが問題。
ずーっと使いたいなら1分は待たなくてはならないのが魔法複製の欠点。
マスターの頭に置いている手を離し、右腕を真横に動かすと水晶が生まれた。
「複製完了っと、お風呂に関してはネギ先生入浴中のお札を作って、
僕の休憩を邪魔したら、じゃない乱入してきたら罰を与えるなどでいいですね」
「それはいいんじゃが、どうやって複製したんじゃ?」
「魔法使いの見習いができるレベルじゃないぞ!!」
もうマスターも妖怪長もうるさいな〜。
複製なんて未来の魔法使いなら簡単なのに……。
そんな事を思いながら返事をする。
「まあ、色々と苦労をしまして……それよりも、お風呂の件は任せましたよ?
一応、魔法の罠を貼りますけど」
「うむぅ、了解じゃ」
「ぼうや」
「あ、それともう一つ、エヴァンジェリンさんの呪い解除しときました」
堂々と明るく問題なし!という表情で妖怪長に伝える。
その言葉に驚いて立ち上がった学園長がこう言った。
「なんじゃと!?」
「ぼうや!! いきなり何を」
「大丈夫ですよ、ほかの先生にはバレない方法を取ってますので一応、責任者だけには伝えておかないと駄目かと思いまして」
僕は水晶を懐の中にしまい、魔法陣を空中に刻み込んだ。
魔法陣の面積が広くなり、とうとう見えなくなった。
これで、マスターの魔力が何時も弱い状態に誤認完了っと。
ネギが使った魔法陣は、特定の人物能力を誤認させる。
この魔法陣って効果切れるまで1年かかるんだけど大丈夫だよね。
「これでエヴァンジェリンさんの魔力は誤認させましたので安心して解放できますよ?」
「……」
「……」
2人とも沈黙している。
う〜ん、僕がやった事に呆れているのかな?
「ネギくん、ワシは見なかった事にするぞ?」
「別にかまいませんよ?」
「ぼうや、私の封印は何時解けるんだ?」
「え? 僕の気分ですが?」
すでに解ける状態であり、僕の気分により操作可能。
マスターが僕が来ているカッターシャツの襟を持ち、ぐらぐら揺らす。
「ふざけるな〜!! 私で遊ぶ気か!」
「はい!」
僕の明るい即答により、マスターが撃沈した。
ふう、こうやって遊んでいられるのも今のうちだから遊ぶんだ。
未来の出来事を考えて、エヴァを弄る計画を考えている。
明日菜さんたちの事も考えなきゃいけないし、大変だ。
「じゃあ、僕は授業の準備がありますので、これで失礼します」
「うむ、もう行ってよいぞ」
徹底的に聞かなかった事にしようとする妖怪長いや、学園長だった。
まあ、いいんだけどね……僕も知らない振りしてくれたら嬉しい。
僕はマスターに一つだけ聞きたい事を聞く。
「エヴァンジェリンさんは弟子が欲しいと思いませんか?」
「私は悪い魔法使いだぞ? ありえん!!」
そんなに強く否定しなくてもいいのに……
ツンデレ度が高すぎるけど、本当は継承者がほしいんじゃないかな〜。
勝手な考えを思いついた僕はマスターに申し出をする。
「数ヵ月後にある人を弟子にしてもらいたいんですけどいいですか?」
弟子という言葉を聞いたマスターは嫌そうな表情になったが、
呪いの件もあって唸り悩んだ後、返答が来た。
「いいだろう。私は教室に行くぞ」
僕と学園長から背を向けてドアから出て行った。
これで、敵からしたら嫌な展開になればいいけど……。
相手からしたら迷惑な事を考えながら僕も授業の準備があるため、
ドアから学園長室を出て行く。
〜2−A教室〜
僕は英語の授業を皆に教えている最中だった。
そういえば、ここで明日菜さんの事が馬鹿にされるから指定するのはやめよう。
嫌われるのは嫌だからね。
「え〜と、誰かに朗読してもらいましょうか」
そう言うと、皆が目を逸らし始めた。
委員長さんを見ると熱い視線を向けてくるため、見なかった事にした。
別の人、ああ……駄目だこりゃ。
「いないようなので、僕が言いますね」
僕の言葉に皆の雰囲気が柔らかくなった。
現金な子達だなぁ〜。
そう思いながら読んでいくと、チャイムが鳴った。
キーンコーンカーンコーンって音なんだろう。
まあ、どうでもいいことは気にする事はない。
「今日の授業はおしまいです。ちゃんと予習してきてくださいね」
「「「「は〜い」」」」
皆が元気良く返事してきた。
これだと幼稚園だよ。
幼稚園でも通じる子もいるけど、例えば、双子とか。
そう考えながら、出ようとするが委員長がいつの間にか出口にいた。
「ネギ先生、私の別荘に来ませんか?」
「え?」
「私、ネギ先生と内密な関係になりたいんですの」
「それは困りますが、行くのはいいですよ?」
「本当ですか? 今度の休日にでもおいでになってください」
「わかりました」
了承したら、委員長さんが出口を開けてくれた。
了承しなかったら、どうなっていたやら……。
別に内密の関係になってもいいけど、この体では無理かも。
何が無理だというのだろうか。
僕は教室から出て行き、職員室へ向かう。
そして……
放課後になり、帰る途中で明日菜さんと木乃香さんに会った。
だるそうにしている明日菜さんと
そんな明日菜の様子に笑みを浮かべている木乃香さんを見て聞く。
「何かあったんですか?」
「別になんでもないわ」
「明日菜がな〜」
「待って、言わなくてもいいわよ!」
赤くなりながら、木乃香さんの口を慌てて塞ぐ明日菜さん。
やっぱり何か変だ。
今朝の話といい、明日菜さんの態度といい、
僕は明日菜さんに当てずっぽで言う。
「生理ですか?」
「違う!」
「授業中に恥ずかしい事をした?」
「それも違う!」
だんだん赤くなっている明日菜さんが否定していく。
だったら何だというの?
さらに思考を巡らせながら考える。
笑顔の木乃香さんが明日菜さんの手をどけて
「明日菜が夢を見たんやって」
「夢?」
「木乃香〜!?」
「続きは部屋で話そうか〜」
木乃香さんが途中でやめた。
滅茶苦茶気になるじゃないですか。
部屋に戻れば話してくれるか……。
そう思ってあきらめた。
「じゃあ、行こ!」
木乃香さんが僕の手を握ってきて走った。
僕もつられるように走っていく。
「ちょっと待って、木乃香!!」
置いて行かれそうになる明日菜さんは慌てて僕達を追いかける。
帰り道、寄り道せずに寮の部屋まで戻った。
明日菜さんの夢話をさっそく聞くとしますか。
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