全ての終焉 7 |
第7話『図書館島・上』
〜コンビニ〜
様子を見る前にコンビニに寄る。
「え〜と、おにぎりだけでいいか」
100円おにぎりを50個ぐらいかごに入れる。
これでも少ない方だからまだいるかな?
さらに、20個追加した。
「こんなものかな? やっぱり部屋に戻らないといけないか」
僕は70個のおにぎり分の金額をレジで支払った。
「ありがとうございました」
コンビニから出て、寮の部屋に戻る。
〜ネギの部屋〜
僕はおにぎりが入っている袋ごと圧縮させる。
袋が圧縮していき、最後には手のひらサイズのボール状になる。
「これでよし」
一応、未来の魔法なので誰にも見られる訳にはいかない。
人でも圧縮できるので危ない。
ボール状になった袋をポケットの中に入れて図書館の前まで向かう事にした。
〜図書館前〜
僕がここに着いた時、木乃香さんやのどかさん達がいた。
のどかさんとかは歓迎会の時に話した。(話してる所は省略だけど)
惚れ薬の事件も起きなかったしね。
「ネギ、これで全員そろったわ」
「ネギ先生」
夕映さんが僕の方に話しかけてきた。
「今から私たちは図書館の未知の領域に行きます」
「そこで魔法の本を手に入れるのです」
僕の目的と一致しているけど、
あの本は手に入れる意味が無い。
「行ってもいいですが、魔法の本ってあるんですか?」
「情報自体が怪しいやん」
そう聞いた夕映さんの目が光った。
凄くキャラが変わっている所を見ると、夕映さんじゃない。
「実際に見た人がいるのです。その人から聞いたから確実です」
「信頼できる人なの?」
明日菜さんの言う通り、信頼できて情報が確定できる人物でなきゃわからない。
実際に見たって……あの罠をどうやって潜り抜けたのかも聞きたい。
ゴーレムも多分、動いていない。
まったく、いくら図書館でもセキュリティが薄すぎる。
「連絡係と直行する係を決めよう」
ハルナさんがそう言っていた。
ああ、確かのどかさんと木乃香さんとハルナさんがそうだっけ?
ゴーレム対策としてちょっとだけ悪戯するか。
考えた僕は木乃香さんを見て提案をする。
「6人で行きましょう」
「ウチも?」
「はい」
(修行の成果をね……)
(あ、そうなんや)
念話で会話をする木乃香さんと僕。
そんな様子に気づいた明日菜さんが「なるほど…」と呟いた。
(念話で話してたの?)
乱入してきた明日菜さんに笑みを浮かべる。
木乃香さんも同様に笑っていた。
(そうや)
(木乃香も行くって事は何かあるの?)
(それは後のお楽しみで)
((わかりました))
二人が同調したように答えて念話を切断した。
「図書館島で誰も気づかないなんて能天気すぎますね」
「何の事よ」
「明日菜さんは気付かないんですか? どうして学園にこんなものがあるとか」
疑問になっていた。
こんなに不自然すぎる図書館なんて普通じゃない。
明らかに怪しすぎる。
魔法を隠す気があるのか?と思った。
「うわ……踏み場が本棚ってきついわ」
「そうやな……」
「とにかく行くでござるよ」
「魔法の本を探しに」
「レッツゴーです」
というわけで、中に入ったわけだが。
最初、僕も驚いた。
本棚で道が繋がっている事に。
下を見ると落ちたらヤバい様な深さがあった。
「底なし沼の様ですね」
「落ちたら一巻の終わりです」
「死人出るような図書館は初めてです」
「ネギ君ってば怖がり?」
まき絵さんに言われてしまった。
別に僕はそういう意味で言ってるわけじゃないのに。
魔法も使えるからビビる事が無い。
本棚の上をあるいて行き、次のフロアに着いた。
そこで休憩している。
「ほう?」
「すごいな〜」
木乃香さん、あなたは知ってるはずじゃないんですか?
別の事で驚いているみたいだ。
木乃香さんの読んでいる本を横から覗く。
「これって?」
「魔法の本ですね。まあ、僕の探してる物とは違いますが」
「ネギくんの探してる本って何なん?」
あ……うっかり口が滑った。
別に知られてもいいけど後が問題だ。
どうせ、学園長は僕たちの事を見てるはず、声までは知らんだろ?
「明日菜さん」
「何?」
「僕は別ルートに行きます」
「別ルートって?」
「あるじゃないですか、普通の人ではできないルートが」
僕の笑みにビクンと反応した明日菜が声を上げる。
まさか……と呟く明日菜さんの言葉の続きを想像して笑みを浮かべる。
「飛び降りる気?」
「はい。面倒くさいじゃないですか」
「魔法は極秘なんじゃなかったの?」
明日菜さんの言葉を無視して先ほどのフロアに行こうとすると、
いきなり夕映さんに止められた。
「何処へ行くのですか? ネギ先生」
「ちょっと忘れ物を……」
「忘れ物?」
「はい」
夕映さんの隙を狙って瞬動を使い、この場から離れた。
その際、明日菜さんのポケットの中に居場所が分かるパーツを入れていた。
僕は先ほどのフロアに戻り、底が見えない空間に飛び込んだ。
飛び込んだ勢いで加速して行く。
「どこまで落ちるの?」
数秒落ちていくと、最深部まで落ちて行った。
地面に衝突する寸前に空中に浮いた。
あの場所からここまで繋がっているとはね。
僕は懐かしい光景に目を奪われていた。
「懐かしいけど……目的の本を探さなきゃ」
僕は明日菜さん達が来る前に本を回収しなきゃいけなかった。
前に調べた本棚の前に立ち、目的の本を探す。
「確か、これか?」
本の題名にはこう記されていた。
『アヴァロン』と。
その本を持ちだして座れる場所に待機していた。
「明日菜さん達はまだ来ないかな〜」
アヴァロンと記されたタイトルのページを開く。
そのページにはこう書かれていた。
『大切な人を守りたい者よ、ここに記された全ての道具を集め、
呪文を唱えると良き事が起こる』
何かが起こるってことは知ってるけど、その出来事があり得ない事になってしまった。
その出来事を語る気はないというかいまいち覚えが無い。
僕はこの本のページをパラパラと捲って最後まで行くと首を傾げた。
疑問になったが、見落としているかもしれないと思い、
再度、全ページを見るが、何もなかった。
「呪文って何? 道具って言うか武器だよ」
そこに書かれている道具の種類が異常なものだった。
聖なる剣、聖なる槍、聖なる盾、聖なる鞘、聖なる鎖、聖なる魔力。
「でも、聖なる魔力って何? 光属性の魔法なの?」
書いてある事がいまいち過ぎて、よくわからなかった。
これを再現したのは知ってるし見たことがあるけど内容は全然覚えてない。
アスナ達が生きている時に起こった事だから当り前か…。
「すると、5つの聖属性の武器があればいいのか」
そう考えるのが妥当だろう。
これがあると、あの巨大な化け物も簡単に消せる。
それほどの効果だと本に記されている。
「聖属性の魔法は一部の人間しかこの時代ではできない。
未来ならいっぱいいるんだけど、どうしようもないか」
未来と言っても今から150年後の話なのであまり意味が無い。
アスナ達が生きているという事は、一部の人間は存在する事になる。
その人物さえ忘れているのだから意味が無い。
予定が滅茶苦茶になっていくネギだった。
「結局は振り出しに戻るんだね」
ネギは結論を出して本を圧縮。圧縮した本をポケットの中に入れる。
パジャマ姿でも無いから今回は楽すぎる。
呑気な事を考えていると、上から悲鳴が聞こえた。
悲鳴……? まさか。
僕は立ち上がり、杖を前に出して魔法陣を大きく展開させた。
上から落ちてきた。
落ちてきた明日菜さん達を魔法陣で衝撃を和らげた。
和らげても気絶はするみたい。だから全員が気絶した。
「ゴーレムの反応があるが、挨拶に行ってみようか」
ゴーレムが前と違って下に降りてきていない。
僕は気絶している明日菜さんを放置して、落ちてきた場所から飛ぶ。
〜魔法の本部屋〜
簡単に言えば、そういう部屋だ。
向かい合っている石像があり、真ん中の場所にあるのが、目的の本だった。
それが目的なのは僕じゃないけどね。
クスッと笑う僕はいつの間にか後ろにいたゴーレムの前に浮く。
「学園長、何をしてるんですか?」
「ふお? ワシは学園長じゃないぞい?」
惚ける学園長にニヤッと攻撃的な表情になる。
じゃあ、問答無用でいいよね?
そう考えた僕は魔法の矢10をゴーレムに撃つ。
「ふお!?」
急に驚いてかわそうとしている。
僕の気分が優れるまで行きますかとテンションを上げる。
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル 土より作られし全ての物質よ、
元の土へと戻らん。 原子崩壊」
「ちょっと待つんじゃ!」
何かほざいているが、僕は容赦なく実行しようとする。
ネギの杖先からレーザー砲みたいな音を出して発射した。
くくく、久しぶりなんだから憂さ晴らしにぶっ飛ばす!
ネギという人物の欠片すらないようなセリフを吐く。
どちらかと言うとナギに近い感じだが……。
「逃げるのじゃ!」
負けセリフを吐くゴーレムが後ろに背を向けて逃げ出すが、
ネギの撃った原子崩壊が直撃する。
直撃したゴーレムに異変が起こり、さらさらと下半身から砂の様に消えていった。
逃げるのじゃって思わず笑いかけたよ。
「何だ……もう終わりなの? まあいっか、明日菜さん達が目覚める頃だから戻ろう」
僕は飛んできた所へ飛び降りた。
飛び降りて到着した最深部の地面に寝転がり全員の目覚めを待つことにした。
「ストレス解消にもならなかったな……」
あまりにも解消できなかった不満を後でどうにかしようと考えた後、眠った。
明日菜達はネギが眠った後の2時間後に目覚める事になる。
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