全ての終焉 9
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第9話『本人複製魔法と期末テスト発表』

 

 

〜ネギの部屋〜

 

 

別荘から出た僕と明日菜さんと木乃香さんは急いで準備をしていた。

準備していたのは明日菜さんと木乃香さんだけだけど。

 

「明日菜さん、木乃香さんもがんばってくださいね」

「わかってるわ!」

「了解」

 

2人が返事をした後、急いで学園に向かった。

僕は1人っきりになった。

ここで一部の準備に取り掛かるか。

アヴァロンの本を圧縮から元の大きさに戻す。

 

「ふう、武器探しをするだけ何だけど、分身に任せますか」

 

わざわざ、自分で探す必要性がどこにある?

分身を生成して自分の代わりに探した方が早い。

そう判断した僕は、複製魔法を唱える。

 

「我が目的のため、偽りの自分を作られし、我そのものへ創造せよ!」

 

マスターの魔力以上を開放させる。もちろん、結界貼り済み。

ネギの前に魔法陣が展開し、そこからネギの姿が出てきた。

僕そのものだから魔力もほぼ同じだし、身長も同じ。

違う部分があるとすれば、10歳じゃなくこの時間に来る前の20歳並みの姿。

こっちの方が都合が良いから。

 

「我の分身よ、聖なるパーツを集めてこい! それが我の望みだ」

 

この口調がめんどくさい。

なぜかこれしか言う事を聞いてくれないのはひどいと思う。

だが、予想外の答えが返ってきた。

 

「嫌だ、なぜ俺が行かなきゃいけない」

「何? ……何も聞こえなかった。何て言ったの?」

 

気のせいだよね? 分身が僕にあははは。

幻聴と思った僕はもう一度その言葉を聞く。

 

「なぜ俺が行かなきゃいけない、自分で行け!」

 

うん、気のせいじゃなかったみたいだ。じゃあ、ぶっ潰す。

ネギはその分身を拳で殴る。

殴った衝撃で、窓から飛んでいき、森の方まで飛ばされる。

衝撃波の影響で周りが被害あるけど人気が無いから問題なしだね。

 

「さて、試験の発表までに間に合うか疑問だよ」

 

明日菜さん達の事が気になった僕だけど、

一つ目の問題を片づけに分身の所まで転移した。

 

 

〜学園内・森〜

 

 

森まで吹き飛ばされた分身ネギがダメージを受けていた。

かなり苦しそうだった。

 

「くっ、冗談が通じないのか?」

 

治癒魔法で自分を回復させた。

このネギはどうやら魔法に関しては強い。

どうやら冗談だったらしいし、元から断る権限すらない。

冗談も通じないネギの方が大人げないけど。

 

「ほう? じゃあ、探してくれませんか?」

 

ここに来た僕は声を森に響かせながら、相手に聞かせる。

ネギは森の自然を利用して同調魔法を使い、居場所を突き止めた。

僕は相手に見つかる前に背後へ回り込み、捕縛魔法を展開。

分身ネギの地面から魔法陣が浮かび上がり、

中心から魔力の糸が分身ネギの全身を縛る。

 

「捕縛したから外れないよ?」

「さすが俺を創造しただけの事はある」

「とりあえず、転移魔法もついでにしたからもう無理だよ?」

 

対策を既に取っていた僕は笑みを浮かべた。

それを見た分身ネギがネギと同じように笑みを浮かべてこう言った。

 

「何のために聖なる武器を集めるんだ?」

「それはね、アスナ達を守るためかな……だって、楽勝で勝ちたいから」

 

前半は普通だったが、後半で全てが無駄になる言葉だった。

目の前の僕もどきが、アホか、と呟き溜息を吐く。

呆れて溜息なんて僕らしいか。

そう思った瞬間、僕もどきに貼った魔法陣が起動した。

 

「最低でも修学旅行前までにね」

「無茶苦茶言うな!」

「大丈夫、僕もどきでも世界なんて跡形も」

「……もういい、何も言うな」

 

その言葉を最後に転移魔法が発動して消え去った。

周りがシーンとなったから何か空しいよ。

貼っていた結界を解除して、この場から影のゲートに潜った。

 

 

〜2−Aの前〜

 

 

影のゲートを潜り着いた場所が教室の目の前だった。

あ、危ない危ない、別にバレてもいいけど後が面倒だ。

説明が面倒だからね。

僕は窓から皆の様子を探った。

 

「ふむ、明日菜さん達も十分やる気を出しているみたいでよかった」

 

別荘で木乃香さんと僕で一生懸命教えたのが良かったのかな?

ネギの言う一生懸命とは罰が魔法の矢1ぶつける事だった。

誰もが嫌に決まっている。

 

「明日菜さんは元から頭が良いんだから理解すればすごいよ」

 

小さい頃の記憶を思い出した後、学校に戻った時の成績が無駄に良かった。

アスナを知ってる人に聞いたら凄く魔法に関しても覚えやすいとか。

さすがあの人の娘さんだと僕は思った。

明日菜さんだけじゃなくマスターも真剣ってあれ?

 

「もう終わったの? ああ、15年もやってたら嫌でもわかるか」

 

結局、封印解除になったのはかなり後だったような……。

それを現在は僕の気分で解除できるからね。

もういいや。と僕はここから別の所へ歩いて行った。

 

 

 

そして……翌日

 

 

期末テストの順位発表会だった。

僕や明日菜さん達は外に出て巨大モニターを見ていた。

 

「とうとう来たわね」

「皆、がんばったもんな〜」

「この発表で僕がどうなるかですね」

 

僕が呟くと、皆が心配そうな表情をしていた。

明日菜さんが僕の肩をポンと置き

 

「大丈夫よ、きっと! ……あんだけ勉強したから」

 

最後だけ僕だけに聞こえるように囁く明日菜さん。

そうなんだけど、まあ、前は遅刻してたから分けられたけど今回は違う。

学園長のミスはないから、速攻で決まる。

 

「ビリだけにはなりませんように」

 

一生懸命にまき絵さんが祈っていた。

なんか嬉しいな〜。

とりあえず些細な事だけど、見る場所も違ってる。

ああ、どうでもいいか。

 

モニターから順位の発表が始まった。

 

『第1位は……なんとあのビリだった2−A!!』

 

それを聞いた明日菜さんが僕を抱きしめた。

 

「良かった〜!」

「やったね!」

「ネギくんのおかげだね!」

 

いやいや、僕は今回何もしていないって!

あの本、触れた人に頭の回転を働かす潜在能力でも眠っているのかな?

皆に胴上げされながら分析した。

 

「っていつの間に!」

 

明日菜さん達が僕を胴上げしていた。

分析の途中でやるなんてひどいや。

 

「ネギ君、やったね!」

「ネギ先生……」

 

ハルナさんも夕映さんも何を普通に言ってるんですか?

僕が夕映さんをじーっと見たら、目を逸らした。

僕の感は気付いた。あの時の魔法、見られてる。

例え、速度が早くても真後ろからなので振り向かれれば見える。

魔力の塊を作っている時が……ね。

 

それから、いろんな人に胴上げされていた。

2−Aほぼ全員と話していたりしていたため、夜になった。

 

 

〜ネギの部屋〜

 

 

僕は明日菜さんと木乃香さんに最深部の事を話した。

最深部と言ってもそこで夕映さんが……という事。

 

「夕映っちが……」

「バレたって事?」

「そうですね」

 

唸っていた木乃香さんが何かを思いついた。

一瞬を見ただけだから警戒する気はないが、何か聞いてみようか。

 

「木乃香さん?」

「ネギ君、夕映っちにばらしたらええやん」

「え?」

「木乃香、本気なの?」

 

僕と明日菜さんは木乃香さんの提案に一時固まった後、聞いてみた。

木乃香さんは冗談ではなく本気で頷く。

 

「夕映っちも、ついでに本屋ちゃんも」

 

2人の名前を聞いた明日菜さんが木乃香さんに問いかける。

 

「まさか、あの夢の事?」

「そうや」

 

あの夢って明日菜さんが見た夢か。

それを参考にしてバラすってのは何?

木乃香さんもなんか嬉しそうに頷いているし……

 

「木乃香さん、今はやめときましょう」

「ええ?」

 

ええ?じゃないって、これ以上僕の計画をズレてたまるか!

僕の計画では3年になってからだよ?

どうやら、木乃香の言ってる2人は3年までバラす気が無いらしい。

 

「とりあえず、明日は休日ですよね」

「そうね、って事は委員長の所に行くの?」

「はい」

「テーブルを貰いに行くんやな!」

 

それを聞いた僕はコケかけた。

何でそうなるの?

僕はただ約束を果たすためだけにだな。

それを木乃香さんに言うが、

 

「結局はテーブルも貰うんやろ?」

「まあ……否定はできません」

「委員長の事だから、ネギ先生のためならテーブルの一つや二ついえ、

いくらでも差し上げますわ!って言うわよ」

 

明日菜さんが委員長さんのマネをしていた。

全然似ていないけど、まあいっか。

それを見た木乃香さんがウンウンと縦に振る。

 

「結局、夕映っちの事はどうするん?」

「様子見ですね」

「残念やなぁ……」

 

何が残念だったんだろう。

僕には何が何やら良く分からない。

 

「とにかく委員長に電話するわ」

 

明日菜さんが委員長さんに電話をかけた。

 

「もしもし、委員長。明日、ネギと行くからよろしく。

……え?駄目よ、ネギは私と木乃香が連れてくるから……わかったわ」

 

短い通話が終わった明日菜さんが携帯電話の電源を落とし、テーブルに置く。

 

「明日、OKだそうよ」

「良かったな〜、これでテーブルゲットや」

 

木乃香さんがノリノリで親指を上にやった。

ゲットって本気でそのためだけに行くの?

本当にそんな事を思ったが、目覚まし時計が鳴った。

 

「ネギ君、そろそろ」

「ああ、今日もやるの?」

「当り前じゃないですか、最低でも今の魔法だけは極めてもらわないと

では、別荘に行きましょうか」

 

僕の言葉に仕方が無いと呟く明日菜さんと木乃香さんが頷き、

例の地下部屋に向かって別荘の中に入った。

 

 

 

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