迷子の果てに何を見る
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第一話 世界から弾かれた先は

 

 

目を開けるとそこは

 

「知らない空か、知らない空って何だよ」

 

立ち上がり辺りを見渡す。

ここは見た事のない植物で出来た森の中である事が分かった。

 

「一番妥当なのはあの装置に飛ばされたという事か」

 

思い当たるのは先程までいた遺跡の奥にあった装置だ。

この装置は見た事もない魔物を召還していたためすぐに破壊したのだがその際に自分が逆にどこかに召還されてしまったのだろうと当たりをつける。

 

「とりあえず移動するか」

 

木の天辺に跳躍一つで上り森の出口とついでに村を探す。

あいにく村は見つからなかったが街道が見えたのでそのまま木の上を走り街道に到達する。

今度は微かに残っている足跡を調べる。足跡から獣人等はおらず、人間かエルフだけしかいないのを確認する。

しかし、一つだけ気になる点があった。

明らかに小さな足跡だ。子供のそれより小さくそして軽い足跡だ。

 

「気になるな」

 

オレは風を纏い、出来る限りの早さで足跡をたどっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side エヴァ

 

私とした事が油断した。まさかこんな辺境の村で捕まるとは。

 

「これより、神の名において異端審問会を執り行う」

 

「ケケケ、ゴシュジンヤベーゼ」

 

「だまれ魔女の手先め」

 

「チャチャゼロ」

 

この場を取り仕切っている男にチャチャゼロが殴られる。

 

「貴様!」

 

「黙れ魔女が」

 

「あう」

 

周りを取り囲んでいる奴らが石を投げてくる。

私を縛っている縄は魔法処理でもされているのか私の魔力を抑えている。

今の私は年相応の力とチャチャゼロが動けるぎりぎりの魔力しかない。

一度殺された後に皆殺しにするしかないか。

そう考えていた時、一人の男が現れた。

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

side レイト

 

足跡をたどっていくとほどなく村が見えて来た。

村に入ってみると人が一人も見当たらなかったが村の外れにある建物に多くの気配を感じるのでそこに集まっているのが分かる。

 

「祭りの様な感じはしないな。葬式か?」

 

とりあえず気配がある場所に向かう。

そこには貼付けにされている金髪の少女と人形とそれを囲んでいる人々だった。

 

「これは何の騒ぎだ」

 

一番近くにいた男の肩を掴み話を聞く。

 

「魔女だよ。魔女を今から裁くんだよ」

 

意味が分からなかった。

魔法なんて誰でも使える物のはずなのに魔女だから殺すとこの男は言っている。

魔法がないのか。

色々考えてみたがこれしか考えつかなかった。

世界中を旅した事のあるオレとしては、どうやらここは異世界である事が確定した。

なら、あの魔女とはなんとしても接触を図りたい。

しかしどうやる。

 

「これより、神の名において異端審問会を執り行う」

 

神の名においてと発言するという事は神官なのだろう。

その男が平気で暴力を振るっている事に腹が立ち、更に周りを囲んでいる村人も石を投げつけているのに対して苛立った。

 

「静まれ」

 

殺意を込めて大声を上げる。

一瞬にして誰もが動けなくなる。

 

「何ですか貴方は」

 

神官らしき男がオレに問いかけて来た。

 

「私は神の使いの者だ」

 

すらすらと嘘をつく。

どうやらこの国は神官どもが権力を握っているのだろう。

ならばそこを突く。

 

「何を馬鹿なことを言っている。皆の者そこの者を捉えよ」

 

一斉に村人が寄ってくる。

 

「すまない」

 

小声で謝罪し体に触れた者達の命を根こそぎ奪う。

一瞬にして六人の村人が死んだ。

その様子に村人は恐怖した。

 

「彼の者達は天に召され、神の元で裁きをうけるだろう。そして、神の名を偽り我らが同胞を傷付けようとした全員を神の元へと送ろう」

 

途端、金髪の少女と人形以外全員が逃げ出した。

それを見送った後、少女と人形の縄をナイフで切る。

 

「大丈夫か」

 

「貴様は何者だ」

 

「オレか、オレは哀れな迷子だよ」

 

こうしてオレはこの世界で最も長い付き合いになる少女と出会った。

 

説明
学園の敷地内で急に魔物の数が増えたと報告を受けたレイトが現場に向かうと、そこにはあるはずのない遺跡から見た事もない魔物が出てくる所だった。出会った魔物を出来るだけ傷つけずに命だけを奪いながら遺跡の奥に辿り着くとそこには魔物を呼び出している謎の装置があった。これ以上喚ばれると面倒なのでその装置を破壊した途端、見た事もない場所に飛ばされてしまう。
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