魔法戦記リリカルなのは聖伝 〜SDガンダム・マイソロジー〜 004ステージ −炎の翼と雷の騎士−
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雷斗SIDE

 

やれやれ…少々遅れてしまいましたね。まあ、元々関わる気は無かったので、丁度良いと言えば良いんですが、これは時期的には夜天の魔道書の事件の様子ですね…。

 

(まったく、あの人に頼まれた分も有るとは言え、面倒な事ですね…。)

 

思わずそんな事を考えてしまいます。前回のPT事件の時に…強いて言うなら『嫌がらせ』であの人を助けたんですが…。まさか、あんな願いを託されるとは思いませんでしたよ。記録だけでは人の本質を知る事はできない…改めて思い知りましたね。

「私の力は必要なさそうですね…。恐らくですが、私達の知っている未来に繋がる戦いだとすれば、下手に手を出さない方が良策でしょう。(下手に私が手を出したら、余計に不味い事になる可能性もあるでしょうし。)」

 

私は他の戦いに視線を向けながらそう呟き、次にデスティニー…龍也とゴッド…焔の戦いへと視線を向ける。

 

(…まったく、聖獣を使うバインダー同士の戦いの危険性は理解しているようですが、危険なマネをしていると言う自覚も有るようですけど…。)

 

心の中で溜息を付きながら、私はストライクフリーダムの姿とは言え、腰に装備された武装の二丁のビームライフルから手を離す。人馬の騎士型の私の聖獣(マイソロジー)アローディアも影に戻しているので、気を着けていれば簡単には見つからないでしょう。

 

雷斗SIDE OUT

 

 

 

「あれは、時也さんですか?」

 

行動を決めかねていたフリーダムの視界の中に見覚えのある影が飛び込む。ガンダムの聖獣(マイソロジー)ハーディアの影だ。

 

上空に浮かぶハーディアの影を見上げながらフリーダム(雷斗)はそう呟く。そして、その行動を見上げながら何をしようとしているのかを大まかに推測し、アローディアを呼び出し、ガンダムと合流しようとした時、

 

 

『うわぁぁぁぁぁあ!!!』

 

 

ハーディアの近くから何かか落ちてくるのを確認した。

 

「あ、あれはぁ;」

 

『あのまま落ちたら死ぬんじゃね?』と疑問符が張り付きそうな勢いで落下してくるユーノの姿を見た瞬間、慌ててフリーダムは背中の翼を広げて落下しているユーノに追い付き、腕を掴んで受け止めてゆっくりと地面へと降ろす。

 

「…あ、危なかった…。い、い、生きてます…よね、こ、この人?」

 

思いっきり汗を流しながらうつ伏せに倒れているユーノを眺め、誰にとも無くそう問い掛ける雷斗だが…ユーノは気絶しているが無事(?)生きている。

 

「まったく、少し周囲の様子を確認してくださいよね…って、えぇぇぇぇぇぇぇええ!!?」

 

今度はハーディアがヴィータを吹っ飛ばした後、デスティニーのクロスディアとハーディアが戦っている姿が目に飛び込んでくると思わず叫んでしまうフリーダムだった。

 

「な、なにが起こってるんですか!? って、何が有ったんですか、貴方達にぃ!?」

 

一連の会話が聞こえていないフリーダムにはガンダムとデスティニーが戦っている理由など解らないのだから、その反応も無理も無いだろう。

 

「聖獣(マイソロジー)同士…それも味方同士で戦わせておく訳には…仕方ないですね…結界を破壊すれば止まってくれる…と良いんですけどね;」

 

そう呟き2丁のビームライフルを抜き背中の翼を広げて空に飛び上がった瞬間、

 

「うわぁ!」

 

『しまった、外しちゃった。』

 

思わず視界に飛び込んできたなのはの胸から人の手が出ているというある意味スプラッタな光景に絶叫してしまう。ビルの上に居るなのはの胸から一度手が引っ込むと、再び出てきた人の手には何かの光が握られていた。

 

「う、ああ、うあ…。」

 

呻き声を上げるなのはに暫く目を点にして呆然としていたフリーダムだが、直に我に返って周囲を見回す。マイシス時代に機動六課と呼ばれた者達の全員の戦闘データは記憶している。…こんな特殊な事が出来る相手のデータを忘れるわけがない。

 

「…っ!? あれは…『湖の騎士シャマル』!!! …確か…資料では能力は支援型の騎士でしたけど…。(…この人が実は最凶なんじゃないんですか!? 攻撃力に乏しくても…一撃必殺の攻撃ができりゃ十分過ぎるでしょうがぁ!!!)」

 

思わずその惨状(?)を作り出した者の名前を叫んでしまう。そして、前回の時は直接戦闘を行わなかった相手の情報を過去に見た資料の中から思い出すが…。

 

その報告書に書かれていた『ドジっ子』と言うフレーズを思い出して、思わずその場でずっこけてしまった彼に罪は無いだろう。

 

…どうでも良いのだが、旧マイシス時代、機動六課及び時空管理局の要注意戦力の報告書を書いたのは、“あの”ウイングゼロ…翼だ。妙に彼に似合わない事を書いてあったので全員で爆笑してしまった記憶がある。

 

…これは完全に余談だが、翼の書いた報告書にそれを書き加えたのはエイロス…時音なのだ。

 

(邪魔をされたくないですから…先にサポート役を叩いておきましょう。)

 

気を取り直してフリーダムは周囲に視線を向ける。

 

 

『リンカーコア捕獲。蒐集開始。』

 

 

誰かの声が二重に重なって響く。その声の主があの手の主…シャマルと言うこの場にいる五人目の相手だろう。フリーダムは2丁のビームライフルを連結させ、ロングレンジ・ビームライフルへと変形させる。

 

「ターゲット・ロック! シュート!」

 

その声の位置からターゲットの居場所を確認し、背中の翼を広げると同時にロングレンジ・ビームライフルの引き金を引き、それと同時に最高速で飛翔する。

 

「きゃー!」

 

直撃させずに飽く迄威嚇のみ。敵で非殺傷設定とは言え女性相手にそんな物を当てるのは趣味ではない。第一…

 

(…一撃必殺の攻撃が出来たとしても、サポート要員…直接戦闘では私の方が上ですからね…。)

 

威嚇射撃の成功と共にフリーダムは一冊の本を持った目の前の黒い空間に手を突っ込んでいる緑色の服の金髪の優しそうな女性に分離させたビームライフルを突きつける。本に書き込まれている所から見てそれが『夜天の魔道書』なのだろう。

 

「あ、あなたはいったい?」

 

「取り合えず…敵対するかどうかは解りませんが…結界を破壊するの「オラァ!!!」にぃ!?」

 

二丁のビームライフルを向けてそう宣言しようとした時、別の方向から飛んできた光弾を慌てて回避する。

 

「ほ…ゴッドくん!?」

 

「話は後だ、ヴィータを頼む!」

 

ガンダムによってボロボロにされたヴィータを抱き抱えながら、聖獣(マイソロジー)アレシディアから飛び降りるとアレシディアはゴッドの影に消える。

 

「きゃあ、ヴィータちゃん!!! 何が…。」

 

「厄介な奴と戦ったみたいだ。まさかお前まで居るなんてな雷斗…お前の相手はオレだ!!!」

 

ヴィータをシャマルに預けるとゴッドは地面を蹴ってフリーダムに向かっていく。

 

「クッ!」

 

背中の翼を広げてゴッドの間合いから逃れようと飛翔するが、それと同じだけゴッドもフリーダムとの距離を詰める。

 

「ハァァァァァァァァァ!!!」

 

己の間合いまで近づいての連打技『ゴッドストライク』を放つゴッドとそれを避け、ゴッドとの距離を取りながら自分の射程まで逃れようとするフリーダム。

 

「まったく、こっちは結界を破壊したいだけだというのに。」

 

ゴッドとの距離を大きく開け2丁のビームライフルと腰に有る二つのレールガンによる一斉射撃を放つが、

 

「ゴッドフィンガーシールド!!!」

 

ゴッドの右腕の掌から放たれる光の壁がフリーダムの攻撃を防ぐ。

 

「あ、ALIVEぅ!? それは別作品の…しかも、シャイニングガンダムの技でしょう!!!」

 

「へっ、別作品だろうが何だろうが、シャイニングガンダムに使えてゴッドガンダムに使えない訳ねぇだろうが!!!」

 

「リアルじゃない!!!」

 

「MSに変身してる時点で、当たり前だ!!!」

 

異次元の会話を繰り広げながら遠距離戦に持ち込もうと逃げ回るフリーダムと接近戦に持ち込もうと追うゴッド。

 

元マイシス陸戦部隊隊長『ストライクフリーダムガンダム』…『光羽 雷斗』

元マイシス空戦部隊隊長『ゴッドガンダム』…『神野 焔』

 

スピードと遠距離からの銃撃、多彩な遠距離武器を使い多対一を得意とするフリーダムに対して、相手の懐に飛び込み反撃を許さない格闘戦で相手を叩く一対一の戦いを得意とするゴッド。

 

共に自分の間合いではない接近戦、遠距離戦用の武器は持っている物のそれは飽く迄いざと言う時の備え程度でしかない。同じ元隊長にして互いに己の得意な射程は正反対なフリーダムとゴッド。己の得意な距離に持ち込む為に動く二人だった。

 

(…流石は焔さん…下手な攻撃では簡単に防がれてしまいますね。アローディアを使いますか?)

 

(チッ、流石は雷斗…簡単には近づけさせてもらえないか。どうする…アレシディアで一気に決めるか?)

 

互いの能力を最大限に把握している二人であるから、互いの得意な距離には決してしない様に動き回っている。故に戦闘範囲が広くなっているのは必然と言える。

 

その膠着する戦いに苛立ちを覚え始めている両者…先に痺れを切らしたのは慎重なフリーダムと比べて気が短いゴッドの方だった。

 

「来い、火星を守護に持つ炎の翼、聖獣(マイソロジー)アレシディア!!!」

 

「仕方ないですね。来たれ、金星を守護に持つ雷光の騎士、聖獣(マイソロジー)アローディア!!!」

 

祝詞共にゴッドの影から現れるのは不死鳥を思わせる真紅の鳥型の聖獣(マイソロジー)『アレシディア』

 

祝詞共にフリーダムの影から現れるのは黄金に光り輝く鎧と煌く炎の翼を持った人馬の騎士を思わせる聖獣(マイソロジー)『アローディア』

 

「駆け抜けろ、アローディア!!!」

「迎え打つぜ、アレシディア!!!」

 

光速の動きでゴッドとアレシディアに対してフェイントを含めた連続攻撃を放つフリーダムとアローディアに対してゴッドは味方の有無を確認した上で、アレシディアの全火力を使った周囲への無差別の攻撃によって対抗する。

 

「無駄です!!!」

 

「へっ、こっちが本命!!!」

 

無差別攻撃の中を無傷で駆け抜けながらアローディアの突きつけるランス…『イナンランス』と共にゴッドへと突撃(チャージ)を放った瞬間、ゴッドは背中のフィールドを広げ、右手を真紅に輝かせる。

 

本来、ゴッドの狙いは火力を利用した爆煙で相手の軌跡を確認する事、そして、それに合わせてカウンターを放つ事がゴッドの最大の狙い。

 

「ぶぅぁぁぁぁあく熱!!! ゴォッドォ!!! フィンガァァァァァァァァァァァァアー!!!」

 

聖獣(マイソロジー)を囮にしたフリーダムを得意の接近戦で倒す事、それがゴッドの狙いだったのだ。

 

「クッ!」

 

それに気が付いた時には既に遅く、無理矢理アローディアの動きの軌道を変える事で自分への直撃を避ける事が限界だった。其れさえも、アローディアの持つ超スピードが無ければ不可能な動きだっただろう。だが、ゴッドの『ゴッドフィンガー』は避け切れずアローディアの腕に直撃していた。

 

「お返しですよ!!!」

 

ゴッドの攻撃を避けながらフリーダムはバックパックから八機のドラグーンを射出、周囲を取り囲んでの一斉射撃によりゴッドを狙う。

 

「チィ!!!」

 

アレシディアがゴッドを包み込み、ドラグーンからの一斉射撃からゴッドを守る。

 

「オレ達の力が真っ赤に燃える…。」

 

「なっ!? その技は!?」

 

フリーダムからの攻撃に対する防御をしていたアレシディアが翼を広げると同時にその全身が炎に包まれる。それは前回からの仲間であるからこそ理解できるゴッドガンダムと聖獣アレシディアの必殺技…。

 

「全てを穿てと轟叫ぶ!!!」

 

アレシディアの咆哮と共にゴッドとアレシディアは巨大なフェニックスとなる。

 

「クッ! 仕方ないですね…。」

 

フリーダムの宣言と共にアローディアの前方に六つのエネルギー球をリボルバー状に展開する。それこそがフリーダムとアローディアの必殺技…。

 

「必殺! スパルタン…インフェルノォォォォォォォォォオ!!!」

「撃ち抜け…G(グレート)・R(ローリング)・B(ボルト)!!!」

 

巨大な不死鳥となっての突撃『スパルタンインフェルノ』とエネルギー球を貫く形で放たれる光速の六連突き『G(グレート)・R(ローリング)・B(ボルト)』が激突しそうになる瞬間、

 

 

『スター……ライト……ブレイカァァァァァァァァァァァッ!!!』

 

 

 

丁度戦いながら動いていた事でそこに移動してしまったのだろう、二人の真下から伸びるピンク色の光の柱が二人の激突を防ぐように打ち出され、結界を突き破り粉々に粉砕する。

 

「…あの年齢でこの破壊力ですか;」

 

「…なんて言うか…末恐ろしいな…;」

 

ギリギリの所でそれの直撃を免れた二人は必殺技を解除して目を点にしながらそんな事を呟きあう。

 

「結界が破壊された、離れるぞ!」

 

「おう! じゃあな、雷斗。」

 

そう言って他の四人と一緒にゴッドはバラバラに飛び去っていく。そんなゴッドの背中を眺めながら真下を見下ろすとなのはが倒れたのが視界に入る。

 

(…管理局の応援が来る前に離れるとしますか…。)

 

アローディアと共にフリーダムがその場から離れようとした時、

 

「あ、あの。」

 

後から話しかけられる。

 

「ああ、フェイトさん、久しぶりですね、元気そうで何よりです。」

 

前の事件では協力することになった少女、『フェイト・テスタロッサ』へと笑顔を浮かべながらそう話しかける。

 

「フリーダムさん、どうしてここに?」

 

「…まあ、単なる偶然と言えばそれまでですけど…。ああ、あそこでそちら側の人と思われる人が落ちてきたんで助けておいたので回収してあげて下さいね。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

あとは余計な人間が来る前にガンダムとでも合流してその場を離れようとデスティニーと戦っているガンダムを見た瞬間、フリーダムの表情が凍りついた。

 

「な!?」

 

デスティニーの一太刀によって切り裂かれたハーディアとガンダム…。必殺技の直撃を受けたハーディアはそのままガンダムの影へと消え、意識を失っているのだろう地面へと向かって落下していく。

 

「不味い!!! アローディア!!!」

 

「あ、待って…。」

 

「時空管理きょ…。」

 

既に対象が居なくなった場所に虚しく発動するバインドとそれを掛けた本人である…何時の間にか駆けつけた『クロノ・ハラウオン』を放っておいてフリーダムはアローディアの最高速度でガンダムを回収し、その場から立ち去って行った…。

 

「…行っちゃった。あの時のお礼、言い損なっちゃった。」

 

姿が見えなくなったフリーダムの背中に対して残念そうに、そう呟くフェイト嬢だった。

 

(…時也殿の事は雷斗殿に任せておけば心配ないでござるな。後はなのちゃんでござるが…魔法関連であれば、管理局に任せた方が良さそうでござるな。…不本意でござるが…。)

 

ガンダムを回収して飛び去っていくフリーダムとアローディアを見送り、ビルの上で倒れているなのはを見下ろしながら、デスティニーは一応は安心と思いそこから飛び去ろうとした時、

 

「待て!」

 

「…………何の用でござるか、豆粒ドチビ…じゃなくて、ハラウオン。」

 

彼を呼び止めるクロノに対して絶対零度の冷たさを含んだ口調で振り向きもせず、そう言い放つ。

 

「…時野龍也…君も一緒に来て「誰が行くか。」…。ッ!? 公務執行妨害で逮捕しても良いんだぞ。」

 

「相変わらずでござるな。…所詮ここは“管理外”の世界だろう…他所の世界の法を持ち込むな。」

 

そして、誰にも見えないように冷たい笑みを浮かべ、

 

「…まあ、付き纏われるのも面倒だから、こっちは見せしめにお前を地獄に叩き込んでやってもいいんだぞ。」

 

アロンダイトを抜き放ち殺気を込めた言葉でクロノの言葉を一言で切り捨て、そこから飛び去ろうとした時、

 

『ちょっと待ってくれるかしら。』

 

デスティニーの前に現れたモニターに映し出された女性がデスティニーを呼び止める。

 

「…何の用だ…ハラウオン母。」

 

現れたモニターに写る女性『リンディ・ハラウオン』を睨み付けながらアロンダイトをモニターへと突きつける。

 

『以前の非礼は改めて謝罪します。話をしたいだけですから、「こっちはしたくない。」…せめて、話だけでも聞いてもらえないかしら。』

 

「あ、あの…私からもお願いします。」

 

そう言って今度はフェイトからも頼まれる。

 

「はぁ…なのちゃんの事も心配だから丁度いいか…。(まあ、クロノには時也殿の件で借りも有るし、フェイト殿に頼まれては…雷斗殿…貸し一つでごさるよ。最悪、クロスディアでここ(海鳴)には戻ればいいでござる。)」

 

溜息を付きそう呟くと、モニターへと視線を向ける。

 

「話を聞くだけだ。こちらからは何を聞かれても答える筋合いは無い。…それで構わないだろうな?」

 

「かあさ…いや、艦長! こいつはあのフリーダムとか言うアンノウンや他の二人の事も知っているはずです!」

 

『あの件は貴方に責任が有るわ。おとなしくしていなさい。』

 

「くっ…。」

 

こうして、クロノが沈黙した事でデスティニー…龍也はアースラへと向かう事になった。これが物語にどんな変化を与えるかどうかは誰にもわからない事である。

 

 

 

 

別の場所…

 

「くっ…ここは…。」

 

「気が付きましたか、時也さん。」

 

意識を取り戻した時也に掛けられる声に気が付き、そこに振り返るとそこには雷斗の姿が有った。周囲を見回してみれば、公園でベンチの上に寝かされていた様だ。

 

「…お前…雷斗か?」

 

「ええ、こうして、今の年齢で会うのは初めてですね。」

 

そう言った後、『飲みますか?』と問い掛け雷斗は持っていた缶ジュースを差し出す。無言のままそれを受け取って口を付けると、雷斗は

 

「…………なんで貴方達が戦っていたんですか?」

 

恐らくだが、ヴォルケンリッター…夜天の王である『八神はやて』の側に付いているはずの焔が敵対するのは解る。だが、ガンダムとデスティニーが戦う理由などは無かったはずなのだ。

 

「……………オレを止める…それがオレと戦った理由らしい…。…なあ、オレは…間違ってたのか…? 強くなる為に…彼女を守れなかった…スバルちゃんの家族を奪った…オレの弱さを…甘さを捨てるって言うのは…間違ってたのか?」

 

「ええ、間違ってますね。少なくとも、そんな強さは、誰かを守れる強さではないですよ。」

 

「っ!?」

 

「…“前回”の時、マイシスとの決戦…私は『弱かった自分を変える』と言いました。」

 

そう言った後、雷斗は自嘲気味に苦笑を浮かべる。

 

「…事故とは言え前回の時に私の住んでいた世界は結果的に管理局に滅ぼされました。…だから、私はマイシスに入った…私の様な悲しみを作らない為に…でも…私は負けていたんですよ…弱さに。」

 

「雷斗…。」

 

「…一度は中から変え様とも思った…。まあ、“無意味”な事に気付かせて貰った点については今でも感謝してますけど…。…私は…悲しみに…大切な人達を失った苦しみに負けて…総帥に洗脳された…。いや、身を委ねたんですよ…。」

 

雷斗の表情に浮かぶのは悲しみの感情…。かつて、マイシスに所属していた者達は全員が全員大なり小なり管理局に対して恨みがあった。それが、エイロスによる洗脳の足がかりとなっていたのだろう。

 

寧ろ、その中でも雷斗達は聖獣を扱える最強戦力となるえるだけでなく、その望みが『破壊』ではなかったから、洗脳を受けていた。

 

「…憧れていた…貴方の強さは、優しさでしですよ。『弱い自分を変える。』…目指すべき強さを教えてくれた貴方がそれを否定しないで下さい!!!」

 

「………。」

 

「…私達にとって、貴方は仲間であり、恩人です。結局…私達は貴方をまた一人でエイロスと戦わせていたんですね…。すみません。」

 

「…そうかもしれないな…。オレ達はマイシスを止める…少なくとも…マイシスの生み出す悲しみを“断つ”。」

 

「はい!」

 

そう言って時也と雷斗はその拳をぶつけ合うのだった。

 

「…まあ、管理局の闇を潰すと言う点では同意ですけどね…。“また”連中のせいで世界がリセットされるのはゴメンですからね。」

 

「そうだな…。…当面の目標は取り敢えず、上層部とあの脳髄共か…。」

 

 

 

おまけ…

 

「クス。二人とも、私達の予定(シナリオ)は解っているわね。」

 

「はい。…例の物の破壊時に私達の手で必要な部分を回収でしたね?」

 

キュベレイに対して片膝を付きながら親衛隊長ウイングゼロは答える。

 

「ええ、万全を期する為に…確実にシナリオを進めるために、今回も貴方はクロスボーンと一緒に動いてもらうわ。」

 

「「はっ!!!」」

 

「それと、クロスボーンには、今の内に第一のパーツのバインダーの回収をお願いね。」

 

『クスクス』と笑いながらキュベレイはクロスボーンにそう告げる。

 

「了〜解。ったく、ゴミ漁りかよ…早く戦いたいぜ。」

 

「そう言うな、クロスボーン。これも総帥のお考えだ。」

 

不満を見せたクロスボーンを嗜めるウイングゼロはキュベレイへと向き直り、

 

「それでは、総帥…。また、定時連絡の時に…。」

 

そう言ってウイングゼロはその姿を消していく。

説明
004ステージの裏側の雷斗VS焔のSフリーダム対ゴッドの対決です。
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SDガンダム・バインド 魔法少女リリカルなのはA's 

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