魔法戦記リリカルなのは聖伝 〜SDガンダム・マイソロジー〜 005ステージ −反マイシスチーム始動−
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「所で…雷斗…夜天の魔道書の事件ってどう言う流れで事件が終わるんだ?」

 

「残念ながら、私がマイシスに居た頃に読んだ資料で知っている事は、精々時期と関係者、何時頃に始まって終わるのか程度の情報しか…。第97管理外世界での事件についての調査は私の管轄外でしたので。調査結果の報告書で呼んだ位ですね。」

 

雷斗の言葉に暫く考え込む時也だったが…

 

「………なあ、この世界の事件って、誰が調査したんだ…?」

 

「…確か、翼さんでしたね…ここの調査したのは。」

 

雷斗の言葉を聞き二人して溜息を付いてしまう。

 

「情報面ではマイシスに優位に立たれていますね。」

 

「完全に後手に廻るしかないか。」

 

自分達ではなく、今も敵…マイシスに所属している翼が知っている事を思うとエイロスは現在のこの事態までも完全に予想していたのかと思えてくる。

 

……真相を明らかにすると、当時のエイロスには特にそんな意図は“一切”無かった。誰が何処の調査をするのかは、単にくじ引きで決めただけだから(滝汗)

 

「…まあ、あの連中も管理局が動いた以上、自分達の本拠地があるこの世界で活動するリスクは背負わないだろうし…他の世界での戦いが中心になるだろうな…。」

 

「あとは、この世界に網を張っている管理局との迎撃戦ですか…。マイシスの動きも気になりますし、管理局側には龍也が居るでしょうし、私達はクロスディアの反応を追いかけて探すとしますか…。」

 

「そうだな。…管理局にはオレ達四人が仲間って事は知られない方が良さそうだし、龍也との連絡は、最小限に留めた方が良さそうだな。」

 

「そうですね。でも、私は龍也とは同じクラスですから、誰かに聞かれた時を考えて、分かり難い連絡は避けるにしても、遠まわしな連絡で留めるべきでしょうね。正しく伝わればいいんですけど。」

 

雷斗の言葉に考え込んでしまう二人。

 

「時也さんが何処に転校するのかは分かりませんけど、龍也との連絡は私が引き受けました。」

 

「ああ、そっちは任せた。」

 

そんな、ある意味間抜けな真相を知ってか知らずか、深刻な表情で今後の行動を決めている時也と雷斗の『反マイシスチーム(今命名)』だった。

 

 

 

 

??? SIDE

 

車椅子の少女『八神 はやて』は図書館に来ていた。車椅子を動かしながら、目的の本が有るかどうか探していると、目的の本を見つけた。

 

「あっ、有った! やっぱり、今日来て正解やった!」

 

彼女の目的の本は人気のある本で、大抵は来る時は何時も貸し出されていたのだが、今日は一冊だけ置いてあった。

 

早速その本を取ろうと思ったはやてだったが、目的の本の位置は普通の子供でも手が届く位置なのだが、車椅子のはやてには、その高さは脅威だった。

 

「う〜ん…もうちょい…。」

 

「あっ。」

 

横から声が響き、その反対側から伸びた手が本を取っていた。

 

「取りたかった本はこれか?」

 

本を取った少年がそう言ってはやてに本を差し出す。

 

「あっ、ありがとうございます。」

 

「いや、オレも余計な事をしたみたいだしな。」

 

そう言って微笑みを浮かべながら、その少年『天津(あまつ) 翼(つばさ)』ははやての後にいた少女『月村 すずか』へとそう話しかける。

 

そう言って翼はその場を立ち去っていく。すずかとはやての二人は互いに何度か顔を合わせた事が有ったのだろう、何度か言葉を交わす内に仲良くなっていった。

 

(…やれやれ…総帥からの任務も無いからゆっくりと読書でもしようと思って来てみたが…まさか、こんな所で会うとはな…。)

 

そんな二人の少女へと視線を向けながら、翼は心の中でそう呟くのだった。

 

(…残念だが、読書は諦めて焔に会う前に帰るとするか…。)

 

心の中で溜息を付きながらそう呟き、翼は図書館を出て行った。流石に戦って勝てない相手ではないとは言え、こんな所で無闇に戦うのは彼の本意ではなく、何よりも……。

 

(…命令なら兎も角…それ以外で焔とは戦いたくは無いからな…。)

 

総帥への“忠誠”を除けば彼の中での最も重要な物…それが焔との友情なのだ。今でこそ敵同士になっているが、そんな相手とは必要以上には戦いたくないと言うのが、彼の本音である。

 

(…時也様と言いお前と言い、何故マイシスの創成期のメンバーに限って、総帥を裏切る?)

 

『総帥エイロスの意思の元に理想的な次元世界を作り出す事』…それがマイシスの持つ反管理局組織としての目的。…そのために必要なのが、“月を含めた太陽系の惑星”を守護に持つ七体の聖獣(マイソロジー)の力と二体の究極聖獣(アルティメット・マイソロジー)の力…。

 

そして、七体の聖獣(マイソロジー)の内、月の『ハーディア』、火星の『アレシディア』、土星の『クロスディア』、金星の『アローディア』の四体は敵対している時也達の手元にある。

 

(…今更だな…。お前が敵なる以上、オレは…お前を討つだけだ…。)

 

心の中でそう呟き、図書館を後にする翼だった。

 

 

 

だが、太陽系の惑星は月を含めれば、10存在している。そして、確認されている聖獣(マイソロジー)は7、欠ける星は…『地球』『木星』『冥王星』の三つ…。この三つの惑星に究極聖獣の二体を当て嵌めたとしても、一つ欠ける星が有る。

 

 

 

図書館を立ち去っている途中の翼の前に一人の少年が現れる。黒い髪に上質な服を着た少年。

 

「…“クロスボーン”…何の用だ?」

 

「…その言い方ァ、酷いねぇ、オレとお前の仲じゃねぇかよ? まあ、用は有るんだがな。」

 

翼の言葉に笑みを浮かべながら肩を竦めると、少年『海王(かいおう) 宗一(そういち)』はその表情に真剣な物を浮かべる。

 

「総帥からの指令だ。オレ達の次の行動についての勅命だぜ。」

 

宗一の言葉を聞き、翼もその表情を変える。

 

「…話せ…。」

 

「ああ。オレとお前で書の完成までヴォルケンリッターと焔の加勢だそうだ。まあ、オレは面白い戦いができりゃ、どんな命令でも良いんだけどな。」

 

『狂戦士(ベルセルク)』の名に相応しい、これから起こるであろう大きな戦いへの期待を込めた楽しげな笑みを浮かべる宗一に翼は溜息をつき、

 

「雷斗、龍也の二人と時也様…流石にバインダー三人を焔一人ではきついだろうからな。あれが完成してもらわない事には此方としても困る。」

 

「それと、お前のバインドの能力なら、顔を出さなくても良いんじゃないのか?」

 

「…いや、オレとお前で直接加勢する。オレ達の存在も有る事だ、此方の目的達成の前に封印等と言う事になったら解くのも手間だ。加勢の序でに猫を二匹…潰しておくか…。」

 

「ったく、メインは猫狩りかよ、つまらねぇ戦いになりそうだな。」

 

「…言うとは思っていた…。そっちは、オレだけでやっても構わない。お前は龍也でも、雷斗でも、時也様でも好きな相手と存分に戦えばいい。」

 

「へー、流石、翼だな♪ 話せるねぇ。」

 

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

龍也 SIDE

 

時空管理局本局、そこは様々な世界の技術が集められた巨大な基地であり、時也達元マイシスもメンバーにしてみれば、過去の事とは言え敵の懐の中とも言える場所である。

 

(…一人でこんな場所に来てしまうとは…せめて、雷斗でも居てくれれば良かったでござる。)

 

ヴォルケンリッターとゴッド(龍也には時也との一戦がメインだったけど)との戦闘を終えたアースラは魔力を奪われたなのはと、怪我を負ったユーノの治療の為にそこに戻ってきていた。

 

「あー…龍也…せめて武装解除くらいしてくれないか?」

 

「…自分達がそこまで信用されていると思っているでござるか? 大体、誰の許可を貰って拙者の名前を呼んでいる?」

 

武器は持っていない物の完全武装なデスティニーの姿で隣に立つ龍也にそう頼むクロノだったが、デスティニーにはそう一蹴される。重ねて言うが、デスティニーの意識の中ではここは敵地に当るのだ。

 

「…その格好だと窮屈じゃ「…心配要らないでござる…。」………そ、そうか。」

 

そんなデスティニーを睨むが、逆に睨み返される。妙にデスティニーから距離を取っているのは、以前彼にボコボコにされた事が尾を引いているのだろう。

 

………はっきり言って空気が重い………。近くに居るフェイトもオロオロとしている。

 

「はぁ…。せめて、これだけは教えてくれないか…「…時野で良いでござるよ。」…時野。君はゴッドと呼んだ君と似た力を持った奴とは知り合いなのか?」

 

「あ、あの…それに私に協力してくれていたストライクフリーダムって人の事も知ってるなら…。」

 

クロノとフェイト…二人に問い掛けられると「はぁ。」と溜息を吐き。

 

「知り合いと言う訳ではないでござるよ。ただ…。」

 

「ただ?」

 

「…二人とも前世の…“デスティニー”の仲間でござるよ。」

 

知り合いでは無いと言う点では思いっきり嘘だが、前世の『デスティニーの仲間』と言う点では二重の意味で嘘ではなく事実だ。そして、デスティニーの口から出たそんな言葉に思わず?マークを浮かべてしまう二人だった。

 

「もう一つだけ教えてもらえるか…君の能力についてだが…。」

 

「…前回身を持って体験したのではなかったのでござるか?」

 

そう言われて白くなるクロノだった。…時間停止からの必殺技の流れの一撃は流石にトラウマになっているのだろう。何故か各聖獣(マイソロジー)の必殺技だけは問答無用に非殺傷には出来ず殺傷設定に固定されている為に意図的に手加減するしかないのだ。もっとも、『必ず殺す技』と書いて『必殺技』なのだから、それは無理も無いと言えるのだが。

 

「き、君の口から詳しく話して欲しい…。」

 

「…正しくはあれは拙者ではなく、クロスディアの能力でござるが…。そっちのバインドとか言う魔法と大して代わらないでござるよ。」

 

どう考えても相手の意識を保ったまま時間停止させるのだから大して変わらないと言われたらクロスディアが泣くのではないだろうか?

 

「じゃあ、君の体を此方で調べさせて貰えないか? 詳しい事が「必要ない。」…何故だ!?」

 

「少なくとも、この姿の事も、聖獣(マイソロジー)の事も、ここに居る誰よりも拙者の方が良く分かっているでござるよ。」

 

それは嘘ではない。聖獣(マイソロジー)の事もMSの事も『デスティニーの記憶』から良く分かっている。流石に時也の持っている『ガンダムの記憶』に比べれば遥かに劣る知識でしかないが、前回の経験からデスティニーの能力の殆どは把握している。

 

「大体拙者は前にも言ったが、そっちの言う管理外の世界の人間でござるよ?」

 

「…君の様に特殊な能力を持つ人間はその類に入らない! 大体、デバイスも無しにそこまで魔力を操れる上に並のロストロギアを遥かに凌駕する能力を持つ化け物を従えているなんで…君は危険すぎる!」

 

(…化け物…。まあ、向こうからしてみれば、そう言われても仕方ないと言えば仕方ないでござるな。…納得などしてやる気は無いでござるが…。)

 

クロノの言葉に思わず頭に#マークを浮かべる龍也だが、冷静な部分でそう考える。

 

「君は自分の力の危険性を本当に分かっているのか!? 人より強い力を持つ者はそれだけで周りの人間に危害を加える危険性が有る! 管理局の保護を受ければ、君の力をもっと多くの人の為に正しく使えるはずだ!!!」

 

「下らない…。」

 

デスティニー…龍也はクロノの言葉をそう切り捨てる。

 

「オレはそんな建前の為に力を使う気はない。オレは常に自分の守りたいものを守るために、力を貸すべき戦友(仲間)の為にオレはオレの力を使う。(そして、どんな理由が有っても、罪は罪。過去のオレが犯した罪を償うため。)」

 

「だが!」

 

更にクロノが言葉を続けようとした時、医務室の扉が開き。

 

「すまないが、もう少し静かにしてもらえるかな?」

 

医師が出てきて沿う注意されてしまう。

 

「すみません、少し騒ぎすぎました。」

 

クロノが謝るよりも先にデスティニーがそう言って頭を下げる。そして、医師はクロノに何か話が有ったのだろう、クロノに二、三話すとそこから離れていく。

 

「…クロノ・ハラウオン…一つだけ聞くでござる。お前の戦う理由は何だ?」

 

クロノの背中にそう問い掛け、そう言ってデスティニーはフェイト共になのはの居る医務室に入っていく。

 

「なのは、大丈夫?」

 

「大丈夫でござるか、なのちゃん?」

 

「龍くん、フェイトちゃん、大丈夫だよ。」

 

「ごめんね…もう少し早くなのはの所に行けていれば…。」

 

「拙者も…結界が張られた事に気付ければ、もっと早く助けられたんでござるが…。」

 

二人はなのはの傍らまで行くとそう謝罪する。一度息を吐くとデスティニーの姿から龍也の姿に戻る。

 

「…それに、前に酷い事を言って、ごめん。」

 

「あ、ううん…私の方こそ、龍くんとの約束破っちゃって、ごめんね。」

 

以前の事件の際に言ってしまった事を喜び合い、約束を破ってしまった事を謝り合う。半年振りの再会と仲直り、それを喜び合った。

 

「…ストライクフリーダムさんとは、また会えるかな…。今度こそ、お礼が言いたい。」

 

「うん、私もストライクフリーダムさんともお友達になりたい。」

 

「…大丈夫でござるよ。“絶対に”また現れるとは思うから。」

 

『絶対』と言う所を強調して言う知り合いの龍也だった。ふと、話題がフリーダムの事になった時の会話である。

 

 

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

「はっくしょん!」

 

「風邪か、雷斗?」

 

行き成りくしゃみをする雷斗に時也はそう聞く。

 

「うーん…風邪と言うよりも、誰かが噂をしている気がしたんですけど…。」

 

「あー…風邪には気を付けろよ。」

 

「はい。」

 

ティッシュを取り出している雷斗を横目で見ながら時也は、

 

「そう言えば、雷斗…マイシスで動いているのは…今の所、ウイングゼロとクロスボーンだけでなのか? 連中の部下の…。」

 

「あっ、はい。私も龍也も他の親衛隊や海戦部隊のメンバーは見ませんでした。これは推測ですけど、まだマイシスは組織として成り立っていないと思います。」

 

直接的な上官の居る親衛隊と海戦部隊のメンバーの姿さえ見えないのなら、事実上指揮官を失っている陸戦部隊と空戦部隊のメンバーを見る事もないだろう。

 

「…当面はマイシスの連中とは幹部二人と究極聖獣(アルティメット・マイソロジー)のパーツ争奪戦か。」

 

「ええ。それで…私達としてはどうしましょうか…?」

 

「どうするって、何がだ?」

 

雷斗の問い掛けに疑問を浮かべる時也。…今後の方針も決まり、どう動くのかも決まっている以上、何をどうするのか?

 

「いえ、龍也さんやフェイトさん達に協力するのか…と言う事ですけど。」

 

「…はぁ…。…龍也や焔との三つ巴は避けたいしな…。焔を叩きのめして事情を聞く。お前は前回の事件の事で『フェイト・テスタロッサ個人に協力する』と言う事で手を貸す気なんだろうが?」

 

「分かってましたか。」

 

溜息を付きながら雷斗の行動を眺めていた時也はジト目で睨みながらそう聞く。そんな時也の言葉に苦笑を浮かべながら、雷斗は答えるのだった。

 

「…まあ、オレもお前や龍也には貸しが有るし、お前達に手を貸すか。」

 

(…『貸し』って…そんな物、私達の方が何倍も大きい恩が有るんですけどね…。)

 

頭を掻きながら告げる時也の言葉に心の中でそう呟くのだった。

 

説明
神候補である星の加護を持った聖なる獣達に宿った鋼鉄の戦士達の力を受け継いだ戦士達と魔法の物語。あるSDガンダム物とリリカルなのはのクロスした小説です。動き出す物語、バインドユーザー達。
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