IS-W <インフィニット・ストラトス> 死を告げる天使は何を望む
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織斑 一夏は現在窮地に立たされていた。

 

「……」

「全員揃ってますねー。それじゃあショートホームルームはじめますよー」

 

と、ここで先生がきてそう言ったがこの一年一組の生徒達は全員無言だった。

真耶はその様子におじけつきそうになるが堪え、話を続ける。

 

「え、ええと、私はこのクラスの副担任になりました。山田 真耶です、皆さん一年間よろしくお願いします」

 

そう言った真耶のイメージは、身長はやや低めだが胸は大きい、服のサイズが合ってないせいもあってだぼっとして本人が余計に小さく見えてしまっている。かけてる黒縁の眼鏡も大きめなのか、若干ずれてる。一夏はもしかして自分より年下って思ってしまった。

また全員が無言で反応はなく、真耶は今度は涙目になっていたのだがなんとか気を取り直した

 

「じゃ、じゃあ自己紹介をお願いします。えっと…・・出席番号順で」

 

一夏にはそんな余裕はなかった。

もはや緊張を通り越して背中から変な汗が滝のように流れている。もうシャツが背中にくっついてるぐらいだ。

原因は彼の高校デビューを飾ろうとしている今日初日。クラスメイトは一人を除いて女子しかいないからである。

傍から見た男子はとても羨ましがるだろうが

 

(これは…想像以上にきつい…)

 

一夏は逆だった。周りがほとんど女性でその空間に耐えられないのだ。

不意に窓側の席の女子を見る。そこに座っているのは6年ぶりに再開をした幼馴染の篠ノ之 箒である。一夏はそんな幼馴染にアイコンタクトでSOS信号を発信する。

 

(ほ…箒〜)

 

そうすると箒は目をそらし、外を見始めた。

一夏は落ち込みだした。こうなると頼れるのはもう一人の男にして、一ヶ月前から知り合い、仲良くなったって言っていいのか一夏には分からなかったがつるむようになった同じ男子の制服を着ているヒイロ・ユイしかいない。

だが、ヒイロの席は一夏の真後ろなのである。この状況で後ろを向くのができないので目線が合せられないのだ。

 

「…くん。織斑 一夏くんっ」

「は、はい!?」

「あ、あのね。大声だしてごめんね。お、怒ってる?怒っているかな?自己紹介、『あ』から始まって『お』の織斑くんなんだよね?自己紹介してくれるかな?駄目かな?」

 

ここでついに限界が来たのか、うるうる目をしている真耶に一夏は焦った。

 

「いや、あの、そんなに謝らないでください。…ってか、自己紹介しますから、先生落ち着いてください」

「ほ、本当? 本当ですか? 本当ですね? や、約束ですよ。絶対ですよ!」

 

一夏はひたすら真耶に落ち着かせるようにそう言うと真耶は顔をあげ、一夏の手を握り嬉しそうにした。

 

「えーっと…織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

席を立ち、一夏はそう言った。だがそれで終わらせてくれないのがこのクラスの女生徒たちである。『もっといろいろと聞きたいな〜』オーラが全開で自己紹介が終われない状況になっている。

 

(くっマズイここで黙ってると『暗い奴』のレッテルを貼られてしまう!!)

 

そう考えた一夏は呼吸を一度とめ、そして再度息を吸い言い切った。

 

「以上です!!」

 

と言い切った。

がたたっ!!と、椅子からずっこける女子が多数でて、一夏は「ええ!!」と驚いたがそんな余裕も『パアンッ!』という千冬が出席簿で思い切り叩いたことでなくなった。

 

「げえっ、関羽!?」

 

パァンッ!と再び爽快な音が聞こえる。発信源はもちろん一夏の頭からだ。

 

「誰が三国志の英雄か、馬鹿者」

「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」

「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」

 

さっきとは違って凄く優しい声で千冬は真耶に話す。その様子をヒイロはただただ見つめていた。

 

「い、いえっ。副担任ですから、これくらいはしないと……」

(さっきの涙声は何処へ行った…)

 

と数人がそう思った。

 

「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠十五才を十六才までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」

 

と矛盾したこと言った千冬。少しの間沈黙が続き…そして

 

「キャ―――――――! 千冬様、本物の千冬様よ!」

「ずっとファンでした!」

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです! 北九州から!」

「あの千冬様にご指導いただけるなんて嬉しいです!」

「私、お姉様のためなら死ねます!」

 

と興奮して暴走し始めた。さすがにこれにはこんな経験がないヒイロも驚きを隠せなかった。きゃいきゃいと騒ぐ女子たちを、千冬はかなりうっとうしそうな顔で見る。

 

「毎年、よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。それとも何か? 私のクラスにだけ馬鹿者を集中させてるのか?」

 

と言うがそんな発言にも関係なしに…

 

「きゃあああああっ! お姉様! もっと叱って! 罵って!」

「でも時には優しくして!」

「そしてつけあがらないように躾をして〜!」

 

と暴走してとんでもないことを発するクラスの女子。ヒイロはただただ呆然として、

 

(…こいつらの言動が理解できない)

 

と思ってしまうのであった。確かにヒイロは一般教養は多少あることにはある。かつてリリーナと同じ学校に行っていたのだから。しかし、このような経験は初めてであったし、またヒイロ自身どこか一般的な部分が欠落していることからそう考え付いたのだった。

一方、千冬は一夏に近づき話し始めた。

 

「で? 挨拶も満足に出来んのか、お前は」

「いや、千冬姉、俺は――」

 

パァンッ!

本日3度目の出席簿アタックによって一夏の頭が叩かれた。頭を叩くと脳細胞が五千個死ぬと言われているが…彼の脳細胞はかなり死んだことになる。

 

「織斑先生と呼べ」

「……はい、織斑先生」

「え……? 織斑くんってあの千冬様の弟……?」

「それじゃあ、世界で唯一男で『IS』を使えるっていうのも、それが関係して……」

「ああっ、いいなぁっ。代わってほしいなぁっ」

 

と無謀な欲望を言っているが千冬はそれをスルーして自己紹介を進めていくように指示した。この教室の席は予めランダムで決めたので名前の順ではないのだ。

そして…

 

(俺の番か…)

 

ヒイロは立ち上がり前を見て

 

「…ヒイロ・ユイだ。………よろしく」

 

と言って座った。

え…と女子たちはもっと話を聞かせてと思っての反応だった。

あまりにも短すぎて副担任の真耶もつい

 

「えっと〜、以上ですか?」

 

と言ってしまった。だがヒイロはそのまま

 

「ああ」

 

と答え、再び目を閉じようとする。

一夏が後ろを振り向きヒイロにもの申した。

 

「ヒイロ…もう少し愛想良くする事は出来ないのか?」

「……これが俺の普通だ。それより一夏…」

「なんだ?…いいっ!!」

 

ヒイロが忠告する前に後ろから本日4発目…それもかなり鈍い音がするものを喰らい、「次!!」と言われた。

そして自己紹介が終わり、

 

「さあ、SHRは終わりだ諸君には半年でISに関する基礎知識を覚えてもらう。良いな、良いならば返事をしろ。良くなくても返事をしろ!!」

 

と千冬が言って初日のSHRが終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間目が終わり、一夏はかなり焦っていた。一般教養…つまり数学や物理などは一夏はできる方である。元々一夏自身、成績はいい方だった。だがISに関しての知識は男だった故になく、さっきの授業である『IS基礎理論』についていけなかった。

また一夏は同時に疲れていた。男子2人を見るために上級生までがここまで来ていて、なのに一切話しかけようとしないからだ。かけたくてもかけにくい空気が立ち上っていたのだ。

 

(誰かこの状態から助けてくれ)

 

しょうがないからヒイロに話しかけようと、そんな時だった

 

「ちょっといいか」

 

一夏のそばまで近づき、話しかける少女が現れた。

ヒイロはずっと本(内容は某女子高生の日常を描いたものの小説)を読んでいたのだが目を声の方へ向け確認をした。そこには、髪形を緑色のリボンでポニーテールにした女が立っていた。

 

(篠ノ乃 箒…IS開発者、篠ノ乃 束の実妹にして一夏の幼馴染か)

 

ヒイロは前に篠ノ乃 束に関して調べた際に政府にハッキングして見た時、要人保護プログラムにかかっているものとして顔を見ていたのですぐにわかった。

 

「え?」

 

と一夏が答え、2人は教室から出て行った。

ヒイロは2人についていくため、教室からでた。ヒイロの任務は一夏の護衛。このIS学園ならまだマシなのだろうがそれでもヒイロは護衛をしていた。

ヒイロ自身の感情に従って…

 

 

ヒイロが廊下を歩いて一夏たちについて行こうとするとヒイロ何かを感じ取った。

 

(つけられている…)

 

ヒイロはどうするか悩んだ。が時間を見るとそろそろ戻らなければ自分も千冬のお仕置きが待っている。なので捕まえず戻ることにした。

それに…

 

(奴からは殺気を感じない。おそらく…学園の人間だろう)

 

とターゲットがあくまでも自分でまた殺気を感じないのでほおって置くことにしたのだった。そうしてヒイロは教室へ戻って行った。その様子を…

 

「へぇ〜私の尾行に気づいてた上での放置プレイなんて〜…ヒイロ・ユイ。侮れないね」

 

と学園最強はヒイロの後ろ姿をみながらそうつぶやいたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――であるからして、ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、その枠外のISを運用した場合は、刑法によって罰せられ――」

 

すらすらと教科書を読んでいく真耶。だが一夏の方を見てみると全くついて行けていない。なぜなら、本来なら入学前の参考書をちゃんと読んでいないといけないところをヒイロと一緒にやった家の掃除のさいにゴミとして捨てたからだ。

 

「織斑くん、何か分からないところがありますか?」

 

そんなこともつゆ知らず真耶は一夏に訊きに行った。

 

「あ、えっと……」

 

一夏は開いている教科書に視線を落とし

 

「先生!」

「はい、織斑くん!」

 

やる気に満ちた返事。流石先生だ。だがそのプライドは次の一言でぶっ壊れる。

 

「殆ど全部わかりません(泣)」

「え…… ぜ、全部、ですか……?」

 

真耶の顔が困り度百パーセントで引きつりさらに目がうるうるし始めた。

 

「え、えっと……織斑くん以外で、今の段階でわからないっていう人はどれくらいいますか?」

 

挙手を促す真耶だが周りの女子たちは

シーン……

と何の反応も示さない。全員わかっているからである。

 

「……織斑、入学前の参考書は読んだか?」

 

教室の端で控えていた千冬が一夏に近づきながら尋ねた。

 

「古い電話帳と間違えて大掃除の際に捨てました」

 

パァンッ!

本日6度目(5度目は教室に入る際に屋上にいっていたので遅れたためである)の攻撃を受けてしまった。一夏は頭を押さえながら机に突っ伏した。

 

「必読と書いてあっただろうが馬鹿者…まて、大掃除?ユイ!お前は参考書どうした?」

 

やな予感…と言うものか千冬はヒイロにも聞いた。

ヒイロは平然とした声で

 

「この間、一夏が作ったラーメンの汁に浸かったから大掃除に捨てた」

 

千冬はヒイロの頭に出席簿アタックをしようとするがヒイロはそれを右手で受け止めてしまう

 

「ほう…」

 

感心したような声を出す千冬。だがヒイロが千冬を見た瞬間に左手で脳天にチョップがきまってしまった。

 

「がぁ!!」

 

ヒイロは彼女の全力全開の威力を脳天にくらった。(ちなみに千冬の全力全開はヤヴァイのだがそれはまた先の話で)

いくら超人的なヒイロでも予想外で思わず声を出してしまった。

ヒイロはこの時初めて悟った。『こいつ…俺よりできる…』と

 

「あとで二人とも再発行してやるから一週間以内に覚えろ。いいな」

「いや、一週間であの分厚さはちょっと……」

「やれと言っている」

「……はい。やります」

「…了解」

 

千冬のメデューサのような眼力で一夏とヒイロはそう言うしかなかった。

ちなみにヒイロは2日でこの“電話帳”を覚えたのだった。

また、MSを使っていたヒイロは言葉の意味が分からなくてもなんとなく理解できていたと一夏は後で知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとお二人とも、よろしくて?」

「へ?」

 

一夏がヒイロにさっきの授業の内容を聞いていた時だった。

地毛の金髪が鮮やかで、透き通ったブルーの瞳の子がややつりあがった状態でこちらを見ていた。どこかの貴族って感じも感じられた。

 

「訊いてます? お返事は?」

「あ、ああ。訊いてるけど……どういう要件だ?」

 

と一夏は普段通りの返答をした。

 

「まあ!なんですの、そのお返事。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですからそれ相応の態度というものがあるんではないかしら?」

「悪いな。俺、君が誰か知らないし」

 

一夏は正直に答えた。事実本当に一夏は彼女が誰か知らなかった。

そうすると相手は、さらに男を見下すような眼で答えようとしたがヒイロが先に答えた。

 

「イギリスの代表候補生、セシリア・オルコットか」

「あら、私の事を知っているのかしら?まあ、当然ですわね。このイギリスの代表候補生にして入試主席であるわたくしの事は知っていて当然ですわね」

 

とても自分の鼻にかけたような話し方。典型的の女尊男卑の現代女子のような感じだった。

と言ってもすべての女性がそう言うわけではない。特に日本に至っては女性はそこまで偉そうにしていなかった。それはきっと日本の文化の影響やその他いろいろあるからだろう。

しかし海外ではこれは当たり前になっているのであった。まあ…ここまでの子はいないかもしれないが…

 

「なあヒイロ、代表候補生ってなんだ?」

 

聞き耳を立てていた女子数名 (セシリアを含む)が見事な肩すかしをくらってずっこけた。ヒイロはそんなのお構いなくその様子を見ていた。立ち直ったセシリア・オルコットが反応する。

 

「あ、あ、あ、あなたっ、本気でおっしゃってますの!?」

 

すごい剣幕だな〜と一夏は思っているがそんなのお構いなしに

 

「おう。知らん」

 

と言い放った。

 

「…………」

 

セシリアは絶句して、そのあと極東の島国とか、テレビはないのかとか言い始める。

その間にヒイロが一夏に説明してやった。

 

「…代表候補生は国家代表候補IS操縦者の事だ。こいつらは実戦データの取得や操縦技術の向上を目的として国から専用機が与えられる」

「へ〜そうなのか」

 

それに反応したのか、セシリア・オルコットは胸を張って言い始めた。

 

「そう!いわばエリートなのです。本来ならわたくしのような選ばれた人間とクラスを一緒にすることは、奇跡そう幸運なのですその現実を、しっかり理解していただける?」

「そうか。ラッキーだな」

 

一夏は、無意識だろうけど皮肉を言ってしまった。いや、もしかすると本心なのかもしれないが…

 

「あなたたち、馬鹿にしてますの?」

 

セシリアはそう言った。

皮肉が言われたことがないセシリアに言わせてみればそれは腹立たしいことだったのであ。る

 

「大体ISについて何も知らないのによくこの学園に入れましたわね。男でISを動かせるというから少しくらい知性を感じさせるかと思ったけど期待はずれですわ。まあ、わたくしは優秀ですからあなたが泣いて頼んできたら……教えて差し上げてもよくってよ。何せわたくし、入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから」

「入試って、あれか?IS動かして戦うってやつ?」

「それ以外にありませんわ」

「あれ?俺も倒したぞ、教官。ヒイロは?」

「俺は卒業した生徒会副会長なら倒した。…教員とは戦っていない」

 

ヒイロはガンダムの性能実験の際、瞬殺した女性は現在空白の生徒会副会長。実は彼女教官並み(と言っても教官の中では下の方)の強さがあると言われた人で試験管とは同じぐらいの強さと言われるほどだった。教官並みの元副会長を倒したヒイロは確実に強い部類だった。

 

「わ、わたくしだけと聞きましたけが?」

「女子だけってオチじゃないのか?まぁ…アレは倒したっていうのか…」

 

一夏が倒した教官っていうのは真耶だった。彼女は教官の中では上の方なのだが相手が一夏だったのであがり症がある彼女は上がってしまい一夏に向かって突っ込んだところを回避され壁に激突。そのままばたんきゅうしてしまったのだ。

だから倒したっていっていいのか分からないのが現状だった。

 

「つ、つまりわたくしだけではないと……?」

「……そう言う事だろう。時間だ、セシリア・オルコット。間もなくチャイムが鳴る」

 

ヒイロがそう言うとその時丁度チャイムがなった。

セシリアは苦虫を噛んだような顔をして

 

「くっ…、話はまた後で。逃げないことね!よくって!?」

 

と負け犬なのかやられ役のようなセリフを言いながら自分の席に戻っていった。

 

 

 

 

「それではこの時間は実戦で使用する各種装備の特性について説明する」

 

次は千冬が担当らしく、教壇に立つと授業を始めようとする

が何かを思いだしたようで

 

「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな」

 

と言い始めた。みんなクラス代表と言う言葉を聞いて少し首を傾ける。

学級委員みたいなものかなと大半が思っているからだろう。

 

「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけでなく、生徒会の会議や委員会などへの出席…まあ、クラス長だな。ちなみにクラス対抗戦は入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点では大した差はないが競争は向上心を生む。一度決まると何か大事が無い限り一年間変更はないからそのつもりで。自薦でも他薦でもいい。誰かいるか?」

 

そう言うと女子たちは誰にするとワイワイガヤガヤ騒ぎ始めた。そして、

 

「はいっ、織斑君を推薦しますっ!」

「あたしもそれが良いと思いまーす」

 

と女子たちが言い始める。彼女たちとしては学校で唯一に等しい男がいるクラスなので一夏にやらせて士気を盛り上げようと考えてた。

 

「私はヒイロンを推薦する〜」

「……ヒイロン…」

 

ヒイロがそう言った子の方を向いた。その子は細目をしているがのほほんとしていて制服は袖をダボダボにした長めのを着ている。

 

「…布仏 本音、それは俺のことを言ってるのか?」

 

布仏 本音。ヒイロは先ほどの自己紹介でクラスの全員の名前も憶えていた。

ちなみにセシリアはハッキングとかせずにヒイロが一夏の家でこの世界の情報を集めた際にでてきた。代表候補は基本秘匿なのだがイギリスは宣伝も兼ねてセシリアの名前を挙げていたのだ。

それはさておき本音は

 

「そ〜だよ〜。だめだった?」

 

と泣きそうな顔で言ってきた。

ヒイロは少しだけ溜息をついて、そして

 

「…好きにしろ」

 

と言った。

 

「やった〜!!」

「あ、私もユイくんを推薦します!!」

 

と本音が喜びだした途端にヒイロを推薦する声が上がり始めた。

 

「他にいないのか?居なかったらどちらかがクラス代表になるが」

「待ってください!納得がいきませんわ!」

 

千冬がそう言って決めようとしたときに待ったが入った。言ったのは、机を思い切り叩いて立ち上げったセシリアであった。

彼女の顔には納得がいかないと言う顔をしていた。

 

「男がクラス代表だなんて、いい恥晒しですわ!! このセシリア・オルコットに、そんな屈辱を一年間も味わえとおっしゃるのですか!?実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります! わたくしはこのような島国までIS技術を修練しに来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては――」

 

とかなりの暴言を言われさすがに一夏は切れた。

 

「イギリスだって島国だろ。それに大したお国自慢ないだろ世界一まずい料理で何年覇者だよ。」

「なっ……!あっ、あっ、あなたねえ!わたくしの祖国を馬鹿にしますの!?」

 

と言われて一夏が言い返そうとしたときにヒイロがそれを手で制した。

一夏はそれをみて驚き発言を止めた。

 

「お前のその偏ったものの見方ではいつかその身を滅ぼすぞ」

 

と静かに力強く言った。

ヒイロの声に場の空気が一気に変わり、静かにそして重い空気になった。この場では適切な言葉ではないはずだがヒイロの言葉にとてつもない重みが感じられたゆえに静まったのだった。

「で…どうするんだ?」

 

と一夏はセシリアに聞いた。そうするとセシリアは指を一夏に刺し、

 

「決闘ですわ!」

 

と言った。

セシリアはかなりご立腹でまた一夏も覚悟を決めた顔をしている。決闘を受ける気なんだろうとヒイロは悟った。

 

「おぉ。いいぜ。四の五の言うよりわかりやすい!」

「言っておきますけどわざと負けたりしたらあなたを小間使い……いえ、奴隷にして差し上げますわ!!」

「好きにしろよ。で、ハンデはどのぐらいつける?」

「あら、早速お願いかしら?」

「いや、俺がどのくらいハンデ付けたらいいかなーと」

 

それを聞いてクラス中に笑いがおこる。笑っていないのは箒と本音ぐらいだ。

 

「織斑くんそれ本気で言ってるの?」

「男が女より強いなんて大昔の話だよ?」

 

と女子たちが大声で笑いながら言う。だがさらにヒイロが言った。

 

「お前たちのその考えも身を滅ぼす元になる。…俺がここで暴れ出し、お前たちに危害を加えようとしたら……お前たちは止めれるのか…俺を」

 

それを聞いて女子たちは笑うのをやめ、ぞっとし始めた。

ヒイロの言う通り、ISを持っていない今の自分たちに体力的に男子に勝てないのだから。

しかし、セシリアと一夏では明らかにセシリアの方が格上でもあるのも事実であった。

 

「……じゃあハンデはいい」

「ええ。そうでしょうむしろわたくしがハンデをつけなくては、いけないくらいですわ」

「さて、話はまとまったようだな。それでは勝負は次の月曜日。放課後、第三アリーナで行う。織斑とオルコット、ユイはそれぞれ用意をしておくように。それでは授業を始める」

 

千冬は手を二回叩き授業を開始された。

ヒイロの目には強い意志が見えた。この世界で…自分が教えるべきことが分かった瞬間だった。それは……『強者などは存在せず、人類すべてが弱者であること』である。

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後書き

 

良ければ感想等よろしくお願いします.

説明
第03話 クラスメイトは全員女
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タグ
ヒイロ・ユイ 再構築 ガンダムW IS インフィニット・ストラトス 

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