地獄の拳と不屈の魔法少女 3話「心の闇」 |
「ま、待って!!」
思わず、男の子を呼び止める
この子をこのまま行かせたら・・・本当に取り返しがつかないことになる・・・
そう思ったから・・・
「・・・・・」
しばらく沈黙していた男の子は、目線だけをこっちに向けてくれた
・・・とても冷たい目だった
まるで、この世界のもの全てに裏切られたような・・・・そんな目を
「君は・・・いったいどこにいるの?」
言ってすぐに、ハッとして、口を結んでしまった
私は一体、何を言っているんだ?
「ごめん、変なこと聞いて・・・」
すぐに謝って、別の話をしようと思った
でも、意外なことに男の子はそれまで閉じていた口を開いてくれた
「___俺はどこにもいやしないのさ。闇に食べ尽くされたんだ・・・・」
「えっ・・・?それって・・・」
どういう事?
そう聞こうとした瞬間に、男の子はまた歩き始めた
「あ、あの・・・!」
私はまた引き止めようと思って声をかける・・・・つもりだった(・・・・・・)
でも、思わず息を呑んでしまう事が起きた・・・だから声をかけられなかった・・・
大したことはない・・・迷子がいただけだ
お母さん・・・そう泣き叫びながら俯いている子供が私たちの近くにいた
それ自体は別に珍しいことでも、特に息を呑むほどの出来事でもない
私が驚いたのは・・・その迷子とすれ違った男の子が呟いた言葉だ
思わず、口から出てしまったような小さな呟き・・・
彼は・・・確かにこう言った・・・・
ざ、ま、あ、み、ろ
助けてくれ・・・
『お前は天の道を外れた』
誰か・・・
『ザビーでも隊長でもないお前などただの不協和音だ』
何で誰も助けてくれないんだ・・・
『先輩って・・・最低ですね』
俺はシャドウの隊長だぞ?ザビーなんだぞ・・・
『汚らわしい奴等め』
だから・・・誰か・・・
『アンタ資格者だったんだろ!ザビーゼクターを奪われたままで悔しくないのか!』
誰でもいいから『俺』を見てくれよ・・・
『目障りだなぁ・・・!』
誰か助けてくれ・・・!
『使えない男だ・・・殺れ』
『…俺の弟になれ』
・・・やっと見つけた
『俺』を助けてくれる人
_______兄貴
俺は必死になって、兄貴に手を伸ばす・・・
でも、伸ばしたその手はどんどん腐っていく・・・
腐って腐って・・・腐り落ちる
その時気づいた・・・この手は俺自身なんだ
俺はもう・・・腐り落ちてるんだ
誰にも俺は相手にされない・・・ただの汚物なんだ
「結局・・・俺なんて生まれた意味がなかったのさ・・・」
そんなことを呟きながら、俺は近くに落ちていた小石を蹴る
もう真夜中だっていうのに、俺はまだ何も出来ずにいた・・・
これも、あの金髪のガキのせいだ
昔からそうだ。何かをしようとすれば、必ず誰かに邪魔されるんだ
ZECTで人のためにがんばれば、カブトにあっさりとやられて
ザビーとしてシャドウを率いれば、あの糞ワーム共と天道にザビーゼクターを奪われて
落ちるところまで落ちれば、またワーム共に・・・・自分が人間と言う事実さえ奪われた
なんだ?俺が何をしたって言うのさ?
「何で俺ばっかり・・・こんな目に・・・!」
怒り、憎しみ、嫉妬、恨み、妬み、殺意
それらの感情が自分の中でぐちゃぐちゃに混ざっていくのが分かる
どうせ死ぬんなら・・・・いっそワームとしてこの町のやつらを皆殺しにしてやろうか?
そんな考えが頭の隅によぎった
いや、それは駄目だ
薄っぺらい正義感なんかじゃなく、自分の埃まみれのプライドがそれを許さない
それじゃ、俺はあの虫けら共と本当に同じになる
誰がワームなんかに・・・!
・・・また考えが振り出しに戻った
俺はいつまでこうして苦しめばいいのさ?
「誰か助けてくれよ・・・。なぁ・・?」
誰に届くわけでもない手を伸ばす・・・・
その手を・・・誰かが掴んだ
俺の手を掴んでくれる人・・・まさか・・・!!
「兄貴!?」
「瞬君!!」
お前かよ!!!!
「ど、どうしたの瞬君?突然すっごい怖い顔になって・・・。なにか嫌な事でもあったの?」
「お前だ!お前!!変に期待させやがってさ!!」
「期待??あっ!やっぱり、迎えに来るの待ってたんだね♪」
あ、うん。こいつ殺そう。もうワームでも何でもいいから、こいつ殺そう
こいつの頭の中のお花畑に害虫を撒いてやる・・・!
「ねぇ、瞬君・・・・」
「何さ・・・・俺のこと笑いに来たのか?」
「ううん。笑わないよ。瞬君、あの後、お父さん達と相談したんだけどね・・・」
俺は黙って次の言葉を待つ
「瞬君を・・・高町家で引き取ることにしました!!」
「無理」
正直、予想はしていた・・・
このガキの家族はいかにもおせっかいが大好きそうな偽善者一家だった・・・
そうなると、こんな汚いガキ(ホントは20歳)を見つけたら、引き取るなんて言いそうなもんだ
ZECTにいた頃も、偶にワームの被害者の子供を引き取る家なんてあったしね
・・・ま、そんなことはどうでもいい
「俺は闇の住人なんだ。お前ら日向の道にいる奴等の家になんて誰が・・・!」
「う〜ん・・・。ねぇ、瞬君」
「なにさ?」
「私さ・・・闇の住人とか、あんまり難しいことは分かんないんだけど・・・瞬君が、本当は寂しがってるって事は分かるよ」
はぁ?何を言い出すかと思えば・・・
こいつ、本格的に頭おかしいんじゃないか?
「なんでもいいから、もう帰れ」
「うん。一緒に帰ろう?」
「俺には帰る家なんてない・・・!」
だんだんイライラしてきた・・・!
「帰る家がないんなら、それを見つけるために戦えばいい・・・。って草加さんも言ってたよ」
待て、誰だそいつは?
「テレビのヒーローだよ。・・・ヒーロー・・・なのかな・・・?うん、多分ヒーロー」
説明 | ||
仮面ライダーカブト×魔法少女リリカルなのは 俺は死んだ… 兄貴に殺してもらった… けど… なんで生きてるのかなぁ!? しかも、目を覚ましたら、日なた側の住人に家族宣言されたよ、兄貴 |
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続きを待っています!(biohaza-d) | ||
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