超次元ゲイム ネプテューヌmk2 〜Blue Wind〜(〜About〜)
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場面は一転し、ここはプラネテューヌ。

 

ゲイムギョウ界の西方を治める先進国家だった。

先進国と言う名に相応しく国内では最先端技術が進み、その技術力を活かし国内では様々な建物や工場の建設が進んでいた。

建物だけでなく、ゲームの生産もゲイムギョウ界でトップレベルと言える。

その一方で自然豊かでもあった。

プラネテューヌの中央には大きな建物―――『プラネタワー』が建っている。

 

そのプラネタワーの最上階近く―――広大な謁見室で浮遊した本に腰掛け、イストワールは小さく溜息をついた。

その瞳には不安が満ちていた。

 

――あれからアイエフさん達はどうなってしまったのでしょうか――?

 

まさに送り出した二人の少女の身を案じていたその時だった―――。

 

カッ!

 

「!」

 

突如謁見室内の空間が光り出した。

「わああああ―――お!!!」

「「キャアッ!?」」

 

ドサッ!

 

「アウチッ!」

その光の中から四つの影が現れ、呆然とするイストワールの目前に落下する。

「イタタタ……」

「痛いですぅ……」

その正体―――アイエフとコンパは立ち上がりながら頭を振る。

何が起きたのか把握できずイストワールは目を丸くした。

「―――アイエフさん?コンパさん?」

「え?イストワール様?」

イストワールの存在に気付いたアイエフも目を丸くする。

「どうしてイストワール様が?」

「もしかしてここはプラネテューヌですか?」

「はい、そうですが……」

三人の間に何とも言えない沈黙が流れた。

無理も無い。三人には何が起こったかさっぱり分からないのだから。

「―――そうだネプギア!!」アイエフはソニックを振り返る。

「心配すんな。ネプギアは無事だ。」

アイエフが見たのはソニックの腕の中で静かな呼吸の音をたてて目を閉じているネプギアだった。

アイエフはホッと胸を撫で下ろす。

「コンパ、ネプギアをベッドにでも寝かしといてくれ。」

「は、はいです!」

ソニックはそっとネプギアの体をコンパに抱き渡す。

「うぅ、ギアちゃんちょっと重いです……」

「コンパさん、ネプギアさんの部屋は分かりますか?」

「はいですぅー!以前ねぷねぷの部屋へ遊びに行ったことがありますから!」

 

プシュ――!

 

ネプギアを抱き抱えたままコンパは謁見室を後にした。

「ふぅ〜!やれやれだぜ!」

 

ドッ!

 

ソニックは壁に寄りかかりそのまま腰を落とす。

「あなたは……?」

イストワールが恐る恐るそんなソニックに尋ねる。

「……ん?ああ、俺はソニック!ソニック・ザ・ヘッジホッグさ!」

「ちょッ!アンタ少しは言葉を慎みなさいよ!」

突っ込むアイエフにイストワールはフフフと優しく微笑む。

「構いませんよアイエフさん。ネプテューヌさんだってそうなのですから……」

「まったくもう……あっ彼はギョウカイ墓場で私達を助けてくれたんです。」

自己紹介をしたソニックにアイエフが補足する。

「そうでしたか。そうとは知らずに……」

「Don’t worry!」

申し訳なさそうに言うイストワールにソニックは笑顔で返す。

「私はイストワールと申します。ここ、プラネテューヌの教祖です。」

「……教祖?」

聞き慣れない言葉にソニックは首を傾げる。

「簡単に言えば国の女神に仕える教会のリーダーのことよ。本来教祖の条件は女神様に選ばれるとかまぁ色々あるんだけど、イストワール様は特別で大昔に治めていた女神様が作り上げた人工生命体でもあるわ。プラネテューヌの歴史の記録者としての役割を与えられているの。」

イストワールの代わりにアイエフが説明する。

「……さっきからずっと気になってたんだが、女神って何だ?」

「その前に私からも一つ質問してもいいかしら?」

「What?」

ソニックは立ち上がったかと思うと二人の傍にあった長椅子に腰掛ける。

 

「……アンタ一体何者?」

 

「Hun?」

 

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プシュ――――!

 

自動ドアが開く。

目の前には可愛らしい光景が広がっていた。コンパはネプギアを抱きかかえたまま部屋に足を踏み入れる。

 

――そう、ここは女神の部屋だった。

 

だが女神の部屋と言えども、ともすると普通の女の子が暮らしていそうな身近な感じのする部屋だった。

大きな本棚には『現代の技術』や『一番いいのを頼む』といったちょっと女の子が読むには不自然なものもあったが、その本棚の上には可愛らしいクマのヌイグルミが置かれていた。

普通の女の子の部屋との違いを強いて言うならば、部屋の面積がとてつもなく大きいことくらいだった。

窓から部屋の入口までは恐らく20mはあるのではないだろうか。

 

チラッ――

 

コンパはふと視線を右側に向ける。

そこにあったのは仲良く並んだ二つの勉強机。

片方は綺麗に整頓されていたが、もう片方の机の上には鉛筆やボールペンや蛇のヌイグルミが散乱していた。

どちらが姉妹のどちらの机であるかは一目瞭然である。散乱している方が姉の物だろう。

 

ジワッ――

 

コンパはそんな机を見ていると涙が溢れ出そうになったが、なんとか堪えた。

やっとの思いでネプギアのベッドまでたどり着いた。コンパはそっとネプギアを寝かせる。

女神の名に相応しい綺麗な顔で静かに寝息を立てているネプギアに布団をかける。

その時だった―――。

 

「―――……ん」

「え?」

寝言か、ネプギアが何かを呟いた。コンパは咄嗟に聞き返す。

「――……ぇ……ちゃん……」

「……ギアちゃん?」

閉ざされたネプギアの目から涙がこぼれ落ちた。

 

「―――……お姉……ちゃん………」

 

まるで何かを訴えかけるかのようにネプギアは静かに呟く。

「ギアちゃん……。」

とうとうコンパも堪えきれず、悲しげに顔を歪めて涙をこぼし始める。

コンパはそっとネプギアの額を撫で続けた。

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「……ぐすっ……」

涙をすすりながらコンパは一人廊下を歩いていた。

 

―――とりあえずあいちゃん達の所へ戻りましょう……。

 

その時――

 

「別の世界から来たぁッ!!?」

奥の部屋――イストワール達が居るはずの謁見室から頓狂な声が響く。

「ひゃうッ!?」

コンパは驚いて飛び上がり、駆け足で謁見室に入っていった。

「あいちゃん、どうかしましたか?」

「あ、コンパ!」

「……たくお前声デカイってのに……」

謁見室に居たのは、真剣な表情のイストワールに何があったかは分からないがとにかく驚いているアイエフ、そして呆れたように耳を塞ぐソニックだった。

「???一体何があったんですか?」

コンパの頭から「?」が飛び出す。

ソニックがよっこらせ、と腰を上げ再び壁に寄りかかる。

 

「……俺は別世界から来たかもしれないって言っただけだ。」

 

「……はい?」

コンパの頭上の「?」がますます増殖する。

「まず私が何故ソニックさんがギョウカイ墓場に居たのか聞いたのです。」

「そしたら『ヒゲオヤジに飛ばされた』なんて言うもんだからつい……」

アイエフは頭を掻く。

「……何かよく分からないですぅ。最初から説明してもらってもいいですか?」

その言葉にソニックは溜息をつく。

「……All right。まず俺は俺が元々居た世界でいつものようにエッグマンっていうまんまるっこいヒゲのオッサンの計画を阻止しようとしていたのさ。んで、俺はエッグマンを追い詰めた。……けどそいつはエッグマンの罠だったのさ。エッグマンは俺からカオスエメラルドを奪って―――」

「ストップ。」

「What?」

「カオスエメラルドって何?」

アイエフの質問にソニックはどこからか青い宝石のようなものを取り出す。

「わーッ!綺麗ですぅ!」

「こいつがカオスエメラルド。俺達の世界で『七つ集めると奇跡を起こす』って言われている宝石さ。赤・緑・黄・青・水色・白・紫色のがあるんだぜ!」

「分かったわ。続けて。」

「んで、俺からカオスエメラルドを奪ったエッグマンはそれを利用して人工の『カオス・コントロール』で―――」

「だが断る」

「は?」

「ごめん何でもない。『カオス・コントロール』って?」

「……どうでもいいけど、お前『だが断る』の使い方が間違t―」

「いいから早く。」

「……カオスエメラルドの力を引き出して時空を歪める技さ。周りの時の流れを遅くしたり瞬間移動が出来たりする技さ。」

「……ちょっと待って。確かアンタギョウカイ墓場で『カオス・コントロール』を使ってなかった?」

「ああ、使ってたぜ。」

「『カオス・コントロール』は一つだけでもできるの?」

「Of course!」

「じゃあアンタその気になればいつでも帰れるんじゃないの?」

「いや、それは無理だ。奴は七つのカオスエメラルドを使って俺をこの世界へ飛ばしたわけだ。たった一つだけじゃエネルギーが足りなくてまた別世界へと行ってしまう。で、エッグマンはカオスエメラルドを逆用し俺を別世界へ飛ばしたのさ。」

「それでギョウカイ墓場へ降ってきたのね」

納得したようにアイエフが首肯する。

 

―――そしてずっと引っかかっていた疑問を投げかけた。

 

「―――じゃあ、アンタが言ってた『絶望へと変わりかけている』ってどういうことなの?」

「Hun?」

怪訝そうにソニックは首を傾げる。

「地面に埋まってたアンタを引っこ抜いたらアンタ何か言ってたじゃない。」

「ピク●ンッ!って?」

「誰がんなこと言った」

「ああ、あのことか。俺がエッグマンにこの世界へ飛ばされる直前に俺を何処へやるつもりなのかを聞いたのさ。そしたら奴は『これから絶望へと変わりつつある世界だ』って言ったのさ。」

その言葉に静聴していたイストワールは少しだけ表情を曇らせる。

「絶望へと変わりつつある世界―――ですか。確かにその通りかもしれませんね。」

「どういうことだ?」

「――まずはソニックさんが先程から気にかけている『女神』についてお話します。

まずこの世界には四つの国家が成り立っています。

プラネテューヌ、ラステイション、ルウィー、リーンボックス……

そしてそれぞれの国を守護しているのが『守護女神』です。彼女達の力の源が人々が生来持つ『信仰心(シェア)』であるため、各国の象徴とされています。」

「Time!」

「なんでしょう?」

「なら、もし女神が信仰されなくなったらどうなるんだ?」

 

イストワールは言いにくそうに俯く。

 

「―――その女神はゲイムギョウ界では存在できなくなり、ギョウカイ墓場へと葬られます。」

「それってさっき俺達が居た場所か?」

「そうよ。」

アイエフが首肯し、コンパが更に補足する。

「でも私達の知っている限りではそういう女神は居なかったです。」

「それはプラネテューヌだけの話でしょ?」

さらにアイエフが突っ込む。

「話を戻しましょう。女神は二つの姿を持っています。まず普通の人間の姿、そして女神の姿です。」

その言葉にソニックは先程見た光景を思い出す。

 

――じゃあ俺の腕の中でネプギアが姿を変えたのも……。

 

「―――そういうことだったのか……」

納得したようにソニックは首肯する。

「じゃああの姿の違いは何だ?」

「女神化は主に戦闘に見られます。一言で言えば戦闘モードですね。ですが、勿論人間の姿のままでも戦うことはできます。」

 

―――そしてソニックもアイエフ同様、ずっと引っかかっていた疑問を投げかける。

 

「……じゃあ、犯罪組織って何だ?」

 

その言葉にイストワールは背後にあった長机のキーボードを叩き、机の上にスクリーンを介さないホログラムを映し出した。

「ヒュ〜♪流石先進国だな!」

「ソニックさん、これを見てください。」

画面の妨げにならまいとイストワールが場所を移す。

「……What’s this?」

ソニックが目にしたのは髑髏の埋め込まれた何やらROMらしき物だった。

「――『マジェコン』。大抵の物は何でもコピーできる万能ツールです。」

「つまりどういうことだ?」

「まぁ簡単に言えば某育成ゲームだったらマ●ターボールを999個にできたり所持金が9999999円になったりとか……」

「……なんだそりゃ?そんなのやって何が楽しいんだ?」

「犯罪組織は『犯罪神』を崇拝することを条件にこの『マジェコン』をゲイムギョウ界に普及させているのです。」

「犯罪神……?また変なのが出てきたな。」

「遥か昔から存在する邪神です。強大な力を有し過去にゲイムギョウ界を壊滅させようとしたものの古の女神に封印され今はギョウカイ墓場に眠っています。」

ソニックは眉間に皺を寄せる。

 

「……じゃあその犯罪組織って奴等の目的は……」

 

「はい、犯罪神の復活です。」

 

謁見室内に重い沈黙が奔った。

 

 

―――ピリリリリリリリリリリッ!!!

 

その沈黙を破ったのは何処からか響いた携帯の着信音だった。

「あ、ごめん私だわ。」アイエフはポケットから携帯を取り出す。

 

ピッ!

「はい、もしもし……」

アイエフが通話しながら謁見室内を出ていった。

それと同時にイストワールがソニックを振り返る。

「ソニックさん、続きはネプギアさんが目を覚ましてからお話します。この続きはネプギアさんにも一緒に説明してしまいたいので……」

「All right。」

 

プシュ―――!

 

再び謁見室のドアが開く。

「あいちゃん、どうかしましたか?」

呆れ顔で入室してきたアイエフにコンパが声をかける。

「……なんかプラネテューヌの巨大噴水広場で『マジェコン』配ってる馬鹿が居るらしいからちょっと行ってくるわね。」

「……そうですか、とうとうプラネテューヌにも現れましたね。アイエフさん、よろしくお願いします。」

「あいちゃん、私は――」

「コンパはネプギアをお願い。」

アイエフが謁見室を出ていこうと駆け出す。

 

ギュンッ!

 

「アイエフ!」

だが、先回りしたソニックが立ちはだかった。

「ちょッ!危ないじゃない!」

アイエフが急ブレーキをかける。

突如ソニックはアイエフに背を向ける。

「掴まれよ。」

「はい?」

自分の背中を指差すソニックにアイエフは聞き返す。

「急いでるんだろ?」

「そりゃあそうだけど……」

 

ガッ!

 

有無を言わせずソニックはアイエフの両腕を掴み自分に掴ませる。

「ってちょッ!?アンタ!」

「しっかり掴まってろよ?飛ばすぜ!」

 

ギュンッ!

 

勢いよく走り出したソニックの先には――――

 

「って、そっちは窓じゃない!」

「ああそうさ!」

「……アンタ……まさか……!?」

「そのまさかかもな!」

 

バッ!

 

ソニックは窓を開け飛び出した。

「きゃああああああああああああああああああ――――――!!!!!?」

高さ300mを超える場所にある謁見室から―――

「いやっふ―――――ぅ!!!!」

「二人共行ってらっしゃいですぅ〜……」

コンパの声がフェードアウトしていった。

 

 

 

説明
ソニックはいつものようにエッグマンの計画を阻止しようとしていた。だがそれはエッグマンの罠だったのだ。カオスエメラルドの力で別世界へと飛ばされてしまったソニック。そこはゲイムギョウ界と呼ばれた異世界だった。そしてその世界でネプギアと言う名の少女に出会い―――……ネプギアは姉を助け出すことは出来るのか?ソニックは元の世界へ帰れるのか?これは、ネプテューヌmk2にソニックが居たら――のもしもの物語である。――――
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このハリネズミは相変わらず……(FDP)
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