死にたがりの第五十六話 二つの罪 |
「うーわー……沢山いるな〜……」
機械兵がゾロゾロゾロゾロ……。
まぁ、軽く……。
「ぶっ壊してやんぜ……ガラクタァ!!」
俺は走り出して、機械兵どもの注意をひきつける。
案の定、機械兵は俺を追っかけてくる。
魔法が使えなくてもなぁ、俺には魔眼があるんだよ!
「潰れろぉ!!」
ゴグシャァッ!!
俺は空気や石を大きなハンマーに変えて、機械兵を攻撃する。
機械か……これって動力は魔力なのかな?
そうだとしたら、茶々丸もこの機械兵と同じ作り方で作れば出来るな……。
でも、機械は完全に俺の専門外だし。
どっちかって言ったら、球体関節とかを作ったりできる程度。
今ならローゼンメインデンが第一から第七まで作れるぜ!
「邪魔だ!!」
キュイイン!
機械兵が剣で俺を斬ろうとしたところを、俺はその剣を折る。
やっべぇ……流石にこの多さじゃ、魔法使わないとキツイね……。
その時、後ろから物凄い音が聞こえた。
俺は後ろを振り返り、そちらを見る。
「遅いじゃないか!全く、俺一人で戦わせるんじゃないよ!」
「君が一人で勝手に時の庭園に行ったんじゃないか!君はなのはとフェレットモドキに着いて行ってくれ!ここは僕一人で引き受ける!」
「フェレットモドキって言うな!」
ユーノが何か叫んでるけど、気にしない。
んじゃ、お言葉に甘えて。
「死ぬなよ!」
「お互いにな!」
俺は一気に駆け出す。
目の前に居る機械兵を蹴散らしながら、俺は勢いをつける。
後ろから俺を狙っている機械兵は、なのはとユーノのペアが何とか防いでくれている。
て言うか全て壊している……。恐ろしや……。
それにしても、何で俺が戦闘に立ってるんだ?
……もしかして貴様はここを懺滅してから来る気だなクロノ……。
原作だと、倒してからなのはとユーノと一緒に行くくせに……。
どうせ俺が説明役になるんだろうよ!
「行くよ!なのはちゃん!」
「うん!!」
そして無事になのはと合流。
扉を開けて中に乗り込む。
「うひゃ〜、床ボロボロ……」
「これは……虚数空間か……!」
「なのはちゃん!その黒い穴の空間に落ちないように注意して移動してね!その空間はあらゆる魔法を無効化する空間だから、落ちたら最後。飛行魔法も使えないから、重力落下で底まで落ちて、二度と上がってこれないから!」
「分かったよ!!」
虚数空間に落ちないように気を付けて進んでいると、また扉が見えてきた。
それを蹴破って中に入ると、そこにも外に居た機械兵がたくさんいた。
「……ヤバいな……」
「これは流石に……」
「……でも……」
「「「やるしかない!」」」
俺達はまた走り出し、目の前の機械兵を壊していく。
「なのはちゃん!ここから二手に分かれよう!なのはちゃんとユーノは、最上階の区道路封印を!」
「アニス君は!?」
「俺はプレシアさんの元に向かう!そっちは任せたよ!」
「了解!!」
そう言って、なのははユーノを抱えて、フライアフィンを使い飛ぶ。
……ユーノ、幾ら飛行魔法が使えない空って……女の子に抱えられるのって、情けないと思うぞ……。
「アニス君!気を付けてね!!」
「なのはちゃんに心配されるたまじゃないよ!!任せたよ!」
「うん!!」
なのはと一言二言かわして、別々に分かれる。
さってと……んじゃま……。
「久々の登場でぇぇぇす!使い魔召喚!ザゼルさん!イシュタル!!」
魔力を使わないから、簡単にこの二人を呼び出せる。
うむ、マジで久々の登場だね。
「はぁーい!アニス君の為なら例え火の中水の中!ザゼルさん登場!」
「あぁ〜!?もう少しで妖々夢ノーミスでルナティッククリアできそうだったのにぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
ザゼルさん、自重してください……。
そしてイシュタル……お前すげぇな……ルナティックとノーミスとか……TAS使ってんじゃないだろうな?
「ザゼルさん!イシュタル!ここの部屋の機械兵をお任せしても良いですか!?」
「任せてください!さぁ、アニス君のお願いごとですから、張り切って行きますよ!」
「ふっ……ふふふ……この抑えようのない怒り……お前らで晴らしてくれよう!!来なさいエア!!」
……ザゼルさん&イシュタル無双……。
て言うか……イシュタルがエア出した時点で無双決定……。
機械兵のみなさん……ご愁傷様……。
俺はそんな事を思いながらも、急いでプレシアの元に向かう。
さって、どうやってもう一人のプレシアを鎮めようかな……。
つうか、俺に出来るのだろうか……。
「まぁ、やらんと未来はないのよのお!!」
さて……もしまたもう一人の方に飲み込まれてたら。
上条さん直伝、男女平等パンチで沈めてやる!
俺はどんどん道を突き進む。
突き進んで突き進んで、ついにプレシアが居るであろう部屋の前に着いた。
「ハァ……ハァ……着いた……」
俺は息を整えながら、考える。
もう一人のプレシアさんが出ている場合は、もう躍起になっているだろう……。
そんなプレシアさんに、まともに相対出来るか?
……できれば、武器が欲しいな……。
だけど……無い物ねだり出来るほど、余裕もない……。
「よしっ!行くとしますか!!」
俺は勢いよくドアを開けて、中に入る。
「プレシアさん!!って……いない……だと……」
あっ、そうか……アリシアが居る奥の隠し部屋に居るのか……。
仕方ない、行くか。
俺は奥の部屋に移動しようとする……が。
(……待って……)
それを、誰かの声に止められてしまう。
……この声……何処かで……。
(待って……)
「誰だ!?」
ここには俺と、奥の部屋に居るプレシアしか居ない筈……。
誰だ?
(私の声が聞こえるんですね!?良かった……私は、アリシア……アリシア・テスタロッサです)
……アリ……シア……。
何でそんな者が俺に話しかけて来てるんだ!?アリシアは亡くなってるはずじゃ……。
(私は、今魂だけの存在です……。いわば幽霊……)
「……幽……霊……まさか!?」
斬魄刀のせいか!?
あれは曲がりなりにも、人間を軽い死神化させる程度の力はある。
現に、卍解を使えば死覇装になったりもするし……。
「それで、アリシアちゃんが一体何の用かな?」
(……お願いです……私のせいで変わってしまったお母さんを助けてください!!私は……ただ見てる事しか出来なかった……私を生き返らせるために、無茶な研究をしたり……もう一人のお母さんが、私の妹を傷つけたり……私!もうそんなお母さんを見たくないんです!!私が変えてしまったお母さんを!助けてください!)
アリシア……。
……全く、何を言ってるんだか……。
「当たり前ですよ?その為に、ここに来たんですから」
(ありがとうございます!!私は、もうお母さんを見守る事しか出来ません……ですから……もう問えて上げてください。そして、伝えてください……私の為に、もう傷つかないで。私の為に、フェイトを傷つけないで……って……)
「……うん、必ず約束する……だから、安心して……休んでください」
(……ありがとう……お兄ちゃん……)
そして、声は聞こえなくなった……。
……そして、俺は……。
「…………プレ、シアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!俺は、もう本気で怒ったぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
かつてないほどの怒りを、露わにしていた。
止める!死んでも止める!!
死んでも尚、母のせいで……いや、もう一人の母のせいで、自分の娘の魂がずっと縛られていた……。
自分の娘を、ずっと心配させて、縛っていた……。
てめぇは……もう許さねぇ!!
フェイトを傷つけ、あまつさえ自分の我が子までも傷つけていた!
過去に縋り付く亡霊が、どうしてそんな事をした!!
「……もう、慈悲も情もくれて上げない……」
俺は俯きながら、奥の部屋に向かう……。
このかつてない怒り……そのふり幅を、どうしてくれよう……。
久々だよ……ここまで俺を怒らせた馬鹿は……。
「……ここか……」
ドアがしまっている隠し部屋を見つけた。
俺はそれを思いっきり蹴破り、中に入る……。
そして、広がる一本道……。
靴の音と、誰かの狂った声だけが木霊するこの部屋……。
「……来たわね……」
「……………」
そして、すぐに目に映る……亡霊。
俺は俯きながら、プレシアに問う。
「……最初に聞いておく……アンタは……どっちのプレシアだ……?」
「……私?……そうね……フェイトを人形としか見てない方の私って言ったら……分かるかしら!!」
プレシアは杖を振るって、俺に攻撃を仕掛けてくる。
俺はそれを見向きもせず……ただ歩くだけで、それを回避する。
次は右、今度は左……頭上……右足狙い……左足狙い……。
俺はそれは、全て避ける……。
「くっ……!どうして当たらないの!!」
「……てめぇは……二つ……やってはいけない事をした……」
ビシャァッ!!
雷撃の雨を、俺は避け撒くる。
俺の急所を狙ってる攻撃だろうけど……今の俺には、かすり傷一つ負わせられない。
「……一つ……自分が生んだ……フェイトを……娘を生き返らせたいが為に、使い捨てにしようとした……」
「こ、来ないで!!」
後ずさりながらも、攻撃の手を止めないプレシア……。
憐れだな……ホントに哀れだわ……。
「……二つ……本当のプレシアの体を危険にさらしてまで、アリシアを生き返らせようとした……そのせいで、アリシアを……実の娘を悲しませた……」
「これで死になさい!!」
プレシアは自分の体の負担も顧みず、最大魔力で砲撃魔法を放ってくる……。
……ざけんなよ……。
「……借り物の体で、これ以上プレシアさんの体に負担掛けてんじゃねぇぞ!!」
俺はその魔法を魔眼で分解する。
これで攻撃のカードが無くなったプレシアは、徐々に俺から距離を取って後ずさる。
そして、俺は一気に、プレシアの元まで駆け出し。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
思いっきり……。
ドゴッ!!
「ッハァ!!?」
バゴォン!!
顔面を殴りつける。
さっきの魔法の負担もあってか、すんなりプレシアは気を失った……。
そして、俺はズルズルと崩れていき……。
「ハァッ……疲れた……」
座り込む。
……さて……後は、なのはとフェイトとユーノとクロノが来るまで待ちますか……。
時の庭園崩壊まで……残り……数十分……。
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とことん上条化したアニスたん | ||
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