超次元ゲイムネプテューヌ 3dis Creators_002 |
序 章:インサート・コイン
C002:道ばたのキノコ
○プラネテューヌ・ギルド受付・クエスト報告ブース
ブースのクエスト報告受付手前の壁にクエストチェッカーと言う機械がずらりと並んでいる。
ネプギア、クエストチェッカーの前に立ち液晶パネルをタッチする。
クエストチェッカーに「右手を台の上にお載せください」という案内画面が映し出される。
ネプギア、その平台に右手を置く。
チェッカーからぽんと言う音が鳴ると同時に、平台が赤く光り、ネプギアのソースコードにアクセスし始める。
クエストチェッカーの音声「お客様のソースコードにアクセスしています」
しばらくして、またぽんと音が鳴り、今度は「お客様のログを確認いたします クエストの一部始終の期間を入力してください」に画面が変わる。
ネプギア、入力を終えると、チェッカー上部、空中に3つのコンソールが浮かび上がり、
そこにログのロード状況、行動の詳細スクリプト、その時のフレーム数、CPU負荷度などの健康状態が細かくモニターされている。
チェックをひとしきり終えると、ぽんという音と共に平台が緑色に光る。
「チェックが正常に完了いたしました 右手にプログラミングしたキーをクエスト報告受付ゲートに読み取らせてください」と画面で指示する。
○同・クエスト報告受付
ネプギア、受付ゲートの前で右手をかざす。
ゲートからネプギアの右手にプログラムされたキーを読み取る音が聞こえる。
キーが認証され、無数の穴が空くようにゲートが開いていく。
ゲートの奥で憂いているような表情をしている受付の女性と目が合う。
受付の女性、ネプギアと目が合うと笑顔を作りあいさつし、しとやかに一礼する。
受付「お疲れ様です。ネプギア様」
ネプギア、遠慮がちに礼を返す。
ネプギア「いえ、まだこれからです。”アイデン村”への移民問題の原因もわからない今、新型マジェコンでのチーティング犯罪は、国にとって強い脅威ですから」
受付の女性、またも憂鬱そうな表情を浮かべる。
受付「……戦いの”ゲイム”は、もうプログラムされてしまっているのでしょうか……」
ネプギア、受付の女性を見据え、力強く言う。
ネプギア「大丈夫です。運命は、わたし達で((プログラムし|つくりあげ))ていくものですから」
受付の女性、ネプギアの言葉に表情を和らげる。
受付「……私も微力ながら、お力添えをさせていただきます」
ネプギア「心強いです」
その後、慣れた手つきで空中にコンソールを出し、フリックとドラッグを駆使しクエスト報酬の清算を行う。
クエスト登録者がネプギア、コンパ、アイエフの三人。
しかし報酬はネプギアに一括して払う契約のためネプギアに与えられる。
受付の女性、ひとしきりコンソールの操作をし終えるとネプギアに伝える。
受付「それでは、右手をテーブルの上に」
ネプギア「はい」
ネプギア、指示通りに受付テーブルの上に右手を乗せる。
受付テーブルは赤く点灯し、間もなく音と共に緑に点灯する。
受付「報酬の1000クレジットです、それと……」
受付の女性、((地球次元界|プレイヤーディメンジョン))にあるシングル盤レコード程の大きさをした銀色の円盤をネプギアに渡す。
ネプギア「これは……?」
ネプギア、受付の女性から円盤を受け取る。
受付「依頼者からの副報酬……だと思ってください」
ネプギア「はい」
遠くの方からネプテューヌの声が。
ネプテューヌ「ネプギアー!」
ネプギア、振り向きながら返事をする。
ネプギア「はーい!」
○同・ギルド前・夜
関数の精霊達が遥か高くで、星のように光を放ち夜空を漂っている。
その空の下、少量のライトに照らされ、青々と覆い茂っていながらきれいに手入れされた木々が立ち並ぶ。
ネプテューヌ、ネプギア、コンパ、アイエフが薄暗い中でちっとも車が通らないためか車道を歩いている。
ネプテューヌ「ふ〜ギルドクエスト終わりー」
ネプギア、ネプテューヌに注意する。
ネプギア「も〜。ダメだよ簡単に変身しちゃー」
ネプテューヌ、ネプギアの方を振り返り後ろ向きで歩く。
ネプテューヌ「だって明かりが欲しかったんだもん。暗いとこ一人で歩くのヤダ怖い」
ネプギアから視線を外し、向き直って伸びをする。
アイエフ「今日は何? 迷子?」
ネプテューヌは歩きながら返す。
ネプテューヌ「ちーがーうーっ。いーすんと一緒にベールんとこ行って資源分けてもらってきたの」
アイエフ、肩をすくめる。
アイエフ「資源かぁ、そんなモンより今は国民がほしいわね」
コンパ、俯きつつ。
コンパ「プラネテューヌもすっかり寂しくなっちゃったです……」
ネプテューヌ、コンパとアイエフの肩を片方ずつ掴んで揺らす。
三人もそれに釣られて止まる。
ネプテューヌ「も〜〜暗いよ! そんなこといってるから余計暗くなっちゃうんだよ! よく言うじゃん。本当の闘いはここからだぜって」
ネプギア「そうですよ。わたしたちが頑張らなきゃ」
コンパ「……そうですね。今はこつこつと積み上げるべしです」
ネプテューヌ、向き直り右の拳を空に突き上げ再び歩き出す。
ネプテューヌ「そーそーその意気!」
○同・ギルド前ローディングポータル
四人、十字キーを模したつめれば100人入るような広さの円形ポートに立つ。
アイエフ、ネプテューヌと話しながら携帯を開くと、自動的にポートの運転状況のデータが出て来る。
アイエフ「ネプ子にしては正論ね。普段から仕事をネプギアとイストワール様に投げちゃってるくせに」
待ち受け画面には光をまとった両翼と舞い散るその羽根の画に「光翼天昇」と書いてある。
画面の上の方に「55((R|ラウンド)):19((Cl|クロック)):12((Ci|サイクル))」、その下に「PM09:02」と書かれている。
アイエフ、ネプテューヌに再び目をやる。
ネプテューヌ「ぶー! ネプ子さんは明日アイデン村調査ですよー!」
アイエフ「はいはい……」
呆れを若干含んだ笑みになるアイエフ。
コンパ、アイエフの後ろ、肩越しから待ち受け画面を覗き込む。
コンパ「……じ〜っ……」
アイエフ「って、うぉぉっ?」
慌てて画面を自分の体で隠すアイエフ。
コンパ「あいちゃん、待ち受け変えたですか?」
アイエフ「そ、そ、そうよ? なにか?」
コンパ、アイエフから一歩離れて、不安げな表情。
コンパ「デートの写真は消しちゃったですか?」
アイエフ、顔を赤らめてコンパの方に一瞬で振り向く。
ネプテューヌ、ネプギア、各々反応を見せる。
ネプテューヌ、ネプギア「おぉ〜!」
アイエフ「なっ////こ、ここで言うことないでしょ!?」
アイエフ、携帯を両手で大事そうに持ったまま、コンパに詰め寄る。
目線を斜め下に向け、聞こえそうで聞こえない声で呟く。
アイエフ「け……消してない」
半歩距離を詰めるコンパ。
コンパ「え?」
そのまま固まるアイエフ。
アイエフ「うぅ……」
ネプテューヌ、((囃|はや))したてるように上目でにやけて詰め寄る。
ネプテューヌ「おやおやぁ〜? あまずっぱい青春ですなぁ〜お二人さん」
アイエフ「うるさいっ!!」
アイエフの眼前に15番ラインが利用可能であることを示すコンソールが開く。
アイエフ、眼前に現れたので驚いて後ずさる。
アイエフ「わぁっ!?」
ネプテューヌ「((エラーし|テンぱり))まくっちゃって〜あいちゃん」
アイエフ「あ〜〜も〜〜〜っ!」
苛立ちながらコンソールをタッチ・フリック操作し行き先のポートを設定する。
行き先の項目をハネダシティ-サニーライオ-3ポータルにする。
コンパがアイエフの操作を見ていると、顔から約30センチ離れた所にコンソールが出てくる。
コンパ「あ。来たです」
コンパもコンソールを操作し行き先を設定しだす。
アイエフ、室内タイプをノーマルに、コンパはカジュアルに設定。
コンパが送信キーをタッチしようとすると、アイエフが止める。
アイエフ「コンパ! そこ違う……」
一瞬震えあがるコンパ。
アイエフ、手を伸ばしてコンパのコンソールをいじり、行き先をハネダシティ-キャロットエリア-1ポータルに直す。
合点がいったコンパ、アイエフと同時に送信キーをタッチする。
コンソールの表示が「Now Loading」になり、二つ同時に音声が響く。
ポータルスタッフ電子音声「ラインナンバー15(8)、お乗りになられない方はポータルゾーンより外でお待ちください。間もなく、発送いたします」
ネプテューヌ、ネプギア、走ってポータルゾーンを離れる
コンパ、小首を傾げた笑顔をネプテューヌとネプギアに向ける。
コンパ「それじゃあ二人とも、おやすみなさいです」
ネプテューヌ、ネプギア、手を振る。
ネプテューヌ「うん! おやすみー!」
ネプギア「おやすみなさーい!」
一瞬で転送されるコンパとアイエフ。
手を振るのを止めるネプテューヌとネプギア。
○同・教会・ネプ姉妹部屋
ネプテューヌがドアを開けるとピンボールゲームがスタートするような音と共に部屋の明かりが徐々についていく。
ネプギア、部屋に入ってNギアから、銀色の円盤を取り出す。
ネプテューヌ「ただ〜いまぁ〜♪ あ、副報酬もらったんだ」
ネプテューヌ、円盤に気付く。
ネプギア「うん。アイエフさん達がいらないっていうから。これゲームソフト入ってるんだって」
ネプテューヌ「ゲームソフトとな!? ギルドの方もわかってますなぁ〜! あ、そうだネプギア、明日ネプギアの分のNギア借りてっていい?」
ネプギア、右にあるジュークボックスのような機械の挿入口に円盤を差し込み、そこから吸い込まれるように自動的に入る。
ネプギア「うん。いいけど、何に使うの?」
入った円盤、ジュークボックスのそれと同じ動きで水平な角度でテーブルの上に乗せられ、回転しだし、”解凍”を始める。
機械の右、挿入口のそばにある小さなラッパ状の口から緑色の粒子が出て来る。
粒子は部屋中に散らばり、秩序立って回転し始める。
ネプテューヌ「んふふ〜、巨大キノコ狩り! わたしの分だけじゃ入りきらないかも」
回転しながら粒子はどんどん集中し、あるものの形になっていく。
ネプギア「キノコって、ファルコムさんが村に行って見たって奴?」
散らばっていた粒子が全部集中し、なくなった。
ネプテューヌ「ん?……なにこれ?」
ネプテューヌ、粒子が集中した場所にあったものを拾う。
古いゲームソフトカセットが入っているグレーの箱になっていた。
ネプテューヌ「『ロレンス・ホーマー イボンコの謎』……なぁんだ。もう持ってるよこれ」
ネプギア「そうなんだ」
ネプテューヌ「めちゃくちゃムズイこれ。始めて3秒でやられちゃう」
ネプギア「んーそれで、キノコっていうのは?」
○同・アイデン村・川通り草原・昼
ネプテューヌの声「ん? 会議でブランが、ファルコムのこと話してた時に出てきた奴」
ネプギアの声「やっぱり……」
人1人は余裕で収まりそうなサイズのキノコが川沿いの草原に立っている。
ネプギアの声「あれ? でも村のどこにあるとか知ってるの?」
ネプテューヌの声「それはー、あれだよ」
キノコの前を、携帯を見たりいじったりしながら歩く感覚で、コンソールを出しっぱなしにして歩く人が多く通る。
一部の通行人、キノコの前で止まって、コンソールを出してそのキノコの情報を閲覧する。
○通行人のコンソール
ネプテューヌの声「((勘|かん))!!」
ネプギアの声「お姉ちゃん……」
全身真っ赤で白の水玉模様の見るからに毒々しくて食う気になれないキノコについて名称と紹介文を表示する。
『名称:mode house』
『紹介文:お店に来た人みんなが友達! 友達の証を交換しよう! 目指せ友達1万人!』
○プラネテューヌ・アイデン村・モードハウス外観、背後
傘の下でワレチューが2匹ほど鼻ちょうちんを出しながら寝ている。
ワレチュー「ちゅー……ちゅー……くぉんぷわぁちゃ〜……」
説明 | ||
スニークさんmk2でいたんだね。段ボール箱で遊んでた人が通販やってたのか。 今回は世界観紹介のためのお話。本当はプログラムと言う単語は使いたくなかったけど。 |
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コメント | ||
ありがとうございます。照れちゃいます。伝えたいことがあるからこそ、すんなりと受け取ってほしいし、そのために自分でできることはしていかなきゃいけない。そうロージュが申していました。これからもよろしくお願いいたします。(柏中ロージュ&ミヤウエ) すごいなー…まさか言葉一つ一つにそこまで考えて使われていたとは。物語の構成だけでなく、それを彩る言葉に対しても、すさまじい徹底っぷりを感じますね。その細やかさ…見習いたいです。(銀枠) 理由は二つです。世界観を言い表すのに便利すぎて依存してしまうからと、そうやって言い過ぎると読者様が世界観を信じられなくなってくるのではないかと思ったからです。今でも、IT用語辞典やニュースなどで調べながら世界観に嘘がないよう手探りしていますが、使えるときは使っています。早く出せよと言われるかもしれませんが(笑)。(柏中ロージュ&ミヤウエ) そういやずっと気になっていたんですが、なぜプログラムという単語を使いたくないと思ったのですか? 連コメ申し訳ないです。(銀枠) To雪鈴さん:当初はそうでした。現在はぷるるん達のことも入れたい、内容が迷走ぎみでそれが出てしまっているように見えたので二人で脚本会議中です。機械描写があんななのはコンピュータの中で何が起こってるのかな的なイメージだからで、文体は台本のようにした方がそこで起こっていることが全部かけるからです。こんなですが、どうか彼女達を見守ってあげてください。(柏中ロージュ&ミヤウエ) 近未来を舞台としたmk2の世界なんですね! 文体も近未来を意識しているような感覚がして心地いいです。最低限にまとめられた情報のみが頭の中にすんなりと入ってくるというかそんな感じが特に。細かな機械の設定などから並々ならぬこだわりを感じます。私も見習わなくては。期待しています!(銀枠) |
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