仮面ライダークロス 仮面ライダークロス〜真ビギンズナイト〜後編 |
「う……ん……」
僕が目を覚ますと、そこは僕の部屋の中だった。
「やあ、気が付いた?」
側にはドナルドがいて、いつもと変わらない笑顔を僕に向けている。
「ドナルド…助けてくれたんだね。ありがとう。」
「ハッハッハッハ☆」
今回は本当に助かった。ドナルドがいなかったら、僕は間違いなく死んでいる。
「光輝君。」
「…何、ドナルド?」
「どうして反撃しなかったんだい?あの二人が偽物だって、気付いてたよね?」
「……うん。」
ドナルドの言う通り、僕はあの二人が本物じゃないことに気付いていた。僕の目の前でファザーとマザーに変身したとしてもだ。でも…
「でも、あの偽物の父さんが言ったこと、僕に力がなかったせいで二人が死んだのは、事実だから…」
そう、僕のせいで父さんと母さんは死んだんだ。
あの運命の日に……。
一年前、それは隼人と優子の誕生日の日のこと。
光輝からプレゼントを渡され、そのまま夕食についていた時、隼人の携帯電話が鳴った。
「はいもしもし。……あなたは……はい……わかりました。」
隼人は電話を切った。
光輝が尋ねる。
「仕事?」
「ああ。優子も来てくれ」
「わかったわ。」
二人は出かける準備をする。光輝は黙ってそれを見ていた。
「ごめんな光輝。せっかくお前に祝ってもらったのに…」
隼人は謝るが、光輝は笑顔で応える。
「大丈夫だよ。二人は仮面ライダーなんだから、仕方ないって!たくさんの人が二人の力を借りたがっているんだから、そっちを優先してあげて。ね?」
「光輝…」
「…本当にごめんなさいね。」
「いいのいいの!頑張って!」
光輝は笑って二人を送り出した。
「…僕も仮面ライダーだったら、二人を手伝えるんだけどなぁ……。」
光輝は一人呟いた。
「一体どうしたんですか?私達を呼ぶなんて」
優子は目の前にいる女性、シュラウドに尋ねた。
シュラウドは答える。
「クロスメモリとクロスドライバーが完成したわ。それから、やはり彼が、あなた達の息子が、一番あれとの適合率が高い。」
二人は驚いた。
隼人が呻くように言う。
「…背負わせてしまうのか、あの子に、戦いの宿命を…」
「彼以外にあのメモリを扱える者はいない。」
そう言ってシュラウドは、クロスメモリとクロスドライバーを二人に渡す。
「でも、彼があれを使えるようになるには、これを使って戦ってもらうしかない。実の息子を戦わせるのは気が引けるかもしれないけど、仕方ないことなの。」
二人はシュラウドの話を黙って聞いていた。
翌日の朝、隼人は光輝に尋ねた。
「なぁ光輝。お前、今、幸せか?」
「…いきなりなんだよ父さん。幸せに決まってるじゃないか。そんな当たり前なこと訊かないでよ」
「そうか…」
「…でも、」
「?」
「仮面ライダーになれたら、もっと幸せかなぁ〜…」
隼人は耳を疑った。
「お前、仮面ライダーになりたいのか?」
「うん。僕が仮面ライダーになれたら、父さん達の手伝いができるし、それに僕は弱いから、少しは変われるかなって思って。」
光輝は、強い者ばかりがいるテメンニグル学園の数少ない凡人として、僅かながらコンプレックスを抱いていた。
そんな光輝に向けて、隼人は言う。
「光輝。俺はお前に教えておかなくちゃいけないことがある」
「何?」
「仮面ライダーっていうものはな、自分を変えるためになるものじゃない。誰かを守るためになるものなんだ」
「誰かを、守る…」
「そう。お前は自分が凡人であることにコンプレックスを感じているかもしれないが、『ただ』強くなることに意味はない。誰かを守るため、それが大切なんだ。」
「…わかった。」
光輝は頷いた。
と、隼人は思い出す。
「そういえば、今日はお前の誕生日だったな。」
光輝の目が輝く。
「覚えててくれたの!?」
「ああ。今日はプレゼントを買って帰るから、楽しみにしてろ。」
「ありがとう父さん!」
光輝が学園に行ってから、優子は呟く。
「私が言おうとしてたこと、全部あなたに言われちゃったわね。」
「すまない。しかし、あの子も戦わせることになるのか…まさか俺達の息子が、あのメモリに適合したとは…」
「やはりあの人、シュラウドが言った通り、光輝を戦わせるしかないのかしら…」
「まだ早すぎる。少なくともあと一年は……」
隼人は時計を見た。
「もう行く。」
「気を付けてね。」
「ああ。」
隼人は家を出た。
その日の夜、光輝達一家は食卓についた。
「ねぇ父さん!何買ったの?早く教えてよ!」
優子が笑う。
「そう急かさないの。じゃあ、隼人さん。」
「よし。」
隼人はプレゼントを出そうとする。
その時、
ピンポ〜ン♪
呼び鈴が鳴った。
「私が出てくるわね。」
優子は玄関に行く。
「はいどちらさ、ま………」
ドアを開けた瞬間、優子の思考は凍り付いた。
なぜならそこに立っていたのは…
「やあ、優子君。」
園咲琉兵衛だった。
「あなたは…」
「夜分に押し掛けてすまないねぇ。」
全く悪びれた様子もなく言う琉兵衛に対し、優子は尋ねる。
「何の用ですか?もう私達は縁切ったはずですが。」
「なに、簡単なことだよ。君達が持っている、あるメモリとドライバーを渡してもらおうと思ってね。」
「!!」
優子は驚いた。クロスメモリもクロスドライバーも、知っているのは自分と隼人とシュラウドだけ。他の者が知っているはずはないのだ。
「なぜ、そのことを…」
「知る必要はない。君は私の言う通りにメモリとドライバーを渡せばいい。さぁ、渡したまえ。」
琉兵衛は手を出した。
だが、
「渡す必要はない。」
隼人が現れた。
「隼人さん…」
「なぜだね隼人君?ミュージアムの優秀な科学者であった君達だ。私に従うのは当然だろう?」
「もうあなたとは関係ない!」
隼人は声を荒げた。
すると、琉兵衛はやれやれと首を振り、
「仕様がないな……もう一度、思い知らせてあげよう。」
腰にガイアドライバーを装着、
〈TERROR!〉
一本のガイアメモリを挿した。
琉兵衛はテラー・ドーパントに変身する。
「私には、誰も勝てないということをね。」
余裕たっぷりなテラー。
「…やるぞ優子。」
「でも…」
「場所は移してくれそうにない。なら、ここで倒すしかない!」
「…わかったわ。」
二人はロストドライバーを装着、
〈FATHER!〉
〈MOTHER!〉
「「変身」」
〈FATHER!〉
〈MOTHER!〉
ファザーとマザーに変身した。
「無駄なことを…」
「「さあ、暗黒に沈め!」」
二人はテラーの呟きを無視し、戦いを挑んだ。
「死ぬのは、君達だよ!」
そして、家は炎上した。
ファザーはマザーがテラーを足止めしている間に、光輝を奥の部屋に連れ込んでいた。
「父さん!これ一体どういうことなんだよ!?あのドーパントは…」
「…」
ファザーは答えず、部屋にあった隠し扉を開ける。
中にあったのは物質転送装置。非常時のために作られたものだ。
ファザーは装置の中に光輝を入れ、光輝に言う。
「いいか光輝?一度しか言わないからよく聞け。俺は今から、お前をここから遠く離れた場所に飛ばす。俺達はここを離れるわけにはいかないが、お前は生きるんだ。」
光輝は驚いた。ファザーが死ぬつもりだということがわかったからだ。
「そんなこと言わないでよ!一緒に生きようよ!」
「…ごめんな、光輝。プレゼントの約束、果たせなくて…」
「そんなのいいから」
「光輝。」
ファザーは光輝を黙らせた。
「本当なら、俺もお前と一緒に生きたい。けどな、俺は仮面ライダーだから、大切なお前を守るために戦わなくちゃいけない。わかってくれ…」
「父さん…」
「だが、俺では奴に勝てない。だから、お前には生きてもらわなきゃいけない。これしか方法がないんだ」
「…」
「…強くなれ。大切なものを守れるように」
ファザーは装置の起動スイッチに手を伸ばす。
「父さん!!」
「元気でな。」
ファザーは光輝を転移させた。
光輝が遠くに飛ばされたあと、テラーが入ってきた。
「おや?それは転送装置かね。さては息子を転移させたな?私の目的はあくまでもクロスメモリとクロスドライバーだから、そんなことしなくてもそれぐらいは見逃してあげてよかったんだが…」
「…優子は…」
「ここにいるよ といってももうほぼ命は尽きかけているがね」
テラーは引きずって来た優子をファザーの下へ放り投げた。
「優子 しっかりしろ」
ファザーは優子を抱き呼びかけるが 彼女の命は風前の灯だった
「…隼人さん」
優子は力無い声でファザーの呼び声に応じた
「光輝は…」
「安心しろ 無事に逃がした。」
「…そう 光輝が無事なら私はそれでよか った。」
彼女はそう言うと眠るように息を引き取った。
「…優子…」
ファザーはファザーサーベルを構え、スロットにファザーメモリを装填する。
〈FATHER・MAXIMUM DRIVE!〉
テラーはため息をついた。
「メモリとドライバーを渡せばそれで済む話だというのに、つくづく愚かだね君達は。」
「…これが俺達の…仮面ライダーの意地というやつだ!」
そして、
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
ファザーは突撃した。
「もう完全に吹っ切ったと思ってたけど、目の前で言われるって、やっぱりキツいね。」
光輝は遠い目で言った。
「昔のことで思い悩んでるんだね?」
「うん。そんな僕を立ち直らせてくれたのが、君と、あの人だったっけ…」
両親を奪われ、家を焼き払われ、失意と悲しみの底に沈んでいた光輝。
そんな彼が偶然隠された地下室を発見し、その中でクロスメモリとクロスドライバーを見つけた時、彼に声をかける者がいた。
「十字架を背負う勇気、あるかい?」
光輝が驚いて振り返ると、そこにいたのはドナルドと、シュラウドだった。
「ドナルド?と………誰?」
「私はシュラウド。ここで何が起きたかは見当がついているわ。あの二人が死んだのね?」
「…はい。」
「ならば、今から私が言うことをよく聞きなさい。」
シュラウドは話し出す。
「あなたが今持っているクロスメモリとクロスドライバーは、遅かれ早かれ必ずあなたの手に渡るはずだったもの。これらはあなたを、仮面ライダーへと変身させる。」
「!!」
光輝は耳を疑った。ずっとなることを望んでいた仮面ライダーに、変身できるというのだ。
「僕が、仮面ライダーに…?」
「そう。ただし、それらがあなたの物になった今、あなたにはもう立ち止まることは許されなくなった。仮面ライダーになることを望むなら、復讐を望むなら、立ち上がって前に進みなさい。白宮光輝!」
ドナルドも言う。
「でも過酷な道だよ〜。やるかやらないかは君次第。君がやらないなら、僕がやるだけだからね。どうする?この十字架、背負ってみる?」
話を聞いた光輝は、数秒黙ってから答える。
「……やるよ。やってやる…」
光輝はクロスメモリとクロスドライバーを握り締めた。
「仮面ライダーになるためなら!父さんと母さんの仇を討つためなら!十字架でも何でも背負ってやる!!!」
これが、光輝の決意だった。
「それから、ドナルドと一緒に特訓を始めたんだっけ。」
しかし光輝はうつ向く。
「…あれだけ特訓したのに、あんなペテンに騙されるなんて…僕は仮面ライダー失格だな……」
光輝は落ち込んだ。
だが、ドナルドは笑って言う。
「こういう時は、原点回帰してみるといいよ〜。」
光輝は顔を上げてドナルドを見た。
「原点、回帰?」
「うん。君は何のために強くなりたいの?」
「え………」
光輝の脳内に記憶が蘇る。
(その質問、前にも…)
「君は何のために強くなりたいの?」
仇討ちに向けてがむしゃらに特訓を続ける光輝に、ドナルドは尋ねた。
光輝は疲れた身体に鞭打ちながら、至極当然と答える。
「父さんと母さんの仇を討つためだ!奴は許せない!」
ドナルドはため息をついた。
「じゃあダメだね。君は強くなれないよ」
「何!?」
「君の両親を殺したっていうドーパント、そいつのやったことを許せってわけじゃないよ?許せないのはわかるし、許してもいけない。でも、君が憎しみの心で戦う限り、君は強くなんてなれない。君の両親を殺したドーパントにも、勝てない。絶対にね」
「そ、そんな…。」
昔からドナルドの言うことが間違ったことはない。ドナルドが勝てないと言えば、勝てないのだろう。絶対に……
「僕は、どうすれば…………」
絶望にうちひしがれる光輝。
しかし、ドナルドはさらに尋ねる。
「じゃあ、復讐以外に強くなる理由は?」
光輝は首を横に振る。
「ないよ、そんなの。」
「君の両親は、君になんて言ったんだい?」
「父さんと母さんが、僕に言ったこと?」
光輝はゆっくりと思い出す。
ーー…強くなれ。大切なものを守れるようにーー
思い出したのは父、隼人の言葉。
「大切なものを、守れるように…」
「それだよ!」
ドナルドの顔が歓喜にほころんだ。
「あるじゃないか、君が強くなる理由!」
「……そうだ。仮面ライダーは大切なものを守るための存在…僕は、大切な…みんなを、守らなくちゃいけないんだ!」
「うん!」
自分が強くなるための真の理由を掴んだ光輝。ドナルドも笑顔を隠せなかった。
「…仮面ライダーは大切なものを守るための存在、か…そうだよね。みんなを守らなきゃいけないのに、こんなことで立ち止まってなんかいられない!」
光輝は立ち上がった。
「じゃあ、この事件から手を引くわけにはいかないね!」
ドナルドも立ち上がる。
「でも、もう手がかりが…」
「その点は心配いらないよ〜。」
「え?」
「実は教会の二人が怪しいと思って、光輝君が気絶してる間に、ヴェルタース教の会長さんに問い合わせていたんだ。そうしたらビンゴ!前々から風都の教会は様子がおかしかったんだって。」
「…ドナルド、手際がよすぎるよ…でも、これで確定した。この事件を解決しよう!」
「もちろんさぁ♪」
二人は家を出て、教会に向かった。
ヴェルタース教教会。神原アリスはここに招かれていた。
神原は闇道と黒夢に連れられ、教会の奥の部屋へと入る。
神原は尋ねた。
「本当なんですか?兄と姉に会わせて下さるというのは。」
「ええ、本当ですよ。」
闇道は不気味な含み笑いを浮かべた。
神原はそのことに引きながらも、兄と姉に会うため、二人についていく。
やがて神原は、教会の最奥部にたどり着いた。
その部屋の中には、棺桶が大量に置いてある。
神原は部屋を見渡し、尋ねた。
「ここ、どこですか?こんな所に何が「言ったでしょう?」!?」
闇道が振り向いた。
「お兄さんとお姉さんに会わせてあげますって。」
その不気味としか言えない笑顔に、神原は様子がおかしいと気付く。
慌てて逃げようとした神原だが、その前に黒夢が立ちはだかる。
「わ、私をどうするつもりですか!?」
我が身の危機を感じる神原。
そんな彼女へ、闇道と黒夢はゆっくり語りかける。
「もちろん、あなたをお兄さんとお姉さんに会わせて差し上げるのですよ。」
「ただし、あなたをお兄さんとお姉さんの所へ送る、という形でですがね。」
「!!」
ようやく二人の意図に気付いた神原。だが時すでに遅し、もはや彼女は逃げられない。
「さあ、送って差し上げましょう。」
「恐れることはありませんわ。家族に会えるのを思えば、ね…」
二人の魔手が、神原へと伸びていく。
次の瞬間、
ドンッ!
「ぐはっ!!」
黒夢の背中に野球ボールが叩き込まれた。
「シスター!?」
そして驚く闇道にも、
「ハンバーガーが四個分くらいかな?」
「ごあああっ!!」
材質不明のハンバーガーが四個、投げつけられた。
光輝達は部屋の中に飛び込んだ。
「光輝さん!ドナルドさん!」
「間に合ってよかった!」
「ハッハッハッハ☆」
「くっ…おのれ…」
予想外の乱入者に、闇道は呻きながらも黒夢とともに立ち上がる。
光輝は恐れない。
「あなた達だったんですね。死人還りを起こしていたドーパントの正体は」
ズバリ核心を突かれ、闇道は不気味な笑みを浮かべる。
「よくここまでたどり着いたと褒めて差し上げたいところです。ですが、あなた達の存在は、私達の計画にとって邪魔なんです。だから…」
闇道がそこまで言ったところで、黒夢がスモークグレネードを取り出し、ピンを抜いた。
凄まじい煙幕が二人の姿を隠す。
「ドナルドマジック!」
ドナルドは両手の人差し指をぐるぐる回してから前に向けた。すると、なぜかそれだけで煙が消え去った。
だが闇道と黒夢の姿はもうない。
「消えていただきますよ。愛する者の手にかかってね…」
しかし声だけは聞こえ、近くの棺桶の陰から隼人と優子が現れた。
「言ったわよね?手を引かなければ今度こそ殺すって。」
「今度は止めるなよ優子?」
「もちろん。」
〈FATHER!〉
〈MOTHER!〉
「「変身」」
〈FATHER!〉
〈MOTHER!〉
二人はファザーとマザーに変身した。
ファザーは光輝に迫る。
「思い残すことはあってもいいぞ?どうせすぐ生き返るんだから。」
だが、
「はぁっ!!」
バキィィィッ!!
光輝はファザーの顔面を殴った。
「!?」
予想外の行動に驚くファザー。マザーも動揺している。
だが光輝はそれに構わず言う。
「どんなに父さんと母さんの姿を真似たって無駄だ。僕はもう、迷わない!」
それはとても力強い言葉だった。
しかしハッタリだと思ったマザーは光輝の精神に揺さぶりをかけるべく、一番光輝が動揺するはずの言葉を放つ。
「わかっているの?あなたが弱かったせいで私達は死んだの!」
「確かに、僕が強ければ二人は死ななかっただろう。でもだからといって、自分の苦しみを押し付けるなんてこと、二人は絶対にしない!」
「!!」
光輝を動揺させるつもりが、マザーは逆に動揺してしまう。
光輝はクロスドライバーを出して、さらに続ける。
「これとクロスメモリを見つけて、ドナルドに教えてもらって、やっと気付いた。このドライバーとメモリは、僕達一家にとって家族の絆だ。僕はこの絆を手に、二人の意思を継いで、二人の分まで生きて、二人の分まで戦う!それが、僕の背負った十字架だ!!」
この発言はファザーとマザーだけでなく、神原にも衝撃を与えた。
「意思を継いで、生きる…」
ドナルドは神原の隣で頷いている。
「僕は、この十字架を降ろさない!!」
光輝は持っていたクロスドライバーを装着、
〈CROSS!〉
「変身」
〈CROSS!〉
メモリを挿してクロスに変身した。
「さあ、暗黒に沈め。」
決め台詞も言う。
「それはお前の方だ!!」
ファザーはクロスに殴りかかる。だがクロスはそれよりも速くファザーを殴った。
マザーも加わるが、クロスの勢いは止まらない。今度はクロスが二人を圧倒していた。
そのまま戦いの舞台は教会の外へ移り、クロスはレクイエムサーベルで二人をさらに追い詰める。
そして、
〈REQUIEM! TONE〉
クロスはレクイエムサーベルにレクイエムメモリを装填し、振動剣の一撃を放った。
「「うわああああああああああ!!!」」
二人は吹き飛ばされ、拍子にガイアメモリが排出されて変身が解けた。
〈TRANS!〉
〈VISION!〉
その際に聞こえたガイアウィスパーを、当然クロスは聞きのがしていない。
「トランスにヴィジョン?なるほど、変身と幻影か。それを使って死んだ人に化けていただけなんだな?」
しかし闇道と黒夢はそれを聞かず、再びメモリを挿す。
闇道は青いマネキンのようなドーパント、トランス・ドーパントに、黒夢は緑のマネキンのようなドーパント、ヴィジョン・ドーパントに、それぞれ変身した。
トランスは正体を見破られ、忌々しげに言う。
「おのれ…この力で会長に取って代わり、ヴェルタース教を支配するという我々の計画が…!」
「そんな理由で死人還りを起こしていたのか…でも、これで終わりだ!」
クロスは呆れたが、すぐにレクイエムサーベルの引き金を引き、
〈REQUIEM・MAXIMUM DRIVE!〉
「デスティニーグレイブ!!」
空間を十字に斬ってエネルギーの斬撃を飛ばした。
だが、
「くそっ!」
「えっ?ああああああああああ!!!!」
トランスはヴィジョンを盾にデスティニーグレイブを防御、ヴィジョンはメモリブレイクされ、黒夢に戻って倒れた。
「自分の仲間を盾にするなんて…でも、これでとどめだ!」
クロスはもう一つの必殺技、クロスインプレッションを発動すべくクロスドライバーに手を伸ばす。
その時、
「光輝君!危ない!」
「えっ?ぐああっ!!」
ドナルドの声が聞こえ、クロスは何者かから攻撃を受けて弾き飛ばされた。
「何だ、何が起きた!?」
クロスが起き上がると、トランスのそばに猫のような姿をしたドーパント、スミロドン・ドーパントが現れた。
「別のドーパント!?」
驚くクロスの元にドナルドが駆け寄ってくる。
「このドーパント、ドライバーを着けてるね〜。」
「…本当だ。ということは、幹部!?」
さらに驚くクロス。
すると、
〈TABOO!〉
〈CLAYDOLL!〉
〈WEATHER!〉
悪魔のような姿のドーパント、タブー・ドーパント、陶器人形のような姿のドーパント、クレイドールに加え、ウェザー・ドーパントまでが現れた。
「井坂!?それに幹部が二人!?」
驚くクロスを無視し、タブーはトランスに言う。
「私達はあなたを守って差し上げに来た者ですわ。」
「な、なんと!!それは本当ですかな!?」
「ええ本当ですよ。」
ウェザーが肯定した。
「ですから、少し下がっていて下さい。すぐにこの仮面ライダーを叩き潰してご覧にいれます。」
「も、申し訳ない!」
クレイドールの言葉を聞き、トランスは下がった。
クロスは焦る。
「幹部三人に加えて、井坂まで相手にしなきゃいけないなんて…」
と、ドナルドが進み出た。
「ウェザーの相手はドナルドがするよ。」
「!?いいの!?」
「もちろんさぁ♪」
「…わかった。じゃあ僕は、幹部三人を相手にする。」
こうして戦いが始まった。
クロスはタブーのエネルギー弾攻撃をレクイエムサーベルでさばきながら、クレイドールとスミロドンに攻撃をしかける。
ドナルドはウェザーと一対一で戦っていた。
「この私に挑むとは、その自信のほどを見せてもらいましょうか!」
「やってみようよ。」
ドナルドはウェザーの攻撃を容易く避け、
「これか?これかぁ?」
と拳や蹴りを打ち込んでいく。
「くっ…ぬん!」
そのあまりの威力に耐えられなくなったウェザーはドナルドから距離を取り、ドナルドの周りを雷雲で覆いさらに吹雪や竜巻等を放つ。
「ドナルドマジック!」
だがドナルドは謎の魔法でそれらを一度に消滅させ、ウェザーに接近。
「ドナルドは今、ダンスに夢中なんだ!」
連続で回し蹴りを浴びせ、
「自然に身体が動いちゃうんだ!」
さらに蹴り上げた。
「ぐああああ!!」
ウェザーは吹き飛ぶ。
「先生!」
それに気付いて驚くタブー。
クロスはその隙を突いて手からエネルギー弾を放ち、タブーを撃ち落とす。
「お姉様!?」
「シャッ!?」
「さっきのお返しだ!!」
〈ALLEGRO〉
クロスは超高速移動でスミロドンに攻撃をしかけ、
〈CANTABILE〉
零距離から光線でクレイドールもろとも吹き飛ばした。
状況はドナルドのおかげで優勢だ。
と、クロスはトランスが逃げていくのに気付いた。
「まずい!あいつが逃げる!」
「ドナルドにおまかせ!ランランルー!」
ドナルドが謎ポーズを取ると、大爆発が起きて幹部達を吹き飛ばす。
トランスも巻き込んだが、吹き飛ぶ程度で終わっていた。
「あらぁっ!メモリブレイクしようと思ったけど失敗しちゃったよ!」
「でも道はできた!行こう!」
二人は走る。
「もう少しで強力なメモリを手にできるはずだったのに…! げふぅ!?」
ウェザーがそんなことを言っていたが、吹きとばされてきたタブーやクレイドールにスミロドンが落ちてきて下敷きになってしまった。
「…ふ 不幸だ… ガクッ」
ウェザーは井坂に戻り気絶した。
トランスは頭を振りながら起き上がろうとする。
と、ちょうど駐車してあるトラックが彼の目に止まった。
「これだ!」
トランスはトラックのタイヤに変身すると、全速力で逃げ出した。
「逃がすか!」
「ドナルドマジック!」
クロスはクロスフォンでロイヤルランナーを呼び出し、ドナルドは謎の魔法で自転車を召喚し、
「待てぇーっ!!」
「ハッハッハッハ☆」
それぞれ乗って、トランスを追いかけた。
この追走劇の果てに仲間との再会が待っていることなど、二人には知るよしもなかった………。
************************************************
今回でクロス編も終了です。
次回はついにこの長編の最終章、超クロスオーバー大戦ですので、どうかお付き合い下さい。
説明 | ||
後編です。今回で光輝の過去が明かされますが、うまく書けていません。勉強不足で本当にすいません…… | ||
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