仮面ライダークロス 第十三話 U覚醒/その力、無限
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「あー、ピザが食いてぇ…」

ダンテは呟いた。レディは呆れる。

「また?あんた昼御飯いつもピザじゃない。」

「それだけではない。朝と夜もピザだ。」

「…よく飽きないわね…。」

バージルの補足を聞き、トリッシュまでもが呆れた。

「好きなもんはいくら食っても飽きねぇ、そういうもんさ…だろ?」

「ああ!」

ダンテに訊かれ、同意する照山。バージルは思わずため息をついてしまう。

「もうすぐテストだというのに、よくそんな話ができるな?どうなっても知らんぞ。」

「それとこれとは別問題。まあなんとかなるさ。今までだってそうだったし」

ダンテは顔は二枚目だが、頭はそんなによくない。そんな彼の発言に、双子の兄であるバージルは再びため息をつく。

「全く、お前の楽天的思考には、呆れを通り越して敬服すら覚えるな…」

「そう言うなって…ところでどうした、コウキ、カズマ?全然元気ねぇじゃねぇか。」

ダンテはさっきから話に全く絡んでこない光輝と一真を気遣う。

「二人は真面目だからねぇ…テストのことでも考えて、ブルーになってるんでしょ。」

「お前とは違うということだ。」

「チッ…」

レディとバージルの辛口に、ダンテは舌打ちする。

と、

「違うんだ。」

言ったのは一真だ。

「違うって、何が?」

「実は…」

トリッシュの問いに答えるべく、一真はある出来事を話す。

 

 

 

 

 

それは昨日、光輝と一真が地下のバーチャルバトルルームで変身して特訓していた時のことだった。

この特訓は、エクストリーム、トライアル、キングフォームなど、いわゆる強化変身態を持たないクロスをパワーアップさせるためのものだ。

強化変身ができない以上は自分自身が強くなるしかない、光輝が自分なりに考えた、苦肉の策である。

「よし、今日はこれくらいにしよう。」

「うん…」

二人は変身を解き、リビングに向かう。

 

 

「光輝。君、焦ってるだろ?」

「…」

光輝は一真に核心を突かれ、黙った。

「…」

一真も黙って、光輝の返答を待つ。

やがて光輝は、つらそうにしゃべった。

「…そうだよ。」

「やっぱり…」

一真も仮面ライダー。経験というものがあるため、光輝の焦りに気付くことができたのだ。

「だって仕方ないじゃないか。翔太郎さんや照井さん、一真には、パワーアップ形態があるのに、僕にはないんだよ?なら僕自身が強くなるしかないんだ。」

「気持ちはわかる。でも焦ったって何にもならない」

「僕は強くならなきゃいけないんだ!誰よりも強くなって、みんなを守るんだ!」

一真はその答えを聞いて笑顔になる。

「君は本当に優しいね。でも大丈夫。焦らなくたっていい、君は君のペースで強くなれば、それでいいんだ。」

「一真…」

「それに、君の周りの人間はそんなに弱くないだろ?もっと周りを頼ったっていい。君は、一人じゃないから…」

「…」

光輝は自分の身の回りに存在する者達のすごさを思い出す。

「でも、やっぱり僕は強くならなきゃ…」

「その心がけは忘れちゃいけない。問題は、君が焦りすぎて無茶をすることだからさ…」

「…うん、ありがとう。」

「どういたしまして♪」

光輝は自分のことを気遣ってくれる一真に、お礼を言った。

 

 

その時、呼び鈴が鳴った。

「俺が出るよ。は〜い!今行きます!」

一真は玄関に行った。そして、

「うわぁっ!!」

直後に悲鳴が聞こえた。

何が起こったのかと光輝が思っていると、

「邪魔するわよ。」

シュラウドとドナルドが入って来た。

「シュラウドさん!ドナルドも…」

「ごめんね〜急に押し掛けちゃって。」

全然悪びれた様子もなく謝るドナルド。

一真も戻ってきたところで、シュラウドは話し出す。

「今日はあなたに、大切な話があって来たの。」

「大切な、話?」

光輝が尋ねると、シュラウドは頷いてから言う。

「あなたは無限の使徒…」

「無限の、使徒?それって一体…?」

一真も尋ねる。

シュラウドは答えた。

「全ての世界を構成し、ありとあらゆる事象に干渉できる無限の力、『アンリミテッドフォース』を自在に操れる唯一の存在。」

「それが、光輝?」

シュラウドは再び頷く。

「無限の使徒がその力に完全覚醒した時、この世界にアンリミテッドフォースを呼び込めるようになる。エターナルメモリとインフィニティーメモリを使って…」

「エターナルメモリとインフィニティーメモリ?」

光輝が尋ね、ドナルドが答える。

「永遠と無限の記憶を宿した二本一対のガイアメモリ。一本だけでも強力だけど、その本質、アンリミテッドフォースの召喚は、二つ揃わないと発揮されない。無限の使徒はアンリミテッドフォースを操って、ありとあらゆる事象に自在に干渉できるんだ。」

ありとあらゆる事象に自在に干渉できるようになる、早い話が、敵の能力を無力化したり、味方を補助したり、全てを自分の思い通りにできるということだ。

「その力を操れるのが無限の使徒…僕が…」

つまり、自分の気持ち一つで、今ある全ての世界を消し去ることも新たに創ることもできるというわけで、光輝はその事実に震え上がった。

一真はそれを聞いて思う。

(まるでバトルファイトの優勝者だな…)

一真がいた世界において行われていた、アンデッド同士の戦い、バトルファイト。その戦いの優勝者は、統制者と呼ばれる存在から全てを思い通りにできる、神のごとき万能の力を授かる。

アンリミテッドフォースは、まさにそれだ。

シュラウドは続ける。

「無限の使徒に覚醒できるのは、この二本のメモリとの適合率が高い者のみ。私は最初、彼に目をつけていた。」

言いながら彼女は、ドナルドを見た。

光輝も一真も目を疑う。

「「ええっ!?」」

それはそうだろう。ドナルドにも無限の使徒としての資格があるというのだから。

「でも、彼はこう言った。『自分より適合率の高い者がいる』、と…」

「それが、光輝なのか、ドナルド?」

一真がドナルドに訊くと、ドナルドは笑顔で頷いた。

「うん。適合率がより高い人は、覚醒前から特別な力が使えるんだ。」

「覚えがあるはずよ、光輝…」

シュラウドに言われ光輝は思い返す。

 

覚えは、あった。

嫌な予感を感じて行ってみると、必ずそこで悪いことが起きたり、予知夢を見て一真の来訪を察知したり、ナイトメアが支配する夢の空間でナイトメアの支配を破ったり…。

 

これらの現象が無限の使徒としての力に関係のあるものなら、合点がいく。しかし、

「でもドナルドだって充分強いじゃないか。」

光輝は言った。確かにドナルドは強い。これも無限の使徒としての力による影響だろうが…。

「まあね♪でもいくらドナルドでも、悪いことが起きる場所を完全に把握したりなんかできないよ?」

これに二人はさらに驚く。光輝においては信じられなかった。幼少時から友人として付き合い、できないことなどないと思っていたドナルドに、できないことがあるというのだから。

「それからドナルドは君が覚醒できるかどうかの監視もしてきたんだ。適合率が高くても、覚醒できないことはあるみたいだからね。」

「そしてあなたは、無限の使徒としての力に、完全覚醒しつつある。正直私でもあなたが覚醒できるかどうかはわからなかったけど、嬉しい誤算だったわ。」

それを聞いた一真は光輝に言う。

「やったな光輝!エクストリームよりずっと強い力じゃないか!」

「うん!僕が覚醒すれば、みんなを守ることができる…!」

喜ぶ二人。しかし、シュラウドはある事実を告げる。

「ただ、今のままでは覚醒しても、無限の使徒としての力は半減してしまうわ。そのままでもある程度はアンリミテッドフォースを使うことができるけど、完全に使うには、エターナルメモリとインフィニティーメモリが必要になるから。」

「あ、そうか…どうすればいいんですか?」

光輝は喜びが少し冷めてしまったが、それはそうとシュラウドに尋ねる。

「あなたのクロスメモリとクロスドライバーを貸してもらう。」

「!?」

「なんだって!?」

光輝も一真も、喜びが完全に消し飛んでしまった。クロスメモリとクロスドライバーがなければ、光輝は変身できない。

「取り上げるというわけではないわ。ただ改修を施す必要がある、それだけのこと…」

「でも、もしドーパントに襲われたら…」

一真は心配する。シュラウドは一真に向けて、一言を放った。

「その時はあなたが守りなさい。あなたにとっての最強の姿、キングフォームを使ってでもね。」

「どうしてそのことを!?」

「そんなことはどうだっていいわ。こちらもできるだけ急ぐけど、なにがなんでも彼を守ること。いいわね?」

「…はい…」

「さあ、クロスメモリとクロスドライバーを。」

「…わかりました。」

光輝はシュラウドに、クロスメモリとクロスドライバーを渡す。

「必ず返して下さいね?これは僕にとって、家族の絆なんです。」

「約束するわ。」

シュラウドは帰っていく。

「こればかりはシュラウドさんに任せるしかない。でも必ず返してあげるから、待っててね。」

ドナルドも帰った。

 

 

 

 

 

これが昨日起きた出来事だった。

「じゃあ今、コウキはクロスになれねぇ、ってことか?」

「…うん」

ダンテの質問に対し、光輝は肯定した。

「ヤバイじゃねぇか!もし敵に襲われでもしたら、お前瞬殺されるぞ!」

照山はその事実に危機感を覚える。

 

「ならば、我々の手で守る必要があるな。」

 

言ったのはバージルだ。

「えっ!?」

驚く光輝。

「そうだな、それがいいぜ。」

「決まりね。」

「じゃあクロスメモリとクロスドライバーの改修が終わるまでの間、常に私達のうちの誰かが光輝の側にいるって方向で。」

「警察や探偵連中にも依頼すりゃあ万全だ!」

バージルの言葉に同意して、着々と護衛案を立てていくダンテ、トリッシュ、レディ、照山。

「ちょっ、ちょっと待って!」

あまりの急展開だったので、思わずストップをかける光輝。

「みんないいの?そんな簡単に…」

「何言ってんだよ光輝。俺達は仲間だろ?」

「え…」

「仲間なら頼ればいい。頼れるからこその仲間だ。お前が仮面ライダーかどうかは関係なく、な。」

「…」

ダンテは笑顔で言った。と、

「そうだぞ。」

シグナムが現れた。なのは、フェイト、はやて、ヴィータも一緒だ。

「我々も協力させてもらう。」

「なんだかんだ言うて、この前助けてもろうたお礼、まだしとらんからね。」

「あれはでかい借りだったからな、ようやくそれを返す時が来たってわけだ。」

「もちろん、オッケーしてくれるよね?」

「今まで守られてばっかりだったから、今度は私が光輝を守る番だよ。」

「みんな…」

自分のことを想ってくれる友人達に感動する光輝。一真は光輝の肩を叩く。

「よかったな、光輝。今君の周りには、素晴らしい仲間がこんなにたくさんいるじゃないか。」

言われて、もう一度仲間達を見回す光輝。

「みんな、ありがとう!」

光輝は心の底からお礼を言った。

 

 

 

 

 

園咲家。現在ここでは、会食が行われていた。

招待客は四人の男女。それだけならまだよかったが、この四人、威圧感が半端じゃない。

琉兵衛は気にすることなく料理にありついているが、若菜としては気が気でない。

すると、琉兵衛がナイフとフォークを置いた。

「今日君達に集まってもらったのは他でもない。我らミュージアムにとって最大の脅威と呼べる、ある存在を始末してもらうためだ。」

その言葉を聞き、四人もナイフとフォークを置く。

若菜は立ち上がって父、琉兵衛の元に駆け寄った。

「お父様、彼らは一体何者ですの?」

「ああ、若菜は知らなかったね。」

琉兵衛は説明を始める。

「見ての通り、彼らはミュージアムのセールスマンだ。だが、ただのセールスマンではない。数多く存在するセールスマンの中でも、とりわけ、ガイアメモリの扱いに長けた、精鋭の戦士。」

「精鋭の、戦士?」

「そう、別名ミュージアム四天王。」

琉兵衛がそこまで言ったところで、ミュージアム四天王と呼ばれた女の一人、水無月冷(みなづきれい)が尋ねる。

「それで、我々に始末してもらいたい相手というのは?」

琉兵衛は答える。

「無限の使徒だ。」

部屋を沈黙が支配した。やがてミュージアム四天王の一人、秋風柳(あきかぜやなぎ)が口を開く。

「無限の使徒って…もしそれが本当なら、私達でも勝てませんわよ?」

「覚醒はまだしていない。これなら君達でも、容易に排除できるだろう。だが彼を守るために、エクストリームが動く可能性もある。さすがにエクストリームの相手はつらいだろうから、もう一人呼んでいるのだが…まだ着いていない。」

 

その時、

 

「遅くなって申し訳ありません。アーチボルト・グリムズ、ただいま到着しました。」

 

一人の男、アーチボルト・グリムズが現れた。

「貴様…アーチボルト!何しに来た!!」

「そういきり立たないで下さい、岩村不動(いわむらふどう)さん。僕は琉兵衛さんから召集令を受けて来たんですから」

「ちっ…!」

岩村と呼ばれた男は舌打ちした。

アーチボルトの方は、そんなことなどどこ吹く風と言わんばかりに、その反応を無視している。

その後、アーチボルトは琉兵衛から事情を聞いた。

「なるほど…それで、僕は何をすればいいんですか、琉兵衛さん?」

「アーチボルト君。対エクストリーム戦では、君の存在が切り札となる。ミュージアム四天王と協力し、無限の使徒を倒してくれたまえ。」

「わかりました。」

その時、炎童甚吉(えんどうじんきち)が叫んだ。

「うおおおおおお!!燃えてきたぜぇぇ!!」

「黙れ炎童。お前は熱すぎる」

水無月は冷ややかに言う。

「はっはっはっはっ!!実に頼もしいよ。これで安心して、君達に仕事を任せられるというものだ!!」

大笑いする琉兵衛。

若菜はそんな父に対して、わずかながら恐怖を抱いていた……。

 

 

 

 

 

「ドナルド。」

ドナルドは声をかけられて振り返る。

そこにいたのは、シュラウドだった。

「やあ、こんにちは。シュラウドさんの方から来るなんて、珍しいですね。」

「そんなことはどうでもいい。ミュージアム四天王が動いている」

「知ってますよ♪」

「わかっているわね?」

「もちろん。今回ドナルドは、ギリギリまで手を出しません。」

「ならいいわ…」

シュラウドは消えた。

一人になったドナルドは思う。

(光輝君、これは試練だ。君が無限の使徒として覚醒できるか、否か…それで君の運命が決まる)

ドナルドは、今度は声に出して言った。

「頑張って!」

 

 

 

 

 

ダンテ達が鳴海探偵事務所、風都署超常犯罪捜査課に依頼してから二日後、それは起きた。

 

「君が、白宮光輝君かな?」

 

光輝は友人達と下校中、一人の女、水無月に声をかけられた。

「はいそうですけど…あなたは?」

光輝は不審に思い、水無月に尋ねる。

「私は水無月冷。お前を葬る者だ」

「!?」

光輝が驚くのもつかの間、三人の男女が姿を現す。

「光輝!」

そこへ、翔太郎と照井が駆けつけた。

「やっぱり来やがったか…!」

「マンガだとこういうことはよく起こるもんやけど、実際に起こると全然笑えへんな…!」

身構える照山とはやて。

すると、四人は彼らの目の前でガイアメモリを取り出し、

 

〈FIRE!〉

〈WATER!〉

〈EARTH!〉

〈WIND!〉

 

首筋の生体コネクタに挿し込み、炎童は全身に炎の装飾が施され、胸に『火』と書かれた怪人、ファイアー・ドーパントに、水無月は全身に水の装飾が施され、胸に水と書かれた怪人、ウォーター・ドーパントに、岩村は全身に土や岩石の装飾が施され、胸に土と書かれた怪人、アース・ドーパントに、秋風は全身に風の装飾が施され、胸に風と書かれた怪人、ウィンド・ドーパントに、それぞれ変身した。

「地水火風ってか?風流なドーパントもいたもんだ。」

「誉め言葉として受け取っておきますわ。」

ダンテの感想に対して、ウィンドはそう返した。

アースはダンテ達に言う。

「我々にとって用があるのは、白宮光輝のみ。大人しくそいつを渡すというのなら、お前達は見逃してやる。」

それを聞いたフェイトとなのはは、

「ふざけるな!」

「誰がそんなこと…!」

と、当然こう反応する。

「熱き友情!燃える!燃えるぜぇぇ!!」

なぜか勝手に盛り上がるファイアー。

「…仕方ない。全員まとめて消えてもらおう」

ウォーターはファイアーを軽く一瞥してから、そう言った。

「させるか!行くぜフィリップ!」

「俺達が相手だ。」

「光輝は、俺が守る!!」

 

〈JOKER!〉

〈CYCLONE!〉

〈ACCEL!〉

 

「「変身!」」

「変・身!」

「変身!」

 

〈CYCLONE/JOKER!〉

〈ACCEL!〉

〈TURN UP〉

 

翔太郎、照井、一真はライダーに変身する。

「私達もいるってこと」

「忘れないでよね!」

レディ、トリッシュもそれぞれ武器を構え、全員が戦いの準備を整えていく。

「光輝、俺達にまかせ、お前は下がれ。」

「でも…」

バージルの言葉に反論しようとする光輝だが、

「心配するな、白宮。」

「私らがそんな簡単にやられるタマだと思うか?」

シグナムとヴィータに言われ、みんなを信じることにする。

「話は終わりか?ならば行くぞ!」

「熱くなれよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「始めますわ!」

「潰してくれる!」

ウォーターの言葉を皮切りに、四人は襲いかかってきた。

 

 

 

 

 

戦いの舞台は河川敷へと移り、激化する。

「リトルボーイ!!」

照山は燃える拳をファイアーに叩き込む。

「こんな炎じゃ…熱くなれねぇぇぇ!!」

「ぐあっ!!」

だがファイアーはそれ以上の燃える拳で、照山を殴り倒す。

「紫電…一閃!!」

シグナムは炎を宿したレヴァンティンでファイアーを斬りつけた。

「まだまだ…まだぁ!!」

「うあっ!!」

しかしシグナムも殴り倒され、

「もっと…熱くなれよぉぉぉぉ!!」

両手から放たれた大量の火球を、照山もろとも食らってしまった。

「貴様っ!!」

「よくも!!」

見かねたレディとトリッシュが、ミサイルランチャーやルーチェとオンブラで反撃する。

 

「はっ!!」

ウォーターは両手からマシンガンのように水滴を撃ち出し、アクセルとブレイドを攻撃する。

「「ぐああああ!!」」

さらに水を硬質化して剣に変え、二人に斬りかかった。

だがバージルが割って入り、閻魔刀で水剣を受け止める。

「なるほど、少しはやるらしいな?さすが理事長の息子の一人といったところか…」

「ごたくはいい。来い!」

ウォーターとバージルは斬り合いを始めた。

 

「ラケーテン…ハンマーッ!!」

ヴィータはグラーフアイゼンを、鉄槌部分に突起を付け、さらに反対部分にブースターを付けたような形態、ラケーテンフォルムにすると、ブースターを点火してアースに殴りかかった。

「効かんわ!!」

「うわぁっ!!」

対するアースは頑丈な肉体と怪力でグラーフアイゼンをヴィータもろともに跳ね返し、近くの岩を空中に浮かべてヴィータに飛ばした。

しかし、飛んできた岩は全てダンテがリベリオンで叩き落とす。間髪入れずにエボニーとアイボリーで、魔力のこもった銃弾を放つダンテ。通常の銃弾なら何のダメージも受けないアースだが、これにはダメージを受けた。

「おのれ…小賢しいわ!!」

怒るアースは地面を思いっきり踏みつける。

次の瞬間、地面から大量の岩でできたトゲが突き出し、ダンテとヴィータを襲う。

だがダンテはヴィータを抱えて飛び退き、二人ともダメージを受けずに済んだ。

「わ、悪いダンテ…」

「気にすんな。それより、気を引き締めろ。」

ダンテから警告を受け、二人は再びアースに挑む。

 

「アクセルシューター!」

「フォトンランサー!」

「ブラッディダガー!」

なのは、フェイト、はやての三人はそれぞれ魔法でウィンドに攻撃するが、なぜか攻撃がそれてしまう。

「なら…ディバインバスター!!」

なのはは砲撃魔法を使った。しかし、それすらあらぬ方向へ飛んでいってしまう。

「何で当たらないの!?」

「教えてあげましょうか?こういうことですわ!」

ウィンドが言った瞬間、巨大な竜巻が発生し、三人を呑み込んだ。

三人の魔法が当たらない理由、それはウィンドの風を操るという能力が原因だった。

「やめろ!!」

そこにWが攻撃を仕掛ける。だがウィンドはWの格闘を簡単にあしらい、かまいたちを起こしてWを吹き飛ばす。

『強い…全員がウェザー並の強さだ…!』

ミュージアム四天王の強さに危機感を覚えるフィリップ。

「だったらこれだ!」

そこにエクストリームメモリが飛来、

 

〈XTREAM!〉

 

Wはサイクロンジョーカーエクストリームに強化変身した。

「「プリズムビッカー!」」

 

〈PRISM!〉

 

プリズムビッカーを出現させたWはプリズムソードを抜き、

 

〈PRISM・MAXIMUM DRIVE!〉

 

「「プリズムブレイク!!」」

必殺技を放って竜巻を斬り裂き、三人を救出する。

「大丈夫か?」

「は、はい…」

「なんとか…」

「し、死ぬかと思うたわ…」

三人は息も絶え絶えにお礼を言った。

「それがエクストリームね…あの人は私たちが相手をするにはキツイっておっしゃってましたが、はっきり言ってマユツバものですわ。だから見せて下さいな、その力。」

「言われるまでもねぇ。たっぷり見せてやるから覚悟しろ!!」

Wはウィンドに斬りかかった。

 

Wがエクストリームを使ったのを見たアクセルは、

 

〈TRIAL!〉

 

自身もまたアクセルトライアルに強化変身し、ウォーターに攻撃を仕掛ける。

「くっ…速い!」

「俺もいるぞ!」

「ぐうっ!」

さらにバージルの剣も加わり、ウォーターは追い詰められていく。

 

「よし、俺も!」

ブレイドはラウズアブゾーバーから二枚のカードを出し、まず一枚、アブゾーブカプリコーンのカードをラウズアブゾーバーにセット。

 

〈ABSORB QUEEN〉

 

続いてもう一枚、エボリューションコーカサスのカードを、ラウズアブゾーバーのスラッシュリーダーにラウズする。

 

〈EVOLUTION KING〉

 

ブレイドはキングフォームに強化変身した。

「はあっ!!」

ブレイドはキングラウザーを手にファイアーに斬りかかり、圧倒的なパワーでファイアーを追い詰める。

「熱い…熱いぜお前!!」

「ああ、熱いよ…怒りで身体が燃え尽きそうだ!!」

ブレイドは攻撃の手を一切緩めることなく、さらにファイアーを追い詰める。

 

 

 

 

 

この激闘を、近くから隠れて見ている者がいた。アーチボルトである。

状況は、ミュージアム四天王にとって劣勢。

「さて、僕も行きましょうか…」

アーチボルトは、あるガイアメモリを出すと、

 

〈PAIN!〉

 

起動させて首筋に挿した。

 

 

 

 

 

僕は戦いを見つめ、一人悔しい思いをしていた。

どうして僕は戦ってないんだ?答えは簡単だ。クロスメモリとクロスドライバーがない。つまり、戦うための力がないんだ。

「まだか…まだ改修が終わらないのか…みんな戦ってるのに…!!」

僕は無力だ。せめてクロスになれれば…

その時、

「…っ…!?」

突然耳鳴りがした。

 

 

 

 

 

「あ?」

「何だ、これは…?」

ウィンドを圧倒していたWは、突然の耳鳴りに攻撃の手を止めた。しかし、耳鳴りが聞こえていたのはWだけではなかった。全員に聞こえていたのだ。

次の瞬間、Wの見ている風景が変わった。

それはビギンズナイト。翔太郎の恩師でありフィリップの恩人、鳴海荘吉が敵の凶弾に倒れ、翔太郎にフィリップと自分の帽子を預けて死んでいく光景。翔太郎とフィリップは、第三者視点でそれを見せられていた。

 

なのはが見ていたのは、父が大怪我を負って入院し、母や兄、姉までもが仕事にかかりきりで、孤独に苦しんでいる、幼い自分…。

 

フェイトが見ていたのは、今の母ではない本当の母に折檻され、挙げ句の果てに大嫌いと言われた、同じく幼い自分…。

 

はやてが見ていたのは、本来なら消える必要のないある存在が、笑顔を浮かべて消えていく瞬間。そして、それを見て涙を流す自分…。

 

ダンテとバージルが見ていたのは、ある事故によって瀕死の重傷を負った、自分達の母の姿。そして、それを見て悲しむ幼い自分達…。

 

一真が見ていたのは、炎に呑まれて死ぬ、自分の両親。しかし、その風景はすぐに変わる。次に見たのは、自分がキングフォームに目覚めてしまったがためにアンデッド、ジョーカーに戻ってしまった友人、相川始と戦う自分…。

 

 

 

「おやっさぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

「うわあああああああああああ!!!」

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「やめて…やめてぇぇぇぇぇ!!!」

「リインフォース!!リインフォースゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

「ば、馬鹿な…!!」

「お袋ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

「始ぇぇぇぇぇ!!!」

突然頭を押さえて口々に叫び出すW達。

「みんな!?」

「何だ…何が起きている!?」

駆け寄る光輝と困惑するアクセル。どうやらこの二人だけは影響が出ていないようだ。

その時、

 

「さすがのエクストリームも、相手の姿が見えなければ、能力の無効化はできないようですね。試してみてよかった」

両肩にスピーカーを付け、全身からトゲを生やした黒いドーパントが現れた。

「何だお前は!?」

尋ねるアクセル。

「おや、あなた達には効いていないのですか?まあいいでしょう。僕はアーチボルト・グリムズ。今はペイン・ドーパントと名乗った方がいいでしょうか」

今度は光輝が訊く。

「みんなに何をした!?」

「これがペインメモリの力です。僕の両肩に付いているこれ、マインドクラッシャーから特殊な超音波を浴びせることで、相手にとって最も苦痛となる記憶を呼び起こし、その幻覚を見せることができる。」

「超音波だと!?」

「まさか、さっきの耳鳴りが!?」

「その通り。今彼らは、幻を見ています。自分にとって最も苦痛となる幻をね…」

ペインの言葉に、ウォーターとアースも続く。

「これで我々がイレギュラーどもと戦う必要はなくなった。放っておけば、いずれ潰れる。精神崩壊を起こすかもしれんが…」

「我々の勝ちだ。不本意ではあるがな…」

「っ!まだだ!!まだ俺が」

勇ましく踊り出ようとするアクセル。しかし、

「ぐあああああ!!!」

その背中は無情にも斬り裂かれた。やったのは目の前のドーパント達ではない。

 

やったのは、ブレイドだった。

 

「ふふふ…ははは!!」

気付けばブレイドは笑い声をあげており、そのまま容赦なくアクセルに斬りかかっていく。

アンデッドの、ジョーカーの衝動が、ペインの見せた幻覚によって、暴走を引き起こしたのだ。こんな時に。

「剣崎、どういうつもりだ!?」

「うおおおおおおおおおおおおお!!!」

「くっ…俺がわからんのか!?落ち着け剣崎!お前が見ているものは幻だ!!」

アクセルは仕方なくブレイドと戦いを始める。

これで光輝は完全に一人の孤立無援状態。

「ところで、なぜ変身しないのですか?」

というペインの質問にも、だんまりを通すしかない。

「まあいいでしょう。これで仕事は終わりです」

「クロスと戦えなかったせいで不完全燃焼だが、これも命令だ。」

「つーことで、死んでくれや。」

「悪く思わないで下さい。これも仕事ですから。」

「恨むなら我々に目をつけられた自分の運命を恨むのだな。安心しろ、苦しませぬよう潰してやる」

言いながら迫る五人のドーパント。

次の瞬間、光輝の目の前にレクイエムサーベルが落ちてきた。光輝はそれを手に取る。

「あらあら、そんな武器で私達と戦うつもりですか?」

「いいですよ、せいぜい抵抗して下さい。」

挑発するウィンドとペイン。

そして光輝は始めた。

「うおああああああああああああああああああああ!!!!!」

絶望的な戦いを…。

 

 

 

 

 

この光景を近くから隠れて見ているシュラウドとドナルド。

クロスメモリとクロスドライバーの改修は、もう終わっている。だが、光輝はまだ覚醒を迎えていない。今のまま渡しても、意味がないのだ。

二人は信じる。彼が無限の使徒として覚醒するのを…。

 

 

 

 

 

僕はレクイエムサーベルを振って、効くはずのない攻撃を繰り返している。

このままじゃ勝てないことくらい僕でもわかるし、僕じゃなくてもわかる。

でも僕は、戦うのをやめない。みんなを守りたいから…。

でも僕の想いは虚しく、どんなにレクイエムサーベルを打ち込んでも、簡単に弾かれてしまう。

対象的に僕のみぞおちには炎の拳が突き刺さり、僕の右脇腹は水の刃に斬られ、僕の左脇腹には岩石でできた蹴りが叩き込まれ、右腕はトゲ付きの腕になぎ払われ、最後は竜巻に吹き飛ばされる。

 

…すごいな僕。これだけの攻撃を食らって死なないんだ?鍛えてたおかげかな?

「つまらないですねぇ…そうだ、面白いことを教えましょう。」

ペインが僕に言った。何を教えるっていうんだ?

「本来なら、クロスメモリとクロスドライバーの情報があの方に知られることはなく、あなたのご両親が亡くなることもなかった。なのになぜこんなことになったか、わかりますか?」

わからないよ。

 

「僕がお教えしたんですよ。あの方に」

 

僕の思考は、一瞬停止した。

「…え?」

「僕があの方にお教えした。だから、あなたのご両親は死ぬことになったわけですねぇ!アッハッハッハッハ!!」

じゃあなに?父さんと母さんは、こいつのせいで死んだの?こいつの…せいで…!!

「お前が…」

「ん?」

「お前が売ったのか!!父さんと、母さんを!!」

「アッハッハッハッハ!!その通り!!おかげで僕は昇進です!!」

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

僕は立ち上がって奴を殴った。でもすぐ殴り返された。

「やはりつまらない。あなたの中の憎しみを煽って、少しでも楽しくしようと思ったのですが…この程度とは…」

「くぅ…ぅぅぅ…!!」

悔しい。たまらなく悔しい!こんな奴に、こんなことを言われるなんて…!!

「そうだ、あなたのお友達を殺しましょう。もっと面白くなるかもしれません」

…なんだって?

「さあ、殺しましょうよ皆さん。私はこの…綺麗な金髪のお嬢さんから殺しましょうか。」

そう言って奴はフェイトさんに近付いた。他の四人が止めようと言葉をかけていたけど、奴は聞かない。

「やめろ…」

僕も言う。でも奴は止まらない。

「やめろ…!」

やっぱり止まらない。

奴はフェイトさんに死を送るべく、手刀を振りかぶった。

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

また、守れないのか?

 

 

また、死なせるのか?

 

 

僕が弱いせいで、また大切な人が死ぬのか?

 

 

嫌だ。

 

 

嫌だ…!

 

 

嫌だ嫌だ!!

 

 

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!

 

 

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……!!!!

 

 

 

 

 

 

嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

 

光輝が絶叫をあげた瞬間、光輝の全身を虹色の光が包んだ。

いや、虹色だけではない。

黒、白、様々な光が、光輝を包む。

ペインも手を止め、ミュージアム四天王の面々も、その異様な光景に見入っていた。

 

 

 

 

 

「ついに、目覚めた!この世界に、神が誕生した!!」

シュラウドも凝視する。

ドナルドは呟く。

「これで、光輝君は全てを救い、全てを守る力を手に入れた、か…シュラウドさん、それを渡すなら今なんじゃない?」

「わかっているわ。」

シュラウドの手にはクロスメモリとクロスドライバー、そして、Eと書かれた白いメモリと、Iと書かれた黒いメモリが握られていた…。

 

 

 

 

 

光が消えた時、倒れていたはずの光輝が立ち上がっていた。ダメージも全て回復している。

 

 

ドーパント達は、誰も光輝に挑まない。

 

光輝が放っていたのは、圧倒的なまでの威圧感。その威圧感が、ドーパント達の前に見えない壁となって立ちはだかり、その侵入を封じていた。

 

「白宮光輝!!」

 

シュラウドは光輝に声をかけ、クロスメモリとクロスドライバーを投げ渡す。

光輝は顔を向けずに受け取り、クロスドライバーを装着。

 

〈CROSS!〉

 

「変身」

 

〈CROSS!〉

 

クロスに変身する。

 

続いてシュラウドは二本のメモリを光輝に投げ渡す。

「これは…」

「エターナルメモリとインフィニティーメモリだよ!それを両腰のメモリスロットに挿すんだ!今の君なら使える!」

ドナルドに言われ、見て見ると、確かにベルトの両腰に、メモリスロットが設けてある。これがシュラウドの言っていた改修なのだろう。

「…」

 

〈ETERNAL!〉

〈INFINITY!〉

 

クロスは二本のメモリを起動させ、右のスロットにエターナルメモリを、左のスロットにインフィニティーメモリを、それぞれ挿して両手を広げた。

 

〈CROSS/ETERNAL/INFINITY!〉

 

すると、再びクロスの全身を、様々な色の光が包む。

そして、

 

〈UNLIMITED!〉

 

光が消えた時、クロスの姿が変わっていた。

 

まず目につくのは胸の中心についた青いひし形の水晶。

触角はU字型となり、右手右足に黄金でできたE字型のブレスレットを、左手左足にI字型のブレスレットを装着し、レイブンクロークが虹色に輝くフェニックスクロークに…。

 

その威厳は神のごとし!

最強にして絶対無敵の究極戦士、その名は…

 

「クロス、アンリミテッド…!」

 

クロスは自分の手を見ながら、静かに言った。

 

 

 

 

 

園咲家。

屋敷のエントランスホールにいた琉兵衛は、ゆっくり顔を上げる。

「ついに目覚めたか…覚醒前に始末しようと思ったが、裏目に出てしまったようだ。」

その目は怒りに満ちていた。

「忌まわしき力…アンリミテッドォォォォォォ…!!!」

 

 

 

 

 

「あんなもの、こけおどし!皆さん倒しますよ!」

ペインの号令を受け、ミュージアム四天王はクロスに挑む。

しかし、

「ふんっ!!」

クロスが手を前に向けた瞬間、五人に向かって強力な衝撃波が放たれ、五人を吹き飛ばす。

続いてクロスは、幻覚を見せられて苦しむ仲間達に手をかざした。

すると、今まで叫び続けていた仲間達は我に返り、クロスの変貌に驚く。それはアンデッドの衝動で暴走していたブレイドも、例外ではなかった。

「な、何だったんだ今のは?」

頭を振るダンテ。

「つーか、光輝!?どうしたんだよその姿!」

驚くW。

「詳しい話はあとで。」

「光輝!」

「光輝!」

クロスに声をかけるブレイドとフェイト。

「一真、元に戻ってよかった。フェイトさん、待ってて。今終わらせるから…」

クロスはそう言って、ドーパント達に向き直る。

「それは私達のセリフですわ!!」

「怯むな!囲んで倒せ!!」

ウィンドとウォーターが言い、ミュージアム四天王はクロスを囲み、四方から襲いかかった。

しかし、クロスの姿が消えた。

そして気付いた時には、別の場所に現れている。アンリミテッドフォースを操り、瞬間移動したのだ。

「はっ!!」

クロスは手からマシンガンのように大量のエネルギー弾を発射し、ミュージアム四天王を吹き飛ばした。

「お前達だけは絶対許さない。さあ、暗黒に沈め!」

言うが早いかクロスは駆け出し、ミュージアム四天王に怒涛の攻撃を叩き込んでいく。

「これはまずい…!」

ペインは逃げていった。

 

「ずあっ!!」

アースは全力の拳を繰り出し、クロスはそれをノーガードで受ける。しかし、クロスには何のダメージもない。アンリミテッドフォースを操って、スーツの防御力を上げたのだ。

クロスはアースを殴り飛ばす。

「調子に乗らないで下さい!!」

「熱くなれよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

ウィンドとファイアーが竜巻と炎を放った。だが、

「無効化。」

クロスが手をかざしてそう言った瞬間、竜巻と炎が消滅した。アンリミテッドフォースを操って事象に干渉し、攻撃を無効化したのだ。

「し、信じられん…我らミュージアム四天王が…」

うろたえるウォーター。しかし、そんなことを聞くつもりなど、クロスにはない。

「メモリブレイクだ。」

と言い、右のスロットを軽く叩く。

 

〈ETERNAL・MAXIMUM DRIVE!〉

 

すると、クロスの右手にエターナルメモリのパワーが集まっていく。

「エターナルブロウクン!!」

クロスは走り、

「ぐああああああ!!!」

アースを殴り飛ばしてメモリブレイクした。

続いて今度は左のスロットを軽く叩く。

 

〈INFINITY・MAXIMUM DRIVE!〉

 

クロスの左手にインフィニティーメモリのパワーが集まり、

「インフィニティーブレス!!」

「…燃え尽きたぜ…真っ白にな」

左手から巨大な光線を放ってファイアーをメモリブレイクした。

残ったのはウィンドとウォーターのみ。

クロスは左右のスロットを、同時に軽く叩く。

 

〈ETERNAL/INFINITY・MAXIMUM DRIVE!〉

 

両腕に二本のメモリのパワーが集まり、手を手刀の形にすると、両手からエネルギーの刃が伸びる。

「アンリミテッドスマッシュ!!」

クロスは両腕を交差させるように振って、それを飛ばす。

「きゃあああああああああ!!!!」

「ぐああああああああああ!!!!」

二人のドーパントはメモリブレイクされた。

「そ、そんなミュージアム四天王と恐れられた私達が…」

「こ、これが無限の使徒 の力…だと、何て…出鱈目 な」

二人はそれだけ言ってそのまま気絶した。

 

 

 

僕は変身を解除してみんなのところに駆け寄る。

迎えてくれたのは、祝福の言葉。

「すげぇじゃねぇか!あのドーパントどもを雑魚みてぇにあしらっちまった!」

はしゃぐ照山。

「ついにお前も念願のパワーアップか。」

「なかなかの強さだったぞ。」

「カッコよかったわ!」

「やるじゃない。」

「ぜひ私と手合わせを!」

「やめろってシグナム絶対死ぬから。…とりあえずありがとな。また助けられたみてぇだし…/////」

「やっぱり光輝くんはすごいなぁ…」

「私らも見習わんとな♪」

また聞くことができた、ダンテ、バージル、レディさん、トリッシュさん、シグナムさん、ヴィータさん、なのはさん、はやてさんの言葉。本当に、守れてよかった。

「光輝、ごめんね。助けるつもりが、逆に助けられちゃった。」

謝るフェイトさん。

「僕は仮面ライダーとして当然のことをした。どうってことないよ♪僕もフェイトさんを助けられてよかった…」

「/////」

フェイトさんは赤面した。

「やったな光輝。ついに君も強化態になれた」

一真が言ってくる。

「うん。僕はこの力で、みんなを守る!」

僕は固く決意した。

 

 

 

 

気絶したミュージアム四天王の四人を病院へ搬送し終えた翔太郎達は、その光景を見ていた。

「なんだか一気に抜かれた感じだな。」

「クロスアンリミテッド…実に興味深い。今度彼に頼んで、検索させてもらおう。」

「また始まったよ…」

フィリップの暴走に呆れる翔太郎。

「だが、まだ完全に勝ったとは言えない。」

照井は呟いた。

そう、ペインに変身していたアーチボルトは逃げてしまったのだ。

「これが命取りにならなければいいが…」

照井は密かに危惧するのであった。

 

 

 

 

 

ドナルドとシュラウドは歩いていた。

「これで光輝君は、全知全能の神と同等の存在になった。」

「ええ。私の復讐が成就される時は近いわ…」

二人は夜の闇の中へと消えていった……。

 

 

 

 

 

 

************************************************

次回、

仮面ライダークロス!!

 

翔太郎「やめろ一真!!」

ダンテ「不死の生物、ねぇ…」

ペイン「これで、勝てる!」

光輝「一真は、僕が助ける!」

ブレイド「これが、運命に打ち勝つための力…」

 

第十四話

なんでもかんでも運命という言葉で片付けるな

 

これが裁きだ!!

 

 

 

無限の使徒

 

エターナルメモリ、インフィニティーメモリと適合率の高い人間のみが覚醒できる究極の存在。覚醒すると、アンリミテッドフォースを操り、ありとあらゆる事象に干渉できるようになる(全てを思い通りにできる)ため、全知全能の神とも言える。

アンリミテッドフォースを完全に運用するためにはエターナルメモリとインフィニティーメモリが必要になるが、そのままの状態でも瞬間移動や念動力などを使えるため、並のドーパントより強い。

ちなみに地球の本棚にもアクセス可能で、他者のアクセスを強制解除できるなど、使用権限はフィリップより上。

なぜこのような存在が生まれてくるかは不明。

 

 

アンリミテッドフォース

 

全ての世界を構成する無限の力。ありとあらゆる事象に干渉できる。

 

 

クロスアンリミテッド

 

クロスがエターナルメモリとインフィニティーメモリを使って強化変身した姿。

胸の中心には青いひし形の水晶『ゴッドエンブレム』が存在し、光輝が無限の使徒として完全覚醒したことを証明している。

全能力が飛躍的に向上しており、そのうえアンリミテッドフォースまでが使用可能なので、死角も弱点もない、まさに最強のライダー。

レイブンクロークの強化版であるフェニックスクロークの運用方法は基本的にレイブンクロークと変わらないが、エネルギー弾を放つことができる、飛行時の光が虹色など、相違点がある。

 

必殺技はクロスドライバーの銀端子部分に触れて『グランドフィナーレ』と音声入力することで発動する両足蹴り『エンドレスレジェンド』。

その他にも、右拳で殴る『エターナルブロウクン』。左手から光線を放つ『インフィニティーブレス』。相手に向かって飛ばすパターンAとそのまま斬るパターンBの二種類がある両手から伸びるエネルギーの刃『アンリミテッドスマッシュ』など、多彩な技がある。

クロスアンリミテッドにはさらなる秘密があるのだが現段階ではあえて伏せておく。

因みに下記の数値はアンリミテッドフォースで強化しない場合の数値である。

 

パンチ力 23t

キック力 28t

ジャンプ力 ひと飛び125m

走力 100mを3,2秒

 

エターナルブロウクン   130t

インフィニティーブレス  170t

アンリミテッドスマッシュ 210t

エンドレスレジェンド   300t

 

 

 

エターナルメモリとインフィニティーメモリ

 

永遠の記憶と無限の記憶を宿す二本一対のガイアメモリ。

一本だけでも強力だが、その本質、アンリミテッドフォースの召喚は、二本揃わないと発現しない。

クロスメモリ、クロスドライバーと組み合わせることで、クロスをクロスアンリミテッドに強化変身させることができる。

説明
ついにクロスがパワーアップします。あとやってしまったと思っております(泣)

能力等については後書きを参照に。
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