超次元ゲイムネプテューヌ 3dis Creators_005
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第1章 ゲイム・スタート

 

 

 

 

 

C005:マジェコンヌの教祖

 

 

 

 

 

 

○前回までのあらすじ

 

モコ「前回までのあらすじを、えかきうたで表現しようと思いますっ!」

 

アイエフの声「えかきうたでって……」

ネプギアの声「なにするんでしょう……?」

 

モコ「♪〜ゲイムギョウ界ありまして〜モコとねぷちゃん鉢合わせ〜」

 

コンパの声「ぐちゃぐちゃですぅ……」

 

モコ「からだ描いたらできあがりぃ〜♪」

 

アイエフの声「ぶふふっ……雑ぅ……ざっつぅー……」

ネプギアの声「ぐっ……あらすじ大分はしょった……」

 

ネプテューヌ「……なに、かいたの?」

モコ「ねぷちゃん」

ネプテューヌ「( ´゚Д゚)・;'.、ぶふぅッ!!」

 

ネプギアの声「くっふふふふふふふふっ……お姉ちゃんふふふふふっ……」

アイエフの声「即答しやがったははははふふふふふ……ッ!!」

コンパの声「ぐちゃぐちゃふふふふふふ……ぐちゃぐちゃぁ……」

 

 

 

○プラネテューヌ・教会外観

 

    ((地球次元界|プレイヤーディメンジョン))でいうカトリックの教会堂ような青紫色の建物。

    そびえ立つ避雷針つき八角形の双塔が目印。

 

 

 

○同・主廊部〜祭壇

 

ネプテューヌ「ただぁ〜いまぁ〜♪ ネプ子さん御一行が戻りましたよー!」

モコ「わぁ♪」

 

    地球次元界のそれと比べるとかなり簡略化された作りの内部。

    中に入ってから至る所に目移りしているモコを、ネプテューヌ達が連れて到着する。

    浮いている本に乗っている小さな少女、イストワール、奥の祭壇で待ち受ける。

 

イストワール「お疲れ様ですネプテューヌさん」

ネプテューヌ「いーすん! いいお知らせだよー! アイデン村の人連れてきちゃったー!」

イストワール「ええ。既にアイエフさんから伺っています」

ネプテューヌ「え?」

 

モコ「お? ご本が浮いてるー!!」

イストワール「イストワールと申します。今日ははるばるよく来てくださいました」

モコ「きたよー!」

 

    モコ、イストワールを物色する。

    イストワールはモコに目を向けつつ涼しい表情を保つ。

 

ネプギア「不思議に思わなかったの? わたし達がチュートリアルの時に丁度お姉ちゃんのとこへ来たこと」

ネプテューヌ「正直それ右から左へ聞き流してました……」

コンパ「元々あいちゃんが場所を教えてくれたです」

ネプテューヌ「え……まさか、じゃあ……」

アイエフの声「そゆこと」

 

    アイエフ、携帯を閉じつつ主廊部に入ってくると、一同はアイエフの方を向く。

 

アイエフ「ネプ子の行動ぜ・ん・ぶ、お見通しってわけ。私の((能力|ちから))でね」

ネプギア「ナチュラルに能力を『ちから』と読みますか……」

 

    ネプテューヌ達のいる祭壇へと歩いてくる。

 

アイエフ「サボりはよくないわよねぇー?」

モコ「あなたがあいちゃん?」

アイエフ「そうよ。ゲイムギョウ界に吹きすさぶい──」

ネプテューヌ「その場でケータイいじってただけのあいちゃんにドヤ顔で先越されたー!」

 

    ネプテューヌ、アイエフの話を遮り悔しそうに自分の両手を揺する。

 

アイエフ「ちじん……ネプ子が真面目にやらないでぶらぶらしてるからよ? でも、その子のことはよく知らないからネプ子が教えてくれない?」

ネプテューヌ「あうー……地味に悔しい」

 

モコ「じー……」

 

    モコ、アイエフを見つめては首をかしげる。

 

アイエフ「……な、なに?」

 

    アイエフとイストワールの方を交互に体ごと目を向けながら。

 

モコ「二人とも、やっぱりわかんない? わたしのこと」

イストワール「はい?」

アイエフ「え? どっかであったっけ?」

 

    モコ、首を横に振る。

 

モコ「んーん」

アイエフ「あ、そう……」

 

    イストワール、取りまとめるようにして話を切り出す。

 

イストワール「とりあえず、お話の続きは後にしましょう。みなさんに少し話さなければならない事があります。アイエフさん、お願いします」

 

    アイエフ、イストワールの前に立ち、残り4人に手をあげて点呼を取る。

 

アイエフ「はーいちゅうもーく!」

 

    4人、各々体育座りなり正座なりで地べたに座り込む。

 

アイエフ「まず話しておきたいのは、近頃の新型マジェコンと関連した話」

モコ「マジェコン?」

アイエフ「あー、アンタには後でまとめて話すから、今はとりあえず聞き流しといて。それで、この前のクエストでピエロみたいなやつ捕まえたわよね?」

コンパ「そういえばあいちゃん、ピエロさんのお仲間さん達はどうしたですか?」

アイエフ「それなんだけど、ごめん。一匹取り逃がした」

 

ネプテューヌ「えぇー!? 逃がしちゃったのー!?」

 

    ネプテューヌ、わざとらしくアイエフに言う。

 

アイエフ「あーもう、うるさいわねー……んで、ピエロの仲間ってのがみんなしてサーカス団っぽい奴らで……」

 

 

 

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○ラステイション・ホームストリート・昼

 

    プラネテューヌよりかは多い人通り。

    歩道の端で仮面を被った猿使いの大道芸人が猿とコミュニケーションをとって芸をさせ、多くのギャラリーを集めている。

 

アイエフの声「あと、もう一人と一匹見たの」

ネプギアの声「一匹?」

アイエフの声「そう。やたらラジコン上手い猿」

 

    猿、手慣れた操作でコントローラーを動かす。

    工事用ヘルメットを被った戦車がそれに合わせて動く。

    ギャラリーが猿の器用さと賢さに驚く。

 

モコの声「おさーるさーん」

ネプギアの声「猿使いってことですか?」

アイエフの声「まあそうね」

 

    猿、拍手をしている芸人に向けて軟球の弾を発射。

 

アイエフの声「さっきアンタ達が戦ってた、野球ボール撃ってくる戦車操ってたわ」

 

    オーバーリアクションで驚く芸人をよそに、容赦なく発射していく。

    ちなみに、壁に向かって撃っているのでギャラリーには当たらない。

    ギャラリーは笑いに包まれ、猿も口角をつり上げる。

 

ネプテューヌの声「え!? まさかあのエセ赤ちゃん口調の奴ってお猿!?」

 

    ギャラリー達の横を通り過ぎる、頑丈なスーツケースを転がしているゴスロリのような、青文字系ファッションの塊のような女性。

 

アイエフの声「んなわけないでしょ。さすがに喋ることはないわよ。それにイストワール様の解析だと、あの戦車はモンスター、自分の意思で動いてるらしいわ」

 

 

 

○同・ペタコラスウィッチマシーン建設現場・外観

 

    世の中がディジタルフロンティア(((笑)|フッフッフッ……))だというのにアナログな巨大ルーブゴールドマシーンを建設している。

 

アイエフの声「それにそのエセ赤ちゃん口調の奴……昨日も妨害して猿使いを逃がしたわ。何かあるわよこれ……」

 

    すらりとのびた脚をアピールするかのような歩き方。

    ふと、男の怒声を耳にする。

 

現場の男の声「何度言わせんだよ!!」

 

    怒声の方向へ目を向ける女性。

 

 

 

○同・工事現場

 

    汗臭そうな(仕方のないことだが)推定40過ぎの中年NPCがやや理不尽に怒っている。

 

現場の男「言われたとおりに出来ねぇのかオメェはよ!! 何勝手に材料追加発注してんだゴラァッ!!」

 

    怒られているのは下っ端ことリンダ。

 

リンダ「すんませんっ!! なんか強度が足らなさそうだったので!」

現場の男「言われたとおりにやれってんだよ!! 強度とかそういうのは後でいいんだよ!! 余計な金使わせやがって……クビにすんぞいい加減!!」

 

    そう言って去っていく現場の男。

    リンダ、男が離れていくのを確認すると、遠くから男を睨みつけ、舌打ちをする。

 

リンダ「けっ! やってられっか! 何が安全第一だ! 成金第一の間違いじゃネェのか?」

 

    リンダ、地面の石を蹴っ飛ばす。

    その石はリンダの近くにまで来た女性の足元に転がる。

 

???「全くでしゅね」

リンダ「あん? ……っ!?」

 

    リンダ、訪れた女性の方を見た途端、驚きを隠せない。

 

???「刑罰を受けてからどれくらい経ったかなんてもうおぼえてないでしゅけど、なーーーんにも分かってないでしゅね世の中は」

 

    リンダ、手を伸ばしながら女性に歩み寄る。

 

リンダ「クランカ……先輩……っ!」

 

    そのまま吸い込まれるように女性に寄り添う。

    女性、リンダを拒まず、フード越しに頭を撫でる。

    女性の顔にはひどく滲んだようなペインティング。

 

クランカ「じゅいぶんと真面目に働くでしゅね……」

リンダ「あんな奴らにだけはブリックしてもなりたくネェんすよ……」

クランカ「それはそれは可哀しょうに……でもようやく((救|しゅく))い出せるでしゅ」

 

    リンダ、そのままクランカの顔を見上げる。

 

リンダ「え……? ってか先輩……なんでそんな”でしゅでしゅ”言ってんすか……?」

クランカ「罰を受けた後の仕様でしゅ」

 

    現場の男、赤いペンキの入ったバケツを持って戻ってくる。

 

現場の男「おいコラ、何そこでいちゃつい……て……」

 

    しかし、クランカを見て、バケツを落とし固まる。

    綺麗に着地するバケツ。

    リンダをそっと離しながら振り向くクランカ。

 

 

 

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クランカ「?」

現場の男「は……?」

 

    口を大きく開け、自分の目を疑う男。

    頬をつねって痛がり、夢でないことを確認する。

 

現場の男「お、おめぇ……!?」

クランカ「おや?」

リンダ「げっ!?」

 

    クランカに向けてわなわなと指をさす。

 

現場の男「なんで……何でオメェがここに……!?」

クランカ「あぁ、子供たちの笑顔と未来を守る会、ってか、『スカイブルー』のゲス野郎でしゅか」

 

    リンダ、現場の男を睨みつける。

 

リンダ「スカイブルー……こいつが先輩に……ッ!」

 

    現場の男、震えた声でクランカに尋ねる。

 

現場の男「ててて、テメェ……ば、ばな、バナナの皮すすスリップ刑で、ぶぶ、ぶ、ブリックしたはずじゃ……!」

クランカ「その節はどうもでしゅ。別に暴行一つ加えたわけでもない事件に極刑を求刑してくれて。まぁバナナの皮で済んだでしゅけど」

現場の男「お前がハバネロの寿司なんて食わせたせいであいつらはもういねぇんだ!! 不治の病にかかった子供とそれをけなげに励ましてた犬にあんなことするなんて、しょうもない刑罰でブリックされて当然だ!!」

 

    リンダ、現場の男を怒号する。

 

リンダ「甘ったれたこといってんじゃネェ!! テメェらがつまんねぇ綺麗事ガタガタ抜かすから先輩が”スベって”こんな風になっちまったんだ!!」

クランカ「それどっちの意味でしゅ……?」

 

    騒ぎに気付いた現場のヤジ達が集まってくる。

 

「お、おいなんだ……?」

「おい、アイツ……」

「嘘だろ? ブリックしたはずじゃ……?」

 

クランカ「まぁなんにせよ、一件落着じゃないでしゅか。現代ゲイムギョウ界いや、全次元世界にとっての……」

 

    クランカ、表情筋を大きく使って。

 

クランカ「クぅぅズぅぅがぁぁデリートされたんでしゅからぁ」

 

    現場の男、怒りを露呈する。

    ヤジの空気も一変、嫌悪感をあらわにする。

 

現場の男「思いあがんのもいい加減にしろよ……あいつらはなぁ……お前らみたいな些細な幸せもわかんないような奴らとは違ってなぁ、どんな今でも必死に! 命がけでぶっ──!」

 

    言いかけた所を、クランカにバナナの皮を投げつけ顔に当てられる。

    そのまま顔から男の足元に落ちるバナナの皮。

 

クランカ「おみゃーのスベることしか知らないギャグは聞きあきたでしゅ」

現場の男「てんめぇ……」

クランカ「クズを庇ったことを深く後悔し反省しゅるでしゅ」

 

    しゃがんでスーツケースを開き、タブレットを取り出す。

    怒りでクランカに向かって歩こうとする男。

    しかし……。

 

現場の男「どっちがク──!?」

 

    言いかけた所をお約束と言わんばかりにバナナの皮をふんで転ぶ男。

    「うぉっ!?」と声を出して驚くヤジ達。

    見事なフォームで倒れ、後頭部を打つ。

    ゴツンという音を聞いてクランカ、後頭部を打って悶絶する男にいびるようにして言う。

 

クランカ「ごつんごつん♪ バナナで滑ってごつんごつん♪ しししししししししっ!」

リンダ「うわぁ……いい年したおっさんがこれは引くわぁー」

現場の男「くぅ、ぁぁぁ……」

 

    怒り交じりの声を洩らして起き上れない男。

    ヤジ達もクランカに敵意を向け始める。

 

クランカ「おや? みなしゃんスカイブルーのメンバーでしゅか?」

 

「あぁそうだよ。ここの奴らみんなスカイブルーだよ」

 

クランカ「それはそれは……」

 

    クランカ、タブレットをいじりだす。

    すると足元に突如バナナの皮が現れ、同じようにスリップして転び始めるヤジ達。

 

「お? おわっ!?」

「なんだ!?」

「どわぁ!?」

 

    同じように後頭部を打ち、動けなくなる。

 

クランカ「救いようのない連中でしゅね」

リンダ「これだけ、大勢でやると逆に圧巻だわ……ん?」

 

 

 

 

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    リンダがそう洩らしていると、工事中のペタコラスウィッチマシーンに設置されていた肩幅ほどの直径を持つ玉が勝手に動き出し、

    上手い具合に設置されたコースを転がっていく。

 

リンダ「おぉ……とりあえずは上手く出来てんだな……」

 

    しかし勢いがつき過ぎて途中でコースアウト。

 

クランカ「ありゃりゃ」

リンダ「あれ? なんかこっち来てる!?」

 

    コースアウトした玉がこちらへ飛んでくる。

    慌てふためくリンダに一ミリ足りとも動かず表情も崩さないクランカ。

 

リンダ「うわうわうわ! うわうわうわうわ!!」

 

 

 

 

 

現場の男「ぼぁぁぁぁぁっ!!!」

 

    ところが、玉は倒れている現場の男のイケナイところに激突。

 

クランカ、リンダ「あ」

 

    クランカ、リンダ、共に大口を開けて呆然。

    ピンと身体のばねが張り詰めたかと思うと、力尽きてGOOD NIGHT.

    そしてノイズと砂のようなものを放ちながらゆっくりと崩れ始める身体。

    それを見つめる二人。

 

クランカ「……さて、本題に入るでしゅよ」

リンダ「え? ほ、本題っすか?」

 

    クランカ、タブレットをまた操作し、空中にリンダの顔写真が写ったコンソールが浮かんだらタブレットを横にし、

    円形に並べられたキーボードをタッチしだす。

    タッチするごとにパイプオルガンのような音を奏で、それが不協和音を形成していく。

    それが終わるとリンダの方を見る。

 

クランカ「背中向けるでしゅ」

リンダ「え、あ、はいっす……」

 

    もじもじとしながらクランカに背中を向けるリンダ。

    クランカ、タブレットをリンダの背中に当て円形キーボードの中央にあるRUNキーをタッチする。

 

リンダ「っ……!?」

 

    するとリンダがぴくっと一瞬震え、瞳の奥が一瞬ディスク上に光り、変形して組み替わる。

    タブレットには「COMPLETE」の文字が。

 

クランカ「もういいでしゅよ」

リンダ「先輩今何したんすか?」

クランカ「ソースコードをいじって、目的を変更したでしゅ」

リンダ「目的?」

クランカ「懲役のロックを破ったんでもう自由でしゅ。ついでに、ギョウカイ墓場にも自由に出入りできるでしゅ」

リンダ「マジッすか!?」

 

    リンダ、瞳を輝かせてクランカに詰め寄る。

 

クランカ「これから始まる時代に必要でしゅからね」

リンダ「時代……ついにまた始まるんすね! アタシらの時代が!!」

 

    リンダ、崩れ始めている男の傍にあるバケツを持ち上げ、中にあるペンキを全部男にばらまく。

    不規則に広がり、まんべんなく赤に染まった男。

    赤の色が地面に這って進みその枝を伸ばしていく。

    リンダ、自分にもついたペンキを振り払うとクランカの元へ戻る。

    クランカ、リンダを見つめ。

 

クランカ「一緒に、作るでしゅ。リンダ」

リンダ「……はいッ!!」

 

    現場から立ち去る二人。

    去り際、クランカは倒れている男に目を向ける。

 

クランカ「バナナの皮でこけて”ブリック”することもあるんでしゅねー……」

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
公式新作発表!それでこっちは第1章スタートです。
前章からの反省で、読むのに労力を使わせちゃうのは申し訳ないので一話を短く区切る等、出来るだけの工夫をします。
とか言っといて変なあらすじつけちゃうあたし。
そしてやっぱり長くなっちゃう……。by柏中ロージュ。
4/20 「仕様」を誤字っていたので修正。あと終盤のト書き表現を少し遠まわしにしました。
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