記憶のライダー04 Vの暴走/天の道を往く神速 |
ドーパントにメモリを奪われ数日が経ち、
今日も鳴海探偵事務所に僕らに加え天道さんが集まりドーパント対策を考えていた。
「また謎の破壊活動があったって、風都日報ウェブのトップラインにありますよ。
この数日で五件目です。今回は高利貸しの会社のビルが破壊されたとか」
「そうか。ありがとな、聡里。犯人はまたあのドーパントだろうな……。
フィリップ、あのドーパントの正体は掴めたか?」
「ああ、翔太郎。あのドーパントは「ベロシティドーパント」。
速度を操る能力を持ったドーパントさ」
「成程な。だからあの高速移動が出来た訳か。
それじゃ、あの『クロックアップ』に対抗する方法は判ったか?」
「そっちは全然だね。僕らの能力で、
ルナとトリガーを除いてあのドーパントに対抗する方法は無い」
Wのメモリが奪われたため、その能力には頼れなさそう。
「僕の方も、なかなか考え付きません。天道さん、なにか思いつきませんか?」
「俺も思いつかないな。
だが、まずは盗られたガイアメモリとやらを取り戻すのがいいんじゃないか?」
「ああ、そうですね!……そうだ、フィリップさん!このサイト見てください!」
僕はそう言い、マンタレイライブラリでとあるサイトに接続し、皆に見せる。
「このサイトは……?」
「『復讐代理人』だぁ?なんだよこのサイト」
「翔太郎さん、
このサイトは『風都』『復讐』『代行』のキーワードで検索してヒットしたサイトの一つです。
それと、このページの復讐対象リスト、どこかで見覚えありませんか?」
フィリップさんはしばらく考え込んだ後、ハッとした表情で翔太郎さんの方を見た。
「……そうか!翔太郎、刃野刑事から受け取った、例の事件の傷害事件の被害者リストだ!」
「ええ。それにこの一番下。この会社名、さっき言った記事の高利貸しの名前なんですよ!」
「決まり、だな。このサイトを運営している人間を突き止められないか?」
翔太郎さんが僕にそう聞いてくる。
「僕には流石にそこまでは。でも、一つだけ思いついた策があるんですが、これはちょっと……」
「だったら言ってみてくれたまえ。それがいい刺激になるかもしれない」
「……判りました。このサイトに、依頼を書き込むんです。僕らがターゲットになるように。
それで相手が襲ってきたところを……」
「捕まえる、って訳か。だが、それだと被害がでかくなる可能性があるな」
「はい、だからターゲットには、僕がなります」
「聡里!?お前何言ってるのかわかってるのか!?」
翔太郎さんが大声で怒鳴ってくる。
「判ってます。ですが、翔太郎さんたちにはメモリを回収してもらう必要がありますし、
亜樹子さんや天道さんに危害を加えさせるわけには行きません。
それに、あちらも僕に対しては恨みがあるでしょうから」
「だからって言って、お前が危険だって言ってるんだ!」
「でも、他に方法は……!」
その時、僕らが喧嘩をしている横で黙ってみていた天道さんが、動いた。
「お前たち、少し落ち着け」
「「天道(さん)……」
「おばあちゃんが言っていた。
『未熟な果物は酸っぱい。未熟者ほど喧嘩をする』ってな」
「なんだと!?」
「翔太郎さん落ち着いて!」
天道さん火に油を注がないでください!
「だがおばあちゃんはこうも言っていた。
『未熟なものでも味がある。その味を生かすのが料理人の腕の見せ所だ』と。
たしかにこの策は危険も伴う。だが、それしか手が無いのなら認めても良いんじゃ無いのか、左?」
「……」
さすが天道さんの『天道語録』は、重みが違う……
「……そう、だな。だが、無茶はするな。危なくなったらすぐ逃げろよ」
「判ってますよ、翔太郎さん。
……あ、ドライバーとメモリはここに置いていきます。
さすがにこれが奪われるといろいろマズいので」
「聡里くん、さすがにそれは、それこそ君が大怪我してしまうかもしれないよ?」
フィリップさんが言ってくるけれど、僕は首を横に振り、否定する。
「僕なら大丈夫です」
「ああ、聡里は大丈夫だ。いざとなれば、俺が行こう」
天道さんのフォローが入り、作戦は決定した。
作戦を始め、三日が経った。僕は、とある工場で野宿をしている。
件のサイトに書き込んだ僕の罪状は『不法侵入』。
勝手に廃墟に入り込んで住み着いた男で邪魔で仕方ない、という内容で書いてもらった。
そして、夕食のご飯(飯ごうで炊いた)と固ゆで卵
(人間が踏んでも割れないレベルのが一個あったんだけど、これどうやって作ったんだろう……?)
を食べていると、いきなり声が響き渡った。
「星雄聡里だな?」
「この声は!?」
そう、件のベロシティドーパントの登場。
「ほう、お前はこの間のヒーローもどきの小僧か。
お前も他人から恨みを買っているようじゃないか」
「そういう貴方も、けっこう恨みを買っていますよ?」
僕がそう返すと、ドーパントは不敵に笑ってこう言い放つ。
「私は正義を成しているからな。罪人から恨まれるのも当然だろう。
さて、星雄聡里。お前を、『不法侵入』の罪で裁く!」
「くっ、今の僕は変身できないのに……ッ!」
と、僕にできる精一杯の演技で焦ったふりをしてみせる。
ちなみに、この状況とはホークフォンで撮影していて、
犯人が立ち去るときに尾行するように命令してある。
そしてドーパントが殴りかかって来て、僕はなすすべもなく倒されることになった。
攻撃はどうにか見えたけれど、ギリギリで対応するのが精精だった。
「復讐完了、か。他愛も無い」
血まみれで横たわり、動かない僕に言い放ち立ち去ろうとするドーパントに、
翔太郎さんから借りた予備のスパイダーショックの発信機をつける。
これで二重に追跡できることになるか。
そしてドーパントが立ち去ると、物陰から天道さんが現れた。
「大丈夫か、聡里」
「……ええ、天道さん。勿論ですよ」
「ならいい。事務所へ戻るぞ」
「わかりました。でも、ちょっと疲れたので、寝ても、いいですか?」
そう言って、僕は意識を手放した。
〜鳴海探偵事務所〜
「う、ぁ……眩しい……」
僕がそう言い目を覚ますと、そこは探偵事務所のソファの上。
横では亜樹子さんが僕の様子を見ていた。
「あ、亜樹子さん」
「聡里くん!目が覚めたんだ!よかったぁ……
翔太郎くんフィリップくん!聡里くん起きたよ!」
亜樹子さんはそう叫びながら秘密ガレージへ突撃していった。
「っ、ちょっと無茶しすぎたかな?まぁこのくらいならどうにかなるか」
そう呟いたとき、翔太郎さんに思いっきりどやされた。
「聡里!俺は無茶をするなって言っておいたはずだよな!?
なのにどうしてこんな血まみれになってるんだ!」
あー、そういや具体的にどうやってドーパント騙すか説明してなかったっけか。
「落ち着いて下さい。これは血糊ですよ」
「血糊!?」
「ええ。じつは、こんな物を用意していたんです」
僕は全員にビニール袋を見せる。
その袋は熱で口を接着してあり、中には血が入っていた。
「へぇ、これは面白い。どうやって作ったんだい?」
フィリップさんに聞かれ、答える。
「簡単ですよ。実は数日前から少しずつ自分の血を抜いてたんです。
で、それを水でうすめて固まりにくくしたんですよ。
後はそれをビニール袋に入れて、端をアイロンで溶かしてくっつけて作りました」
「なるほどな。だが、どうやってそれをあんだけ盛大にぶちまけたんだ?」
「それも簡単で、口に含んでビニールを噛み切った後、
殴られて吹き飛んだ瞬間にそれを自分にかけただけです。
その後騙すのは苦労しましたけどね」
その説明に、探偵事務所の面々は心底驚いたようだった。
「……ってことは翔太郎くんフィリップくん、犯人の居場所、判ったの!?」
「勿論だ、亜樹子。発信機とホークフォンからバッチリ位置が送られて来てる。
あとは乗り込むくらいだ」
「僕としても問題は無い。だが、あのドーパントの相手はできるのかい、聡里くん?」
フィリップさんに聞かれた僕は、「はい」と返事をし、首をたてに振った。
しかし、天道さんが僕の方をじっと見ていて、何かをあきらめたような顔をしていた。
「んじゃ、聡里も無事だったんなら明日にもメモリを奪還しにいくぞ!」
「「おー!」」
亜樹子さんと僕の掛け声がハモり、その日はお開きになった。
〜そして、翌日〜
翔太郎さんと僕は例の犯人の居場所と思われる家の前に到着した。
「ここ、ですか?流石にこれは……」
「いや、でも反応はここから出てるぜ?ホークフォンもここを示してるしな」
ホークフォンが示し、スパイダーショックの反応があるその場所は、なんと警察署だった。
「まさか警察関係者だったとはな……だがこれで合点が言ったぜ。
道理であんだけ新聞に載るような事件ばかり起こして捕まらない訳だ。
事件を起こした直後に変身を解除して様子を見に来た警官の振りをして
紛れ込めば誰も怪しまねぇ」
「そういうことですか……でも、こっちも警察にはコネがありましたよね?」
「ああ、そういうことだ。刃野刑事たちに話は通してある。
後はお前が犯人を見つけて、俺が注意を引き付けている間にメモリを取り返せば完了だ。
行くぜ、聡里」
「ええ、翔太郎さん」
「こんちわ、ジンさん。連絡通り来ました」
翔太郎さんは、刃野刑事に挨拶し受け付けの人に教えられた部屋の中へ入っていった。
「おう、翔太郎。それとそこのボウズが例の助手くんか。氷川から聞いたぞ」
「鳴海探偵事務所・探偵補佐の星雄です。以後お見知りおきを」
「なかなか決まってるじゃないか。さて、用事ってのは何だ?」
そう切り出されたところで、翔太郎さんは事情を伝えた。
もっともライダーの所は隠して、例の怪人の正体が警察の人間らしいこと、それと
自分たちにとって重要なデータが入ったUSBメモリが盗難された、と伝えた。
僕らの話を最初は半信半疑で聞いていた刃野刑事だったけれど、
どうにか説得できたようで所内を見て回ることになった。
同じ部屋の中でどうやら刃野さんの部下らしい刑事さんが露骨に不快そうな顔をしていたけど、
スルーすることにした。触らぬ神に祟り無し!
その後、案内される途中に前の事件でお世話になった
不器用な警官さんに会ってお互い挨拶がかぶったり、
すごい気が強い女の人がその横でなんか地味な人に止められていたりと、
ややこしい状況になっていたけれど一通り所内を見て回った。
そして最後の「拾得物管理室」に来たとき、僕らは目当ての男を見つけた。
「翔太郎さん!この男です!!」
そこにいたのは紛れも無く、件のベロシティドーパントの変身者だった!
「なっ、お前、どうして!?」
「悪りぃな、以前コイツを襲撃したときに付けさせてもらったぜ」
翔太郎さんがそういい男の足元を指差し、
男が確認すると足、靴の側面に蜘蛛の巣をかたどったデザインの発信機が張り付いていた。
「い、いつの間に!」
「僕が倒れた後に、ちょろっと。血糊まで用意して正解だったみたいですね、偽善者さん」
僕のその言葉が、どうやら逆鱗に触れたようだった。
「偽善者、だと?俺が何のために警察に入ったと思ってるんだよ!
俺は悪人を取り締まるために警察官になったんだ!
なのに毎日毎日こんな狭い部屋の中でカンヅメで
仕事といえば拾得物を整頓してケースの中に入れる、それだけだ!
だから俺は、犯罪者共を取りしまるためにこの『力』を手に入れたんだ!邪魔をするなァ!!」
そう叫ぶと、男はガイアメモリを懐から取り出しスタートアップスイッチを押し込んだ!
[VELOCITY!]
「探偵風情が……お前らまとめて、正義への反逆の罪で裁く!」
男の足首に生体コネクタが現れ、男はそこにメモリを挿入してしまう。
[VELOCITY!]
「ひえぇ〜、怪物〜!」
と、情けない声を上げて逃亡する刃野刑事。あの人本当に刑事さんなんだろうか?
「ボサっとすんな聡里!ここは俺が相手をするから、お前は!」
「わかってますよ、翔太郎さん!」
短いやり取りの後僕は部屋を飛び出した。
「おや、今回は助手の方は戦わないのか。臆病風に吹かれて逃げ出したか?」
「いいや、違うね。アイツは今変身できねぇから逃がしただけだ。行くぜ、ドーパント!
「面白い、スペックを最大限発揮できない状態でいつまで持つかな?」
「言ってな。行くぜ、フィリップ!」
翔太郎さんは呼びかけ、フィリップさんは答える
『勿論さ、翔太郎。行くよ!』
「『変身!』」
[CYCLONE! JOKER!!]
ガイアウィスパーと風が警察署の廊下を駆け抜け、翔太郎さんはWへ変身した。
「さぁて、ちょっとばかし厳しいがいけるな、フィリップ?」
「何を今更。翔太郎、頼むよ」
その頃、僕は拾得物管理室に舞い戻っていた。理由は簡単。
「さて、ホーク!マンタレイ!スパイダーに、スタッグ、バット!」
[HAWK][MANTAREY][SPIDER][STAG][BAT]
ガジェットにギジメモリを挿入すると、ガジェットは一斉にライブモードへ切り替わった。
「いいかい、皆。ルナメモリとトリガーメモリを探すんだ!GO!」
僕のその掛け声と共に、室内の一斉捜索が始まった。
〜W SIDE〜
一方、ドーパントと戦闘しているダブルはかなりの苦戦を強いられていた。
「がっ、ぐあっ!」
「くっ、やはりサイクロンジョーカーでは追いつけないよ、翔太郎!」
べロシティドーパントの高速移動にWCJフォームでは攻撃をすることが出来ない。
攻撃を見切るのが精一杯で、それでも流しきれなかったダメージが刻一刻と蓄積していた。
「いい加減ダメージが溜まってきている……これでは翔太郎、君が持たないよ?」
「わーってる!聡里、早くしてくれよ……!」
そう翔太郎が考えたとき、油断しているベロシティドーパントの側面に攻撃が直撃した!
「がっ!!何だ!?」
そちらをドーパントが振り返ると、そこに立っていたのは仮面ライダーカブト。
カブトが能力を制限され、わずかな時間しか使用できないクロックアップを利用し
カブトクナイガンでドーパントを射撃したのだった。
「悪いが、そいつを倒させるわけにはいかない。俺も相手をさせてもらおうか」
「この間のクロックアップライダーか!?なら、こっちもだ!」
そう言い、ベロシティドーパントはガイアウィスパーを鳴り響かせる。
[WORM!]
「貴様は長時間クロックアップできないんだったな!ならば、こちらが圧倒的に有利だ!」
そう叫びつつ、クロックアップの世界でカブトと戦闘し続けるドーパント。
さしものカブトも焦りを見せ、攻撃をかけるがドーパントは時間を稼ぐだけのつもりのようで、
ことごとく交わされる。
そして、クロックアップの限界時間が訪れた。
「ぐっ、限界か……ッ」
[EMERGENCY CLOCK OVER!!]
その電子音と共にクロックアップが解除され、同時に変身も解除されてしまう。
「こちらの世界に来てから、ゼクターのメンテナンスも出来なかったからな。ガタが来たか……」
「フン、どうやら終わりのようだな」
ドーパントは勝利宣言とばかりにクロックアップを解除し、天道に話しかける。
「お前もどうやら、俺の処刑リストに載っているようだな。丁度良い。ここで処刑を……」
ドーパントがそう言いかけたとき、今度は背後から何かが激突し動きを止める。
「今度は何だ!」
ドーパントを妨害したのはホークフォンの体当たりだった。そして、そこに居たのは。
「とある傭兵が言ってましたよ?『獲物を前に舌なめずりは、三流のすることだ』って。
貴方は三流どころかとんだチンピラみたいですね、ドーパント!」
聡里が、怒りもあらわにそこに居た。
〜聡里SIDE〜
「貴方の正義とは、なんですか?」
僕は、ドーパントにそう問いかける。
「決まっている!罪を犯した人間を裁くことだ!」
「罪とは何ですか?」
僕は、重ねて問う。
「法に従わない事、他人の行為を妨害する事だ!」
「では、貴方はつまみぐいをした子供を裁くのですか?
廊下を走った子供を捕まえますか?
そして、人を傷つけた自分を捕らえるのですか?」
僕は、最後に問う。
「そ、それは……」
「かつて、一人の女性のために戦っていた男が居ます。
その女性は人間ではなかった。
しかし、その存在自体が人間に危害を及ぼす『罪』とされていたのです。
それでも、その女性はその女性でした。どこまでも優しかった」
「な、何が言いたい!?」
「罪とは、一人が勝手に押し付けるものではないんです。正義もまた然り。
しかし、貴方はその自分の勝手な『正義』で多くの人を傷つけてきました。
これも立派な罪と言えるでしょう」
「う、煩い!」
ドーパントがわめき、一歩僕から後ずさる。
「貴方の罪は判りましたか?」
そのドーパントに向け、僕は一歩足を踏み出し、語る。
「どうしても貴方が罪を数えないのなら、僕が数えさせてあげます!」
僕がそう叫びメモリーメモリを取り出したその時、不思議なことが起こった!
「どうした、カブトゼクター!?」
僕の元に、正確には僕の取り出したメモリーメモリの元にカブトゼクターが飛んで来て、
メモリーメモリになにか光のようなものを照射したのだ。
すると、メモリーから新たなガイアウィスパーが鳴り響いた。
[KABUTO!]
「カブトの記憶……記憶しました。行きますよ、ドーパント」
新たな力を得たメモリーメモリをロストドライバーにセット、
右手でスロットを払うようにして開く。
「……変身」
[MEMORY!]
そしてガイアウィスパーと閃光と共に僕はメモリーへと変身し、さらにあるシステムを起動する。
「メモリイジェクター!カブトメモリ、イジェクト!」
[KABUTO!]
メモリーのベルトに追加された装置の一つ『メモリイジェクター』から一本のメモリが排出され、
僕はそれを空中で掴む。
「カブトメモリ。天道さん、力をお借りします」
僕はさらにベルトに追加された『チェンジスロット』にカブトのメモリをスロットする。
[KABUTO!]
そのガイアウィスパーが鳴り響いた瞬間、
メモリーの装甲の表面を六角形のエフェクトが包み込み、
ベルトこそロストドライバーだけれど、仮面ライダーカブトとなって僕はそこに居た。
「な……」
「メモリーが、カブトになった……?」
その光景に翔太郎とフィリップは絶句、
天道も驚いたような表情でメモリーカブト(以下Mカブト)を見ていた。
「な、なぜお前があの仮面ライダーに!?」
ドーパントもどうやら混乱しているらしい。
「僕は、仮面ライダ−の『記憶』を宿したメモリーメモリのライダー。
だから、このシステムも当然使える」
僕はそう語り、ベルトの『アビリティスロット』にカブトメモリを一旦スロットし、発動させる。
[KABUTO! ABILITY CLOCK UP!]
そのガイアウィスパーと共に、僕の姿はドーパントの視界から消え去った。
「な、クロックアップ……!」
ドーパントが理解したときにはすでに手遅れ、僕はドーパントの背後に立っていた。
「遅いですよ」
「な!?」
僕はドーパントの背中に蹴りを叩き込み、その隙にWに二本のメモリを投げ渡した。
「ダブル、メモリを返します。マキシマムドライブを」
「あ、あぁ。判ったぜ」
『聡里くん……?』
そしてWはフォームチェンジし、W・LTフォームになった。
「行きますよ、メモリブレイク」
ダブルがマキシマムドライブを発動したことを確認し、
僕もマキシマムスロットにカブトメモリをスロットし、発動させる。
[TRIGGER! MAXIMUMDRIVE!!]
[KABUTO! MAXIMUMDRIVE!!]
「ダブルはそのまま、トリガーフルバーストを打ち込んでください。着弾地点に放り込みます」
僕はそういい残し、再びクロックアップを発動し、ベロシティドーパントに肉薄する。
「ひっ!?や、やめてくれ!」
「……貴方の正義、記憶するまでもありません」
僕はその台詞と共に、足にエネルギーを貯める。
「さぁ。天国を、楽しめ」
[ONE TWO THREE]
「[RIDER-KICK]!」
「がぁぁぁぁっ!」
その一撃で吹き飛んだドーパントは、クロックアップが解除される。
そしてその着地地点は丁度ダブルがトリガーフルバーストの着弾地点にしていたところだった。
「ぎゃああああああああああああああっ!!」
男の断末魔の悲鳴と共に、メモリが排出され、粉々に砕ける。
普通の砕け方ではなく、粉末に分解される、むしろ消滅であった。
「一件落着、ですか……ふぅ」
〜翔太郎SIDE〜
「聡里……?」
何だったんだ、今のアイツの迫力は……?
ビギンズナイトのおやっさんに匹敵する恐ろしさだったぞ……?
「……さて、翔太郎さん、天道さん」
俺が考えていると、聡里が声を掛けてきていた。
「なっ、なんだ聡里!?」
「なんでそんなに驚くんですか……まあいいです。
それより、帰りましょう。僕、お腹すいちゃいましたよ」
そう言い無邪気に笑うその顔からは、先ほどのような殺気は微塵も感じられなかった。
そして釈然としない気分のまま、俺たちは事務所へ戻った……
[事件記録:風都の滅殺仕置人事件]
[今回から、件名をつける事にしてみました。]
[犯人の動機は犯人自身が語っていたようなのですが、]
[なぜか僕はそのへんの記憶があいまいなんですよね]
[せっかく記録をはじめたのにな〜……っと、これはいいでしょう]
[今回、僕は新たな力、カブトの力を手に入れました]
[メモリーに他のライダーへの変身能力まであったとは、驚きとしか]
[他にはどのような能力があるんでしょうかね?]
[謎は深まるばかりです]
「これから、も 新たな 能力 は 開放されて 行くでしょう……っと。
もうこんな時間か。ありがとう、マンタレイ」
そういって事件記録のデータをUSBメモリに保存して、
マンタレイを開放してやってから僕は眠りについた。
続く。
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